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第4章 二度目の外出
26 『魔法Ⅰ』とは違う内容
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1日あれば、8コマほど科目の学習を進める事が出来る。
そして目標というか楽しみが出来ると、案外テンションが持つものだ。
この場合の馬ニンジンは、『外出して情報紙を買う』と、『科目を進めて特別科目『ペルリア自然観察』を履修出来るようにする』。
ニナから特別科目について聞いた日の夜に『自然科学Ⅰ』を2コマ、翌日に2コマ進めて、確認試験も受けた。
結果は100点満点中90点、2問ミス。
そして予想通り、『ペルリア自然観察』の通知が届いた。
これで目標その1クリア、早速申し込んだ。
そして言語と魔法についても1コマずつ進めておく。
ただし合計2コマではなく3コマ、これは魔法が2科目になったからだ。
『言語Ⅰ』は24コマ終わって、確認試験も終了。やっぱり2箇所、スペルミスをしてしまった。
ただオース標準語、構造的にスペルミスしやすい言語だと思う。
同じ音が連続するとか、母音すら連続していてそこを詰まらせず伸ばさず発音連続でするとか。
そんな難儀な単語が結構多いのだ。
そう心の中で言い訳をしつつ、『言語Ⅰ』は履修終了。評価も取りあえずA評価。
しかし新しい特別科目の通知は無かった。残念だ。
魔法は『魔法Ⅱ』と『独自魔法作成Ⅰ』の両方を1コマずつ進めた。
どちらも『魔法Ⅰ』とは大分学習のやり方が異なる。
『魔法Ⅰ』は、ただ呪文の名称と効果を覚えるだけだった。
しかし例えば『魔法Ⅱ』の場合は、あれこれ理屈が多くなる。
まず最初は魔力についての説明だ。
『魔力とは一般に、魔法を実現する為に、マイクロマシンで使用するエネルギー量のことです。また『○○さんは魔力が大きい』という文章は『○○さんは魔法に使用することを許可されているエネルギー量が多い』という意味です』
ファンタジーとしては現実的過ぎて残念な気がする。
ただ残念なことに、21世紀の日本人だった私にとっては、一般的なファンタジーよりも理解しやすい。
そんな『魔法Ⅱ』で今回学習した内容を私なりにまとめてみると、こんな感じだ。
まず魔力の定義というか、『魔力とはこんなものです』という内容。
① 各個人の魔力とは、『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』を意味する。
エネルギー量は、情報伝達・解析型の魔素が、後述する要因から自動的に算出する
② この『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』は、単位時間あたりの最大値で規定されている。
なおオーフ時間の1時間、8時間、24時間で、それぞれ上限が設定されている
③ 直近の単位時間内に積算されたエネルギー量が、定められた値を超えた場合、魔法は使用出来なくなる
これが俗に『魔力切れ』『魔力が無くなった』と呼ばれる状態
④ 魔力が時間経過で回復するというのは、『直近の単位時間内に積算されたエネルギー量が、定められた値より下回った』結果
そしてこの魔力こと『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』を増減させる要因について。
⑤ 周辺に存在する魔素の濃度と総量
⑥ 魔素に対して、魔法を伝達する能力の習熟度
⑦ 魔法及び魔素に対する知識
⑧ 魔法で魔素を使用した経験
⑨ その他魔法そのものに関する特殊な知識や本人の特殊な役割
そして同じ魔力で、より効率的に魔法を使用する方法。
⑩ 魔法の対象、及び効果を具体的かつ明確に意識すること
⑪ 魔素をどう働かせるかを、正しい知識で具体的に認識すること
この⑩と⑪を風呂を沸かす魔法で考えると、こんな感じだ。
ⅰ ただ『風呂を沸かせ!』と魔法を起動する
ⅱ 次の様に具体的にイメージする
ⅱ-1 この浴槽に物質貯蔵型の魔素によって、200リットルの水を入れる
ⅱ-2 エネルギー操作型の魔素によって、浴槽内の水200リットルに対して、摂氏40.5度になるよう熱エネルギーを与える
この場合、ⅰで必要な魔力を100とすると、ⅱで必要な魔力は30程度。
なんと魔力を7割も節約出来る訳だ。
ただそうなると、ちょっと悔しいというか残念な事があったかもしれない。
今まで魔力を増やす為、風呂沸かしと洗濯を魔法でやっていた。
そうやって魔法を使うとき、『何をどうする』を具体的に考えるようにしていた。
何となくだけれど、具体的に魔法をどう使うか認識した方がいいような気がしたから。
しかし『魔力を使いまくって魔力を上げる』為には、もっと大雑把に魔法を使う方が正解だったのかもしれない。
『出水魔法と熱操作魔法で、風呂よ沸け!』くらいに大雑把に。
その方が魔力を消費するから、魔力を上げる効果は高かっただろう。
そう思ったところで、知識魔法が起動した。
『漫然と魔法を使用するより、対象や効果を意識して使用する方が、魔法を伝達する能力の習熟度を上げる効果が高くなります。
漫然と魔法を使用した方が使用魔力が大きい分、使用経験は多く計算されますが、相対的に見ると魔法を伝達する能力の習熟度を上げる方が、魔力を上げる為には有効です。
また対象や効果を意識して魔法を使用すると、魔素に対する親和度も上がります。これも魔法の効果を上げる要因となります』
なるほど。つまり私の魔力上げの方法は、むしろ正しかったと。
なら、これからも魔法を使用する時は、出来るだけ魔法の対象、効果、そして魔素の働きを意識するようにしよう。
◇◇◇
『独自魔法作成Ⅰ』は『魔法Ⅱ』とはまた毛色が異なった感じ。
内容的には『魔法Ⅰ』や『魔法Ⅱ』より、小6の夏休みに受けたコンピュータ言語の勉強会に似ている。
あの時はスクラッチという言語を使ったけれど、ここでは紙と鉛筆を使う。
もちろんタブレットはあるけれど、これでブロックパレットを操作する訳ではない。
魔法の動作をノート等の紙に文字や記号で書いて、読み上げる事でイメージして、独自魔法として起動するという形だ。
初回はそうして独自魔法を起動するところまで。
もちろん最初から独自魔法を考える知識はない。
だから、
① 画面の説明を読んで
② 画面に表示されている例文をその通りノートに書いて
③ 読み上げる事で独自魔法として認識させ、起動する。
という手順で実施した。
そうやって最初に作ったのは、壁に光で『ハルトン ノント!』と表示する魔法。
この独自魔法は練習用で、実用性はないだろう。
それでも自分で独自魔法を起動出来たと思うと、何か達成感がある。
ただこの例文、日本時代にどこかで見たような気がするのだ。
これって私の気のせいだろうか。
そして目標というか楽しみが出来ると、案外テンションが持つものだ。
この場合の馬ニンジンは、『外出して情報紙を買う』と、『科目を進めて特別科目『ペルリア自然観察』を履修出来るようにする』。
ニナから特別科目について聞いた日の夜に『自然科学Ⅰ』を2コマ、翌日に2コマ進めて、確認試験も受けた。
結果は100点満点中90点、2問ミス。
そして予想通り、『ペルリア自然観察』の通知が届いた。
これで目標その1クリア、早速申し込んだ。
そして言語と魔法についても1コマずつ進めておく。
ただし合計2コマではなく3コマ、これは魔法が2科目になったからだ。
『言語Ⅰ』は24コマ終わって、確認試験も終了。やっぱり2箇所、スペルミスをしてしまった。
ただオース標準語、構造的にスペルミスしやすい言語だと思う。
同じ音が連続するとか、母音すら連続していてそこを詰まらせず伸ばさず発音連続でするとか。
そんな難儀な単語が結構多いのだ。
そう心の中で言い訳をしつつ、『言語Ⅰ』は履修終了。評価も取りあえずA評価。
しかし新しい特別科目の通知は無かった。残念だ。
魔法は『魔法Ⅱ』と『独自魔法作成Ⅰ』の両方を1コマずつ進めた。
どちらも『魔法Ⅰ』とは大分学習のやり方が異なる。
『魔法Ⅰ』は、ただ呪文の名称と効果を覚えるだけだった。
しかし例えば『魔法Ⅱ』の場合は、あれこれ理屈が多くなる。
まず最初は魔力についての説明だ。
『魔力とは一般に、魔法を実現する為に、マイクロマシンで使用するエネルギー量のことです。また『○○さんは魔力が大きい』という文章は『○○さんは魔法に使用することを許可されているエネルギー量が多い』という意味です』
ファンタジーとしては現実的過ぎて残念な気がする。
ただ残念なことに、21世紀の日本人だった私にとっては、一般的なファンタジーよりも理解しやすい。
そんな『魔法Ⅱ』で今回学習した内容を私なりにまとめてみると、こんな感じだ。
まず魔力の定義というか、『魔力とはこんなものです』という内容。
① 各個人の魔力とは、『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』を意味する。
エネルギー量は、情報伝達・解析型の魔素が、後述する要因から自動的に算出する
② この『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』は、単位時間あたりの最大値で規定されている。
なおオーフ時間の1時間、8時間、24時間で、それぞれ上限が設定されている
③ 直近の単位時間内に積算されたエネルギー量が、定められた値を超えた場合、魔法は使用出来なくなる
これが俗に『魔力切れ』『魔力が無くなった』と呼ばれる状態
④ 魔力が時間経過で回復するというのは、『直近の単位時間内に積算されたエネルギー量が、定められた値より下回った』結果
そしてこの魔力こと『魔法に使用することを許可されているエネルギー量』を増減させる要因について。
⑤ 周辺に存在する魔素の濃度と総量
⑥ 魔素に対して、魔法を伝達する能力の習熟度
⑦ 魔法及び魔素に対する知識
⑧ 魔法で魔素を使用した経験
⑨ その他魔法そのものに関する特殊な知識や本人の特殊な役割
そして同じ魔力で、より効率的に魔法を使用する方法。
⑩ 魔法の対象、及び効果を具体的かつ明確に意識すること
⑪ 魔素をどう働かせるかを、正しい知識で具体的に認識すること
この⑩と⑪を風呂を沸かす魔法で考えると、こんな感じだ。
ⅰ ただ『風呂を沸かせ!』と魔法を起動する
ⅱ 次の様に具体的にイメージする
ⅱ-1 この浴槽に物質貯蔵型の魔素によって、200リットルの水を入れる
ⅱ-2 エネルギー操作型の魔素によって、浴槽内の水200リットルに対して、摂氏40.5度になるよう熱エネルギーを与える
この場合、ⅰで必要な魔力を100とすると、ⅱで必要な魔力は30程度。
なんと魔力を7割も節約出来る訳だ。
ただそうなると、ちょっと悔しいというか残念な事があったかもしれない。
今まで魔力を増やす為、風呂沸かしと洗濯を魔法でやっていた。
そうやって魔法を使うとき、『何をどうする』を具体的に考えるようにしていた。
何となくだけれど、具体的に魔法をどう使うか認識した方がいいような気がしたから。
しかし『魔力を使いまくって魔力を上げる』為には、もっと大雑把に魔法を使う方が正解だったのかもしれない。
『出水魔法と熱操作魔法で、風呂よ沸け!』くらいに大雑把に。
その方が魔力を消費するから、魔力を上げる効果は高かっただろう。
そう思ったところで、知識魔法が起動した。
『漫然と魔法を使用するより、対象や効果を意識して使用する方が、魔法を伝達する能力の習熟度を上げる効果が高くなります。
漫然と魔法を使用した方が使用魔力が大きい分、使用経験は多く計算されますが、相対的に見ると魔法を伝達する能力の習熟度を上げる方が、魔力を上げる為には有効です。
また対象や効果を意識して魔法を使用すると、魔素に対する親和度も上がります。これも魔法の効果を上げる要因となります』
なるほど。つまり私の魔力上げの方法は、むしろ正しかったと。
なら、これからも魔法を使用する時は、出来るだけ魔法の対象、効果、そして魔素の働きを意識するようにしよう。
◇◇◇
『独自魔法作成Ⅰ』は『魔法Ⅱ』とはまた毛色が異なった感じ。
内容的には『魔法Ⅰ』や『魔法Ⅱ』より、小6の夏休みに受けたコンピュータ言語の勉強会に似ている。
あの時はスクラッチという言語を使ったけれど、ここでは紙と鉛筆を使う。
もちろんタブレットはあるけれど、これでブロックパレットを操作する訳ではない。
魔法の動作をノート等の紙に文字や記号で書いて、読み上げる事でイメージして、独自魔法として起動するという形だ。
初回はそうして独自魔法を起動するところまで。
もちろん最初から独自魔法を考える知識はない。
だから、
① 画面の説明を読んで
② 画面に表示されている例文をその通りノートに書いて
③ 読み上げる事で独自魔法として認識させ、起動する。
という手順で実施した。
そうやって最初に作ったのは、壁に光で『ハルトン ノント!』と表示する魔法。
この独自魔法は練習用で、実用性はないだろう。
それでも自分で独自魔法を起動出来たと思うと、何か達成感がある。
ただこの例文、日本時代にどこかで見たような気がするのだ。
これって私の気のせいだろうか。
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