毒殺令嬢

夜桜

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婚約破棄

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「お前なんかとは婚約破棄だッ!」

 伯爵からワインをいただいて飲み干した直後だった。彼は悪魔のような形相でそう言い放った。
 ……ま、まさか『毒』を!?


「…………うっ」
「もっとも、お前はもう死んでしまうがな! そのワインには毒が入っている!」


 そんな……ヒドイ。
 わたしはただ幸せに暮らしたかっただけなのに……。

 苦しい……。

 このまま死ぬのね……。


 そう感じた時。

 体が急に楽になった。
 不思議なくらい身軽になり、穏やかな気持ちであった。
 むしろ、伯爵が苦しみもだえていた。


「…………っ!? ば、ばかな……この俺が毒を……間違って?」


 本当に毒を入れていたんだ。でも、なぜか伯爵が……あ、死んでしまった。


 パタリと倒れて動かなくなった伯爵。
 本当なら、わたしがあなるはずだった。

 でも、そうはならなかった。

 どうして?


「どうされましたか、キリカ様! あ、伯爵様!」


 衛兵がやってきて事態に気づいた。わたしは直ぐに医者を呼ぶように手配。もう無駄だろうけど。


「彼は自分で毒を飲みました」
「ほ、本当ですか!?」

「ええ。それを証拠に、わたしのワインにも毒が入っていました」

「……わかりました。成分を確認しますのでワインには触れないようお願いします」


 それから、わたしと伯爵のグラス両方に毒が入っていたことが判明。わたしは奇跡的に死なずに済んだ。

 でも、どうして?

 確かに、わたしも毒を飲んだはずなのに。


 原因が分からなかったので、街で有名な占い師に聞くことにした。きっと彼女なら何か教えてくれるはず。
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