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第2章 猫の餌付け? あるいは比較的平和な釣りと採取の日々
第18話 (第0話続き) 今回の料理法と猫まっしぐら
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釣り上げたソウギョについては明日、料理して食べるつもりだった。
しかし家に帰って気づいた。腹が減ったと。
考えてみれば一昨日からパンしか食べていない。
これは間違いなく身体に悪いだろう。
既に魔法で魚拓を取った。このために長さ2m、幅1mの布を用意したのだ。
証拠はもう充分。だから食べるとしよう。
夜に最適な食べ方も思いついている。
バラモさんから貰ったレシピにあった、マスグーフという料理だ。
これは背開きにしたソウギョを、強火の遠火でじっくり焼くというもの。
コイとか他の魚でも出来るらしいが、太くてでかい魚ほど美味しいとあった。
そして夜に焚き火で料理するのはなかなかにいい感じだ。
庭がそこそこ広いから周囲に迷惑をかける事もあるまい。
そんな訳で早速準備。
残り少なくなってきた在庫の流木を薪としてちょうどいい大きさにぶった切って、庭の中央に組む。
ソウギョは背開きにして内臓を抜く。
これを自作の金網2枚で挟み込み、針金で留める。
この金網は下側に杭をつけて地面にぶっ刺せるように作った。
今回のマスグーフ専用に俺が作った道具だ。
組んだ流木を魔法で加熱し、火を熾す。
レシピには強火の遠火と書いてあった。
だから焚き火から60cm位離したところに金網を立てて調理開始だ。
魔法で加熱すればあっという間に完成だろう。
しかしこの料理、この焚き火でついた煙の香りも調味料だと書いてあった。
だからあくまで焚き火で熱を通す。
所要1時間と書いてあったけれど、その間焼けていくのを楽しめば問題無い。
このマスグーフを盛る皿も作ってある。
1m以上あるソウギョの開きなんて載る皿はないだろうけれど、鉄製でいいなら作るのは簡単だ。
魚を焼いている間に盛り付けの準備をしておこう。
皿にレタスと輪切りのタマネギを敷き詰める。
この上に焼いたソウギョを載せるのだ。
タレも作っておこう。
レシピを見ながらレモン汁、発酵トマトペースト、オリーブオイル、水飴を混ぜた酸っぱいソースをつくる。
これはある程度焼けた後、仕上げに塗るのだ。
あと食べる時にも気分で塗る。
時々網をひっくり返して両面が焼けるように注意しながら、じっくり焼いていく事を心がける。
腹が減ってはいるが焦らない。遠火の強火でじっくり焼くことがこの料理最大のポイント。
ジューシーな状態より焼けて乾ききる寸前くらいの方が美味しいとレシピには書いてあった。
そろそろいいだろう。タレを塗ろう。そう思った時だった。
トントントン、トントントン。
場所的に門扉に着いたノッカーの音だ。
誰だろうこんな夜なのに。透視魔法で確認。
おっと、ミーニャさんだ。何故こんな時間にうちの家に。
わからないけれど門のところへ行って閂を外し、開く。
「こんばんは。どうしたんですか、ミーニャさん」
そう言ってすぐ、俺はある事に気づいて硬直する。
ミーニャさんがエロ過ぎる格好をしている事に気づいたからだ。
具体的に言うとバスローブ一枚。
結構ゆるゆるな着方で胸も脚も危険な状態。
「さかニャのにおいがするのニャ」
えっ!?
「猫まっしぐらニャ」
そういってミーニャさんは固まっている俺をすり抜け、焚火の方へ。
「あったニャ。大きいのニャ」
ソウギョのマスグーフが目的という事は理解した。
しかしそれ以外の事はまだ全く理解できていない。
「どうしたんですか。ミーニャさん。こんな夜に」
そしてそんな恰好で。
健全な青少年を誘惑する気か。
「実は私の家、隣なのニャ。寝ていたらさかニャのいい匂いがしたのニャ。さかニャとマタタビの匂いには勝てないのニャ」
魚とマタタビの匂いに勝てない。
それって猫獣人ではなくただの猫ではないだろうか。
しかし家が隣だとは思わなかった。
この近くだろうとは思っていたけれど。
あと危険な恰好の理由も理解した。
寝ていた状態から匂いにつられてそのままやってきたという事か。
「もともと後であいさつに来るつもりだったのニャ。ドーソンは平和過ぎて冒険者が少ないのニャ。特に魔法使いの冒険者は貴重なのニャ。だから横の繋がりを持っておいた方がいいのニャ。
ところでこのさかニャ、もう食べられるのかニャ」
「もう少しです。あとはタレを塗って両面を5分ずつ焼けば大丈夫だと思います」
「出来ればタレ無し部分も作って欲しいニャ」
「わかりました」
一度金網を外し、両面の半分にタレを塗る。
そして再び金網で挟んで火であぶる。
「あとお近づきのしるしを持ってきたニャ。手作りの干物ニャ」
ミーニャさんはそう言って手に下げた紙袋を俺に渡す。
何だろう。そう思って袋から出す。
おっと、これは舌平目だ。
干物と言っても半生というか一夜干し状態のものが三枚。
ちょっと焼けば美味しく食べられそうだ。
「ありがとうございます。この干物、美味しそうです。手作りという事はどこかで捕ったのですか、この魚」
「何なら明日の早朝、捕り方を教えるニャ。春から夏の終わりくらいまでは、この裏の海岸で簡単に捕れるニャ。
でもその前に、まずはこの大きいさかニャニャ」
「もう少しです」
もう一度反対方向に向けて、表面がかりっとすれば焼き作業は終了。
網を外して、用意しておいた皿にのっければ完成だ。
取り皿と、あと念のためナイフとフォークを出して、一組をミーニャさんに渡す。
あと部位を外すためのハサミも即席で作って出す。
パンフレットによればそういった道具を使わず手でちぎって食べるのが正しいらしいけれど、一応ということで。
「それではどうぞ」
「いただくニャ」
ミーニャさん。タレのついていない頭の半分をハサミでがしがしと切り分け、豪快に持って行った。
骨をとったりせず、そのまま豪快にかじる。
「うみゃうみゃうみゃうみゃ。美味しいのニャ」
「骨を取らないで大丈夫ですか」
「猫獣人だから問題ないニャ」
本当だろうか。どうにも怪しい気がする。
猫獣人は猫では無く人間の筈なのだ。
神の設計図のうち二箇所が普通人と違うだけで。
それはともかく俺も食べよう。
まずはベースの味を確かめる為、タレがかかっていない方を。
ミーニャさんが頭部分を持っていったので、その下の肩部分をハサミで取る。
あとはパンフに書いてあった通り手でちぎって、骨を外しつつかぶりつく。
うむ、美味しい。臭みは全く無い。
今の身体では初めて食べる味だけれど、前世で食べた白身魚のムニエルと同じような感じだ。
ただ小骨が結構ある。フォークで食べるのは難しい。手で食べるのが正解だ。
ミーニャさんも既に手を使って食べている。
さて、今度はタレがかかっている部分をいただこう。
ハサミでバリバリと切って、そして手で骨を外しつつ口へ。
うむ、タレの味は焼いた事により大分薄くなっている。
しかし隠し味的に効いていて、タレ無しよりこっちの方が美味しい。
あ、でも残ったタレをこれにかけてみると……
うむ、最高。
■■■
マスグーフについては普通に検索してみてください。イラク料理で現地では鯉を使うのが普通のようです。
ただイラクの鯉は基本的に養殖です。しかも太ければ太いだけ脂がのっていておいしいという価値観だったりします。結果とんでもなく丸々としたぶっとい魚と化していて、日本のコイのイメージと少々違う体型に……
しかし家に帰って気づいた。腹が減ったと。
考えてみれば一昨日からパンしか食べていない。
これは間違いなく身体に悪いだろう。
既に魔法で魚拓を取った。このために長さ2m、幅1mの布を用意したのだ。
証拠はもう充分。だから食べるとしよう。
夜に最適な食べ方も思いついている。
バラモさんから貰ったレシピにあった、マスグーフという料理だ。
これは背開きにしたソウギョを、強火の遠火でじっくり焼くというもの。
コイとか他の魚でも出来るらしいが、太くてでかい魚ほど美味しいとあった。
そして夜に焚き火で料理するのはなかなかにいい感じだ。
庭がそこそこ広いから周囲に迷惑をかける事もあるまい。
そんな訳で早速準備。
残り少なくなってきた在庫の流木を薪としてちょうどいい大きさにぶった切って、庭の中央に組む。
ソウギョは背開きにして内臓を抜く。
これを自作の金網2枚で挟み込み、針金で留める。
この金網は下側に杭をつけて地面にぶっ刺せるように作った。
今回のマスグーフ専用に俺が作った道具だ。
組んだ流木を魔法で加熱し、火を熾す。
レシピには強火の遠火と書いてあった。
だから焚き火から60cm位離したところに金網を立てて調理開始だ。
魔法で加熱すればあっという間に完成だろう。
しかしこの料理、この焚き火でついた煙の香りも調味料だと書いてあった。
だからあくまで焚き火で熱を通す。
所要1時間と書いてあったけれど、その間焼けていくのを楽しめば問題無い。
このマスグーフを盛る皿も作ってある。
1m以上あるソウギョの開きなんて載る皿はないだろうけれど、鉄製でいいなら作るのは簡単だ。
魚を焼いている間に盛り付けの準備をしておこう。
皿にレタスと輪切りのタマネギを敷き詰める。
この上に焼いたソウギョを載せるのだ。
タレも作っておこう。
レシピを見ながらレモン汁、発酵トマトペースト、オリーブオイル、水飴を混ぜた酸っぱいソースをつくる。
これはある程度焼けた後、仕上げに塗るのだ。
あと食べる時にも気分で塗る。
時々網をひっくり返して両面が焼けるように注意しながら、じっくり焼いていく事を心がける。
腹が減ってはいるが焦らない。遠火の強火でじっくり焼くことがこの料理最大のポイント。
ジューシーな状態より焼けて乾ききる寸前くらいの方が美味しいとレシピには書いてあった。
そろそろいいだろう。タレを塗ろう。そう思った時だった。
トントントン、トントントン。
場所的に門扉に着いたノッカーの音だ。
誰だろうこんな夜なのに。透視魔法で確認。
おっと、ミーニャさんだ。何故こんな時間にうちの家に。
わからないけれど門のところへ行って閂を外し、開く。
「こんばんは。どうしたんですか、ミーニャさん」
そう言ってすぐ、俺はある事に気づいて硬直する。
ミーニャさんがエロ過ぎる格好をしている事に気づいたからだ。
具体的に言うとバスローブ一枚。
結構ゆるゆるな着方で胸も脚も危険な状態。
「さかニャのにおいがするのニャ」
えっ!?
「猫まっしぐらニャ」
そういってミーニャさんは固まっている俺をすり抜け、焚火の方へ。
「あったニャ。大きいのニャ」
ソウギョのマスグーフが目的という事は理解した。
しかしそれ以外の事はまだ全く理解できていない。
「どうしたんですか。ミーニャさん。こんな夜に」
そしてそんな恰好で。
健全な青少年を誘惑する気か。
「実は私の家、隣なのニャ。寝ていたらさかニャのいい匂いがしたのニャ。さかニャとマタタビの匂いには勝てないのニャ」
魚とマタタビの匂いに勝てない。
それって猫獣人ではなくただの猫ではないだろうか。
しかし家が隣だとは思わなかった。
この近くだろうとは思っていたけれど。
あと危険な恰好の理由も理解した。
寝ていた状態から匂いにつられてそのままやってきたという事か。
「もともと後であいさつに来るつもりだったのニャ。ドーソンは平和過ぎて冒険者が少ないのニャ。特に魔法使いの冒険者は貴重なのニャ。だから横の繋がりを持っておいた方がいいのニャ。
ところでこのさかニャ、もう食べられるのかニャ」
「もう少しです。あとはタレを塗って両面を5分ずつ焼けば大丈夫だと思います」
「出来ればタレ無し部分も作って欲しいニャ」
「わかりました」
一度金網を外し、両面の半分にタレを塗る。
そして再び金網で挟んで火であぶる。
「あとお近づきのしるしを持ってきたニャ。手作りの干物ニャ」
ミーニャさんはそう言って手に下げた紙袋を俺に渡す。
何だろう。そう思って袋から出す。
おっと、これは舌平目だ。
干物と言っても半生というか一夜干し状態のものが三枚。
ちょっと焼けば美味しく食べられそうだ。
「ありがとうございます。この干物、美味しそうです。手作りという事はどこかで捕ったのですか、この魚」
「何なら明日の早朝、捕り方を教えるニャ。春から夏の終わりくらいまでは、この裏の海岸で簡単に捕れるニャ。
でもその前に、まずはこの大きいさかニャニャ」
「もう少しです」
もう一度反対方向に向けて、表面がかりっとすれば焼き作業は終了。
網を外して、用意しておいた皿にのっければ完成だ。
取り皿と、あと念のためナイフとフォークを出して、一組をミーニャさんに渡す。
あと部位を外すためのハサミも即席で作って出す。
パンフレットによればそういった道具を使わず手でちぎって食べるのが正しいらしいけれど、一応ということで。
「それではどうぞ」
「いただくニャ」
ミーニャさん。タレのついていない頭の半分をハサミでがしがしと切り分け、豪快に持って行った。
骨をとったりせず、そのまま豪快にかじる。
「うみゃうみゃうみゃうみゃ。美味しいのニャ」
「骨を取らないで大丈夫ですか」
「猫獣人だから問題ないニャ」
本当だろうか。どうにも怪しい気がする。
猫獣人は猫では無く人間の筈なのだ。
神の設計図のうち二箇所が普通人と違うだけで。
それはともかく俺も食べよう。
まずはベースの味を確かめる為、タレがかかっていない方を。
ミーニャさんが頭部分を持っていったので、その下の肩部分をハサミで取る。
あとはパンフに書いてあった通り手でちぎって、骨を外しつつかぶりつく。
うむ、美味しい。臭みは全く無い。
今の身体では初めて食べる味だけれど、前世で食べた白身魚のムニエルと同じような感じだ。
ただ小骨が結構ある。フォークで食べるのは難しい。手で食べるのが正解だ。
ミーニャさんも既に手を使って食べている。
さて、今度はタレがかかっている部分をいただこう。
ハサミでバリバリと切って、そして手で骨を外しつつ口へ。
うむ、タレの味は焼いた事により大分薄くなっている。
しかし隠し味的に効いていて、タレ無しよりこっちの方が美味しい。
あ、でも残ったタレをこれにかけてみると……
うむ、最高。
■■■
マスグーフについては普通に検索してみてください。イラク料理で現地では鯉を使うのが普通のようです。
ただイラクの鯉は基本的に養殖です。しかも太ければ太いだけ脂がのっていておいしいという価値観だったりします。結果とんでもなく丸々としたぶっとい魚と化していて、日本のコイのイメージと少々違う体型に……
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