病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第16章 新人到来

第135話 海を遊ぶ日

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 本日の朝食はさっぱり系つけ麺だ。西部風細めのパスタ、つまりスパゲッティを重曹入りのお湯で湯がくとラーメン風になる。これを鶏皮や鶏ガラを煮だして脂を取った出汁と煎酒を混ぜたつゆでいただくのだ。
 付け合わせは蒸し鶏、ゆで卵、適当な野菜。

「肉祭りの翌朝はこれだよね」

「同意」

 古いメンバーにはおなじみのつけ麺。
 でも。

「スパゲッティだけれど何か違うのだ、このパスタ

 フルエさんは違和感を感じるようだ。さすが西部出身者、スパゲッティの本場育ち。

「重曹を入れると腰が無くなる代わりに汁に絡みやすくなるんだ。俺が昔いた世界でラーメンというこんな感じの麺があってさ、その代用品」

「違和感あるのだ。でも味としては今の体調に合ってるのだ」

「なら別世界風の正当派スパゲッティをお昼にでも作るよ」

 貝とか色々手に入るだろうからボンゴレビアンコ風なんてどうだろう。あさりとか平貝は砂抜きが間に合わないからペスカトーレの方がいいかな。パスタなら色々作っても時間は短くて済むし。
 後で基本のトマトソースとタバスコを作っておこう。冷凍トマトは買ってあるから。

 朝食後はやっぱり海だ。
 でも海を楽しむ前に新人3名は水中眼鏡を作っておく。これはシモンさんの担当だ。他にもボディボードやスピアフィッシングの説明もある。

 その間に俺は昼食用の下準備。タバスコ作って、ニンニクと唐辛子を炒めて冷凍トマトを加えたソース作って。ついでに粉チーズもゴシゴシ擦って作っておいてと。
 あとは材料が揃ってからでいいかな。

 出るとちょうど新人向け講習会が終わったところだった。さて、俺はまず食材探しから始めようか。
 大物はフールイ先輩や身体強化組の皆さんに任せ、まずは岩場の貝を採取。岩場の貝なら砂抜きしないで済むから昼食に使える。でも夕食用に砂場の貝も欲しいかな。

 なお皆さん午前中は採取活動メインのようだ。身体強化組3名とフールイ先輩、タカス君は魚狙い。他の皆さんは貝狙いの模様。

 まず松葉貝発見、小さいサザエも発見。牡蠣は勿論見つけ次第いただく。水中眼鏡があるので水面下のものも見えて採取が楽だ。お昼ご飯用に充分な量を取ったら砂浜に移動しよう。

 ◇◇◇

 サラダを作った後、昼食のパスタ作りにとりかかる。今回はアサリやハマグリ、平貝ではなく巻き貝系が多い。砂浜の貝はこの時間では砂抜きが間に合わないからだ。なお念の為殻をよく洗う。

 パスタ用に塩水を入れた大鍋を火にかける。ちょい日常魔法で加熱して沸騰寸前に。
 そしてニンニクを刻み、唐辛子も刻みまくる。俺は辛いのが好きなので唐辛子の種は取らない主義だ。
 あとフールイ先輩が捕った魚のうち小魚の頭と内臓を取って3枚に。身体強化組が捕ったイカも使わせて貰おう。

 巨大なフライパンにニンニクと唐辛子を炒めて炒めて炒める。よしよし、きつくて目に優しくない香りが出てきた。魚と貝を大量投入して、白葡萄酒をちょい入れて蓋。
 その間に沸騰した大鍋にパスタ投入!
 そろそろ貝は大丈夫かな。蓋を開くと大丈夫そうだ。

 アサリや平貝ならそのままだけれど、今回は巻き貝とかもあるので一度火を止め、殻が大きい貝は中身をほじくらせて貰う。殻が大きすぎると食べにくいだろうから。
 これが結構面倒だ。貝を入れすぎたかな。でも入れれば入れるほど美味しいのがこの手の料理だ。

 ほじくっている内にパスタがゆであがってきた。やばいと思って取りあえずザルにあげておく。


 貝の方は何とか大きめの殻は全部取ったのでこれでよしとしよう。この鍋の中身半分を別のフライパンへ。
 別のフライパンの方は朝作ったトマトソースを混ぜる。あとは両方に塩を振ってパスタをからめれば完成だ。なおレモン塩と粉チーズをちょい加えるのが俺流。
 よし完成!

「昼食が出来たぞ!」

 皆を呼ぶ。

 ◇◇◇

 貝類は十分捕ったので、午後の俺はボディボード。勿論波に乗るなんて器用な真似は滅多に出来ない。でも浮いているだけでも結構楽しいのだ。
 なお水分その他は意識して取るようにしている。昼食も意識して多めに食べたし大丈夫だろう。

 浮いているだけでも面白いが、この状態で海の中を見るのもなかなか面白い。
 基本的には砂浜なのだけれど小さい岩場が所々にある。そこに海藻だの貝だの時には鮮やかなウミウシだのがついていたりするのだ。
 あと砂浜の底をよく見るとたまに魚がいたりもする。メゴチの類いとか舌平目だとか。あと小さい岩場付近でささっと小さい魚の群れがいたりもする。
 ボディボードが無いと泳げない俺では捕まえることは出来ない。でもこんな処にいるんだなというのはわかる。

 鑑定魔法で離岸流に気をつけながら、沖に行ってじわじわ戻って来てを繰り返す。他の皆さんも大体同じ感じだ。身体強化組3人プラス1は相変わらず魚と戦っているけれど。なおフールイ先輩は離脱してボディボード組。

 何回か行き来した後太陽の位置を確認。そろそろ俺の体力の限界かな。まだまだ大丈夫といううちに撤収しておこう。そんな訳で家へ戻る。

 キッチンへ行くと、冷蔵庫や氷入りの箱、バケツ等に本日の成果が入っていた。牡蠣は勿論貝類色々。ウニバケツいっぱい。
 魚もある程度は確保済み。メゴチと舌平目は併せてバケツ半分。他は石鯛?やメジナっぽい奴。

 小鯖や鰯などの小物まとめてバケツ半分はきっとフールイ先輩の仕業だ。俺が浮いているあたりでは大物の獲物は見なかったからな。本格的な岩場にはいるのだろうか。俺はボード無しで泳げないので行けないけれど。

 さて海鮮料理の準備にとりかかるとしよう。刺身にカルパッチョに焼き物煮物、小魚は南蛮揚げが俺の好みだ。
 小魚の一部はアンチョビ用に塩漬けでもしておこうかな。この世界は塩漬けとか保存食系統はあまり無いのだ。何せ魔法で冷やして保存できる。だから保存に色々工夫する必要が無かったのだろう。

 その分塩漬けとか発酵食品とか乾燥食品等が少ないような気がする。あっても保存用では無く味付けとか風味付けという位置づけだ。
 無い物は自分で作る必要がある。そんな訳でまずは小魚の塩漬けから開始だ。
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