【完結】非モテアラサーですが、あやかしには溺愛されるようです

  *  ゆるゆ

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さわると、わかる?

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「あ、あぁああ――! 陵、ずるいぞ!!」

 私が気を失うより早く麦が叫んで、菫の瞳がうるうるした。

「ぼ、僕だって……!」

 いやいやいや!
 それはまだ早いんじゃないかな!?

 ぎゅうって抱きついてくれるのは凄くうれしいけど、あの、皆、サービス過多じゃない?

 こんなにお客にサービスしてたら皆、勘違いされちゃうよ! 


「私なんかにこんなによくしてくれて、ありがとう。
 もう充分だから、気にしないでね」

 うれしくて涙目になりがら告げたら、皆の目が吊りあがった。


「はァア――!?」

 え、いや、何で皆でキレるの!?

 いつも穏やかな微笑みを湛えている絢までキレてるんですけど!
 すごくやさしい顔が、すんごく怖くなってる……!


「俺、なんかっていう言葉、最高にきらい」

 ぎゅ、と陵が私の手を握ってくれる。


「結芽は、がんばってきたんだろ。
 ずっとひとりで頑張ってきた結芽を、悪く言うな!」

 私のことなのに、自分のことみたいに叫んでくれる陵の目が真剣で、泣きたくなるくらいやさしくて、ほんのり潤んでる。

 その気持ちはとてもうれしいのですが……!


「……ずっとひとりでって……どう見てもぼっち全開で、ずうっとひとりきりでいたようにしか見えないっていうこと?」

 見るからにぼっち。
 切ない……!


「ぜ、全然違う!!」

 吃驚したように目を見開いた陵がぶんぶん首を振ってくれるけど、しょんぼり落ちた肩は戻らない。


「あ~ぁ~あ~~!」

「陵、やらかした――!」

「今のは失言だね」

 麦と菫と絢がため息をついて、陵が項垂れる。


「ほんとにごめん!
 そんなつもりは全然なくて……!
 ……俺らはさわると……その人のことがちょっとだけ解るっていうか……」

「さわる?」

 ぎゅ、と陵が指を絡めて握ってくれる。


「これで、結芽がずっと頑張ってきたのが、解る」

「え、あの、私、あんまり頑張れてないかもしれないけど……それ、もしかして超能力なの?」

 ちょっとどきどきしながら聞いたら、陵は遠い目になって、菫と麦と絢はため息をついた。


「おひめさまには、自分で言いなね」

「……絢」

「ったく、陵、だらしねーなー!」

「……麦」

「おひめさまを哀しませるなんて、傍仕え失格だよ!」

「……菫の言うとおりだ。
 結芽、ごめん」

「う、ううん!
 ……あ、あの……陵が叱ってくれたの……うれしかった」

 繋がる陵の指を握って、囁いた。



『なんか』は、いつも、私が言われてきたことだから。

『日崎なんかに期待した俺らがだめだったよ』
『日崎なんかにやらせて、大丈夫か?』
『日崎さんなんかに、こんな仕事できる訳ないじゃん』

 頑張ったって、だめな私は、いつも嘲笑われてきたから。

『ひどい』
 言い返せなかった。

『やめてください』
 怖くて言えなかった。

 投げつけられる『なんか』は、どんどん私のなかに降り積もり
『私なんか、どうせだめだ』
 私まで、そう思うようになった。

 なのに、陵が叱ってくれた。



「……ありがとう、陵」

 ぎゅ、と陵の手を握る。


 ぎゅう、と強い力で、陵が握り返してくれた。








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