4 / 66
魔法なんかより弾丸の方がもっと速いことを彼らは知らない2
しおりを挟むピンク色のロング髪に整った目鼻立ち。だけど、どことなく包容力のある顔だ。ひどいことをされかけた人に対してこんなことを思うのはちょっと不謹慎かもしれないが、とても綺麗だ。年齢的には20代後半くらいに見えてしまう。表情も、妙に色っぽい。だけど、この表情はおそらく怖がっていることの裏返しのような気がした。
なので、俺は近くにある毛布を持ってきて、アニエスさんにかけてあげた。
「ありがとうございます……本当に……」
「いいえ、当然のことをしたまでです」
そう返事して、俺は再び立ち上がり、二人の美人姉妹のいるところへと移動する。そして同じようにピストルを二発撃って、手錠を壊した。それから、近くにあった毛布二枚を使って白い肌と大きな膨らみが隠れるようにそれぞれかけてあげた。
「二人とも、怪我はないか?」
「は、はい……」
「大丈夫です……」
姉のアリスは長いピンク色の髪が乱れていることにも気づかず、その青い瞳を潤ませて俺を見つめる。妹のカロルもまた、頬をピンク色に染め、肩までかかるピンク色の髪を揺らし、俺を切なく見つめている。
そんな彼女らに対して俺は頬を緩めて
「よかった!」
「っ!」
「っ!」
そう言って俺は立ち上がった。アリスとカロルはなにやらモジモジしているが、おそらく、この状況に頭が追いついていないだけだろう。
アニエスさんはすでに身だしなみを整えて、立っていた。そんな彼女に気になることを言う。
「あの男たちの口ぶりだと、他にも侵入者たちがいるような……」
「はい……おそらく、屋敷にいる私の使用人たちは、全部、取り押さえられている可能性が高いです。全員女性だから心配で……」
身震いしながらそう語るアニエスさんは視線を逸らす。その横顔は、希望と絶望が混じっているようであった。だとしたら俺が取るべき行動は一つ。
「残りの侵入者たちも処理しますので、安心してください」
「え?」
「それじゃ」
そう言ってから、俺は部屋を出た。気のせいかもしれないが、後ろからとてつもなく強い視線を感じるが、俺が後ろを振り向くことはない。
部屋を出てからは、この広い屋敷を走り回って敵が見えたら銃を撃ち、ひどいことをされかけたメイドたちを助けた。
男たちは凶器で脅したり魔法を使おうとしていたが、そんなのは俺からしてみれば無駄な動きでしかない。
弾丸一発で彼らは制圧される。
「あああああ!!!」
「な、なんなんだ!?あの武器は!?」
「クッソ!童貞卒業する予定だってのに!」
俺に助けられたメイドたちは最初こそ武装状態の俺を見て驚いたが、やがて、お礼を言ってくれた。
一つ不思議なのは、アニエスさんが言った通り、この屋敷にいる使用人たちは全員が女性であること。なので、比較的に力を持っている男たちの前では無力であった。しかし、使用人たちが情報提供をしてくれたおかげで俺は他の侵入者らを簡単に見つけることができ、ほとんどの敵を制圧した。
「あとはここだけか」
と、小声で呟いてから、分厚いドアのある部屋の前に立っている俺。おそらくここは構造上、結構重要な部屋のようだ。他の使用人の話だと、ここにいる使用人全員を取りまとめるメイド長がいるらしい。
「早く金庫の暗証番号を教えろ!」
「黙れ!この命がなくなることがあっても絶対教えません!」
「ははは!てめえみたいなババアなんか、この金庫の暗唱番号を知っていること以外、なんの利用価値もねーよ!早く教えろ!」
「きゃっ!」
こんな不気味な会話を聞きながら、俺は入って、男二人に向かって早速銃を撃った。
パン!パン!
「あああああああああ!」
「痛い!痛い!あああああ!!」
しまいにはスタンガンで彼らを気絶させて、俺はメイド長に話かけた。
「無事ですか?」
「は、はい……」
「ここのメイド長ですよね?」
「そ、そうでございます」
「ここに侵入した人たちは全部制圧しました」
「え、え?」
「この家の所有者と思われるピンク色の髪をしたとても綺麗な一人の女性と娘二人も無事です」
「……よかった……本当に良かった……」
メイド長は倒れ込み、目を潤ませてから安堵のため息をつく。
「もうすぐ、王宮から助けがくるはずです。本当にありがとうございました……本当に……本当に……」
「良かったですね!」
「はい!」
メイド長は涙を流しているが、表情は明るい。
これで、もうこの場において俺の必要性は無くなった。だから取るべき行動は一つだけ
「それじゃ、失礼します」
「え、え?どこに行かれるのですか?!?」
メイド長が驚きつつ問うてくるが、俺は微笑みを浮かべたまま、メイド長を背に、密かにこの屋敷を後にした。
召喚魔法で、武装状態を解除し、顔も綺麗にしていつもの動きやすいジャージ姿になった俺は、街に行くことにした。
322
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる