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獲物は迷い、そして悟る2
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「キャ!タコ焼きとイカ焼きとビールは最高の組み合わせなだ!」
「これは……素晴らしい!前にも言ったが王都で店出したら絶対売れまくると思うぜい!」
「ははは……」
俺は冒険者二人に誘われたので、片付けを終えベンチに座っている。こんなノリは悪くない。ちなみに俺が真ん中だ。
「ところで、どうして誘ってくれましたか?」
と言ってイカ焼きを一口噛んだ。
すると体の細い方の冒険者が口を開く。
「にいさんがいつもと違ったからな」
「違う?」
「俺たちが注文した時もずっと明後日の方向を見てたしよ」
「きょ、今日もきてくれましたか?全然気づきませんでした。すみません」
「なに~俺たちの仲じゃねーか。気にすんな」
「ありがとうございます」
細い体の冒険者が紙コップにあるビールを一気飲みしてぷはっと勢いよく息を吐く。そしたら今度は、ガタイのいい冒険者がトーンダウンした声音でいう。
「この間も浮かない顔してたし、何かあったんじゃないか?」
「それは……」
「まあ、言いたくなければ言わんでいいさ」
「……」
そう言われた俺は手に持っている紙コップにあるビールを少し飲んだ。
「美味しい」
「だろ?俺の大好物でね」
「この世界のお酒は美味しいですね」
「この世界?」
「あ、いいえ。なんでもありません」
「……」
俺が適当にはぐらかすとガタイのいい冒険者が心配そうに俺の顔を見る。
それから、頭を下げて、話し始めた。
「俺らとあんたはなんの繋がりもね。名前も知らないしクラスも知らない。それに年齢だってわからん」
「……」
まあ、言われてみればそうだな。と、思った瞬間、ガタイのいい冒険者が顔を上げて俺にサムズアップした。
「だからこそ、言えることもあるんじゃないの?」
「ああ……」
言われてみれば……
というわけで、俺は個人情報を隠して、ざっくりといった感じで俺の悩みのタネを説明した。
「ふむふむ……要するに、爵位を持ってないにいさんが、貴族の娘と交際するようにと先方から言われたけど、どうすればいいのか、それが知りたいわけか」
「そうです」
冒険者二人は、俺の話を聞いて、スッとベンチから立ち上がる。
そして、
「アホか!」
「アホか!」
「え?」
「にいさんよ!逆玉!逆玉だぞ!こんな千載一遇のチャンス、逃したら一生後悔するぜ!」
「あんた!最近、ずっと冴えない顔しとったから心配してたのに……そんなことで頭悩ませたのか!?」
「い、いや……俺はこの世界のことは……」
「はあ?」
「はあ?」
「いえ、なんでもありません」
俺は二人の勢いに押されて謝ると、二人は鼻息を荒げて俺を睨んできた。だが、やがて何かを思いついたのか、プスッと笑って口を開く。
「まあ、なんだ、にいさんはタコ焼きという実に美味いものを作れる男だ。あと、これは俺の個人的見解にすぎないが、にいさんって、結構強いだろ?」
「そ、それは……」
俺が答えあぐねていると、ガタイのいい男が言葉をかける。
「あんたは、俺が今まで見てきた若造の中でピカイチだ。タコ焼きを売る時の言動といい、オーラといい、きっと理由があるから貴族から交際を申し込まれたんだろうよ」
「……」
「その貴族の娘とやらが、あんたに何を求めているのかをちゃんと把握して、満たしてあげればいいんじゃないかい?」
「……何を求めているのかをちゃんと把握して、満たしてあげる」
「ああ、それならきっと上手くいくさ」
ガタイの大きい冒険者は、俺の背中を軽く叩いてくれた。そしたら、体が細い冒険者がお調子者のように話す。
「お前は、理論だけはパーフェクトだけど、結果が全然伴わないんだよな~ひひひ」
「な、なんだと!?てめえ!!せっかく格好つけようとしてたのによ!」
「うわっこわっ!」
体が細い冒険者は逃げ出す。ガタイの大きい冒険者は「このやろう」とか「ぶっ殺すぞ」とかいいながら追いかけた。顔が怖いから余計迫力あるな。
俺は走り回る二人を見て、
思わず吹いてしまった。
「ぷふっ!」
「?」
「?」
俺が必死に笑いを堪える姿を見て、二人は止まって、キョトンと小首をかしげる。
「いや……申し訳ございません。二人を見て笑ったわけじゃありませんから。ただ……心がスッキリしました。ありがとうございます」
「あ、ああ。元気を取り戻したようで何よだな」
「よかったな。あんた、もしあの貴族の娘と上手くいけば、奢れよ。俺の授業料は高いんだぜ」
「ははは……わかりました。では、俺はこれで失礼します」
と、俺は丁重に頭を下げて、屋台一式を持って宿に向かう。
やっぱり日本も異世界も人間は人間だ。
これからは、この異世界に集中しよう。
そして……体一つしか持ってない俺だが、メディチ家の人たちに集中しよう。
「来週の食事会……楽しみだな」
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