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第6章 変化の予感 (2)
39 ついに合流
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門を出たところでニナと合流。
そこから南、街とは逆の方へと向かって、真っ直ぐで長い坂を上る。
左側に自転車が何十台も停まっている駐輪場と、平べったい建物が見えてきた。
「此処の利用者のほとんどは、自転車で来る人なのですね」
ニナの言葉に私は頷く。
「だね。遠方から来る輸送業者の休憩所として使っているみたい」
自転車の出入りに注意しながら駐輪場脇を通り、建物内へ。
中は作り付けのテーブルと椅子が並んでいて、入口と反対側の端にカウンターだけの店が3軒。
小さめのフードコートといった造りだ。
広さは施設の食堂の3倍くらいだろうか。
半分以上のテーブルが何らかの形で埋まっている。
人々の年齢層は様々で、私達より少し上くらいから地球の年齢で50代後半くらいまで。
男女比はほぼ半々、人種もアジア系とヨーロッパ系と様々な感じだ。
そういえば街でも黒人系の人種は見ないけれど、何か理由があるのだろうか。
『これまで移民を集めた地域のほとんどには、黒人は僅かな数しか居住していませんでした。その結果、惑星オーフには黒人はいません』
人種差別的な問題では無かった様だ。
ちょっとだけ安心。
自転車で長距離走る為か、ここにいる人のほとんどの服装は長ズボンにウィンドブレーカー風の長袖上着。
それ以外の服装の人がいれば結構目立つ。
だからアキトやカタリナがいればすぐわかると思うのだけれど、見当たらない。
時間もやや早いし、まだ来ていないのだろう。
「テーブルを確保して待っていましょうか」
「そうだね」
念のために知識魔法で確認してみる。
『テーブルや椅子は自由に使用可能です。食事等を頼む必要はありません』
なら遠慮なくということで、空いているテーブルを物色。
ちょうど窓際に空いているテーブルがあった。
「ゴミなども置いていないし、此処でいいよね」
「外が見えますし、ちょうどいい場所だと思います」
さて、それでは2人が来るまでの間、ここの中の様子を見てみよう。
掲示板を見るために覚えた偵察魔法だけれど、当然掲示板以外についても見る事が出来る。
なので魔法を起動して、視点を売店のカウンターの方へと移動。
何を売っているのかを確認する。
一番右端はパンとサンドイッチの店だ。
分厚く切ったパンにたっぷりバターを塗ったものとか、それよりは薄切りだけれど1個で充分お腹いっぱいになりそうな大きく具だくさんのサンドイッチとか。
値段は案外安く、1個20Cから50C程度。
中央はドリンク専門店で、ビールの大ジョッキサイズの陶器のコップにドリンクを入れて売っている。
種類は紅茶、キーンヌカハイター、ハインハイター、黒ハイター。糖蜜&テッテレルと書いてある。
どれも1杯10Cと、かなりお安め。
左側は揚げ物の店で、揚げているのは芋、魚、チキン。
芋が10Cで、魚やチキンは20C。
芋と魚、あるいは芋とチキンのセットは25Cとちょっとだけ安め。
ソースは塩&ハーブか、甘酢かを選べる模様。
ドリンクで一番売れているのは黒ハイター。
組み合わされている食べ物は芋&チキンセットが最多で、次に多いのはバタートースト。
カヘイのパンケーキ&ドリンクのセットよりずっと安く一食分を食べられる。
なかなかコストパフォーマンスがいいな、ここは。
「チアキは何かしているのですか?」
「魔法で此処のお店のメニューを見てる。甘い物は無いけれど、ボリュームがあって安いよ」
「知識魔法で調べるのではなく、魔法で見ているのでしょうか」
「偵察魔法で視点をお店の前に飛ばして、料理を見ている」
「偵察魔法……なるほど、便利な魔法があるんですね。やってみます」
どうやらニナは偵察魔法を知らなかった模様だ。
ならどうやって掲示板を見ているのだろう。
何か他に使える魔法があるのだろうか。
そう思ったところで、見覚えがある姿が中に入って来た。
私達と同じ、ワンピース風下着に緑色の上着が2名。
アキトとカタリナだ。
偶然だろうか。それとも私とニナのように連絡をとりあっていたのだろうか。
そんな事を思いつつ、こちらに気付くように手を上げて振ってみせる。
気付いたようだ。
こっちを振り向いて、そしてやってきた。
カタリナがニナの隣、アキトが私の隣に座る。
男子が横に座るなんて、日本時代もまず無かったしドキドキだ。
ただしあの施設の生徒は見た目より実年齢が上で、元は大人という可能性が高い。
だから何事もない様に、少なくとも見た目の変化は無いように意識して。
「場所を確保しておいてくれてありがとう」
「いえ、こうやって会う機会が出来て良かったです」
アキトに対するニナの返答に、そのとおりだなと私も思う。
会う機会はほとんど無かったし、運動場で姿を見かけたらと思っても全然見なかったし。
「私とチアキは一緒に来たのですけれど、そちらも一緒に来たのですか」
「施設を出たのがほぼ同時でした。お互い隠蔽魔法を使っていたので、門の外で魔法を解除するまで気付きませんでした」
此処は施設から近いから、そういうことはあるだろう。
あとアキトの言葉も知識魔法で翻訳すると、ニナと同じような感じになってしまう。
向こうも知識魔法で翻訳して話しているだろうから仕方ない。
「それでは早速ですけれど、情報交換をしましょう。僕が特別科目で出したのは、前回の『ペルリア共和国生活実習』の他に、明日の『ペルリア自然観察』、実習ではないけれど『独自魔法作成Ⅰ』と『独自魔法作成Ⅱ』です。
今までは10日間隔で特別実習が出てきました。だから次も10日後に実習系の特別科目が出るかもしれません。ただ次は日程的に一斉試験と重なるので、無い可能性が高い気がします」
言われてみると前回の実習は10日で、明日は20日。
確かに10日間隔だ。
「あと『魔法Ⅰ』と『魔法Ⅱ』で載っていない魔法で使用しているのは、隠蔽魔法と偵察魔法、変装魔法です」
変装魔法というのは初めて聞いた。
早速知識魔法で確認してみる。
『自分を見た瞬間の相手の知覚に作用して、実際と別の姿を認識させる魔法です。簡単に変化させられるのは髪の色、肌の色、目の色等です。顔の形などを変える事も可能ですが、相手に認識させる詳細なモデルを構築する必要があるので、難易度が高くなります』
これを使えばニナに対するつきまといを無くすことが出来そうだ。
いい魔法を聞いたなと思う。
あと秘話魔法が話に出てこなかった。
これは私かニナかが言えばいいだろう。
でもアキトの次に話すとすれば、場所的には横に座っている私だろうか。
なら言うべき事は……
そこから南、街とは逆の方へと向かって、真っ直ぐで長い坂を上る。
左側に自転車が何十台も停まっている駐輪場と、平べったい建物が見えてきた。
「此処の利用者のほとんどは、自転車で来る人なのですね」
ニナの言葉に私は頷く。
「だね。遠方から来る輸送業者の休憩所として使っているみたい」
自転車の出入りに注意しながら駐輪場脇を通り、建物内へ。
中は作り付けのテーブルと椅子が並んでいて、入口と反対側の端にカウンターだけの店が3軒。
小さめのフードコートといった造りだ。
広さは施設の食堂の3倍くらいだろうか。
半分以上のテーブルが何らかの形で埋まっている。
人々の年齢層は様々で、私達より少し上くらいから地球の年齢で50代後半くらいまで。
男女比はほぼ半々、人種もアジア系とヨーロッパ系と様々な感じだ。
そういえば街でも黒人系の人種は見ないけれど、何か理由があるのだろうか。
『これまで移民を集めた地域のほとんどには、黒人は僅かな数しか居住していませんでした。その結果、惑星オーフには黒人はいません』
人種差別的な問題では無かった様だ。
ちょっとだけ安心。
自転車で長距離走る為か、ここにいる人のほとんどの服装は長ズボンにウィンドブレーカー風の長袖上着。
それ以外の服装の人がいれば結構目立つ。
だからアキトやカタリナがいればすぐわかると思うのだけれど、見当たらない。
時間もやや早いし、まだ来ていないのだろう。
「テーブルを確保して待っていましょうか」
「そうだね」
念のために知識魔法で確認してみる。
『テーブルや椅子は自由に使用可能です。食事等を頼む必要はありません』
なら遠慮なくということで、空いているテーブルを物色。
ちょうど窓際に空いているテーブルがあった。
「ゴミなども置いていないし、此処でいいよね」
「外が見えますし、ちょうどいい場所だと思います」
さて、それでは2人が来るまでの間、ここの中の様子を見てみよう。
掲示板を見るために覚えた偵察魔法だけれど、当然掲示板以外についても見る事が出来る。
なので魔法を起動して、視点を売店のカウンターの方へと移動。
何を売っているのかを確認する。
一番右端はパンとサンドイッチの店だ。
分厚く切ったパンにたっぷりバターを塗ったものとか、それよりは薄切りだけれど1個で充分お腹いっぱいになりそうな大きく具だくさんのサンドイッチとか。
値段は案外安く、1個20Cから50C程度。
中央はドリンク専門店で、ビールの大ジョッキサイズの陶器のコップにドリンクを入れて売っている。
種類は紅茶、キーンヌカハイター、ハインハイター、黒ハイター。糖蜜&テッテレルと書いてある。
どれも1杯10Cと、かなりお安め。
左側は揚げ物の店で、揚げているのは芋、魚、チキン。
芋が10Cで、魚やチキンは20C。
芋と魚、あるいは芋とチキンのセットは25Cとちょっとだけ安め。
ソースは塩&ハーブか、甘酢かを選べる模様。
ドリンクで一番売れているのは黒ハイター。
組み合わされている食べ物は芋&チキンセットが最多で、次に多いのはバタートースト。
カヘイのパンケーキ&ドリンクのセットよりずっと安く一食分を食べられる。
なかなかコストパフォーマンスがいいな、ここは。
「チアキは何かしているのですか?」
「魔法で此処のお店のメニューを見てる。甘い物は無いけれど、ボリュームがあって安いよ」
「知識魔法で調べるのではなく、魔法で見ているのでしょうか」
「偵察魔法で視点をお店の前に飛ばして、料理を見ている」
「偵察魔法……なるほど、便利な魔法があるんですね。やってみます」
どうやらニナは偵察魔法を知らなかった模様だ。
ならどうやって掲示板を見ているのだろう。
何か他に使える魔法があるのだろうか。
そう思ったところで、見覚えがある姿が中に入って来た。
私達と同じ、ワンピース風下着に緑色の上着が2名。
アキトとカタリナだ。
偶然だろうか。それとも私とニナのように連絡をとりあっていたのだろうか。
そんな事を思いつつ、こちらに気付くように手を上げて振ってみせる。
気付いたようだ。
こっちを振り向いて、そしてやってきた。
カタリナがニナの隣、アキトが私の隣に座る。
男子が横に座るなんて、日本時代もまず無かったしドキドキだ。
ただしあの施設の生徒は見た目より実年齢が上で、元は大人という可能性が高い。
だから何事もない様に、少なくとも見た目の変化は無いように意識して。
「場所を確保しておいてくれてありがとう」
「いえ、こうやって会う機会が出来て良かったです」
アキトに対するニナの返答に、そのとおりだなと私も思う。
会う機会はほとんど無かったし、運動場で姿を見かけたらと思っても全然見なかったし。
「私とチアキは一緒に来たのですけれど、そちらも一緒に来たのですか」
「施設を出たのがほぼ同時でした。お互い隠蔽魔法を使っていたので、門の外で魔法を解除するまで気付きませんでした」
此処は施設から近いから、そういうことはあるだろう。
あとアキトの言葉も知識魔法で翻訳すると、ニナと同じような感じになってしまう。
向こうも知識魔法で翻訳して話しているだろうから仕方ない。
「それでは早速ですけれど、情報交換をしましょう。僕が特別科目で出したのは、前回の『ペルリア共和国生活実習』の他に、明日の『ペルリア自然観察』、実習ではないけれど『独自魔法作成Ⅰ』と『独自魔法作成Ⅱ』です。
今までは10日間隔で特別実習が出てきました。だから次も10日後に実習系の特別科目が出るかもしれません。ただ次は日程的に一斉試験と重なるので、無い可能性が高い気がします」
言われてみると前回の実習は10日で、明日は20日。
確かに10日間隔だ。
「あと『魔法Ⅰ』と『魔法Ⅱ』で載っていない魔法で使用しているのは、隠蔽魔法と偵察魔法、変装魔法です」
変装魔法というのは初めて聞いた。
早速知識魔法で確認してみる。
『自分を見た瞬間の相手の知覚に作用して、実際と別の姿を認識させる魔法です。簡単に変化させられるのは髪の色、肌の色、目の色等です。顔の形などを変える事も可能ですが、相手に認識させる詳細なモデルを構築する必要があるので、難易度が高くなります』
これを使えばニナに対するつきまといを無くすことが出来そうだ。
いい魔法を聞いたなと思う。
あと秘話魔法が話に出てこなかった。
これは私かニナかが言えばいいだろう。
でもアキトの次に話すとすれば、場所的には横に座っている私だろうか。
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