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第7章 食欲と挑戦の秋(1)
第51話 洋菓子に合うもの
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結局、気球用以外に布は1腕×20腕も生産することになってしまった。もちろんドレス用としてである。
なお気球用とまったく同じではない。洋服用布地は間に樹液成分を入れず、代わりに繊維方向を120度ずつずらした布の三層構造だそうだ。軽さとしなやかさは同じだが通気性が全然違う。
大貴族2名は布を受け取った後、いそいそ自宅へ帰っていった。なんでも年末の舞踏会に間に合うよう、これから縫製をお願いするそうだ。
そして残されたメンバーの家、シモンさんは魔力切れで休憩中。だから本日はもう休業状態。だからのんびりとお茶をしていたりする。
今日のデザートは蒸しパンだ。手軽にほぼ失敗無く出来る。適当にドライフルーツを入れればそれなりに美味しいし。
「最近甘い食べ物が少しずつ増えてきたけれど、やっぱりミタキが作るのは美味しいですよね」
「そうそう。何か物としてこなれている感じだよね」
前世の知識を使っているのでこなれたレシピなのは当然だ。まあ言わないし言えないけれど。
さて、俺は時々、おやつの時間に何か違和感をおぼえる事がある。理由はわからない。感じない事もあるから、砂糖代わりに水飴を使う事だけが原因ではない。
例えば昨日は感じなかったけれど、今日は感じている。
何が原因だろう。今日はこの後何も作るつもりはないので考えてみる。
昨日のおやつは餡子と白玉団子だった。今日は蒸しパン。その前はプリンでやっぱり違和感を感じたな。
更に遡って考えてみる。あんみつ、どら焼きだと違和感は感じなかった。蒸しパン、プリン、スコーン、カップケーキだと違和感を感じた。
共通点は……和菓子と洋菓子の違いかな。この世界にはそんな分類は無いけれどなと思って、そして気づく。
そうだ! お茶だ!
ここには緑茶しか無い。だから紅茶が似合うおやつだと違和感があったんだ。
そう思うと紅茶が欲しくて仕方なくなった。しかし俺の知っている限り紅茶を売っている場所は無い。
なら作るか、頼んで作って貰うかだ。
幸い紅茶の作り方は記憶の中にある。だから必要なのは新鮮な茶葉。それでは手に入るか手近なところから聞いてみよう。
「シンハ? お前の処の領地で茶を栽培しているところはあるか」
「あるぞ、一応」
お、聞いてみるものだな。流石貴族、貧乏だけれど。
いや、もう貧乏貴族ではないか。石鹸精算で儲かっているようだし。
「新鮮な茶の葉って手に入らないか」
「遠いから運んでいる間に悪くなるぞ」
なるほど、もっともだ。なら加工は現地で御願いしようか。
「特殊な仕上げをしたお茶をお願いしたいんだけれど頼めるか」
「値段次第では大丈夫だと思うぞ。でもこの季節の茶葉は安物だから期待に添う出来になるかはわからないけれどさ」
いい感触だ。それにお試しで使うなら安い茶葉の方がいい。もったいなさが少しは減る。
「ならこれから仕上げ方を書くから頼めるか。量は注文できる最低の量、4半重より最低量が少なかったら4半重で。値段はよくわからないから元の茶の10倍以内の値段でそっちで値付けしてくれ。まさか正金貨1枚より高いことは無いよな」
「何々、新しいお茶も開発するの?」
ミド・リーがのってきた。
「昔聞いたレシピだけどな。うまくいくかはわからないけれど」
葉っぱの質やここの気候がどういう感じの紅茶になるかはわからない。だから工程とか時間は全て中庸で書いておこう。
具体的に並べると、
① 最初の乾燥時間は1日半で、日陰で風通しのいい場所で行う。
② 全ての葉っぱがしっかりよじれるくらいまで揉む。
③ 発酵時間は半日程度。
④ 発酵止めは水が蒸発するよりちょっと上の温度で、なおかつ茶葉が
焦げないように6半時間《10分》程度やる。
⑤ しっかり乾燥させる。
⑥ 最後に火にかけた鍋内の水に小泡が出来る位の温度で5時間置く。
こんなものかな。勿論説明はもっと細かく、図をいれたりしてわかりやすくしておく。
うまくいけば特産物になるかもしれないし、ここは丁寧にいこう。
「この方法、部外秘か何かにしておいたほうがいいか?」
「その辺はそっちに任せる。俺はこれで儲ける気は無いからさ。うまく出来れば香りがいい茶色いお茶が出来る筈だ。それが欲しいだけだ」
「水飴や石鹸工場の件もあるからさ。親父にも安価に作らせるよう頼んでおくよ」
「安くなくていいからその工程を丁寧にやって欲しいんだ。特に最初の乾燥のところが重要だからさ。その辺頼む」
「わかった」
安くなくていいなんて台詞、俺も言えるようになったんだな。そう思うと感慨深い。
まあ貯金が恐ろしい勢いで貯まっているし、今回くらいはいいだろう。
「どんなお茶になるの?」
「香りがまず全然違うんだ。甘い香りというか何というか。色は綺麗な茶色になる筈。なによりこういった甘いお菓子とかパンに合うお茶だ」
「想像できない。でも楽しみ」
「本当楽しみだよね。新しいものが出来るのって」
俺も楽しみだ。どんな紅茶が出来てくるだろうと思うと。
なお気球用とまったく同じではない。洋服用布地は間に樹液成分を入れず、代わりに繊維方向を120度ずつずらした布の三層構造だそうだ。軽さとしなやかさは同じだが通気性が全然違う。
大貴族2名は布を受け取った後、いそいそ自宅へ帰っていった。なんでも年末の舞踏会に間に合うよう、これから縫製をお願いするそうだ。
そして残されたメンバーの家、シモンさんは魔力切れで休憩中。だから本日はもう休業状態。だからのんびりとお茶をしていたりする。
今日のデザートは蒸しパンだ。手軽にほぼ失敗無く出来る。適当にドライフルーツを入れればそれなりに美味しいし。
「最近甘い食べ物が少しずつ増えてきたけれど、やっぱりミタキが作るのは美味しいですよね」
「そうそう。何か物としてこなれている感じだよね」
前世の知識を使っているのでこなれたレシピなのは当然だ。まあ言わないし言えないけれど。
さて、俺は時々、おやつの時間に何か違和感をおぼえる事がある。理由はわからない。感じない事もあるから、砂糖代わりに水飴を使う事だけが原因ではない。
例えば昨日は感じなかったけれど、今日は感じている。
何が原因だろう。今日はこの後何も作るつもりはないので考えてみる。
昨日のおやつは餡子と白玉団子だった。今日は蒸しパン。その前はプリンでやっぱり違和感を感じたな。
更に遡って考えてみる。あんみつ、どら焼きだと違和感は感じなかった。蒸しパン、プリン、スコーン、カップケーキだと違和感を感じた。
共通点は……和菓子と洋菓子の違いかな。この世界にはそんな分類は無いけれどなと思って、そして気づく。
そうだ! お茶だ!
ここには緑茶しか無い。だから紅茶が似合うおやつだと違和感があったんだ。
そう思うと紅茶が欲しくて仕方なくなった。しかし俺の知っている限り紅茶を売っている場所は無い。
なら作るか、頼んで作って貰うかだ。
幸い紅茶の作り方は記憶の中にある。だから必要なのは新鮮な茶葉。それでは手に入るか手近なところから聞いてみよう。
「シンハ? お前の処の領地で茶を栽培しているところはあるか」
「あるぞ、一応」
お、聞いてみるものだな。流石貴族、貧乏だけれど。
いや、もう貧乏貴族ではないか。石鹸精算で儲かっているようだし。
「新鮮な茶の葉って手に入らないか」
「遠いから運んでいる間に悪くなるぞ」
なるほど、もっともだ。なら加工は現地で御願いしようか。
「特殊な仕上げをしたお茶をお願いしたいんだけれど頼めるか」
「値段次第では大丈夫だと思うぞ。でもこの季節の茶葉は安物だから期待に添う出来になるかはわからないけれどさ」
いい感触だ。それにお試しで使うなら安い茶葉の方がいい。もったいなさが少しは減る。
「ならこれから仕上げ方を書くから頼めるか。量は注文できる最低の量、4半重より最低量が少なかったら4半重で。値段はよくわからないから元の茶の10倍以内の値段でそっちで値付けしてくれ。まさか正金貨1枚より高いことは無いよな」
「何々、新しいお茶も開発するの?」
ミド・リーがのってきた。
「昔聞いたレシピだけどな。うまくいくかはわからないけれど」
葉っぱの質やここの気候がどういう感じの紅茶になるかはわからない。だから工程とか時間は全て中庸で書いておこう。
具体的に並べると、
① 最初の乾燥時間は1日半で、日陰で風通しのいい場所で行う。
② 全ての葉っぱがしっかりよじれるくらいまで揉む。
③ 発酵時間は半日程度。
④ 発酵止めは水が蒸発するよりちょっと上の温度で、なおかつ茶葉が
焦げないように6半時間《10分》程度やる。
⑤ しっかり乾燥させる。
⑥ 最後に火にかけた鍋内の水に小泡が出来る位の温度で5時間置く。
こんなものかな。勿論説明はもっと細かく、図をいれたりしてわかりやすくしておく。
うまくいけば特産物になるかもしれないし、ここは丁寧にいこう。
「この方法、部外秘か何かにしておいたほうがいいか?」
「その辺はそっちに任せる。俺はこれで儲ける気は無いからさ。うまく出来れば香りがいい茶色いお茶が出来る筈だ。それが欲しいだけだ」
「水飴や石鹸工場の件もあるからさ。親父にも安価に作らせるよう頼んでおくよ」
「安くなくていいからその工程を丁寧にやって欲しいんだ。特に最初の乾燥のところが重要だからさ。その辺頼む」
「わかった」
安くなくていいなんて台詞、俺も言えるようになったんだな。そう思うと感慨深い。
まあ貯金が恐ろしい勢いで貯まっているし、今回くらいはいいだろう。
「どんなお茶になるの?」
「香りがまず全然違うんだ。甘い香りというか何というか。色は綺麗な茶色になる筈。なによりこういった甘いお菓子とかパンに合うお茶だ」
「想像できない。でも楽しみ」
「本当楽しみだよね。新しいものが出来るのって」
俺も楽しみだ。どんな紅茶が出来てくるだろうと思うと。
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