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しおりを挟む部屋へと戻り寝る準備を一通り済ませたあと、なんとなく別室に行くのは違う気がして、先輩のベッドの上に横並びで座った。いつもと違う俺の行動にも、天先輩は「どうして」なんて聞かなかった。
もしかしたら、天先輩にとっても今日はこれが自然に思えたのかもしれない。
「想い想われてて、いい兄弟だね。少し嫉妬しちゃうくらいに」
「はい、自慢の兄です。天先輩の嫉妬は大変そうなので、やめてほしいですけど」
「そうかも。あんまりお兄さんのことばっかり構っちゃダメだよ」
今日のことを話しているうちに、だんだんと無意識に距離が詰まる。
きっと先輩も同じ気持ちなんだろうな、と浮かれた。
お互いに終わりが怖くて、温度を必要以上に感じないようにしてきた日々。
でももう、遠慮をする必要はない。
天先輩の手に、勇気を出して自分の手をそっと重ねる。
きっとこれで、伝わってくれると信じて。
「可愛く誘っちゃって。いいの? 俺が触っても」
こくり、と小さく頷けば、天先輩の顔が一気に近づく。頭に先輩の手がまわって、そうかと思えば唇に柔らかい感触があった。
キスを、されている。そう理解した時には深いキスになっていて、息が苦しい。それでも、離れたくない気持ちが勝って、ひたすらに受け入れた。
「はぁっ、はぁっ……」
「相変わらず下手だねぇ。鼻で息するんだってば」
「練習できないんだから、仕方ないじゃないですか」
「そうだね。じゃあ今から練習しようか」
先輩がベッドの上を叩く。乗ってこいという意味だと解釈して、足もベッドの上へと乗せた。
全体重をベッドに任せると、とんとお腹を押される。気付いた時には、先輩の顔が横から上へと変化していた。
「苦しくなくなるまで、続けようね」
それからは、キスの雨だった。何度も角度を変えて、キスが降ってくる。ドキドキで頭がパニックになって、どう息をすればいいかなんて全然分からない。せっかく練習に付き合ってくれているのに、先輩が角度を変える合間に息継ぎをすることしか出来なかった。
「ふふ、慣れてなくて可愛い。息も、舌の絡め方も、これから勉強していこうね」
「っ、先輩は……慣れすぎです」
「そんなに経験はないんだけどなぁ。でも、大体のことは人並み以上にできるから」
「ずるい……先輩は、天から与えられすぎですって」
こんな時でもリードしてしまえるのが、カッコよすぎて憎い。予想はしていたけれど、こんなところまで完璧だなんてズルいと思った。
「俺はもう、心臓が限界なのに……」
「俺だって、平気なわけじゃないよ」
上の服を脱ぐように促されて、先輩も同じように自分の服を脱いだ。
先輩の肌と、自分の肌とが密着する。お互いの心臓の音が、ドク、ドクとすごい速さで鼓動をしているのを感じた。
「ほら、変わんない」
あの何事にも心を乱されなさそうな先輩が、ここまで心臓を動かしている。それが嬉しくて、先輩の背中へと腕をまわした。もっと、もっとその音を聞いてたい、そう思って。
「あんまり聞かれると、恥ずかしいんだけど」
「先輩がここまで心音乱れるの、俺にだけなのかなと思ったら嬉しくて」
なんならこのまま寝てしまえそうだ。激しい鼓動は決して安心できるリズムではないけれど、幸せな気持ちを喚起させてくれる。だからずっと聞いてたいと思ったのに、先輩がその邪魔をする。
「俺が我慢の限界だから、もう終わり」
その言葉とともに、足に硬い感触を感じる。それが自分に興奮している証拠なのだと気付いた時、体中の体温がまた一段階上がった。
ついに、ついに先輩と、最後までしてしまうのだと。
「服、全部脱いで。俺も脱ぐから」
普通なら人前で脱ぐなんて恥ずかしくてできないのに、雰囲気に浮かされて手が動く。違和感に目を向ければ、自分のも緩く勃ちあがっていることに気付いた。
再度ベッドに身を任せて、天先輩のことを見つめる。すらりとしつつも筋肉のついた体に、体まで綺麗だなんてと文句にならない文句を口に出さず溢した。
「痛かったら言うんだよ。最初は負担かけちゃうと思うから」
いつの間に準備をしていたのか、ローションを手に取りながら天先輩が言う。自分でもそうだとは思っていたけれど、やっぱり先輩の中でも自分が抱かれる側と決まっていたんだなと知って笑った。
前をいじられながら、後ろにぬるぬるとした感触を感じる。
「指、入れるからね」
「……ヒッ!」
事前に教えてもらっていても、今まで感じたことのないような感覚に驚いた声が出る。イメージのようにすんなりはいかなくて、入り口での攻防戦が続いた。
「力抜いて、大丈夫だから」
「そう言われても、抜き方分かんなっ……」
そう言うと、心なしか前の方の手の動きが早くなった。既に出てしまっている我慢汁をぬりたくられ、亀頭もぐりぐりと刺激される。
「んっ、……待っ、て」
自分でやるのとは全然違って、快感をコントロールすることができない。もう苦しいのに、待ってほしいのに、天先輩は手を止めてくれなかった。
「やだ、あっ!」
「良い感じに力抜けてきてるよ。1回イっちゃおうね」
天先輩は何かを言って、ラストスパートとでもいうように手を動きをさらに早める。
「んっ、あ、や、ああぁぁぁっっ!」
堪えることなんて出来なくて、天先輩の左手を白く汚した。
1度イったことで霞がかった頭が晴れていくと、後ろの感覚が先ほどとはまた変わっていることに気付く。
「指、はいって」
「うん。秋弥が前に気を取られてる隙に、だいぶ進んだよ」
おそらく、第2関節までは確実に入っているんだろう。先ほどは感じなかったナカで指がうねっている感覚が、ありありと感じられた。
「あっ!」
不思議な感覚に浸っていると、ある一点をかすめられたとき反射的に声が出た。
「ここら辺かな」
「そこは、っ、ダメです」
他とは違って、気持ちいい感覚が直接くる。そこばっかり責められたら、頭がおかしくなる自信があった。
「え~。まぁいいや。最後までする前に疲れ果てちゃったら悲しいもんね。指増やすから、痛かったら教えてね」
宣言通り、入り口にまた2本目の指が現れる。体の順応は早いのか、1本の時はもうほとんど痛みを感じなかったのに、指が増える瞬間はまたなかなかキツいものがあった。
「っ、ふぅっ……」
つい息を詰めてしまうほどの圧迫感。それでも俺のナカは受け入れることができたらしく、バラバラと違う方向に動く指を感じられるようになった。
「変な、感じ」
「痛くはない?」
「痛くはない、っけど……」
「ごめんね、まだ早いだろうけどもう1本増やすね。息止めちゃダメだよ」
指が増やされる衝撃に再度耐えれば、「頑張ったね、えらい」と天先輩が褒めてくれる。それが嬉しくて、苦しさも大半がどこかへ飛んで行ってしまった。
ナカを広げるように動いたり、出し入れをされたり……指の動きに翻弄されているうち、自分としても力を抜くのがうまくなってきたことが分かる。
「もう、いいかな」
これまで入っていた指が全て抜かれて、少しだけ寂しい感じがした。それも束の間。熱くて、しかもこれまでとは比べ物にならない硬さの太いものが、入り口で待機する。
「これ、ほんとに、はいるんです……?」
「どうだろ。無理させないといいけどね」
腰を手でグッと掴まれて、天先輩の性器と自分の肌がぴったりとくっつく。めりめりと入り込まれるのは、また指とは違う感覚だった。
「うっ、あ……」
痛いけれど、痛いと言って止めたくない。深呼吸をして、なんとか力を抜いて、先輩のを全部受け入れるんだと体に言い聞かせる。
「あともうちょっとだから……、っ、ごめんね」
「ふ、うぅっ……」
グッと先輩が隙間を埋めて、一段と強い衝撃が起こる。でもそれ以上は苦しくならなくて、どうしたのかと先輩を見上げた。
「ナカ、全部はいったよ。まだ動くのはきついから、このまま」
先輩が繋がりを保ったまま、覆いかぶさってぎゅっと抱きしめてくれる。ぬくもりに安心して、痛みがじんわりと引いていった。こちらからも手をまわせば、2人の間の隙間はほぼゼロになる。それが嬉しくて、痛いと思われそうなほどにまわした腕に力を込めた。
どれだけ、そうしていただろう。先輩が頭をずらして、ひとつキスを降らせた。
それを皮切りに、先輩がゆるゆると動き始める。
「んっ、んんっ」
だいぶナカはほぐれたようで、動かれてもほとんど痛みはない。それどころか、ナカがこすれる感覚が、気持ちいい。
「んぁっ!」
時々、あの指で押された気持ちいいところにあたって、さらに快感が溜まっていく。
「気持ちい?」
コクコクと首を上下させる。先輩もそれを把握しているのか、気持ちいところを責めるように腰を動かされてしまえば、もう余裕なんてなかった。
「あっ、ああっ!」
先輩が奥に押し付けるようにする度に、甘い声が出る。先輩の息もだんだん荒くなってきているのが分かって、そしてさらにナカのものが硬度を増しているのが分かって、それも興奮材料になっていた。
「イきそー、っ」
先輩の、余裕のない低音。声にドキリとして、その後きた衝撃にも体が反応して。
「んぅっ、あ、ああぁあぁっっ!」
「っーー、はぁっ……」
自分がイったと同時に、ナカで熱いものが弾ける感覚。先輩と同じタイミングでイけたのだと分かり、嬉しくなった。
でも思ったよりも体力は消耗していて、2人で脱力し、ベッドの上へと倒れ込む。
あぁ、後始末をしなきゃ。そう頭では思うのに、この人から離れたくない。
胸に溢れたこの愛しさを、なんとかして伝えなきゃと思った。
「先輩。俺……いろいろ過程はありましたけど、今幸せです。天先輩のこと、ほんとに大好きなんです」
「俺も、大好き。秋弥に出会えて、本当に良かった」
また隙間をなくすほどのハグと、息が止まるほどのキス。
お互いの温度が溶け合えば、1人じゃないと分かる。
完璧で孤独で、優しいこの人を、隣でずっと支えていきたいと強く思った。
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