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13話
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「あ…」
近くのコンビニにお酒とおつまみを買いに行った帰り道でのこと。突然鼻から何かが垂れる感覚がした。指先で触れてみると、鼻血が出ていた。
「ティッシュも何も買ってないや…」
洋服は生地が薄めの白と黒の長袖長ズボンを着ていた。まだ家までの距離は結構な時間がかかる。走ればいいのだろうが、最近少し走るだけでも息が上がる。
「仕方ないかな…」
真っ白な洋服を見ながら、意を決して袖口で鼻を抑える。真っ白な洋服はすぐに赤く染まる。コンビニの袋を片手に俺は、早く鼻血が止まるよう願いながら家に帰る。
ガチャッ
「すいません、遅れました。」
家の玄関前でようやく止まってくれた鼻血に俺はため息を吐く。そして靴を脱ぎ、リビングで待たせている部長と伊崎の元へ向かう。
「おー!おかえりー……って、どうしたんだ?!」伊崎がこちらを振り向いて返事をした途端、勢いよく俺の方へ向かってくる。
「蓮見さん、何処かで怪我でもしたんですか?」今度は部長が心配そうな顔をこちらに覗かせながら尋ねてくる。
「?…えっと…」どうしたんだろうと思い、袖口を見ると真っ赤な鼻血の痕が広範囲で広がっていた。想像以上の広がりに俺も驚いてしまった。
「腕確認するよ?!」そう言うと、俺の返事を待たずに2人とも長袖の服を二の腕まで捲り上げる。ジロジロと腕を観察する伊崎と部長は「切っては無いな」、「多少赤くなってますが気の所為ですかね?」と話し合っている。
「あ、あの…袖口が赤いのはさっきまで鼻血を拭いてたからなんですよね…」目線を逸らしながら2人に本当の事を告げると、「よかったぁ」等の安堵の声を漏らしていた。
「心配かけてすみません…」心の底から謝ると2人とも「怪我がなくて良かったよ」と優しい言葉をかけてくれる。
「ていうか、鼻血が出たのって何でなの?」伊崎の突然の質問に俺は冷や汗をかきながら「何でだろう…」と分からない振りをした。
「そ、それより…追加でお酒とおつまみを買ってきたんです!飲みませんか…?」先程コンビニで買ってきたお酒を袋から取り出すと伊崎と部長に手渡す。伊崎は「ありがとな、蓮見!」と言ってからカシュッとお酒の蓋を開け、どんどん口の中に流し込む。
部長は、何かを聞きたがっている様子だったが俺は気にしないようにお酒を勧めた。
ここで「実は…病気を患っており、治療をしないと半月で死ぬんです。」とは言えない。言えるような仲ではないし、言ったとしても何かが変わるとは限らない。誰にも言わずに過ごそうと決めたんだ。治療の事も、薬の事も…。
俺は「少し席を外しますね」と言い、自室に行くと薬を取りだしゴクンと飲み込んだ。薬の効果というものは感じられないが、症状が軽くなるなら飲む。
「……着替えよ…」
袖口が汚れた洋服から新しいのに着替えるためクローゼットを開ける。似たような物しか持っていないが、1着1着刺繍が一つひとつ違うので気に入ってはいる。
「よし、これでいいかな…」
左胸あたりに猫の可愛いワンポイントの刺繍が入っている洋服を着る。あまりの着心地の良さに俺は思わずベッドへ倒れ込むが、慌てて起き上がる。そして、鼻の周りを優しく触り、鼻血が出ていないことを確認する。
「何で俺なんだろう…」またベッドへ顔を沈ませた俺はボソリと呟く。
近くのコンビニにお酒とおつまみを買いに行った帰り道でのこと。突然鼻から何かが垂れる感覚がした。指先で触れてみると、鼻血が出ていた。
「ティッシュも何も買ってないや…」
洋服は生地が薄めの白と黒の長袖長ズボンを着ていた。まだ家までの距離は結構な時間がかかる。走ればいいのだろうが、最近少し走るだけでも息が上がる。
「仕方ないかな…」
真っ白な洋服を見ながら、意を決して袖口で鼻を抑える。真っ白な洋服はすぐに赤く染まる。コンビニの袋を片手に俺は、早く鼻血が止まるよう願いながら家に帰る。
ガチャッ
「すいません、遅れました。」
家の玄関前でようやく止まってくれた鼻血に俺はため息を吐く。そして靴を脱ぎ、リビングで待たせている部長と伊崎の元へ向かう。
「おー!おかえりー……って、どうしたんだ?!」伊崎がこちらを振り向いて返事をした途端、勢いよく俺の方へ向かってくる。
「蓮見さん、何処かで怪我でもしたんですか?」今度は部長が心配そうな顔をこちらに覗かせながら尋ねてくる。
「?…えっと…」どうしたんだろうと思い、袖口を見ると真っ赤な鼻血の痕が広範囲で広がっていた。想像以上の広がりに俺も驚いてしまった。
「腕確認するよ?!」そう言うと、俺の返事を待たずに2人とも長袖の服を二の腕まで捲り上げる。ジロジロと腕を観察する伊崎と部長は「切っては無いな」、「多少赤くなってますが気の所為ですかね?」と話し合っている。
「あ、あの…袖口が赤いのはさっきまで鼻血を拭いてたからなんですよね…」目線を逸らしながら2人に本当の事を告げると、「よかったぁ」等の安堵の声を漏らしていた。
「心配かけてすみません…」心の底から謝ると2人とも「怪我がなくて良かったよ」と優しい言葉をかけてくれる。
「ていうか、鼻血が出たのって何でなの?」伊崎の突然の質問に俺は冷や汗をかきながら「何でだろう…」と分からない振りをした。
「そ、それより…追加でお酒とおつまみを買ってきたんです!飲みませんか…?」先程コンビニで買ってきたお酒を袋から取り出すと伊崎と部長に手渡す。伊崎は「ありがとな、蓮見!」と言ってからカシュッとお酒の蓋を開け、どんどん口の中に流し込む。
部長は、何かを聞きたがっている様子だったが俺は気にしないようにお酒を勧めた。
ここで「実は…病気を患っており、治療をしないと半月で死ぬんです。」とは言えない。言えるような仲ではないし、言ったとしても何かが変わるとは限らない。誰にも言わずに過ごそうと決めたんだ。治療の事も、薬の事も…。
俺は「少し席を外しますね」と言い、自室に行くと薬を取りだしゴクンと飲み込んだ。薬の効果というものは感じられないが、症状が軽くなるなら飲む。
「……着替えよ…」
袖口が汚れた洋服から新しいのに着替えるためクローゼットを開ける。似たような物しか持っていないが、1着1着刺繍が一つひとつ違うので気に入ってはいる。
「よし、これでいいかな…」
左胸あたりに猫の可愛いワンポイントの刺繍が入っている洋服を着る。あまりの着心地の良さに俺は思わずベッドへ倒れ込むが、慌てて起き上がる。そして、鼻の周りを優しく触り、鼻血が出ていないことを確認する。
「何で俺なんだろう…」またベッドへ顔を沈ませた俺はボソリと呟く。
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