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第20章 これも女子会?
115 怖い話
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お茶をしながら、まずはヒナリの独自魔法の設計図を読む。
なお設計図は、フローチャートっぽい感じの図で描かれていた。
そこまで複雑ではないけれど、自分とは違う書き方だとわかりにくい。
ただこの世界には、知識魔法がある。
だから知識魔法に確認してみる。
『この独自魔法の設計図を、私がよく書く形式の設計図に書き直して、紙に出力することは可能?』
『可能です。ただしこの設計図では、無意味な処理と意図不明な関数があります。それらの処理はどうしますか』
おそらくはそれが、うまく動かない原因だろう。
『その処理や関数がわかるように、その部分は太字で出力して』
『わかりました。それでは標準紙を3枚、使用します』
私の前の机上に、3枚の紙が出力された。
「え、てか今ナニしたん?」
「ヒナリの設計図を、知識魔法で私の使っている書き方に書き換えて、出力魔法で紙に出力してみた」
この独自魔法を書いたのはヒナリだから、根本的な設計が私とだいぶ違う。
それでもこの書き方なら、目で流れが追える。
エラーの原因らしい処理と関数に留意しつつ、さっと全体を確認。
なるほど、とりあえず直すべき点を3か所発見した。
無意味な処理とは、そこに飛ぶという記述がされていないから発動しない処理という意味。
意味不明な関数とは、同じ名称の関数を違う場所で違う意味で使っていて、意図しない値が入力されたり出力されたりするという意味か。
ここは実際に直して、動作確認をしたいところ。
しかしここで私が発動させると、この魔法がヒナリの課題として認められなくなることにならないだろうか。
『問題ありません。元の設計をしたのはあくまでヒナリだと認識可能ですから』
よし、それなら実際に書き換えて発動させてみよう。
ペンを魔法収納から取り出し、ささっと修正して、全部に目を通して。
『独自魔法、スケジュール表、発動』
声に出さずそう唱えて、発動させてみる。
さっとカレンダーっぽい画面が頭の中に思い浮かんだ。
書き込みが出来るか、時間設定も可能か、アラームが鳴るか。
どうやら大丈夫、一通りの機能はこれで動くようだ。
そしてこのスケジュール表、なかなか便利そうな気がする。
なら少し改良して、自分でも使ってみよう。
今の書き方だと機能修正しにくいから、少し私の流儀で書き換えて。
ということで動作確認が出来たので、ヒナリの設計図を魔法で複写して、最低限の訂正を書き込む。
「これで動くと思う。要はこの処理に飛ぶ条件式がなかったことと、こことここで同じ名前の関数を使っちゃったことが原因。あとはそのまま動いた」
「マジありがと! でもさ、どうやって見つけたの?」
何故かヒナリではなくケイトから感謝と質問がきた。
「知識魔法に私の書式で書き直してもらった時、『無意味な処理と意図不明な関数があります』と言っていたから、そこを中心に見直しただけ」
「なら知識魔法で確認すればよかったのかな」
「うーん、知識魔法に聞くって手もアリだと思うけど、単に『間違いどこ?』って聞いても無理だったんだよね~」
なるほど。
知識魔法の使い方というか、質問の仕方も重要という訳か。
「じゃあ次はウチの番ね~ 質問していい? 数Ⅲのやつなんだけど~」
◇◇◇
ケイトが引っかかっていたのは事後確率、地球ではいわゆる『モンティ・ホール問題』として知られているもの。
具体的には、こんな感じの問題だ。
① 3つの箱のどれか1個にだけ、当たりと書いた紙が入っている
② 挑戦者は箱を1個選ぶ
③ ゲーム管理者は、残りの箱のうち、景品が入っていない箱を開けて示す
④ 管理者が空の箱ひとつを開けた後、挑戦者は、再度箱を選ぶことが出来る
この④で挑戦者は、①で選んだままの箱を選ぶより、もう一つの箱を選ぶと、当たる確率が2倍になる。
ただ直感的に考えると、④の時点ではどちらの箱も確率2分の1に感じる。
そこに疑問を感じたようだ。
幸いこの問題について、私はどう説明すればいいかを知っている。
高校1年の時の数学の先生のおかげだけれど。
ということで、『全部のパターンを一覧表にする』、『問題を拡張し、箱が100個あって、管理者は③の段階で98個の空箱を開ける例にしてみる』でケイトに説明。
「なるほど~! 感覚的にはまだモヤるけど、理屈はわかったかも。てことで、お礼ついでにどっかで聞いた怖い話しよっか」
「どんな話ですか?」
「ヒナリにもまだ言ってなかったヤツ。チアキが掲示板に書いてた話の続きね」
何だろう。
ケイトは悪そうな笑みを浮かべて、続きを口にする。
「知識魔法で調べると出てくるけど、今、第二施設には68人、第一施設には343人の、合計411人の生徒がいる。で、2月1日の長期課程開始時には、第二施設に定員の半分の40人、第一施設にちょうど定員の400人、合計440人いたわけ。でさ、最初の440人から現在いる411人を引いた残りの29人、どこ行ったと思う?」
知識魔法で確認する。
確かにケイトが言った通り、29人ほどいなくなっていた。
「しかも去年も31人が行方不明になってんの。で、そのとき出たウワサがコレ。
『人格を何度書き換えても駄目な生徒は、寿命は短いけれど命令に絶対服従し、余分なことを考えない汎用人格に書き換えられる。そして人権を無視できる国に高値で売られる』
証拠はないけど、汎用人格が実際に存在して、書き換えると寿命が短くなるのはガチ。知識魔法でも確認できるんだよね」
なお設計図は、フローチャートっぽい感じの図で描かれていた。
そこまで複雑ではないけれど、自分とは違う書き方だとわかりにくい。
ただこの世界には、知識魔法がある。
だから知識魔法に確認してみる。
『この独自魔法の設計図を、私がよく書く形式の設計図に書き直して、紙に出力することは可能?』
『可能です。ただしこの設計図では、無意味な処理と意図不明な関数があります。それらの処理はどうしますか』
おそらくはそれが、うまく動かない原因だろう。
『その処理や関数がわかるように、その部分は太字で出力して』
『わかりました。それでは標準紙を3枚、使用します』
私の前の机上に、3枚の紙が出力された。
「え、てか今ナニしたん?」
「ヒナリの設計図を、知識魔法で私の使っている書き方に書き換えて、出力魔法で紙に出力してみた」
この独自魔法を書いたのはヒナリだから、根本的な設計が私とだいぶ違う。
それでもこの書き方なら、目で流れが追える。
エラーの原因らしい処理と関数に留意しつつ、さっと全体を確認。
なるほど、とりあえず直すべき点を3か所発見した。
無意味な処理とは、そこに飛ぶという記述がされていないから発動しない処理という意味。
意味不明な関数とは、同じ名称の関数を違う場所で違う意味で使っていて、意図しない値が入力されたり出力されたりするという意味か。
ここは実際に直して、動作確認をしたいところ。
しかしここで私が発動させると、この魔法がヒナリの課題として認められなくなることにならないだろうか。
『問題ありません。元の設計をしたのはあくまでヒナリだと認識可能ですから』
よし、それなら実際に書き換えて発動させてみよう。
ペンを魔法収納から取り出し、ささっと修正して、全部に目を通して。
『独自魔法、スケジュール表、発動』
声に出さずそう唱えて、発動させてみる。
さっとカレンダーっぽい画面が頭の中に思い浮かんだ。
書き込みが出来るか、時間設定も可能か、アラームが鳴るか。
どうやら大丈夫、一通りの機能はこれで動くようだ。
そしてこのスケジュール表、なかなか便利そうな気がする。
なら少し改良して、自分でも使ってみよう。
今の書き方だと機能修正しにくいから、少し私の流儀で書き換えて。
ということで動作確認が出来たので、ヒナリの設計図を魔法で複写して、最低限の訂正を書き込む。
「これで動くと思う。要はこの処理に飛ぶ条件式がなかったことと、こことここで同じ名前の関数を使っちゃったことが原因。あとはそのまま動いた」
「マジありがと! でもさ、どうやって見つけたの?」
何故かヒナリではなくケイトから感謝と質問がきた。
「知識魔法に私の書式で書き直してもらった時、『無意味な処理と意図不明な関数があります』と言っていたから、そこを中心に見直しただけ」
「なら知識魔法で確認すればよかったのかな」
「うーん、知識魔法に聞くって手もアリだと思うけど、単に『間違いどこ?』って聞いても無理だったんだよね~」
なるほど。
知識魔法の使い方というか、質問の仕方も重要という訳か。
「じゃあ次はウチの番ね~ 質問していい? 数Ⅲのやつなんだけど~」
◇◇◇
ケイトが引っかかっていたのは事後確率、地球ではいわゆる『モンティ・ホール問題』として知られているもの。
具体的には、こんな感じの問題だ。
① 3つの箱のどれか1個にだけ、当たりと書いた紙が入っている
② 挑戦者は箱を1個選ぶ
③ ゲーム管理者は、残りの箱のうち、景品が入っていない箱を開けて示す
④ 管理者が空の箱ひとつを開けた後、挑戦者は、再度箱を選ぶことが出来る
この④で挑戦者は、①で選んだままの箱を選ぶより、もう一つの箱を選ぶと、当たる確率が2倍になる。
ただ直感的に考えると、④の時点ではどちらの箱も確率2分の1に感じる。
そこに疑問を感じたようだ。
幸いこの問題について、私はどう説明すればいいかを知っている。
高校1年の時の数学の先生のおかげだけれど。
ということで、『全部のパターンを一覧表にする』、『問題を拡張し、箱が100個あって、管理者は③の段階で98個の空箱を開ける例にしてみる』でケイトに説明。
「なるほど~! 感覚的にはまだモヤるけど、理屈はわかったかも。てことで、お礼ついでにどっかで聞いた怖い話しよっか」
「どんな話ですか?」
「ヒナリにもまだ言ってなかったヤツ。チアキが掲示板に書いてた話の続きね」
何だろう。
ケイトは悪そうな笑みを浮かべて、続きを口にする。
「知識魔法で調べると出てくるけど、今、第二施設には68人、第一施設には343人の、合計411人の生徒がいる。で、2月1日の長期課程開始時には、第二施設に定員の半分の40人、第一施設にちょうど定員の400人、合計440人いたわけ。でさ、最初の440人から現在いる411人を引いた残りの29人、どこ行ったと思う?」
知識魔法で確認する。
確かにケイトが言った通り、29人ほどいなくなっていた。
「しかも去年も31人が行方不明になってんの。で、そのとき出たウワサがコレ。
『人格を何度書き換えても駄目な生徒は、寿命は短いけれど命令に絶対服従し、余分なことを考えない汎用人格に書き換えられる。そして人権を無視できる国に高値で売られる』
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