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第10章 便利道具と魔獣狩り ~冬休み合宿編・中~
第84話 装備調整と夜間討伐準備
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本当なら食事の後、鎧だのの調整をする予定だったらしい。ただ肉祭りの後そんな余裕が残っている訳がない。
ミド・リーが消化吸収促進の魔法を範囲でかけまくったが焼け石に水。皆さんバタン・キューという感じで夜は終わってしまう。
そんな訳で翌朝。処理する魔獣も無いので今日は皆さん朝はゆっくり目。
サンドイッチで朝食を済ませ、ゆっくりと活動開始だ。
まずは昨日出来なかった防具の調整から。俺用にも魔術師用のフード付きマントを買ってあったので着用して確認。
一見只の布地に見えるが、魔法銅《オリハルコン》の細線が布地内に仕込んであってある程度の魔法攻撃を吸収・散乱させる。
「いいなこれ。ちょっと重い程度で違和感を感じない」
「その辺はやっぱり専門の人が作っただけあるよね」
これはシモンさんの評価だ。
なおシモンさん自身は布の戦闘服で上に革の軽い鎧という姿。この戦闘服と革鎧もやはり魔法銅《オリハルコン》が仕込んである。
「この鎧はいいぞ。今まで使っていたのよりずっと動きやすいのに頑丈だ」
シンハ君はなんとフルプレートアーマーだ。鉄製の鎧に魔法銅《オリハルコン》をコーティングして金色に近い輝きがある。
こんなの目立ちそうだが、戦場等では意外と使用されているらしい。俺が着用したら動けなくなる程度には重いのだが奴は頑丈人間《スパルタカス》なので問題無い。
フールイ先輩とナカさん、ミド・リーは俺と同じようなフード付きマントだ。
更に全員用の大楯もある。これも黄金色で、しゃがめば全身が隠れる程度には大きく、ぎりぎり片手で持てる程度の重さだ。
なおアキナ先輩とヨーコ先輩は自前の装備。
ヨーコ先輩の物はいわゆるチェーンメイル。ただし使っている素材が魔法鋼《ヒヒイロカネ》と魔法銀《ミスリル》だ。魔法鋼《ヒヒイロカネ》なんて希少素材、学校の見本以外で初めて見た。
一方アキナ先輩は一見普通の魔道士服とフード付きマント。
魔道士服とマントとフードが魔法銀《ミスリル》入りなのは予想の範囲内。でも怪しげな祝福効果がいくつかついている。これも博物館級の代物だ。
うん、流石大貴族。装備も半端じゃない。
「それにしてもこれだけ装備を購入したら相当お金がかかったんじゃないか?」
シンハ君のフルプレートアーマーだけで正金貨1枚はするだろう。
あとは貴族2人が持っている初期装備以外そこまで高価な装備は無いが、それでも全員分あわせると正金貨2枚はかかると思う。
「シンハのは半額自前よ。学校での剣術訓練用も含めて、どうしても新しいプレートアーマーが欲しかったんだって」
「いや店の人が半額にしてくれるって言うんでさ。更にナカさんが半額補助を出すって言ってくれたからつい。やっぱプレートアーマーは漢のロマンだろ」
えっ?
「半額って?」
「あの大猪魔獣《オツコトヌシ》、皆困っていたみたいね。だからあれを倒した勇者から儲けなんていただけない、なんて全品半額にしてくれたの」
そうだったのか。
「この研究会のお金も税金を考えるとある程度使っておく必要がありました」
会計担当のナカさんがそう言うなら問題無いのだろう。
それぞれの装備を微調整して、盾の取っ手をそれぞれの身長に合わせる。
「これで魔獣が魔法攻撃をしてきてもある程度は耐えられるな」
「でも耐魔法盾に隠れては攻撃魔法を撃てませんわ」
「その辺はこれから現場で確認しておこう」
「そうだね。この投光器も持っていってテストしておこうよ」
そんな訳で装備一式を荷車に積み込む。アンテナ型魔法杖も含め全部だ。
「装備が増えたよな」
「交通機関が自前のボートでよかったよね」
「確かにそうだな。荷馬車だと2台になりそうだ」
そんな事を言いながら堰堤の向こう側、いつもの場所へ。
魔法杖や武器、更に盾や投光器を設置。それぞれ狙ったりして様子を見る。
「やはり耐魔法盾に隠れては攻撃魔法は使えませんね。もし魔獣が攻撃魔法を使ってきたら、盾で一時的に防護しながら堰堤の陰に隠れた方がいいようです。そうでなければあらかじめ堰堤の上、魔獣の死角になる場所から攻撃する等しないと」
「俺の槍はこの鎧を着用しても投げられるぞ」
「次は魔法銃を使う。耐魔法盾に銃用の穴を開けて貰う」
「俺もフールイ先輩と同じ方法だな」
ひととおり攻撃等を頭の中で組み立てたら、残りの装備を設置して確認。
「投光器の実際の明るさは確認できないけれどさ、場所はこんなものかな」
「そうだな」
「この投光器はどのくらいの時間丈夫なの?」
「電球の寿命が40時間位。魔石1個が無くなるまではだいたい6日くらいかな。つけっぱなしで」
これは鑑定魔法で魔石の体積変化を測定した結果だ。
更に夜は冷えるだろうから焚き火用に流木や枯れ枝等を集めておく。幸い園庭周辺の水が引いたあたりに大量に落ちていた。櫓を組んで焚き火が出来るようにしておく。
キャンプファイアーとかでは無いのでそこまで大きくは無い。少しずつ足しながら暖をとれればいいのだ。
「配置はだいたいこんなものか。あとは夜になってからだな」
「でもこれを撤収して、また持ってくるのは大変だな」
「なんならこのまま置いておいても大丈夫だと思います。今日は雨も降らないようですし、私が管理魔法をかけておきますから」
ナカさんがそんな事を言う。便利だな。でもちょっと疑問に思ったので聞いてみる。
「ナカさんって何種類の魔法を持っているんですか?」
「秘密です」
あっさり躱されてしまった。
「一応念の為魔法杖だけは持って上がろう。これが漏れると色々問題がありそうだからな。あとミタキ君とフールイさんのその銃も持っていこう」
確かにこの辺は機密だよな。投光器もまあ秘密だけれど、これはおいそれと真似できないからまあいいか。
そんな訳で各自魔法杖や武器をたたんで、砦の部屋へと戻る。
ミド・リーが消化吸収促進の魔法を範囲でかけまくったが焼け石に水。皆さんバタン・キューという感じで夜は終わってしまう。
そんな訳で翌朝。処理する魔獣も無いので今日は皆さん朝はゆっくり目。
サンドイッチで朝食を済ませ、ゆっくりと活動開始だ。
まずは昨日出来なかった防具の調整から。俺用にも魔術師用のフード付きマントを買ってあったので着用して確認。
一見只の布地に見えるが、魔法銅《オリハルコン》の細線が布地内に仕込んであってある程度の魔法攻撃を吸収・散乱させる。
「いいなこれ。ちょっと重い程度で違和感を感じない」
「その辺はやっぱり専門の人が作っただけあるよね」
これはシモンさんの評価だ。
なおシモンさん自身は布の戦闘服で上に革の軽い鎧という姿。この戦闘服と革鎧もやはり魔法銅《オリハルコン》が仕込んである。
「この鎧はいいぞ。今まで使っていたのよりずっと動きやすいのに頑丈だ」
シンハ君はなんとフルプレートアーマーだ。鉄製の鎧に魔法銅《オリハルコン》をコーティングして金色に近い輝きがある。
こんなの目立ちそうだが、戦場等では意外と使用されているらしい。俺が着用したら動けなくなる程度には重いのだが奴は頑丈人間《スパルタカス》なので問題無い。
フールイ先輩とナカさん、ミド・リーは俺と同じようなフード付きマントだ。
更に全員用の大楯もある。これも黄金色で、しゃがめば全身が隠れる程度には大きく、ぎりぎり片手で持てる程度の重さだ。
なおアキナ先輩とヨーコ先輩は自前の装備。
ヨーコ先輩の物はいわゆるチェーンメイル。ただし使っている素材が魔法鋼《ヒヒイロカネ》と魔法銀《ミスリル》だ。魔法鋼《ヒヒイロカネ》なんて希少素材、学校の見本以外で初めて見た。
一方アキナ先輩は一見普通の魔道士服とフード付きマント。
魔道士服とマントとフードが魔法銀《ミスリル》入りなのは予想の範囲内。でも怪しげな祝福効果がいくつかついている。これも博物館級の代物だ。
うん、流石大貴族。装備も半端じゃない。
「それにしてもこれだけ装備を購入したら相当お金がかかったんじゃないか?」
シンハ君のフルプレートアーマーだけで正金貨1枚はするだろう。
あとは貴族2人が持っている初期装備以外そこまで高価な装備は無いが、それでも全員分あわせると正金貨2枚はかかると思う。
「シンハのは半額自前よ。学校での剣術訓練用も含めて、どうしても新しいプレートアーマーが欲しかったんだって」
「いや店の人が半額にしてくれるって言うんでさ。更にナカさんが半額補助を出すって言ってくれたからつい。やっぱプレートアーマーは漢のロマンだろ」
えっ?
「半額って?」
「あの大猪魔獣《オツコトヌシ》、皆困っていたみたいね。だからあれを倒した勇者から儲けなんていただけない、なんて全品半額にしてくれたの」
そうだったのか。
「この研究会のお金も税金を考えるとある程度使っておく必要がありました」
会計担当のナカさんがそう言うなら問題無いのだろう。
それぞれの装備を微調整して、盾の取っ手をそれぞれの身長に合わせる。
「これで魔獣が魔法攻撃をしてきてもある程度は耐えられるな」
「でも耐魔法盾に隠れては攻撃魔法を撃てませんわ」
「その辺はこれから現場で確認しておこう」
「そうだね。この投光器も持っていってテストしておこうよ」
そんな訳で装備一式を荷車に積み込む。アンテナ型魔法杖も含め全部だ。
「装備が増えたよな」
「交通機関が自前のボートでよかったよね」
「確かにそうだな。荷馬車だと2台になりそうだ」
そんな事を言いながら堰堤の向こう側、いつもの場所へ。
魔法杖や武器、更に盾や投光器を設置。それぞれ狙ったりして様子を見る。
「やはり耐魔法盾に隠れては攻撃魔法は使えませんね。もし魔獣が攻撃魔法を使ってきたら、盾で一時的に防護しながら堰堤の陰に隠れた方がいいようです。そうでなければあらかじめ堰堤の上、魔獣の死角になる場所から攻撃する等しないと」
「俺の槍はこの鎧を着用しても投げられるぞ」
「次は魔法銃を使う。耐魔法盾に銃用の穴を開けて貰う」
「俺もフールイ先輩と同じ方法だな」
ひととおり攻撃等を頭の中で組み立てたら、残りの装備を設置して確認。
「投光器の実際の明るさは確認できないけれどさ、場所はこんなものかな」
「そうだな」
「この投光器はどのくらいの時間丈夫なの?」
「電球の寿命が40時間位。魔石1個が無くなるまではだいたい6日くらいかな。つけっぱなしで」
これは鑑定魔法で魔石の体積変化を測定した結果だ。
更に夜は冷えるだろうから焚き火用に流木や枯れ枝等を集めておく。幸い園庭周辺の水が引いたあたりに大量に落ちていた。櫓を組んで焚き火が出来るようにしておく。
キャンプファイアーとかでは無いのでそこまで大きくは無い。少しずつ足しながら暖をとれればいいのだ。
「配置はだいたいこんなものか。あとは夜になってからだな」
「でもこれを撤収して、また持ってくるのは大変だな」
「なんならこのまま置いておいても大丈夫だと思います。今日は雨も降らないようですし、私が管理魔法をかけておきますから」
ナカさんがそんな事を言う。便利だな。でもちょっと疑問に思ったので聞いてみる。
「ナカさんって何種類の魔法を持っているんですか?」
「秘密です」
あっさり躱されてしまった。
「一応念の為魔法杖だけは持って上がろう。これが漏れると色々問題がありそうだからな。あとミタキ君とフールイさんのその銃も持っていこう」
確かにこの辺は機密だよな。投光器もまあ秘密だけれど、これはおいそれと真似できないからまあいいか。
そんな訳で各自魔法杖や武器をたたんで、砦の部屋へと戻る。
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