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第14章 今度こそリゾートだ!
第113話 夕食は料理大会
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半時間後には体調はいつも通りに戻っていた。日焼けがひりひり熱い以外は全て正常だ。
「流石だなミド・リー。もう何ともない」
「でも今日中は無理しないでよ。あとは明日から気をつける事!」
確かにその通りだ。面目ない。
「気をつけます」
「よろしい」
そんないつものやりとりをしていると、シンハ君がバケツを持って来た。
「お、いたいたミタキ。どうした、また倒れたのか」
「単なるハンガーノックと脱水症状。もう治ったわよ」
「そうか。さて、ちょっと鑑定魔法使って欲しいんだが、これ食べられるのか。変な形だけれどさ」
バケツの中をのぞいてみる。
ハゼっぽい茶色いのはメゴチの仲間だろう。赤に黄色い斑点がある派手なのは多分ハタの仲間。平たい茶色いのは舌平目の仲間だろうな。
念の為鑑定魔法で確認する。うん、予想通り。問題も無さそうだ。
「どれも美味い魚だぞ」
「この派手なのも平たいのも大丈夫なのか。派手なのは色が毒っぽいし、平たいのはなんかよくわからないし」
確かにこのハタの色はキノコなら毒だよな。舌平目も魚とは思えない外見だしメゴチも形が一般的な魚とは違うし。
でもどれも美味しい白身魚だ。定番は順に煮付け、ムニエル、天ぷらあたりだろうか。
「派手なのは刺身も良し煮物も良し。平たいのは小麦粉をつけてからっと焼けば最高だ。こっちのは揚げるか煮るのが定番」
「なら遠慮せずにガンガン捕って大丈夫だな」
「地元の皆さんの事もあるし、以後の事もあるからあまりやり過ぎるなよ」
「了解了解」
うん、シンハ君は元気だ。冷蔵庫に魚を入れ、水をがぶ飲みするとまた外へ出て行く。なるほど、ああやって脱水症状を防いでいる訳か。考えてやっているようではないから本能的行動なのだろうけれど。
「あれを見本にはしないでよ。まだミタキの体力じゃ無理だから」
「はいはい大丈夫」
頑丈人間と比べる程自分の体力を過信してはいない。
「よろしい」
なんてやっていると今度はアキナ先輩が戻ってきた。
「どうでした、ミタキ君の体調は」
「大丈夫、もう治ったみたいよ」
「良かったですわ」
この会話の流れ、という事はだ。
「アキナ先輩がミド・リーを呼んでくれたんですか」
「かなり遠くにいたヨーコさんとシンハ君を含めて、全員気づいていたと思います。ミド・リーさんがいたから大丈夫だろうと思っただけですわ」
そうだったのか。何というか恥ずかしい。
「そうそう。フールイ先輩もシモンさんも心配していたんだからね。私はすぐ原因がわかったからあんまり心配しなかったけれど。ただ脱水症状は酷いと命に関わるから外で動くときは意識して水をとるようにね。単なる水だけだと吸収できない時があるから、時々何か軽くつまんだりしながら」
「以後気をつけます」
もう反省しかない。ミド・リー様には頭を下げておく。
「ところで、あの板で遊ぶのなかなか面白かったですわ。波に乗ってすーっと進んだときの爽快感、癖になりそうです」
明菜先輩が言っているのはボディボードの事だろう。確かにあれは面白かった。俺も夢中になった位だ。おかげで倒れてしまったのだけれど。
「なら良かったです」
「私も明日は魚捕りじゃなくてそれやろうかな。魚って素早くてなかなか捕れないのよ。それに捕りすぎも良くないだろうしね」
「なかなかお勧めですわ」
確かにそれもいいかもしれない。この近辺の漁業資源管理の上から。
「ただいま」
フールイ先輩とシモンさん、ナカさんも戻ってきた。
「食べられる魚の判別お願いしていいかな。明らかに駄目なのは先に抜いておいたけれど」
「ほいきた」
やっぱりメゴチと舌平目が入っている。あとは鰯っぽい小魚が大量。
そこそこ大きいカワハギもいる。何とタコやワタリガニ、それに伊勢エビっぽいのまで。
「大量ですね」
「ほとんどフールイ先輩だよ。銛で捕るのって結構難しいよね」
「でもエビとタコはシモンさん」
「私が捕れたのは靴べらみたいなのと扁平で口が大きいのだけです」
なるほど。
「この中のものはどれも美味しく食べられます。大丈夫です」
「調理方法教えて貰っていいですか。ちょっとわからないものが多いので」
俺はミド・リーの方を見る。無理をするなと言っていたけれど、料理の許可は下りるだろうか。
「それくらいは大丈夫でしょ」
保護者の了解は取れたようだ。
「何なら今いる皆でつくりませんか」
「たまにはそういうのもいいよね」
確かに皆でわいわい調理するのは楽しいかもしれないと思う。ただし俺の調理技術は人に教えられる程ではない。だから一言言っておこう。
「ただ、俺は知識はあるけれどあまり上手じゃないぞ」
「その辺はやり方と注意点を教えてくれれば誰かやりますわ」
「そうだね。それに皆でやった方が楽しそう」
なら思い切り色々調理方法を試してみるか。
ただミド・リーもいるのが少し不安だ。出来るだけ目を離さないようにしておくべきだろう。そうしないとまたとんでもない料理? を錬成して仕舞う可能性が高いから。
「流石だなミド・リー。もう何ともない」
「でも今日中は無理しないでよ。あとは明日から気をつける事!」
確かにその通りだ。面目ない。
「気をつけます」
「よろしい」
そんないつものやりとりをしていると、シンハ君がバケツを持って来た。
「お、いたいたミタキ。どうした、また倒れたのか」
「単なるハンガーノックと脱水症状。もう治ったわよ」
「そうか。さて、ちょっと鑑定魔法使って欲しいんだが、これ食べられるのか。変な形だけれどさ」
バケツの中をのぞいてみる。
ハゼっぽい茶色いのはメゴチの仲間だろう。赤に黄色い斑点がある派手なのは多分ハタの仲間。平たい茶色いのは舌平目の仲間だろうな。
念の為鑑定魔法で確認する。うん、予想通り。問題も無さそうだ。
「どれも美味い魚だぞ」
「この派手なのも平たいのも大丈夫なのか。派手なのは色が毒っぽいし、平たいのはなんかよくわからないし」
確かにこのハタの色はキノコなら毒だよな。舌平目も魚とは思えない外見だしメゴチも形が一般的な魚とは違うし。
でもどれも美味しい白身魚だ。定番は順に煮付け、ムニエル、天ぷらあたりだろうか。
「派手なのは刺身も良し煮物も良し。平たいのは小麦粉をつけてからっと焼けば最高だ。こっちのは揚げるか煮るのが定番」
「なら遠慮せずにガンガン捕って大丈夫だな」
「地元の皆さんの事もあるし、以後の事もあるからあまりやり過ぎるなよ」
「了解了解」
うん、シンハ君は元気だ。冷蔵庫に魚を入れ、水をがぶ飲みするとまた外へ出て行く。なるほど、ああやって脱水症状を防いでいる訳か。考えてやっているようではないから本能的行動なのだろうけれど。
「あれを見本にはしないでよ。まだミタキの体力じゃ無理だから」
「はいはい大丈夫」
頑丈人間と比べる程自分の体力を過信してはいない。
「よろしい」
なんてやっていると今度はアキナ先輩が戻ってきた。
「どうでした、ミタキ君の体調は」
「大丈夫、もう治ったみたいよ」
「良かったですわ」
この会話の流れ、という事はだ。
「アキナ先輩がミド・リーを呼んでくれたんですか」
「かなり遠くにいたヨーコさんとシンハ君を含めて、全員気づいていたと思います。ミド・リーさんがいたから大丈夫だろうと思っただけですわ」
そうだったのか。何というか恥ずかしい。
「そうそう。フールイ先輩もシモンさんも心配していたんだからね。私はすぐ原因がわかったからあんまり心配しなかったけれど。ただ脱水症状は酷いと命に関わるから外で動くときは意識して水をとるようにね。単なる水だけだと吸収できない時があるから、時々何か軽くつまんだりしながら」
「以後気をつけます」
もう反省しかない。ミド・リー様には頭を下げておく。
「ところで、あの板で遊ぶのなかなか面白かったですわ。波に乗ってすーっと進んだときの爽快感、癖になりそうです」
明菜先輩が言っているのはボディボードの事だろう。確かにあれは面白かった。俺も夢中になった位だ。おかげで倒れてしまったのだけれど。
「なら良かったです」
「私も明日は魚捕りじゃなくてそれやろうかな。魚って素早くてなかなか捕れないのよ。それに捕りすぎも良くないだろうしね」
「なかなかお勧めですわ」
確かにそれもいいかもしれない。この近辺の漁業資源管理の上から。
「ただいま」
フールイ先輩とシモンさん、ナカさんも戻ってきた。
「食べられる魚の判別お願いしていいかな。明らかに駄目なのは先に抜いておいたけれど」
「ほいきた」
やっぱりメゴチと舌平目が入っている。あとは鰯っぽい小魚が大量。
そこそこ大きいカワハギもいる。何とタコやワタリガニ、それに伊勢エビっぽいのまで。
「大量ですね」
「ほとんどフールイ先輩だよ。銛で捕るのって結構難しいよね」
「でもエビとタコはシモンさん」
「私が捕れたのは靴べらみたいなのと扁平で口が大きいのだけです」
なるほど。
「この中のものはどれも美味しく食べられます。大丈夫です」
「調理方法教えて貰っていいですか。ちょっとわからないものが多いので」
俺はミド・リーの方を見る。無理をするなと言っていたけれど、料理の許可は下りるだろうか。
「それくらいは大丈夫でしょ」
保護者の了解は取れたようだ。
「何なら今いる皆でつくりませんか」
「たまにはそういうのもいいよね」
確かに皆でわいわい調理するのは楽しいかもしれないと思う。ただし俺の調理技術は人に教えられる程ではない。だから一言言っておこう。
「ただ、俺は知識はあるけれどあまり上手じゃないぞ」
「その辺はやり方と注意点を教えてくれれば誰かやりますわ」
「そうだね。それに皆でやった方が楽しそう」
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