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きけん?
しおりを挟む「ゆりちゃん、学校は危険がいっぱいなんだよ。
こんなに可愛くて可愛くて可愛くてたまらない、ゆりちゃんが、『あんのクソ王太子に伴侶(予定)契約を破棄された』って言われちゃうなんて……!」
僕を抱っこしたロドお兄ちゃんが、泣いてくれました。
「わたくしが、ちょっと全員まっさつしましょうか」
さらっと告げるカイの目が、めちゃくちゃ真剣な件について!
きゃ──!
「ゆりちゃん、学校に行くなんて、危ないよ──!」
爆速で来てくれて、扉バ──ン! なサザお兄ちゃんも、僕を抱っこして泣いてくれました。
「ゆりちゃん、学校に行くのはあと10年ぐらい後にしたらどうかな」
仕事を放りだしてきてくれた、おかあさんの過保護が振り切ってるよ!
「その頃になると噂も下火になってそうだね」
うんうんうなずく、おとうさんも過保護です……!
「わたくしは従僕ですから、ゆりさまのお傍にずっとお仕えできますが、ぽこるのは暴言の後になってしまうのです。
ユィリおぼっちゃまのお耳に入る言葉を防ぐことはできません。
ゆりさまが傷つかれるなんて……!」
僕を抱っこしてくれたカイも、泣いてくれました。
ぴょこんと僕は、跳びあがる。
「カイ、一緒に来てくれるの!?」
「もちろんでございます」
ふうわり笑ってくれるカイが、かっこよすぎて、尊すぎる──!
「じゃあ僕、勇気100倍だよ! 学校に行く」
……ほんとうは、ひとりで学校に行くのは、ちょっと怖かった。
だってまた
『あのちっちゃくて偉そうで、みっともない下位貴族、伴侶(予定)契約を破棄されたんだって』
『ぷ』
『だっさ──!』
『ざまぁ』
わらわれる。
『あんなに可愛くてやさしい人を、才能があるからっていじめるなんて』
『最低』
『しねばいいのに』
真実なのに、糾弾されたら、やっぱり泣いてしまう。
自分のしたことを、もう取り返しのつかないことを、ちゃんと謝りたい。
思っているのに、みんなの言葉を想像するだけで消えてしまいそうな勇気を、カイが燈してくれる。
「僕、カイと一緒なら、がんばれるよ!」
想像するだけで涙目になっちゃったけど、きゅっと両手をにぎる僕に、家族のみんな(カイ以外)が号泣です。
「ぇええエエ──! ゆ、ゆりちゃん、お兄ちゃんじゃ、だめなの──!?」
「ひ、ひどい、ゆりちゃん……!」
「おかあさんは──!?」
「おとうさんは──!?」
みんなを泣かせてしまいました。
ごめんなさい!
「あ、あの、学校に一緒についてきてくれるのは、カイだから」
あわあわする僕に、ロドお兄ちゃんが、胸を張る。
「もちろん僕も一緒に行こう」
……ロドお兄ちゃん、もうとっくに卒業したよね……?
「俺も一緒に行くよ!」
サザお兄ちゃんは騎士学校で、別の学校だよね?
「もちろん一緒に行くよ」
おかあさん、参観日じゃないですよ!
「お弁当は何にしようか」
おとうさんも行く気です!
「だ、だいじょうぶだから!」
あわあわ家族のみんなを止める僕を、カイが抱っこしてくれました。
「わたくしが、ゆりさまを、お守りします」
あったかい腕に、カイのやさしい香りにつつまれた僕は、ぎゅっと、ちいさな手をにぎる。
「僕、つよい子になる!」
……そういうことは、カイの腕のなかじゃないところで言ったほうがいいとか、聞こえません!
だって、ぬくぬくで、めちゃくちゃいい匂いがして、自分から抜けだすなんて、絶対に無理だから──!
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