裏切者には神罰を

夜桜

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今度こそ息の根を止める

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 怪しい手紙が何通も自宅に届いた。
 目を通さずとも、それがハンスによるものだと理解できた。しかも開封すると中に仕込まれたトラップで負傷するともかんづいた。

 謝罪の手紙を送るような人ではないし、そもそも重くて妙な違和感しかなかったからだ。
 こんな姑息こそくな手を使うだなんて、なんて小さな男なの。

 このことをリゲルにも相談した。


「――なるほどね。あの伯爵がそんなことを」
「硫酸を浴びて憎悪が増したのでしょうか。まだわたしを殺したいのでしょう」


 あれから三週間が経ち、ここ最近は手紙が増えていた。
 ハンスはきっと寝たきりだろうから、嫌がらせに手紙を送りつけてきているのかもしれない。

「彼のことなら任せてくれ。裁判にかけ、裁く」
「ありがとうございます」

 感謝を述べるものの、でも、それだけで止まるハンスとも思えなかった。
 あらゆる手段を講じてくる可能性が高い。
 こうなってしまえば、今まで以上に恐ろしい方法で殺しにかかってくるかもしれない。でも、それでもわたしは抵抗ていこうするし、反撃もする。

 これ以上の幸せを奪われてなるものですか。

 ようやくミゲルと出会えて楽しい毎日を送れつつあるのだから。

 ミゲルは優しくて気づかいもできて、素晴らしく性格が良かった。高位の貴族にしては珍しいタイプ。ハンスのように横柄おうへい傲慢ごうまんもないし、とても紳士。最初からミゲルに出会えていたのなら、わたしの人生は違っていたかもしれない。
 今でも十分に変わってきている。
 けれど、ハンスだけは違う。

 あの男にはやはり消えてもらうしかないようね。

 今度こそ息の根を止める。わたしのこの力で。


 三日後の夜、ハンスは自宅療養していると聞いたので邸宅へ忍び込むことにした。時を停め、今度こそトドメを刺す。
 部屋をひとつひとつ探し、ついに寝込んでいるハンスを見つけ出した。彼は包帯をグルグル巻きにしていた。まるでミイラのようだった。


「…………」


 寝ているらしいハンス。さあこれで本当に最後よ。
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