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第一部エピローグ 一斉到達度確認試験
56 決定
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一斉到達度試験は午前中が言語、数学、地理歴史。
その後の休憩1時間で各自食事を取って、午後が自然科学、魔法、課程選択。
うち自然科学まではタブレットを使ったテストで、数学は計算や立式過程、証明等を書くための補助用紙付き。
魔法は使えるようになった魔法の名称をタブレットで入力した後、あの握力計のような装置で魔力検査を実施。
魔法の試験が終わった時点で14時30分。
「それでは10分の休憩を挟んで、明日からの課程選択について説明します。ですが既に説明をタブレットで確認していて、選択する課程が決まっている人は、この説明を聞く必要はありません。説明を聞いたことが課程選択や将来の進路選択の上で考慮されたり、長期課程(Ⅰ)、長期課程(Ⅱ)、長期課程(Ⅲ)以外の選択肢が出たりという事は一切ありません。
それでは説明を聞く方は15時に、それ以外の方は15時30分までにタブレットで『課程選択調査』に回答の上、15時40分にこの教室に集合してください。回答は自室から送信しても結構です。また回答が無い場合、施設側が適切な課程を選択します」
私はひととおり説明は読んだつもりだし、選択する課程も長期課程(Ⅰ)と決めている。
そして施設側が公式に言っていることは、信用して良いだろう。
ついでにいうと久しぶりに長時間拘束されて、結構疲れている。
ここは自室に戻りおやつでも食べて、少し休憩しよう。
なお教室内では、休憩中に仲間内で話し合おうというのが主流だ。
ただしさっと教室から出て行った人も何人か。
たとえばカタリナはナラハ指導員が出た後、すぐ出て行った。
前に自然公園のカフェで『群れない事をとやかく言われるのを避ける為、さっさと移動する習慣がつきました』と聞いた気がする。
他に『やろうと思った事は、できる限り早く片付けたいと思ってしまいます』とも。
ただ進路決定の件では、私も誰かに相談する気は無い。
自分自身でもう決めているし、他人に影響を与えるような事をする気も無いから。
「説明は聞かないつもりですか」
出口に向かう途中、ヒナリにそう聞かれた。
「うん、少し休んでくる」
それだけ共通語で告げて教室を出て、寮へと向かう。
◇◇◇
寮の自室で『課程選択調査』に第一希望を長期課程(Ⅰ)、第二希望を長期課程(Ⅱ)として送信した後。
レシピ本通りに作った結果、甘すぎて個人的に今ひとつと感じたクッキー、リクリアクケトにクロテッドクリームをつけて食べて。
甘すぎるクッキーやケーキには、甘くないクロテッドクリームが良くあう。
カロリーはまあ、育ち盛りだから。
明後日には4km以上先まで往復するから、多分大丈夫。
あと紅茶も多少は脂肪分を吸収してくれていると思うし。
そうやって休憩した後、教室に戻る。
流石に今日は妙なお誘いをする奴はいないなと思いつつ、朝と同じ席が空いていたのでそこに着席。
タブレットを確認するふりをしつつ、監視魔法で1階の掲示板を確認。
とりあえず新しい情報は何もない。
それだけ確認して、今度はタブレットで学習課程について確認。
新しい学習過程とか、追加説明等は無さそうだ。
なお教室内はそこそこ賑やか。
あちこちであれこれ仲間内で話をしている。
近いせいか、後ろの男子生徒達の話が耳に入った。
「ギリギリだけれど、課程(Ⅰ)に残れるだろ。これでも20日以降は1日4時間は勉強してたんだぜ」
「毎日授業なんて、かったるくてやってられねえよな」
「でも全然科目が進んでなかっただろ」
「ふっふっふっ、昨日だけで一気に8単位時間分進めたぜ」
「そんなに進めたのかよ」
「簡単だろ。説明を全部スクロールさせて、終了をタップすれば1単位時間終了だからよ。確認試験とかは全部すっ飛ばせるし」
そんなの、進めたうちに入らないよね。
そう思ったけれど、きっと彼はそうやってこれまでの人生を生きてきたのだろう。
何年生きてきたのかはわからないけれど。
それが此処で通用するかどうか、乞うご期待だ。
もうすぐ結果が出るだろう。
なんて思っていたらナラハ指導員が入ってきた。
皆さん席につき、一気に教室内が静かになる。
「全員揃っている様ですね。それでは皆さん、タブレットを出して画面を出してください」
その言葉とほぼ同時に、タブレットの画面表示が出しっぱなしになっていた学習課程の表示から変化した。
『第1回課程選択・精査結果通知
長期課程(Ⅰ)継続決定。施設、寮室の変更無し……』
周囲がざわっとした。私語では無い。
呼吸というか、雰囲気という様な何かだ。
提示された結果に対して、それぞれ反応しているのだろう。
さっと下までスクロールして、ひととおり確認した。
問題ないだろうとは思っていたけれど、こうやって確認すると正直ほっとする。
なお表示には今日受けた試験の点数の他、各科目の学習進度や魔力測定の結果、一日あたり何単位時間分学習を進めたかまで載っている。
試験は魔法と数学が100点で、言語と地理歴史が95点、自然科学が90点。
一日あたりの学習進度が平均7.6単位時間(2月1日と本日を除く)。
試験終了後から今までの1時間足らずの間で、
① 試験を全て採点して点数を出し
② 他の指標とあわせて課程を決定して
③ この通知を作成した
のか。
この施設の処理能力は、なかなか高い模様。
きっと何か便利な魔法を使っているのだろうとは思うけれど。
コンピュータで自動計算をする以上に便利かつ早い、独自魔法を作成して使用して。
他の施設とか役所とか企業なんかも、これくらいの処理能力を持っているのが普通なのだろうか。
そうだとしたらこの世界、なかなか高度だなと感じる。
下手したら日本よりも発展しているのかもしれない。
その後の休憩1時間で各自食事を取って、午後が自然科学、魔法、課程選択。
うち自然科学まではタブレットを使ったテストで、数学は計算や立式過程、証明等を書くための補助用紙付き。
魔法は使えるようになった魔法の名称をタブレットで入力した後、あの握力計のような装置で魔力検査を実施。
魔法の試験が終わった時点で14時30分。
「それでは10分の休憩を挟んで、明日からの課程選択について説明します。ですが既に説明をタブレットで確認していて、選択する課程が決まっている人は、この説明を聞く必要はありません。説明を聞いたことが課程選択や将来の進路選択の上で考慮されたり、長期課程(Ⅰ)、長期課程(Ⅱ)、長期課程(Ⅲ)以外の選択肢が出たりという事は一切ありません。
それでは説明を聞く方は15時に、それ以外の方は15時30分までにタブレットで『課程選択調査』に回答の上、15時40分にこの教室に集合してください。回答は自室から送信しても結構です。また回答が無い場合、施設側が適切な課程を選択します」
私はひととおり説明は読んだつもりだし、選択する課程も長期課程(Ⅰ)と決めている。
そして施設側が公式に言っていることは、信用して良いだろう。
ついでにいうと久しぶりに長時間拘束されて、結構疲れている。
ここは自室に戻りおやつでも食べて、少し休憩しよう。
なお教室内では、休憩中に仲間内で話し合おうというのが主流だ。
ただしさっと教室から出て行った人も何人か。
たとえばカタリナはナラハ指導員が出た後、すぐ出て行った。
前に自然公園のカフェで『群れない事をとやかく言われるのを避ける為、さっさと移動する習慣がつきました』と聞いた気がする。
他に『やろうと思った事は、できる限り早く片付けたいと思ってしまいます』とも。
ただ進路決定の件では、私も誰かに相談する気は無い。
自分自身でもう決めているし、他人に影響を与えるような事をする気も無いから。
「説明は聞かないつもりですか」
出口に向かう途中、ヒナリにそう聞かれた。
「うん、少し休んでくる」
それだけ共通語で告げて教室を出て、寮へと向かう。
◇◇◇
寮の自室で『課程選択調査』に第一希望を長期課程(Ⅰ)、第二希望を長期課程(Ⅱ)として送信した後。
レシピ本通りに作った結果、甘すぎて個人的に今ひとつと感じたクッキー、リクリアクケトにクロテッドクリームをつけて食べて。
甘すぎるクッキーやケーキには、甘くないクロテッドクリームが良くあう。
カロリーはまあ、育ち盛りだから。
明後日には4km以上先まで往復するから、多分大丈夫。
あと紅茶も多少は脂肪分を吸収してくれていると思うし。
そうやって休憩した後、教室に戻る。
流石に今日は妙なお誘いをする奴はいないなと思いつつ、朝と同じ席が空いていたのでそこに着席。
タブレットを確認するふりをしつつ、監視魔法で1階の掲示板を確認。
とりあえず新しい情報は何もない。
それだけ確認して、今度はタブレットで学習課程について確認。
新しい学習過程とか、追加説明等は無さそうだ。
なお教室内はそこそこ賑やか。
あちこちであれこれ仲間内で話をしている。
近いせいか、後ろの男子生徒達の話が耳に入った。
「ギリギリだけれど、課程(Ⅰ)に残れるだろ。これでも20日以降は1日4時間は勉強してたんだぜ」
「毎日授業なんて、かったるくてやってられねえよな」
「でも全然科目が進んでなかっただろ」
「ふっふっふっ、昨日だけで一気に8単位時間分進めたぜ」
「そんなに進めたのかよ」
「簡単だろ。説明を全部スクロールさせて、終了をタップすれば1単位時間終了だからよ。確認試験とかは全部すっ飛ばせるし」
そんなの、進めたうちに入らないよね。
そう思ったけれど、きっと彼はそうやってこれまでの人生を生きてきたのだろう。
何年生きてきたのかはわからないけれど。
それが此処で通用するかどうか、乞うご期待だ。
もうすぐ結果が出るだろう。
なんて思っていたらナラハ指導員が入ってきた。
皆さん席につき、一気に教室内が静かになる。
「全員揃っている様ですね。それでは皆さん、タブレットを出して画面を出してください」
その言葉とほぼ同時に、タブレットの画面表示が出しっぱなしになっていた学習課程の表示から変化した。
『第1回課程選択・精査結果通知
長期課程(Ⅰ)継続決定。施設、寮室の変更無し……』
周囲がざわっとした。私語では無い。
呼吸というか、雰囲気という様な何かだ。
提示された結果に対して、それぞれ反応しているのだろう。
さっと下までスクロールして、ひととおり確認した。
問題ないだろうとは思っていたけれど、こうやって確認すると正直ほっとする。
なお表示には今日受けた試験の点数の他、各科目の学習進度や魔力測定の結果、一日あたり何単位時間分学習を進めたかまで載っている。
試験は魔法と数学が100点で、言語と地理歴史が95点、自然科学が90点。
一日あたりの学習進度が平均7.6単位時間(2月1日と本日を除く)。
試験終了後から今までの1時間足らずの間で、
① 試験を全て採点して点数を出し
② 他の指標とあわせて課程を決定して
③ この通知を作成した
のか。
この施設の処理能力は、なかなか高い模様。
きっと何か便利な魔法を使っているのだろうとは思うけれど。
コンピュータで自動計算をする以上に便利かつ早い、独自魔法を作成して使用して。
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そうだとしたらこの世界、なかなか高度だなと感じる。
下手したら日本よりも発展しているのかもしれない。
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