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第20章 それでも続く夏合宿
第166話 俺の必需品
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当たり前だが俺の体力で皆さんについていける訳が無い。強いて言えばアキナ先輩が俺に近い体力だけれど、何故か先輩は万能魔法杖を取り上げられていない状態だ。
つまり俺が皆さんについて行ける筈は無い。途中で俺は置いて行かれる。なので一人で走って疲れて歩いて、また少し回復したら走ってを繰り返す。
景色がなかなか変わらない。ずっと森の中だ。
確か距離は3離ちょっとだった。だから今の俺のペースだと1時間あれば着くはず。そう思うのだが周りの風景が変わらないと進んでいる感じがしない。
進んでいる感じがしないと言うと、日本なら狸に化かされるというのがメジャーだろう。しかしこの国の民話だと狸ではなく樹木の化け物が化かす話になる。
しかし樹木なんて植物がそう能動的に人を化かすなんて発達はしないだろう。せいぜいモウセンゴケとか程度で。そんなのがあったらとっくに魔獣扱いして討伐しているだろうし。しているよな、きっと。
そんなくだらない事を考えながらとにかく前に進む。やっと何か水の音が聞こえ始めた。川が近くなってきたようだ。
しばらく歩くと予想通り沢が横に流れていた。ちょうどいいので休憩することにする。何せ騙されて出てきたのでコップとか何も持っていないのだ。
もちろん日常魔法で水を出すことは出来る。でもこういった自然の水の方が飲んで美味しいと言われている。それを試すいい機会だ。
鑑定魔法の結果では『飲んでも支障はない水』と出た。ならばという事で早速すくって飲んでみる。
うん、確かに美味い。程よく冷たいだけでない。味そのものが美味しいような気もする。微量成分が何か関係しているのだろうか。
この国の家には排水溝はあるが上水道は無い。日常魔法で安全な水を簡単に得ることが出来るからだ。昔の建物なら井戸があったりもするけれど。
でもこういう水は確かに美味しいよな。
念のため魔法で出した水を同じ温度にして飲み比べてみる。やはり違うような気がした。これなら美味しい水を欲しがる人もいるだろう。流通が今一つだから美味しい水の市販なんて割に合わないけれど。
さて、川まで来たら湖までそれほど遠くなかった筈だ。そろそろ歩き出すとしようか。
約1時間で予定通り別荘までたどり着く。結構足が疲れた。特に脛の後ろ側がちょい痛い。
「遅い! みんな半時間前には着いているよ」
「まあまあ、無事着いたからいいじゃないですか」
「こっちは湖を3周しちゃったのだ」
なるほど、とりあえず皆さんお疲れ。一番疲れているのは間違いなく俺だけれど。
「明日からこれを毎日ね」
「頼むからそれはやめてくれ」
「冗談だよ」
悪い冗談だ。
取り合えず部屋から万能魔法杖を持ってきて回復魔法をかける。足の痛む部分が楽になった。
やっぱりこの万能魔法杖は便利というかもう必須だ。もっと小型化していつでも持ち歩けるようにしておきたい。後でまた再設計しよう。
「ところで今日は夕食はどうしよう?」
「最近肉を大量に食べているしね。すこしさっぱりしたものがいいかな」
「さっぱりしたもの、ねえ」
「俺は肉でもいいけれどな」
おいおいシンハ君。
「なら今日は私が作りましょうか」
おっ、ユキ先輩が何か案があるようだ。
「お願いしていいですか」
「勿論ですよ。あとアキナ、手伝って頂けますか」
この組み合わせで作るのは珍しい。俺的にはちょっとドキドキしてしまうけれど。
でもまあ雑念を払ってこの時間は万能魔法杖の再設計をしよう。
サイズ的にはあとひとまわり小さくするのが限度だろう。しかし形さえ工夫すればウエストポーチ程度には収まる筈だ。
勿論ウエストポーチは専用品になる。しかしそれくらいは俺でも工作用魔法杖があれば作れる。バックルは竹素材を加工すればいい。基本的な素材は車に常備している。
万能魔法杖そのものは今使っているA4ノートパソコンサイズの物をそのまま改造するつもりだ。魔法銀《ミスリル》の在庫が少ないから仕方ない。
アンテナ部分を曲がらないよう木で包んだりコンデンサーのサイズを変えたり変形させたり。コイルも更に小さくしっかり巻き巻きする。形が変わっても鑑定魔法で容量が同じかどうかわかるから割と簡単だ。
ポーチ部分は鹿革、厳密には鹿魔獣革製。色はとりあえず染めていないので元のままの薄い黄色。ワックスだけは一応塗っておいた。これである程度の雨でも大丈夫だ。
ウエストポーチとしても一応ハンカチと財布位は入る。ファスナーは無いのでポケット部分はボタン止めだ。
取り敢えず完成したので装着してみる。フィット具合は悪くない。ただウエストで止めるより肩掛けにした方が恰好がいいかな。
普段はヒップバッグとして使った方が動くのに楽かもしれない。財布を入れたときはバッグ部分を前にした方がいいだろうけれど。
ついでにアキナ先輩のものもこの大きさにしておこうか。今は料理中だから後で本人に聞いてみよう。バッグにするならデザイン等の注文もあるだろうし。
つまり俺が皆さんについて行ける筈は無い。途中で俺は置いて行かれる。なので一人で走って疲れて歩いて、また少し回復したら走ってを繰り返す。
景色がなかなか変わらない。ずっと森の中だ。
確か距離は3離ちょっとだった。だから今の俺のペースだと1時間あれば着くはず。そう思うのだが周りの風景が変わらないと進んでいる感じがしない。
進んでいる感じがしないと言うと、日本なら狸に化かされるというのがメジャーだろう。しかしこの国の民話だと狸ではなく樹木の化け物が化かす話になる。
しかし樹木なんて植物がそう能動的に人を化かすなんて発達はしないだろう。せいぜいモウセンゴケとか程度で。そんなのがあったらとっくに魔獣扱いして討伐しているだろうし。しているよな、きっと。
そんなくだらない事を考えながらとにかく前に進む。やっと何か水の音が聞こえ始めた。川が近くなってきたようだ。
しばらく歩くと予想通り沢が横に流れていた。ちょうどいいので休憩することにする。何せ騙されて出てきたのでコップとか何も持っていないのだ。
もちろん日常魔法で水を出すことは出来る。でもこういった自然の水の方が飲んで美味しいと言われている。それを試すいい機会だ。
鑑定魔法の結果では『飲んでも支障はない水』と出た。ならばという事で早速すくって飲んでみる。
うん、確かに美味い。程よく冷たいだけでない。味そのものが美味しいような気もする。微量成分が何か関係しているのだろうか。
この国の家には排水溝はあるが上水道は無い。日常魔法で安全な水を簡単に得ることが出来るからだ。昔の建物なら井戸があったりもするけれど。
でもこういう水は確かに美味しいよな。
念のため魔法で出した水を同じ温度にして飲み比べてみる。やはり違うような気がした。これなら美味しい水を欲しがる人もいるだろう。流通が今一つだから美味しい水の市販なんて割に合わないけれど。
さて、川まで来たら湖までそれほど遠くなかった筈だ。そろそろ歩き出すとしようか。
約1時間で予定通り別荘までたどり着く。結構足が疲れた。特に脛の後ろ側がちょい痛い。
「遅い! みんな半時間前には着いているよ」
「まあまあ、無事着いたからいいじゃないですか」
「こっちは湖を3周しちゃったのだ」
なるほど、とりあえず皆さんお疲れ。一番疲れているのは間違いなく俺だけれど。
「明日からこれを毎日ね」
「頼むからそれはやめてくれ」
「冗談だよ」
悪い冗談だ。
取り合えず部屋から万能魔法杖を持ってきて回復魔法をかける。足の痛む部分が楽になった。
やっぱりこの万能魔法杖は便利というかもう必須だ。もっと小型化していつでも持ち歩けるようにしておきたい。後でまた再設計しよう。
「ところで今日は夕食はどうしよう?」
「最近肉を大量に食べているしね。すこしさっぱりしたものがいいかな」
「さっぱりしたもの、ねえ」
「俺は肉でもいいけれどな」
おいおいシンハ君。
「なら今日は私が作りましょうか」
おっ、ユキ先輩が何か案があるようだ。
「お願いしていいですか」
「勿論ですよ。あとアキナ、手伝って頂けますか」
この組み合わせで作るのは珍しい。俺的にはちょっとドキドキしてしまうけれど。
でもまあ雑念を払ってこの時間は万能魔法杖の再設計をしよう。
サイズ的にはあとひとまわり小さくするのが限度だろう。しかし形さえ工夫すればウエストポーチ程度には収まる筈だ。
勿論ウエストポーチは専用品になる。しかしそれくらいは俺でも工作用魔法杖があれば作れる。バックルは竹素材を加工すればいい。基本的な素材は車に常備している。
万能魔法杖そのものは今使っているA4ノートパソコンサイズの物をそのまま改造するつもりだ。魔法銀《ミスリル》の在庫が少ないから仕方ない。
アンテナ部分を曲がらないよう木で包んだりコンデンサーのサイズを変えたり変形させたり。コイルも更に小さくしっかり巻き巻きする。形が変わっても鑑定魔法で容量が同じかどうかわかるから割と簡単だ。
ポーチ部分は鹿革、厳密には鹿魔獣革製。色はとりあえず染めていないので元のままの薄い黄色。ワックスだけは一応塗っておいた。これである程度の雨でも大丈夫だ。
ウエストポーチとしても一応ハンカチと財布位は入る。ファスナーは無いのでポケット部分はボタン止めだ。
取り敢えず完成したので装着してみる。フィット具合は悪くない。ただウエストで止めるより肩掛けにした方が恰好がいいかな。
普段はヒップバッグとして使った方が動くのに楽かもしれない。財布を入れたときはバッグ部分を前にした方がいいだろうけれど。
ついでにアキナ先輩のものもこの大きさにしておこうか。今は料理中だから後で本人に聞いてみよう。バッグにするならデザイン等の注文もあるだろうし。
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