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第16章 買物遠征?
92 買物遠征⑵
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店内用のカゴを持って売り場に入れば、基本的には日本のスーパーマーケットと同じだ。
ただ初見の店だから、どこに何があるかがわからない。
本日購入したいものは、まず必須なのが次の4品目。
○ 小麦粉
○ 粉ゼラチン
○ 紅茶
○ 砂糖
そしてテッテレルの砂糖漬けかジャム、もしくは他の果物っぽいものも必要。
出来れば複数の種類。
ゼリーやういろうに入れるものが欲しいのだ。
ただ、この世界では、被子植物はまだそれほど多くない。
だから果物類がほぼ全滅。
果物っぽい存在は裸子植物の一部だけで、タクハルやヌフコベリーといった比較的小さいものしかない。
しかも高価だ。
スイーツによく使われるテッテレルは、シダの若芽で酸味があるものを、砂糖漬けやシロップ煮にしたもの。
他にスイーツ類に入れて使われる植物由来のものは、芋か豆類。
豆は地球のものの様に鞘に入っているタイプではなく、地球で言うところのソテツに近い植物の実。
スイーツとしてはパルニナ豆を砕いて煎ったものや、エラヌ豆の砂糖煮を使うらしい。
公設市場ではどちらもお高めで、試しに加工済みのパルニナ豆を少量だけ買った程度だけれど。
芋はこの世界では、スイーツによく使われるようだ。
芋クリームなんてものも存在している位だから。
たださつま芋系スイーツがあまり好きではなかった私は、ここでも芋スイーツには手を出していない。
というのはともかく、スイーツ材料の確認だ。
うんうん、卵は10個で28Cとややお安め。
ただしサイズが揃っていない。
10個中2個は明らかに小さめだし、1個は大きいし。
『大きい1個を含む3個は明らかに殻が薄いので、購入する場合は扱いに注意して下さい。新鮮さは変わりませんし、殺菌も一応されていて安全です』
その分安いわけかと納得。
とりあえず卵は必要なので、10個入り1箱購入。
さて、次は精製脂肪のコーナーが近い様だから見ていこう。
今は夏に向けたカロリー調整中だから、基本的に買わないつもりだけれど。
◇◇◇
食料品を一通り見て、更に隣のツエフ商業施設で服や水着も見た結果、私は判断した。
ここまで買い物に来る必要性は薄いと。
卵のように、若干は安い物はある。
しかしその分、品質面で落ちる様だ。
たとえば安い精製脂肪は、ちょっとモツっぽい臭いがして、料理ならともかくスイーツには使いたくない。
チーズ類も、公設市場で売っているブランドのものはむしろ公設市場より高め。
安いものもあったけれど、知識魔法で匂いと味と性質を確認した結果、使わないほうがいいという物がほとんどだ。
小麦粉、ゼラチン粉、紅茶、砂糖とも、公設市場で買った方がいいという結論になってしまった。
そして隣のツエフ商業施設の服については、売り場に入った瞬間に状態を理解した。
ヌローラ商業施設に比べると客の密度が3割以下で、客の年齢層もぐっと上。
タオルとか台拭きとか、敷物とか布団まであるのは便利でいい。
しかし服屋としては、きっとヌローラ商業施設の方がずっと上だ。
少なくとも私の年齢なら。
値段もほとんど同じか、むしろ高めのようだし。
いつも通りの公設市場とヌローラ商業施設の組み合わせが、ここでの正解のような気がする。
ならこの後ペラウ商業施設を回らずに、お高めのライル商業施設を回るほうが正解かもしれない。
ただ後で、やっぱりどうだったのだろうと気になる事態は避けたい。
だから今日は一応、初志貫徹といこう。
橋を渡って南島に戻り、公園の角を左、東方向に曲がる。
以前情報紙を買った本屋や、ニナとケーキを食べたパナケラフの前を通って、更に先へ。
パナケラフから1ブロック過ぎると、左側はコリウ川の堤防、右側は団地っぽい造りの建物となった。
どれも3階建てで。そこそこ大きな窓がついている。
壁そのものは今までもよく見た赤煉瓦色の焼き土。
この辺はペルリアの団地的な場所なのだろうか。
『中流かそれよりやや上くらい、若い公務員や大手の商会の商会員が主に住んでいます。独身または2人暮らしが主体です』
一軒家を借りるほどではないが、比較的お金に余裕がある層の住宅と思っていい様だ。
なんてことを知識魔法で確認しながら歩くと、右側に大きな建物が見えてきた。
場所的にこれがペラウ|商業施設だろう。
ここも煉瓦色の焼土壁で、2階建てだがかなり大きな建物だ。
しかし何か微妙に、今までの建物と壁の感じが違う気がする。
窓も少なく小さいけれど、それ以外に壁そのものが微妙に違う気が……
『施設や官庁等の焼土壁は、格子状のフレームに10cm以上の厚さで土を塗り込み、焼いて仕上げてあります。ここへ来る途中に見た住宅も同じです。ですがここペラウ商業施設の壁は、骨組みの樹木に薄い壁板を張り付け、魔法で土を吹き付けた後、表面だけさっと熱を通して焼いて仕上げる工法です。この方が安価で早く作れますが、壁が薄く耐久性や保温性に欠けます』
つまり今まで見た建物と比べると安物という訳か。
なんてことを思いながら、正面入口へ。
この商業施設は食料も婦人服も両方扱っている。
でもきっと先ほどのヘント商業施設やツエフ商業施設と同じような感じなんだろうな。
それらの商業施設と同様、入口右の壁に貼られている注意書きを見ながら、中へと入る。
ただ初見の店だから、どこに何があるかがわからない。
本日購入したいものは、まず必須なのが次の4品目。
○ 小麦粉
○ 粉ゼラチン
○ 紅茶
○ 砂糖
そしてテッテレルの砂糖漬けかジャム、もしくは他の果物っぽいものも必要。
出来れば複数の種類。
ゼリーやういろうに入れるものが欲しいのだ。
ただ、この世界では、被子植物はまだそれほど多くない。
だから果物類がほぼ全滅。
果物っぽい存在は裸子植物の一部だけで、タクハルやヌフコベリーといった比較的小さいものしかない。
しかも高価だ。
スイーツによく使われるテッテレルは、シダの若芽で酸味があるものを、砂糖漬けやシロップ煮にしたもの。
他にスイーツ類に入れて使われる植物由来のものは、芋か豆類。
豆は地球のものの様に鞘に入っているタイプではなく、地球で言うところのソテツに近い植物の実。
スイーツとしてはパルニナ豆を砕いて煎ったものや、エラヌ豆の砂糖煮を使うらしい。
公設市場ではどちらもお高めで、試しに加工済みのパルニナ豆を少量だけ買った程度だけれど。
芋はこの世界では、スイーツによく使われるようだ。
芋クリームなんてものも存在している位だから。
たださつま芋系スイーツがあまり好きではなかった私は、ここでも芋スイーツには手を出していない。
というのはともかく、スイーツ材料の確認だ。
うんうん、卵は10個で28Cとややお安め。
ただしサイズが揃っていない。
10個中2個は明らかに小さめだし、1個は大きいし。
『大きい1個を含む3個は明らかに殻が薄いので、購入する場合は扱いに注意して下さい。新鮮さは変わりませんし、殺菌も一応されていて安全です』
その分安いわけかと納得。
とりあえず卵は必要なので、10個入り1箱購入。
さて、次は精製脂肪のコーナーが近い様だから見ていこう。
今は夏に向けたカロリー調整中だから、基本的に買わないつもりだけれど。
◇◇◇
食料品を一通り見て、更に隣のツエフ商業施設で服や水着も見た結果、私は判断した。
ここまで買い物に来る必要性は薄いと。
卵のように、若干は安い物はある。
しかしその分、品質面で落ちる様だ。
たとえば安い精製脂肪は、ちょっとモツっぽい臭いがして、料理ならともかくスイーツには使いたくない。
チーズ類も、公設市場で売っているブランドのものはむしろ公設市場より高め。
安いものもあったけれど、知識魔法で匂いと味と性質を確認した結果、使わないほうがいいという物がほとんどだ。
小麦粉、ゼラチン粉、紅茶、砂糖とも、公設市場で買った方がいいという結論になってしまった。
そして隣のツエフ商業施設の服については、売り場に入った瞬間に状態を理解した。
ヌローラ商業施設に比べると客の密度が3割以下で、客の年齢層もぐっと上。
タオルとか台拭きとか、敷物とか布団まであるのは便利でいい。
しかし服屋としては、きっとヌローラ商業施設の方がずっと上だ。
少なくとも私の年齢なら。
値段もほとんど同じか、むしろ高めのようだし。
いつも通りの公設市場とヌローラ商業施設の組み合わせが、ここでの正解のような気がする。
ならこの後ペラウ商業施設を回らずに、お高めのライル商業施設を回るほうが正解かもしれない。
ただ後で、やっぱりどうだったのだろうと気になる事態は避けたい。
だから今日は一応、初志貫徹といこう。
橋を渡って南島に戻り、公園の角を左、東方向に曲がる。
以前情報紙を買った本屋や、ニナとケーキを食べたパナケラフの前を通って、更に先へ。
パナケラフから1ブロック過ぎると、左側はコリウ川の堤防、右側は団地っぽい造りの建物となった。
どれも3階建てで。そこそこ大きな窓がついている。
壁そのものは今までもよく見た赤煉瓦色の焼き土。
この辺はペルリアの団地的な場所なのだろうか。
『中流かそれよりやや上くらい、若い公務員や大手の商会の商会員が主に住んでいます。独身または2人暮らしが主体です』
一軒家を借りるほどではないが、比較的お金に余裕がある層の住宅と思っていい様だ。
なんてことを知識魔法で確認しながら歩くと、右側に大きな建物が見えてきた。
場所的にこれがペラウ|商業施設だろう。
ここも煉瓦色の焼土壁で、2階建てだがかなり大きな建物だ。
しかし何か微妙に、今までの建物と壁の感じが違う気がする。
窓も少なく小さいけれど、それ以外に壁そのものが微妙に違う気が……
『施設や官庁等の焼土壁は、格子状のフレームに10cm以上の厚さで土を塗り込み、焼いて仕上げてあります。ここへ来る途中に見た住宅も同じです。ですがここペラウ商業施設の壁は、骨組みの樹木に薄い壁板を張り付け、魔法で土を吹き付けた後、表面だけさっと熱を通して焼いて仕上げる工法です。この方が安価で早く作れますが、壁が薄く耐久性や保温性に欠けます』
つまり今まで見た建物と比べると安物という訳か。
なんてことを思いながら、正面入口へ。
この商業施設は食料も婦人服も両方扱っている。
でもきっと先ほどのヘント商業施設やツエフ商業施設と同じような感じなんだろうな。
それらの商業施設と同様、入口右の壁に貼られている注意書きを見ながら、中へと入る。
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