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第16章 新人到来
第125話 プログラム言語な記述魔法
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「なるほど、物の自然な性質を極める方向で進化した訳ですか」
おやつの時間の後、研究室内の色々な機械を見せた後のタカス君の感想だ。
フルエさんは鏡や香水、蒸気自動車や蒸気ボートには興味を示したがその構造や原理にはあまり感心はない模様。しかしタカス君は俺達の簡単な説明を十分理解している感じだ。
鑑定魔法系統の魔法持ちだし仕組みそのものも理解できているのだろう。なお逆鑑定魔法は説明しながら全部外した。
「ところでタカス君の知っている世界の知識はどんな感じなんだ。魔法の使い方が違うと言っていたけれど」
「今すぐ使える知識はまだまだ考えてみないと無理です。俺も向こうで何かの専門家だった訳ではないので。ただ向こうで一般的な魔法ならここでもある程度使えます。例えば」
彼はそう言うとズボンのポケットからペンと名刺サイズの紙を出した。そして紙にささーっと何か書く。結構文字数が多いようだ。
少しして彼は書き終え、目で紙片を確認した後。
「では魔法を実施します。階段上へ跳躍、発動《エクセキュート》!」
ふっと彼の身体が飛び上がる。そのまま彼は風呂部分への階段踊り場へと着地した。
しかし今の跳躍、軌道が不自然に感じた。いわゆる弾道軌道では無かった気がするのだ。
「こんな感じで使います。今のは紙に上まで跳躍するという内容を書いています」
そう言って彼は階段から下りてくる。
「なるほど、紙に記述した事が実際に起こる形なのか」
「ええ。内容はこれです」
先程の紙片を渡してくれた。
見ると俺でもわかるここの言葉で記載してある。
『階段上へ跳躍 開始
平面座標指定 縦 俺縦位置、階段踊り場上縦位置+1腕
横 俺横位置、階段踊り場上横位置
繰り返し 俺縦位置=階段踊り場上縦位置+1腕
目標縦位置=俺縦位置+1腕
もし座標外(目標縦位置、俺横位置) 目標縦位置=階段踊り場上縦位置+1腕
俺縦位置、目標縦位置
繰り返し終わり
繰り返し 俺横位置=階段踊り場横位置
目標横位置=俺横位置+半腕《1m》
もし座標外(俺縦位置、俺横位置) 目標横位置=階段踊り場横位置
俺横位置、目標横位置
繰り返し終わり
終わり』
「いつもは早さと簡単さ重視で向こうの世界の言葉で省略して記載しています。今回はわかりやすいようにここの言葉で丁寧に書きました。これでも魔法は発動します」
これと同じような文法をかつて俺は見た覚えがある。此処ではなく日本で。間違いない、これはプログラム言語だ。
「これは誰が書いて誰が読んでも魔法が動くの?」
ミド・リーの質問に彼は首を横に振る。
「以前フルエに読んで貰ったが使えませんでした。でもフルエに書いて貰ったものは、フルエは使えませんでしたが俺は使えました。
ただ一部の自動起動系の呪文は誰が書いても自動的に起動します」
なるほど。
ちょっと思いついた事があるので彼に聞いてみる。
「今の魔法だと目標の場所が階段踊り場上1腕だけれどさ。この部分を変更できるようにして、使う時に『跳躍、目標場所』のように宣言して使う事は出来るのか」
タカス君ははっとした目で俺を見る。
「出来ます。というかそれが本来の使い方です。何故それがわかったのですか?」
「魔法ではないけれど似たようなものが俺の前にいた世界にもあってさ」
ますますプログラム言語だ。
「なら普段は目標場所や魔法の対象を変更できるようにした紙を用意しておいて、必要な時にそこを加えて発動させればいい訳なんだな」
「実際にはそうしてます。向こうでもそうでした。大体生活に必要な100位の魔法をカードにして、必要な時に『加熱魔法、目の前の水、沸騰状態、発動《エクセキュート》』という感じで実行してやります」
うん、ほぼ完全に使い方を理解した。
間違いなく魔法版のプログラム言語だ。
「この命令、いや魔法はどの言語で書いても通用するのか?」
「使用者が理解できる言語なら大丈夫な筈です」
かつての俺がいた日本のプログラム言語より融通がきくようだ。
「これって神とか悪魔とか精霊が実行するようなものなのかしら」
「頭が固い精霊でも実行できるように丁寧に記載しろと習っています。でも実際に魔法を実行させるのはあくまで自分の魔力で、精霊とかは関係ありません」
ふと俺はある事を思いついてた。可能なのかを確かめるべくタカス君に尋ねる。
「タカス君、この魔法で以前の世界では魔法杖とかは使うのか?」
「俺自身は使った事は無いです。でも医療や産業で大きな魔力を使う場合には使っていました。杖に魔法を記載したカードを挟んで掲げる形で」
よし、杖は使えるようだ。なら杖を作って長さを測ってあの誰でも電撃魔法アンテナと同じように作ればカード次第でどんな魔法でも使える魔法杖が出来る。恐ろしや万能杖への道が一気に拓けてしまったぞ。
「その杖の長さは大体でいいから憶えてるか?」
「俺自身は使った事は無いからちょっと。でも確か下についたときに腰くらいの高さだったと思いますが……」
他の魔法の魔法杖とそう変わらない長さという事か。ならシモンさんに長さを測って作って貰って、その長さからコンデンサーとコイルの必要容量を確認すれば……
「ミタキ、初日からがっつかない! タカス君が引いちゃっているでしょ」
ミド・リーから注意。
言われてしまったと気づく。ついつい万能杖への希望で前のめりになってしまった。
「いえ、別に引いてはいないですけれど。でも何故杖の話なんですか」
「ミタキ君は魔法杖の開発をやっているんだ。誰でも自分の持ち魔法以外の魔法が使える魔法杖の研究をね」
シモンさんが説明してくれる。
「それって可能なんですか。確かに生活魔法レベルならこの世界では色々な魔法を憶えることが出来ますけれど」
「既に風魔法版の試作品は作ったよ。誰でも風の攻撃魔法が使える杖で……」
「はいはいシモンさんもそこまでです」
今度はナカさんに止められてしまった。
「せっかくフルエさんとタカス君が来てくれたんだから、今日は説明と歓迎が普通でしょ。ミタキ君もシモンさんも開発モードは後です」
おやつの時間の後、研究室内の色々な機械を見せた後のタカス君の感想だ。
フルエさんは鏡や香水、蒸気自動車や蒸気ボートには興味を示したがその構造や原理にはあまり感心はない模様。しかしタカス君は俺達の簡単な説明を十分理解している感じだ。
鑑定魔法系統の魔法持ちだし仕組みそのものも理解できているのだろう。なお逆鑑定魔法は説明しながら全部外した。
「ところでタカス君の知っている世界の知識はどんな感じなんだ。魔法の使い方が違うと言っていたけれど」
「今すぐ使える知識はまだまだ考えてみないと無理です。俺も向こうで何かの専門家だった訳ではないので。ただ向こうで一般的な魔法ならここでもある程度使えます。例えば」
彼はそう言うとズボンのポケットからペンと名刺サイズの紙を出した。そして紙にささーっと何か書く。結構文字数が多いようだ。
少しして彼は書き終え、目で紙片を確認した後。
「では魔法を実施します。階段上へ跳躍、発動《エクセキュート》!」
ふっと彼の身体が飛び上がる。そのまま彼は風呂部分への階段踊り場へと着地した。
しかし今の跳躍、軌道が不自然に感じた。いわゆる弾道軌道では無かった気がするのだ。
「こんな感じで使います。今のは紙に上まで跳躍するという内容を書いています」
そう言って彼は階段から下りてくる。
「なるほど、紙に記述した事が実際に起こる形なのか」
「ええ。内容はこれです」
先程の紙片を渡してくれた。
見ると俺でもわかるここの言葉で記載してある。
『階段上へ跳躍 開始
平面座標指定 縦 俺縦位置、階段踊り場上縦位置+1腕
横 俺横位置、階段踊り場上横位置
繰り返し 俺縦位置=階段踊り場上縦位置+1腕
目標縦位置=俺縦位置+1腕
もし座標外(目標縦位置、俺横位置) 目標縦位置=階段踊り場上縦位置+1腕
俺縦位置、目標縦位置
繰り返し終わり
繰り返し 俺横位置=階段踊り場横位置
目標横位置=俺横位置+半腕《1m》
もし座標外(俺縦位置、俺横位置) 目標横位置=階段踊り場横位置
俺横位置、目標横位置
繰り返し終わり
終わり』
「いつもは早さと簡単さ重視で向こうの世界の言葉で省略して記載しています。今回はわかりやすいようにここの言葉で丁寧に書きました。これでも魔法は発動します」
これと同じような文法をかつて俺は見た覚えがある。此処ではなく日本で。間違いない、これはプログラム言語だ。
「これは誰が書いて誰が読んでも魔法が動くの?」
ミド・リーの質問に彼は首を横に振る。
「以前フルエに読んで貰ったが使えませんでした。でもフルエに書いて貰ったものは、フルエは使えませんでしたが俺は使えました。
ただ一部の自動起動系の呪文は誰が書いても自動的に起動します」
なるほど。
ちょっと思いついた事があるので彼に聞いてみる。
「今の魔法だと目標の場所が階段踊り場上1腕だけれどさ。この部分を変更できるようにして、使う時に『跳躍、目標場所』のように宣言して使う事は出来るのか」
タカス君ははっとした目で俺を見る。
「出来ます。というかそれが本来の使い方です。何故それがわかったのですか?」
「魔法ではないけれど似たようなものが俺の前にいた世界にもあってさ」
ますますプログラム言語だ。
「なら普段は目標場所や魔法の対象を変更できるようにした紙を用意しておいて、必要な時にそこを加えて発動させればいい訳なんだな」
「実際にはそうしてます。向こうでもそうでした。大体生活に必要な100位の魔法をカードにして、必要な時に『加熱魔法、目の前の水、沸騰状態、発動《エクセキュート》』という感じで実行してやります」
うん、ほぼ完全に使い方を理解した。
間違いなく魔法版のプログラム言語だ。
「この命令、いや魔法はどの言語で書いても通用するのか?」
「使用者が理解できる言語なら大丈夫な筈です」
かつての俺がいた日本のプログラム言語より融通がきくようだ。
「これって神とか悪魔とか精霊が実行するようなものなのかしら」
「頭が固い精霊でも実行できるように丁寧に記載しろと習っています。でも実際に魔法を実行させるのはあくまで自分の魔力で、精霊とかは関係ありません」
ふと俺はある事を思いついてた。可能なのかを確かめるべくタカス君に尋ねる。
「タカス君、この魔法で以前の世界では魔法杖とかは使うのか?」
「俺自身は使った事は無いです。でも医療や産業で大きな魔力を使う場合には使っていました。杖に魔法を記載したカードを挟んで掲げる形で」
よし、杖は使えるようだ。なら杖を作って長さを測ってあの誰でも電撃魔法アンテナと同じように作ればカード次第でどんな魔法でも使える魔法杖が出来る。恐ろしや万能杖への道が一気に拓けてしまったぞ。
「その杖の長さは大体でいいから憶えてるか?」
「俺自身は使った事は無いからちょっと。でも確か下についたときに腰くらいの高さだったと思いますが……」
他の魔法の魔法杖とそう変わらない長さという事か。ならシモンさんに長さを測って作って貰って、その長さからコンデンサーとコイルの必要容量を確認すれば……
「ミタキ、初日からがっつかない! タカス君が引いちゃっているでしょ」
ミド・リーから注意。
言われてしまったと気づく。ついつい万能杖への希望で前のめりになってしまった。
「いえ、別に引いてはいないですけれど。でも何故杖の話なんですか」
「ミタキ君は魔法杖の開発をやっているんだ。誰でも自分の持ち魔法以外の魔法が使える魔法杖の研究をね」
シモンさんが説明してくれる。
「それって可能なんですか。確かに生活魔法レベルならこの世界では色々な魔法を憶えることが出来ますけれど」
「既に風魔法版の試作品は作ったよ。誰でも風の攻撃魔法が使える杖で……」
「はいはいシモンさんもそこまでです」
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