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ぜいたく
しおりを挟むムニャがのせて遊んでくれた台車を返してしまうのは、ちょっとしょんぼりなのですが。
ちゃんとお返しするのです!
「ニコ、ありがとぅ」
「いやいや、なんか、かわいーのが見れてよかったよ」
赤い顔でニコが笑って、僕の頭をなでてくれる。
「ムニャも、おつかれさま」
「楽しかった。おまけの麦の粉も、ありがとう、ニコ」
微笑むムニャに紅くなったニコが、手をあげた。
「ニコの粉屋をよろしくな!」
「また、くゆね、ニコ!」
「またね、ニコ」
ふたりで手を振ったら、真っ赤な頬で、ぶんぶん手をふってくれた。
「これで、お買い物はお終いかな?」
首をかしげるムニャは、うまたかを食べてた。
と、いうことは、きっと──!
「むーちゃん……おにく……たべてた?」
ムニャは首をかしげる。
「たぶん?」
記憶に残らない味だったみたいだよ!
「じゃ、じゃあ、お、おぉお、ぉにく、を……!」
ぜいたく過ぎて、けいれんしちゃいそうな僕を、ムニャが抱っこしてくれる。
「僕のためじゃなくて、ぽてのために買おう」
「むーちゃんなの! ほしょい!」
「ぽてだから!」
心配そうに叫ぶムニャに、首をふる。
「ぼく、ひんみんの、ふちゅー」
「いや、貧民も、もうちょっと肉がついてるぞ」
声が降る。
見あげたら、いかつくて、でっかいおじちゃんが、でっかい獣を、かついでいた。
「しゅごい!」
「だろ」
おじちゃんが、胸を張る。
「畑を荒らしにくる野獣を狩ったり、増えすぎた野獣で森が壊れそうになると狩りに行ったりしてるんだよ。
こいつも、畑荒らし。
ってことで、買わねー?」
にこにこしてる!
ぽかんと、ムニャと一緒におじちゃんを見あげた僕は、手を打った。
「わかた!
ぉにく、やさん、に、うりゅ、より、ぼくたち、に、ちょくせちゅ、うった、ほうが、ぉかね、いぱい!」
「そのとおり!
さばき賃だの、手数料だの、売ってやるんだからって言われてさ、かなりやすく買いたたかれちまうんだよ。
せっかく苦労して狩ってきたのに、あんまりだろ?」
ムニャと一緒に、こくこくうなずいた。
「がっかり、しちゃぅ!」
「そうそう、それでさ、肉を買いたそうにしてる客に、声をかけて、買ってもらうんだよ」
「なゆほろ」
おじちゃんの背中にのった、巨大な獣を見つめたムニャが、ぷるぷるだ。
「あ、あの、で、でも、僕たちは、その、さ、さばけない、のですが……」
「ぼく、ちっちゃぃ……」
3歳だから、力がないのです。しょんぼり。
ぷるっぷるな、細腕のむーちゃんも、たぶん、むりなのです……!
「あー、てけとーに切るくらいなら、俺もできるけど。いちおう血は抜いてきたぞ」
「おぉ!」
「一頭、まるまるで、銀貨2枚でどうよ」
ぴょこんと僕は、跳びあがる。
「ばくやす!」
焼いた串でも、おかね3枚、ちょっとした塊になると、おかね30枚はくだらない。
ナヒカの街でも、木の板に書かれた値段は僕のいた街とおなじくらいだった。
こんなに、おっきい獣が、銀貨2枚!
「だろ!?
でも、肉屋に持ってくと、銀貨1枚とか言いやがるんだぜ。ひどくねえ?」
「ひどぃ、でしゅ!」
「暴利だね」
ムニャも、うむうむしてる。
「まあ、たしかに、さばくのとか、売るのとか、うまくねえし、野獣ってのは家畜と違って、硬くて、クセがあるとか言ってさ、買いたたかれちまうんだよな……」
しょんぼりする、おじさんと、ムニャを見あげる。
「むーちゃん!」
きらきら2枚なんて、目が飛び出るほどの、ぜいたくなのですが──!
むーちゃんのお服も、きらきら2枚!
そして、身体を守ってくれるお服とおんなじくらい大切なのは、ごはんなのです──!
期待できらきらしているだろう目で見あげたら、ムニャがうなずく。
「おじさん、買います!
てけとーに切って、ちいさくしてくれますか!」
「おうよ。毛皮もやるよ。ちっと匂うが、よーく洗えば、ぬくぬくの毛皮になるぞ!
布団になる」
「おぉお……!」
ムニャと手をつないで、おどってしまいました!
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