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あぅあ
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「あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙あ゙……!」
お船が揺れるよ……!
ぎぼぢわるぃよ……!
僕、泣いちゃう……!
ぐらんぐらんの船が、風を受けて速度を早めているのか、風で波が高くなったのか、ぼよんぼよんだよ──!
「気もちわるいので、降ります……!」
涙目なのに、布で覆われてるから、アピール力0!
もっちもっちだいふくでも、涙目だったらかわいそうに思ってもらえるかもしれないのに……!
「もうしばらくかかる」
お背なをさすってくれていた海が、首をかしげた気がした。
「自分で自分に治癒魔法は使えないのか?」
…………………………。
やってみる……?
それって僕が、治癒魔法を使えますって言ってるようなものなのかな……?
ちょこっとした、すり傷以外も直せる治癒魔法が使えるってバレたら、下僕みたいに、土に帰るまで働かされちゃう──!?
もしかして、危険──!?
……でも、僕の背中をずっとさすっていてくれていた海が、嘘をついていなくて。
ほんとうに弟のためだけに、僕をさらったのだとしたら……?
「……ウミくんは……ほんとうに、弟を治したいだけ……?
僕のこと、命尽きるまで働かせようとか、そういうのは……?」
本人に聞いてみました。
背中をさすってくれていた手が止まる。
「……するわけないだろ」
低い声だった。
「疑うのはわかるし、不審なのはわかるけど、弟を救おうとしてくれる人に、ひどいことなんて絶対しない」
まっすぐな声だ。
……救おうとしない場合は、ぴんちなのですね……!
どきどきしちゃう──!
命の危険的な意味で……!
うぅ、でも僕、ちゃんと頑張って、ひとりで立派に帰るからね……!
……いなくなった僕のこと、心配してくれてるかな……?
カイや、のーすちゃん、トトラ、きんにくひめ、アーシェくん、サザお兄ちゃん、家族の皆
セゥスさまが、心配してくれたら
とっても、うれしい。
えへへ。
で、でも、困らせたり、心配させすぎるのは、本意ではないのですよ!
みんな、あんまり心配しないで待っててね──!
というわけで、ひとりで治癒魔法を使う練習も兼ねて、自分で自分を治してみようと思います!
無理やり魔力補給されて、激痛のなか治癒魔法を使うなんて、僕が泣いちゃうから──!
「じゃあ、ウミくんを信じてやってみるね」
告げた僕に、海が、ふるえた気がした。
疑うことは、誰にでも簡単にできる。
でも信じることは、とても、とてもむずかしくて、だからこそきっと、信じることから、信頼ははじまると思うから。
海の手を探して、にぎる。
ぬくもりが、しみてくる。
「……うん」
ちいさな声が聞こえた。
僕は、布に覆われた目を閉じる。
世界に満ちる魔素を取りこみ、自分の体内にある魔素と一緒に練りあげる。
きんにくひめの魔脈を、さかのぼったり、ちっちゃな魔力を最高圧力、最高速度で噴射するのを、めちゃくちゃ頑張りつづけたおかげで、僕の魔力コントロールが飛躍的に向上してるといいな──!
前よりちょっと、なめらかに魔力が動いていく気がする……!
も、もしかして僕、大魔導士様になっちゃうかも──!
きゃ──♡
「……何にも変化がないみたいだけど……だいじょうぶか……?」
…………海に、心配されちゃいました…………
「こ、これからだから!」
たぶん……!
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