僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
40 / 42

かんばい!

しおりを挟む



 むーちゃんと、コゾと一緒に、僕は、おにくやさん!

 はじめてだけど、がんばるよ!

「いらしゃい、ましぇ! しんしぇん、ぉかね20まぃ、ぉにくでしゅ!」

 ぴょこぴょこ跳ねて、お客さんに声をかける。

「かわいー!」
「やっす!」
「ひとつ、もらおうかな」

 おかねをじゃらじゃらしながら、お客さんが来てくれました!

「うおりゃあああ──!」

 はりきって、さばいたコゾが、ひとかたまりのお肉を切り分けてくれる。

「おかね、20枚です。18まいですね、あと2枚お願いします」

 ムニャが、がんばって数えてくれる。

 びっくりするほど、おっきい野獣のお肉は、どんどん切り分けられて、どんどん買われて、あぁっという間に完売しました!

「すごぃ! コゾ、がんばった!」

「はい、売りあげ」

 にこにこする僕とムニャを、ぼうぜんと見つめたコゾの瞳に涙がにじむ。

「……ありがとう……」

 ムニャと僕の手を、にぎってくれた。

「じゃあ、おかね、半分はムニャと、ぽてに──」

 分けてくれようとするコゾに、首をふる。

「ぉにく、ひとつでいいの!」

「…………あ……」

 コゾが振りかえる。

 どんどん売れてしまったから、僕たちの分を取り分けるのを忘れてしまったのだろう。
 残ったのは骨と内臓だ。

 ムニャと顔を見あわせた僕は、手をあげる。

「コゾ、ほにぇ、ぶつぎり、できゆ?」

「た、たぶん……! すまん、あわてて切り分けたから、残しておくのを忘れちまって──」

「へぃき! ほね、ちゅき、ぉにく、いちばん、おぃしーの!」

「わ、わかった、細かく切ってみるな!」

 コゾが剣を構える。

「どぉりゃあぁアア──!」

 一瞬で刻まれた骨つき肉ができあがった!

「コゾ、しゅごぃ!」

「い、一瞬だったよ──!」

 のけぞって拍手する僕とムニャに、照れくさそうにコゾが笑う。

「骨と内臓と、おかね半分でいいかな」

 僕もムニャも、首をふった。

「コゾ、ずっと、がんばて、きたの。ぼくたち、したの、ちょこっと、だけ」

「これからはきっと、露店でお肉屋さんができますよ」

「……で、でも、こ、こんなに……!」

 おかねの山に、とまどうコゾに、僕とムニャは顔を見あわせる。

「えと、えと、このあたり、で、やじゅー、でて、あぶにゃい、ところ、おしえて、くだしゃい!」

「もちろんだ!」

 近くの露店で木の板を買って、筆記具を借りて、この辺りの地図を描いてくれた。

「わあ、じょーず!」

 拍手する僕とムニャに、照れくさそうにコゾが鼻をこする。

「森の奥は危険だな。人間が住んでるところに近いところには、そんなにいない。
 あとは、夜だな。危険だから出歩かないほうがいい」

「ありがとぅ」

 ムニャとふたりで感謝する。

「……これ、持って帰る?」

 心配そうにコゾが眉をさげる。
 小山みたいな骨と内臓と、ムニャを見あげる僕に、ムニャは微笑んだ。

「はいる」

 こっそりささやいたムニャが、骨の山の下にできた影にふれようとするのを、あわあわ止める。

「こ、こりぇ、はこぶ、だいしゃ、かりゆ!」

「おお、わかった!」

 広場の露店のなかにある貸し台車屋さんまで駆けてくれたコゾが大きな荷車を借りてきてくれる。

「あとは僕たちがやるよ。ありがとう、コゾ」

 微笑むムニャと一緒に、コゾを見あげる。

「ぉかね、いくら?」

 首をかしげる僕に、コゾはぶんぶん首をふった。

「おかねなんて、もらわねえよ! 俺が払うべきなのに!」

「じゃあ今度は、お肉をちゃんと買わせてください」

 ムニャが微笑む。

「またにぇ、コゾ!」

 笑顔で手をふる僕と、ムニャを見つめたコゾが、心からの気もちを表して胸に手をあてる。


「……ありがとう」

 涙の瞳で、笑ってくれた。






しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】望まれなかった代役婚ですが、投資で村を救っていたら旦那様に溺愛されました。

ivy
BL
⭐︎毎朝更新⭐︎ 兄の身代わりで望まれぬ結婚を押しつけられたライネル。 冷たく「帰れ」と言われても、帰る家なんてない! 仕方なく寂れた村をもらい受け、前世の記憶を活かして“投資”で村おこしに挑戦することに。 宝石をぽりぽり食べるマスコット少年や、クセの強い職人たちに囲まれて、にぎやかな日々が始まる。 一方、彼を追い出したはずの旦那様は、いつの間にかライネルのがんばりに心を奪われていき──? 「村おこしと恋愛、どっちも想定外!?」 コミカルだけど甘い、投資×BLラブコメディ。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

当て馬だった公爵令息は、隣国の王太子の腕の中で幸せになる

蒼井梨音
BL
箱入り公爵令息のエリアスは王太子妃候補に選ばれる。 キラキラの王太子に初めての恋をするが、王太子にはすでに想い人がいた・・・ 僕は当て馬にされたの? 初恋相手とその相手のいる国にはいられないと留学を決意したエリアス。 そして、エリアスは隣国の王太子に見初められる♡ (第一部・完) 第二部・完 『当て馬にされた公爵令息は、今も隣国の王太子に愛されている』 ・・・ エリアスとマクシミリアンが結ばれたことで揺らぐ魔獣の封印。再び封印を施すために北へ発つ二人。 しかし迫りくる瘴気に体調を崩してしまうエリアス…… 番外編  『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子の胸に抱かれる』 ・・・ エリアスを当て馬にした、アンドリューとジュリアンの話です。 『淡き春の夢』の章の裏側あたりです。 第三部  『当て馬にされた公爵令息は、隣国の王太子と精霊の導きのままに旅をします』 ・・・ 精霊界の入り口を偶然見つけてしまったエリアスとマクシミリアン。今度は旅に出ます。 第四部 『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子といばらの初恋を貫きます』 ・・・ ジュリアンとアンドリューの贖罪の旅。 第五部(完) 『当て馬にした僕が、当て馬にされた御子さまに救われ続けている件』 ・・・ ジュリアンとアンドリューがついに結婚! そして、新たな事件が起きる。 ジュリアンとエリアスの物語が一緒になります。 S S 不定期でマクシミとエリアスの話をあげてます。 この2人はきっといつまでもこんな感じなんだと思います。 番外編 『僕だけを見ていて』 ・・・ エリアスはマクシミのことが大好きなのです。 エリアス・アーデント(公爵令息→王太子妃) マクシミリアン・ドラヴァール(ドラヴァール王国の王太子) ♢ アンドリュー・リシェル(ルヴァニエール王国の王太子→国王) ジュリアン・ハートレイ(伯爵令息→補佐官→王妃) ※扉絵のエリアスを描いてもらいました ※本編はしばらくお休みで、今は不定期に短い話をあげてます。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

処理中です...