悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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きゅう

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「…………え…………?」

 目が点になったと思う僕は、噴火しました。

 きゃ──!

 む、むり──!

 かっこよすぎる、のーすちゃんの伴侶(予定)に、ぼ、ぼぼぼぼぼ僕が──!?

 それ、顔が全く全然つりあわないって、めちゃくちゃ大ブーイングが起きるんじゃ……!

 僕、ぷにぷにだいふくだよ──!?


 ちゃんと鏡を見られる僕、勘違いしない、悪役令息の分をわきまえる僕なのです。

 えへん。

 カイに頭をなでなでして、ほめてほしい僕……!

 ちょこっと見あげるだけで、僕の頭をなでなでしてつれるカイが、すぱだりすぎる……!

 じゃなかった!


 いやそれを言うとセゥスさまの時も全然つりあってなかったけど、あれは僕の治癒の能力を買ってくれてのことだったから、お顔は大福でもいいんだよ。

 いやあんまり良くないと思うけど、特にセゥスさまは全然よくないと思うけど、でもそれは優秀な子孫を残すための義務だから仕方ないって納得できるレベルなんだと思いたい、僕のだいふく具合──!

 でも別にのーすちゃんは、優秀な子孫を残す義務もそんなになくて、自由に生きることを許される第二王子で、国を出て世界を旅したっていい。

 誰を伴侶に選ぶのも、自由だ。

 そこに僕だよ。

 ちっちゃくて偉そうで何にも頑張らない、ぷにぷにだいふくだよ──!

 しかもさらに悪役令息なんだよ──!


「だめだよ──!
 のーすちゃんの未来を僕が潰すなんて、絶対だめ──!」

 泣きそうになる僕に、びっくりしたみたいに、のーすちゃんが陽の瞳を見開いた。

「……え……いや、ゆーりが俺を選んでくれたら、俺の未来は最高にしあわせなんだけど……」

「はいはいはい、ユィリおぼっちゃまの本日の許容量の限界を突破しました。
 これ以上のお話はまた後日。そして永遠に後日が来ないことを望みます」

 しゃっと僕を抱っこしてくれたカイの目が、切れあがってる。

「え──!
 ぼく、まだ、ぜんぜん、おはなし、してないの!」

 ぎゅうっと抱きついてくれる、くーちゃんが、とっても可愛いです。

「ゆりさまは意識を失って倒れられて、起きあがられたばかりなんです。まだ意識も記憶も確かでなく混乱されているゆりさまに、あまりに早急にお話を進められるのは困ります」

 僕を守るように、ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれたカイが圧をかけてくれるのに、王陛下の凛々しい頬がヒクヒクしてる。

「……口を挟まないんじゃなかったのか……」

「ゆりさまのご体調が限界を迎えられたら、止めます。
 それが従僕のつとめですので」

 王の圧力にも微塵も揺るがないカイに、長々と嘆息した陛下が手をあげる。

「……わかった。病みあがりにすまない、ユィリ。
 今日は帰ろうか、ノゥス、クゥス」

 残念そうに吐息したのーすちゃんが、僕を抱きしめてくれる。

「記憶とか体調とか落ち着いたら、よかったら考えて。
 俺は、はじめて逢った時からずっと、ゆーりが、だいすきだから」

 ささやきが、耳に降る。

 ちゅ

 あまい、あまい音をたてて、ふわふわの唇が頬にふれた。


「ぼ、ぼくも、きらわれちゃったのかもしれないって思ってたけど、それでもずっと、のーすちゃんのこと、だいすきだったよ!」

 ぎゅう

 抱きしめてくれる腕が強くなる。


「友達としてじゃなく、恋人として考えて」

 ちゅ

 やさしいくちびるが、おでこに降って、しずかに離れた。



「……きゅう……」


 燃える頬で倒れる僕を、カイがおひめさま抱っこしてくれた気がした。













────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 お気に入り、いいね、エール、ご感想、応援してくださるお気もちが、とてもとてもうれしいです。ありがとうございます!

 のーすちゃんとのちゅうが見たいというリクエストがあったので、しかられない感じで(笑)描いてくれたのを表紙にしてみました!

 表紙もいっしょに楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

 いつも、心から、ありがとうございます!




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