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第8章 選択肢
50 引っ越し
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そんな訳で『この事案を捜査した結果判明した事項』を選んで読み始めようとしたところで。
タブレットの画面が切り替わると同時に通知音が鳴った。
夕食配給の時間だ。
上着を羽織り、隠蔽魔法を起動して、偵察魔法で廊下の外に誰もいない事を確認して廊下へ。
階段を降りて渡り廊下を渡り、隠蔽魔法を解除して共用棟へと入る。
食堂で並ぶ列はいつもとあまり変わらない。
しかし食堂内でたむろっている人数は明らかに減っている。
話し声もいつもと比べてずっと小さめ。
ひそひそという感じで仲間内で話しているだけ。
最低でも3名はこの施設を去り、6名が自室謹慎となっている。
掲示板では10人程に対して『連絡下さい』という書き込みがあった。
そして食堂に常駐していたゾンビは、英語フランス語中国語日本語あわせて最大20人くらい。
だから駄弁っていた連中が減っているのは当然だろう。
危機感を覚えて学習を始めずここに残っているのが、私には理解出来ない位だ。
案外ここで学習を進めているつもりなのかもしれないけれど。
そんな事を考えつつ並ぼうとしたところで、いつも通りニナがやってきた。
何か機嫌が良さそうだ。
「何かありましたか?」
ニナを取り囲んだ連中が処分されたからだろうか。
そう思いつつ聞いてみる。
「後で話します。また今日も私の部屋で一緒に話していいでしょうか」
朝早くから『ポアノン自然観察実習』があったので、まだ1科目も進めていない。
『言語Ⅱ』と『魔法Ⅱ』は出来れば毎日進めたいところだ。
でも私の学習進度は、アキトには負けるけれどカタリナやニナより進んでいる。
それにニナの部屋に寄ってもロスは1時間かからない程度。
自分の食事時間を引くとせいぜい30分といったところ。
寄ったところで問題はない。そう考えるのが普通だし正しい気がする。
今日何処を回ったとか、フンテト君可愛いよねなんて話もしたいし。
「大丈夫だよ」
「なら後で案内します」
あと今日は、ニナに寄ってくる奴がいない。
いつもならとっくに、あのフランス語を話す男子が寄ってきている頃なのだけれど。
施設移動か自室謹慎になったのだろうか。
その後にやってくる女子2人組は、いつものテーブルにいる。
男子2人組は見当たらない。
女子3人組はテーブルにいるけれど、1人少なく2人組。
更に言うと、日本語を話す男子1女子2の組も消えた。
時々私に言い寄ってくる母国語が中国語の男子も。
誰が第一施設送りになって、誰が自室謹慎なのかはわからないし、正直知りたいとも思わない。
あ、でも自室謹慎の場合、食事はどうするのだろう。
『自室に届くようになっています。食べ終わった後に自室内の入口扉付近に箱ごと置いておけば、魔法で自動回収される仕組みです』
これはこれで至れり尽くせりという感じがする。
一気に学習を進めたい時には便利かもしれない。
でも運動の単位が足りなくなりそうだ。
『謹慎期間中は、3日に1単位時間ずつ、19時から19時50分まで実施予定です。なお移動と運動以外の事は出来ない様、魔法で行動制限をしています。ですから他の生徒との会話は出来ません』
運動の単位は、3日に1単位時間が基準だと判明した。
今の私の基準と同じだ。
なんて事を考えている内に列が進み、私が受け取る番になった。
「こんにちは。大盛りでお願いします」
忘れずに今日は大盛を確保して収納。
今回は朝の食事を受け取らなかったので、下膳口に返す箱はない。
そのまま食堂を出て、渡り廊下手前でニナを待って、一緒に歩き始める。
「今日は誘いに来なかったね」
「各グループの中心人物が処分されたか、このままではまずいと悟ったのでしょう。処分を受けた全員が食堂にたむろしていた者とは限りません。ですが過半はそうだったのではないかと思います」
「きっとそうだね。少なくとも外出帰りの生徒を取り囲んでた奴のうち2人は第一施設に移送されたみたいだし」
取り囲まれたのはニナだ。用心のため言わないけれど。
渡り廊下を通り、女子寮に入ったところで、ニナの髪が金髪から黒髪へと変化した。
変装魔法を使ったようだ。
「姿を消して声を出さずについてきて下さい」
ニナの言うとおり、私は隠蔽魔法を起動する。
そして階段を……あれ?
いつもは2階まで上がった後に廊下に出て、ニナの部屋に向かう。
しかし今日は階段を更に上へ。
私の部屋へ行くつもりだろうか。
でも声を出さずと言っていたので、取りあえずそのままニナの後をついて3階へ。
ニナは3階で廊下に出てすぐ、私の部屋の隣の扉の鍵を開けて中へと入った。
誰の部屋だろう。
そう思いつつ、私も中へ続いて入る。
中へ入って扉を閉めて、そしてニナの髪が元の金髪に戻った。
「秘話魔法をかけました。もう話しても大丈夫です」
私は隠蔽魔法を解除して、ニナに尋ねる。
「ここって誰の部屋?」
「今日から私の部屋です。今までの部屋は会いたくない人が来る事があるので、部屋を変えて欲しいと希望を出していました。そして自然公園から帰って報告した際、部屋が空いて引っ越し出来るという話を聞いたので、早速引っ越しました。収納魔法が使えるので引っ越しは簡単でした」
でも空いたという事は、第1施設に移動した3人のうちの誰かの部屋だよな。
ならその友人とか知り合いとかが来ないだろうか。
『以前この部屋に住んでいた者は、自分が何処の部屋に住んでいるかを他の人には教えていませんでした。だから問題はありません』
これは知識魔法が解答できる内容だったようだ。
それなら問題はない。
ただ今の返答からすると、この部屋の元住民は第一施設に送られた3人のうち1人という気がする。
まさかこんな近くにいたとは思わなかった。
ならひょっとして、私の部屋を覗いたりとかはしていなかっただろうか。
偵察魔法を知っているのは、第一教室を覗いた件で確かだし。
『施設内にはプライバシー保護の魔法がかかっています。ですので個人の領域、たとえば個室内とかトイレに入っている最中などは、偵察魔法でも確認は出来ません』
なるほど。それなら一応は安心していいのだろうか。
気味悪さは残るけれど。
タブレットの画面が切り替わると同時に通知音が鳴った。
夕食配給の時間だ。
上着を羽織り、隠蔽魔法を起動して、偵察魔法で廊下の外に誰もいない事を確認して廊下へ。
階段を降りて渡り廊下を渡り、隠蔽魔法を解除して共用棟へと入る。
食堂で並ぶ列はいつもとあまり変わらない。
しかし食堂内でたむろっている人数は明らかに減っている。
話し声もいつもと比べてずっと小さめ。
ひそひそという感じで仲間内で話しているだけ。
最低でも3名はこの施設を去り、6名が自室謹慎となっている。
掲示板では10人程に対して『連絡下さい』という書き込みがあった。
そして食堂に常駐していたゾンビは、英語フランス語中国語日本語あわせて最大20人くらい。
だから駄弁っていた連中が減っているのは当然だろう。
危機感を覚えて学習を始めずここに残っているのが、私には理解出来ない位だ。
案外ここで学習を進めているつもりなのかもしれないけれど。
そんな事を考えつつ並ぼうとしたところで、いつも通りニナがやってきた。
何か機嫌が良さそうだ。
「何かありましたか?」
ニナを取り囲んだ連中が処分されたからだろうか。
そう思いつつ聞いてみる。
「後で話します。また今日も私の部屋で一緒に話していいでしょうか」
朝早くから『ポアノン自然観察実習』があったので、まだ1科目も進めていない。
『言語Ⅱ』と『魔法Ⅱ』は出来れば毎日進めたいところだ。
でも私の学習進度は、アキトには負けるけれどカタリナやニナより進んでいる。
それにニナの部屋に寄ってもロスは1時間かからない程度。
自分の食事時間を引くとせいぜい30分といったところ。
寄ったところで問題はない。そう考えるのが普通だし正しい気がする。
今日何処を回ったとか、フンテト君可愛いよねなんて話もしたいし。
「大丈夫だよ」
「なら後で案内します」
あと今日は、ニナに寄ってくる奴がいない。
いつもならとっくに、あのフランス語を話す男子が寄ってきている頃なのだけれど。
施設移動か自室謹慎になったのだろうか。
その後にやってくる女子2人組は、いつものテーブルにいる。
男子2人組は見当たらない。
女子3人組はテーブルにいるけれど、1人少なく2人組。
更に言うと、日本語を話す男子1女子2の組も消えた。
時々私に言い寄ってくる母国語が中国語の男子も。
誰が第一施設送りになって、誰が自室謹慎なのかはわからないし、正直知りたいとも思わない。
あ、でも自室謹慎の場合、食事はどうするのだろう。
『自室に届くようになっています。食べ終わった後に自室内の入口扉付近に箱ごと置いておけば、魔法で自動回収される仕組みです』
これはこれで至れり尽くせりという感じがする。
一気に学習を進めたい時には便利かもしれない。
でも運動の単位が足りなくなりそうだ。
『謹慎期間中は、3日に1単位時間ずつ、19時から19時50分まで実施予定です。なお移動と運動以外の事は出来ない様、魔法で行動制限をしています。ですから他の生徒との会話は出来ません』
運動の単位は、3日に1単位時間が基準だと判明した。
今の私の基準と同じだ。
なんて事を考えている内に列が進み、私が受け取る番になった。
「こんにちは。大盛りでお願いします」
忘れずに今日は大盛を確保して収納。
今回は朝の食事を受け取らなかったので、下膳口に返す箱はない。
そのまま食堂を出て、渡り廊下手前でニナを待って、一緒に歩き始める。
「今日は誘いに来なかったね」
「各グループの中心人物が処分されたか、このままではまずいと悟ったのでしょう。処分を受けた全員が食堂にたむろしていた者とは限りません。ですが過半はそうだったのではないかと思います」
「きっとそうだね。少なくとも外出帰りの生徒を取り囲んでた奴のうち2人は第一施設に移送されたみたいだし」
取り囲まれたのはニナだ。用心のため言わないけれど。
渡り廊下を通り、女子寮に入ったところで、ニナの髪が金髪から黒髪へと変化した。
変装魔法を使ったようだ。
「姿を消して声を出さずについてきて下さい」
ニナの言うとおり、私は隠蔽魔法を起動する。
そして階段を……あれ?
いつもは2階まで上がった後に廊下に出て、ニナの部屋に向かう。
しかし今日は階段を更に上へ。
私の部屋へ行くつもりだろうか。
でも声を出さずと言っていたので、取りあえずそのままニナの後をついて3階へ。
ニナは3階で廊下に出てすぐ、私の部屋の隣の扉の鍵を開けて中へと入った。
誰の部屋だろう。
そう思いつつ、私も中へ続いて入る。
中へ入って扉を閉めて、そしてニナの髪が元の金髪に戻った。
「秘話魔法をかけました。もう話しても大丈夫です」
私は隠蔽魔法を解除して、ニナに尋ねる。
「ここって誰の部屋?」
「今日から私の部屋です。今までの部屋は会いたくない人が来る事があるので、部屋を変えて欲しいと希望を出していました。そして自然公園から帰って報告した際、部屋が空いて引っ越し出来るという話を聞いたので、早速引っ越しました。収納魔法が使えるので引っ越しは簡単でした」
でも空いたという事は、第1施設に移動した3人のうちの誰かの部屋だよな。
ならその友人とか知り合いとかが来ないだろうか。
『以前この部屋に住んでいた者は、自分が何処の部屋に住んでいるかを他の人には教えていませんでした。だから問題はありません』
これは知識魔法が解答できる内容だったようだ。
それなら問題はない。
ただ今の返答からすると、この部屋の元住民は第一施設に送られた3人のうち1人という気がする。
まさかこんな近くにいたとは思わなかった。
ならひょっとして、私の部屋を覗いたりとかはしていなかっただろうか。
偵察魔法を知っているのは、第一教室を覗いた件で確かだし。
『施設内にはプライバシー保護の魔法がかかっています。ですので個人の領域、たとえば個室内とかトイレに入っている最中などは、偵察魔法でも確認は出来ません』
なるほど。それなら一応は安心していいのだろうか。
気味悪さは残るけれど。
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