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23話
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ブーッ ブーッ
ポケットの中から携帯が小さく振動する。
(誰だろう……)
そんなことを思い、携帯画面を開く。伊崎からのメールだった。今の気分では、見る気になれずすぐに携帯をポケットに仕舞う。
「退職願も出さないとな…」
天井をボーッと見つめながらこれからやる事を考える。はぁ…とため息をこぼす。
退職した後は、もうずっと入院生活が続く。完治するとは微塵も思っていないし、生まれつき身体が弱い人間が急性の病気に勝てるはずが無い。
「別れるべきなのかな……」
ふとそんな考えが頭を過ぎる。秀次はもう俺に恋情など無く、愛想をつかしていることくらい認識していた。だが、俺はそんな現実を受け止めたく無くて無視をしていた。その結果が今の浮気に繋がっているのだとしたら、俺はとんだ邪魔者だなとつくづく思う。
精神的に心が沈んでいく感覚がする。もう、何もしたくないな…。
ゴホッ ゴホッ
こっちの精神状態など露知らず、症状が出始める。沈みこんだベッドから上半身だけ起こすと、慣れた手つきで薬を取り出し放り込む。だが、今日の咳はいつもと違かった。手で口元を抑え込むと、血が出てきた。少し塊を含んだ血が出たことに驚き洗面台で手を洗う。やがて、吐血は治まったが咳は依然として続く。
「今日は早く休もう。」
身体を休めるために、ベッドに潜り込む。極力ベッドから出ないよう近くに水とゼリー飲料を置いて横になる。そして、静かに目を瞑る。
━━━━━━━━━━━━━━━
「……っ!」
夢見の悪さに慌てて飛び起きる。そして、静まり返った寝室に一人でいるという現実に引き戻される。
「…ハァハァ。」
少し冷静になった頭で、息を整える。今日も満足に眠れない。ため息をついて頭を抱える。季節は冬だというのに、冷や汗をびっしょりとかいていた。チラリと時計に目をやると、時刻はまだ夜の9時だった。
「……風呂に入ろう。」
ベッドから出ると汗をかいた体は気持ち悪く、逆に身体を冷やしていく。洗面台に行くとすぐに洋服を脱ぎ、シャワーで軽く汗を洗い流す。そして、完全には温まらず上がる。体を拭いている際にチラリと鏡に目をやると、あちこちに痣が出来ていた。どこかにぶつけた記憶もなければ、転んだ記憶もない。むしろ痣を触っても痛くは無いから不思議だ。
顔に目を向ければ、誰が見てもわかるほどの濃ゆい隈。目の下に手を当てる。
「また、伊崎が心配するかも…」
乾いた笑いが零れる。本当は睡眠薬等の薬を頼りたいが、治療のために飲んでいる薬の効果を阻害しないか怖くて飲めそうにない。
そして、再び寝室へ戻り目を瞑るだけの眠りにつく。ただ目を瞑るだけでは時間の流れが遅く感じてしまい、あれこれと考えを巡らせているうちにいつの間にか朝になっていた。
怠い体に鞭を打ち、ベッドから身体を起こすと会社へ行く準備をする。少し早めに、家を出て会社へ着くと挨拶をし自分のデスクに鞄を置く。チラリと部長の席を見ると、既に出社しておりパソコンと睨み合いをしていた。
「部長…。」
俺は部長のデスクの目の前まで行き、話しかける。
「少しお話をしたいことがあるのですが……」
部長はパソコンから目を離し、俺の目を見つめる。
「実は……退職を考えています。」
部長の机に退職願の封筒を差し出す。
「……。」
部長は驚きながらも、退職願の封筒を静かに受け取る。
「場所を少し変えましょうか」
「はい。」
部長が立ち上がり、隣の会議室へと足を運ぶ。俺はその後ろを黙って着いていく。
そして、部長と対面で座った俺はゴクリと唾を飲み込み部長の言葉を待つ。
ポケットの中から携帯が小さく振動する。
(誰だろう……)
そんなことを思い、携帯画面を開く。伊崎からのメールだった。今の気分では、見る気になれずすぐに携帯をポケットに仕舞う。
「退職願も出さないとな…」
天井をボーッと見つめながらこれからやる事を考える。はぁ…とため息をこぼす。
退職した後は、もうずっと入院生活が続く。完治するとは微塵も思っていないし、生まれつき身体が弱い人間が急性の病気に勝てるはずが無い。
「別れるべきなのかな……」
ふとそんな考えが頭を過ぎる。秀次はもう俺に恋情など無く、愛想をつかしていることくらい認識していた。だが、俺はそんな現実を受け止めたく無くて無視をしていた。その結果が今の浮気に繋がっているのだとしたら、俺はとんだ邪魔者だなとつくづく思う。
精神的に心が沈んでいく感覚がする。もう、何もしたくないな…。
ゴホッ ゴホッ
こっちの精神状態など露知らず、症状が出始める。沈みこんだベッドから上半身だけ起こすと、慣れた手つきで薬を取り出し放り込む。だが、今日の咳はいつもと違かった。手で口元を抑え込むと、血が出てきた。少し塊を含んだ血が出たことに驚き洗面台で手を洗う。やがて、吐血は治まったが咳は依然として続く。
「今日は早く休もう。」
身体を休めるために、ベッドに潜り込む。極力ベッドから出ないよう近くに水とゼリー飲料を置いて横になる。そして、静かに目を瞑る。
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「……っ!」
夢見の悪さに慌てて飛び起きる。そして、静まり返った寝室に一人でいるという現実に引き戻される。
「…ハァハァ。」
少し冷静になった頭で、息を整える。今日も満足に眠れない。ため息をついて頭を抱える。季節は冬だというのに、冷や汗をびっしょりとかいていた。チラリと時計に目をやると、時刻はまだ夜の9時だった。
「……風呂に入ろう。」
ベッドから出ると汗をかいた体は気持ち悪く、逆に身体を冷やしていく。洗面台に行くとすぐに洋服を脱ぎ、シャワーで軽く汗を洗い流す。そして、完全には温まらず上がる。体を拭いている際にチラリと鏡に目をやると、あちこちに痣が出来ていた。どこかにぶつけた記憶もなければ、転んだ記憶もない。むしろ痣を触っても痛くは無いから不思議だ。
顔に目を向ければ、誰が見てもわかるほどの濃ゆい隈。目の下に手を当てる。
「また、伊崎が心配するかも…」
乾いた笑いが零れる。本当は睡眠薬等の薬を頼りたいが、治療のために飲んでいる薬の効果を阻害しないか怖くて飲めそうにない。
そして、再び寝室へ戻り目を瞑るだけの眠りにつく。ただ目を瞑るだけでは時間の流れが遅く感じてしまい、あれこれと考えを巡らせているうちにいつの間にか朝になっていた。
怠い体に鞭を打ち、ベッドから身体を起こすと会社へ行く準備をする。少し早めに、家を出て会社へ着くと挨拶をし自分のデスクに鞄を置く。チラリと部長の席を見ると、既に出社しておりパソコンと睨み合いをしていた。
「部長…。」
俺は部長のデスクの目の前まで行き、話しかける。
「少しお話をしたいことがあるのですが……」
部長はパソコンから目を離し、俺の目を見つめる。
「実は……退職を考えています。」
部長の机に退職願の封筒を差し出す。
「……。」
部長は驚きながらも、退職願の封筒を静かに受け取る。
「場所を少し変えましょうか」
「はい。」
部長が立ち上がり、隣の会議室へと足を運ぶ。俺はその後ろを黙って着いていく。
そして、部長と対面で座った俺はゴクリと唾を飲み込み部長の言葉を待つ。
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