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さようなら伯爵
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包丁を持ち、彼の部屋の中へ。
幸い、彼を守る者は誰もいなかった。人望がないのね。
ベッドの前に立ち、最期の別れを告げようとするものの反応がなかった。まるで死体みたいに。
せめてもの慈悲のつもりだったのだけど、不要だったか。
腕を伸ばし、彼の腹部に刺したつもりだった。けれど、それはハンスでもなければ、ただの包帯ぐるぐる巻きにされた枕だった。
こ、これは……身代わり?
「引っ掛かったな、フィリス!」
カーテンの裏から現れるハンス。包帯怪人なのには変わりないけれど、かなり不気味に映った。ヒドイい有様ね。
「そんなところに隠れていたのね」
「ああ、いつか俺を襲いに来るだろうと思っていたさ」
「何度もわたしを殺そうとして、いい加減しつこいわ」
「お前の方こそ、俺の皮膚をズタボロにしやがって! 自分だけ幸せになろうとしやがって!」
ハンスは心の底からの憎しみをぶつけてくる。でも、わたしはなにも感じなかった。恐怖だとか罪悪感だとか、なにひとつ。
この男こそ諸悪の根源だからだ。
「だったらどうする?」
「今度こそフィリス、お前を殺す!」
「殺すってどうやって わたしは死なないわ」
「はは……あはは!」
愉快そうに笑うハンスは、火のついたロウソクを手にした。
「なんのつもり? そんなロウソク一本でわたしを殺せるとでも?」
「殺せるさ。この導火線に火をつければ、この家はドカンだ」
「ま、まさか」
その導火線を目で追っていくと、なにやら爆薬らしきモノに繋がれていた。……ウソでしょう。そんなものを用意しているなんて。
「道連れにしてやる! フィリス、俺と一緒に死ね!」
不敵に笑うハンスは、ロウソクの火を導火線につけた。まずい!
すぐに祈りを捧げて時を停めた。
するとギリギリのところで火は止まった。あれを手で消すのは難しい。ので、わたしは外へ逃げた。
三分以内に邸宅の外へ飛び出し、更に走った。
時間切れとなった瞬間だった。
ものすごい爆発音と地響き、そして爆風がしてわたしは吹き飛ばされそうになった。な、なんて爆発なの……!
けれど、わたしは助かった。
ハンスはきっと木っ端みじんね。
後日、ハンスが爆薬の取り扱いによる不注意で自爆したと情報が流れた。
幸い、彼を守る者は誰もいなかった。人望がないのね。
ベッドの前に立ち、最期の別れを告げようとするものの反応がなかった。まるで死体みたいに。
せめてもの慈悲のつもりだったのだけど、不要だったか。
腕を伸ばし、彼の腹部に刺したつもりだった。けれど、それはハンスでもなければ、ただの包帯ぐるぐる巻きにされた枕だった。
こ、これは……身代わり?
「引っ掛かったな、フィリス!」
カーテンの裏から現れるハンス。包帯怪人なのには変わりないけれど、かなり不気味に映った。ヒドイい有様ね。
「そんなところに隠れていたのね」
「ああ、いつか俺を襲いに来るだろうと思っていたさ」
「何度もわたしを殺そうとして、いい加減しつこいわ」
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ハンスは心の底からの憎しみをぶつけてくる。でも、わたしはなにも感じなかった。恐怖だとか罪悪感だとか、なにひとつ。
この男こそ諸悪の根源だからだ。
「だったらどうする?」
「今度こそフィリス、お前を殺す!」
「殺すってどうやって わたしは死なないわ」
「はは……あはは!」
愉快そうに笑うハンスは、火のついたロウソクを手にした。
「なんのつもり? そんなロウソク一本でわたしを殺せるとでも?」
「殺せるさ。この導火線に火をつければ、この家はドカンだ」
「ま、まさか」
その導火線を目で追っていくと、なにやら爆薬らしきモノに繋がれていた。……ウソでしょう。そんなものを用意しているなんて。
「道連れにしてやる! フィリス、俺と一緒に死ね!」
不敵に笑うハンスは、ロウソクの火を導火線につけた。まずい!
すぐに祈りを捧げて時を停めた。
するとギリギリのところで火は止まった。あれを手で消すのは難しい。ので、わたしは外へ逃げた。
三分以内に邸宅の外へ飛び出し、更に走った。
時間切れとなった瞬間だった。
ものすごい爆発音と地響き、そして爆風がしてわたしは吹き飛ばされそうになった。な、なんて爆発なの……!
けれど、わたしは助かった。
ハンスはきっと木っ端みじんね。
後日、ハンスが爆薬の取り扱いによる不注意で自爆したと情報が流れた。
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