2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ

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22話

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ガチャ……

玄関の扉を開けて、中に入るとその場に崩れ落ちる様に座り込む。墓地から離れた俺はいつの間にか家に帰ってきていた。墓参りの為に買った花束が強く抱き締めすぎたせいか、萎んでいるように見える。

そして、綺麗に咲いている白い花に赤い液体がポタリと落ちる。冷えきった指で鼻を触るとヌルリとした感触がした。そこで、鼻血が出ているとわかった。

「何もかも……タイミングが悪いなぁ…」

自分の体の弱さと運の悪さに自嘲気味に笑う。



暫く座り込んでいると、ブルリと背筋に悪寒が走った。鼻血を抑えるために立ち上がり、リビングまで行くとティッシュを詰め込む。何枚も何枚も使うがティッシュは一瞬で赤く染っていく。予備でもう2箱開ける。空だったゴミ箱が一瞬でいっぱいになる。


(片付けるのが大変だな…)

そう思っていると、ガチャッと玄関の扉が開いた。

「ただいま」

(っ秀次!?……やばいっ、片付けないと)

そう思い慌てて、ゴミ箱の中のティッシュを黒いビニール袋に詰める。この際、手に血が付こうが構うことなく片付ける。

「何してんだ?」

「お、おかえり……!」

何とか間に合った俺は、ハァハァと息を吐いていた。正直、今の心境で秀次には会いたくなかったが気持ちを押し殺して明るく振る舞う。

「仕事終わったの?早いね…。」

時計に目をやると、まだお昼頃だった。秀次は気怠そうにスーツとネクタイを脱ぎ始める。

「今日は取引先から直帰の予定だったんだ。久々に早く帰れたから、これから出掛けてくる。」

「そっか…!気をつけてね。」

「あぁ。」

脱いだスーツをソファに掛けて、私服に着替えると足早に玄関へと向かい出かけて行った。

「…見た事ない洋服きてたな……。」

ボソリと呟く。これから女の人に会いに行くのだろうか。そう考えるだけで胸がツキンと痛む。

「愛されてていいなぁ。」

ソファに置いてある秀次のスーツを手に取ると、皺にならないよう寝室のハンガーに掛ける。

(そういえば、俺もスーツのままだったな…)

部屋着に着替える為に、スーツを脱ぎ始めると身体のあちこちに痣が幾つも出来ていた。

「薬……飲まないと。」

身体の痣を見て第一に浮かんだ答えがそれだった。病院の先生にも毎日忘れず飲むよう言われていたが、症状があった時にだけしか飲んでいなかった。

ベッドにぼすんと後ろから倒れ込む。

(……)

未だに、治療する道を選んだのが正解だったのか分からず頭の中をぐるぐると回る。

あの時病院に駆け込んだのは、死というものに恐怖を感じていた。だから、治療すると先生に言った。

だけど、今は死というものが怖くなくなっている。秀次のあんな場面を見たからだろうか…。

目を瞑ると、いやでもあの光景が蘇ってきて気分が沈む。

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