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ぐぅう
しおりを挟む焼きたての、あまーい、お菓子を頬張ったら、顔がとろける。
「おかしも、はんぶんこも、しぁわせ」
「ほんとに」
むーちゃんと、ふたりで笑えるのが、きっと、いちばんの、しあわせ。
「ぼく、やくそぅ、くみあぃ、とうろく、したいでしゅ」
手をあげたら、ホーおじいちゃんが微笑んでくれる。
「おお、歓迎する。どれか依頼をひとつこなしてくれたら、そのときに登録しよう」
「あい! よろしく、おねがぃ、しましゅ!」
「また、お菓子とお茶をいただきに、うかがいますね」
ムニャが微笑む。
「やくそぅ、くみあい、なのに!」
びっくりする僕に、ホーおじいちゃんが、片目をつぶる。
「何か困ったら、困ってなくても、いつでも来るといい。
あまーいお菓子と、お役立ち情報を、やすーい良心的な価格で、ご提供じゃ!」
とんがり帽子を揺らして、笑ってくれた。
薬草組合の扉を出たら
リンゴーン リンゴーン リンゴーン
近くでそびえ立つ塔から、昼の鐘の音が響いた。
露店の皆の手が止まる。
「昼の鐘だ!」
「お店はしばらく昼休みだよー!」
『お昼休みです』
書かれた木の板が次々にあがり、並べられていた商品がしまわれてゆく。
「焼きたての串だよー!」
「あったまる、あまーい飲み物は、いかがですかー!」
元気になったのは、食べ物や飲み物の露店だ。
お昼休みになった露店の人やお店の人たちが、こぞって屋台に繰りだした。
「おひゆ! あしゃごはん、なかたね。まにあわなくて、ごめんなしゃぃ」
胸に手をあてる僕に、ムニャはぶんぶん首をふった。
「ぽてが謝ることなんて、何もない!」
ぎゅっと僕を抱きしめてくれる。
「ぽてに任せきりで、ごめんなさい。年上の僕が、しっかりしなきゃいけないのに」
きょとんとした僕は、首をふった。
「とし、かんけぃ、なぃの。とくぃなこと、しゅゆ。
ぼく、むーちゃん、まもゆの!」
ぎゅう!
ちいさな手を、めいっぱい伸ばして抱っこしたら、夜の瞳がまるくなる。
泣きだしそうな星の瞳で、笑ってくれる。
「……ありがとう、ぽて」
微笑んでくれたムニャの、ちいさな頭をなでなでしたら
「ぐぅううう」
ふたりのお腹が、仲よく鳴った。
さっき食べたお菓子が、ひさしぶりのご飯だった。昨日の朝から食べていなかったから、ちょこっと食べると余計にお腹が減ってしまったらしい。背中とお腹がくっつきそうだ。
僕は、いつものことだけれど、むーちゃんは、違うかも!
ムニャのちいさなお家から、街まではかなり歩いたので、今から家に帰って、ご飯を作っていたら、お夕飯になっちゃうかも!
「むーちゃん、ごはん、たべゆ?」
「はやく家に帰ろうか」
はずかしそうに、ほんのり赤い頬で微笑むムニャに、僕は首をふる。
「いちば、やたぃ、あゆの! ごはん、たべられゆ!」
ムニャの瞳が、まるくなる。
「やたい?」
「ごはん、うってゆの。いちゅも、たかぃ、から、せちゅやく。
でも、むーちゃん、はらへり、せつにゃい!」
眉をさげたムニャが、うなずく。
「昨日の朝から、ご飯を食べていないんだ。さっきのお菓子で余計にお腹が減ったみたい……」
ぴょこんと僕は、跳びあがる。
「ぼくと、いしょ!」
「ぽても? たいへん!」
真っ青になるムニャを、手まねく。
ちいさな顔を寄せてくれたムニャに、ささやいた。
「むーちゃん、ぃま、おかね、もち!
じゃら、じゃら、しゃんなの。
ちょとなら、ぜぃたく、できゆ!」
そう、僕の腹へりは我慢できるけど、むーちゃんの腹へりは、せつないのです……!
「なるほど。いつも、ぜいたくは、すぐ弾けちゃうけど、たまになら?」
「しあわせ!」
「なるほど」
笑ったムニャが、僕を抱っこしてくれる。
「よし、じゃあ、やたい? を探そう! ぽて、何が食べたい?」
ムニャの線の細い、たおやかなかんばせを見あげた僕は、心配に眉をさげた。
「むーちゃん、ほそぃの。おにく、たべゆ?」
「ぽての方が、心配になるくらい、ずっと細いよ! お肉がいいのかな?」
ガリガリの僕を、ムニャの腕が守るように、やさしく抱いてくれる。
「ぉにく……! めったに、たべられなぃ、ごちそー、なの」
両頬を、両の手で包んで、くねくねする僕に、目をまるくしたムニャが、とろけて笑う。
「じゃあ、たまのぜいたくだから、お肉にしようね」
「ぜいたく……! きょう、ぜぃたく、ししゅぎ?」
はじめて、ばっかり……!
どきどきしちゃう僕に、むーちゃんが片目をつぶる。
「たまの、ぜいたく。ね?」
それは、とっても、いけないことに思えるのに。
あなたと一緒なら、こんなにあまい。
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