病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

文字の大きさ
181 / 266
第22章 黒い油と秋の空

第172話 自分用魔道具製作中

しおりを挟む
 翌日は移動魔法用魔道具のカスタマイズから始まった。

「うーん、なかなか思い通りのデザインにならない」

「素直にシモンさんに概念スケッチだけ渡してお任せした方がいいんじゃない」

「ちょっとこだわってみたいのよ」

 ミド・リーがいつもは俺が使っている工作系魔法杖を使って苦戦中。他はあっさりシモンさんに作って貰ったり未だにスケッチを描いていたり色々。

 俺自身のものは万能魔法杖を兼ねているウエストポーチに一緒に組み込んだ。ボタン3つとバックルで分離する事も出来る。どうせ万能魔法杖は常用するしそれならと思ったのだ。

 シンハ君は原型に茶色いパイピングをしただけ。タカス君は焦茶色に色を変えただけ。この辺はあまりこだわりは無い模様だ。

 あと形はそのままなのがフールイ先輩。今朝からアウトドア用の長椅子を会議室に展開してポーチを抱えたままの状態だ。使用して何処かを見ているのかそれとも何か使用訓練みたいな事をしているのか。

「魔道具を使いこなしたいだけ。心配無用」

 そう言っていたからとりあえずそのままにしている。

 俺は今殿下に渡したのと同じタイプの工作魔法用と万能魔法用、生物魔法用魔道具を作っている。これらはそれぞれ皆に頼まれたのだ。
 タカス君に頼まれたのが工作魔法用。フールイ先輩に頼まれたのが生物魔法用。他の皆さんが万能魔法用だ。

 魔法銀《ミスリル》の在庫については心配いらない。お昼までには5重30kg分が届く予定だ。

「どうせ魔法銀《ミスリル》はこれからも色々使うつもりなんだろう。だから杖分の先払いという事で届けておくよ」

 そんな内容の遠距離伝言魔法が昨日夜に殿下からアキナ先輩の家に届いたそうだ。5重30kgもあれば結構思い切りよく使える。

 本当は一度出来上がった物はシモンさんが作る方が遙かに早い。しかしシモンさんは現在女性陣のポーチやバッグにかかりきりになっている。
 そんな訳で俺が作る羽目になったのだ。一度全部計算してどう作ればいいか分かっているから大丈夫だけれども。
 なお俺が作るのは内部の魔道具部分だけ。それを納めるバッグやポーチは各自独自のものをシモンさんに作って貰う予定。

「でも凄いよねこの魔道具。オマーチやハツカイ・チーまで良く見える」

 ミド・リーがとんでもない事を言った。

「俺はカナヤ・マとかアラ・テシャコが限界だぞ」

「魔力の違いですね。ミド・リーさんは持っている魔力が高いですから」

 ナカさんが解説してくれる。なるほどそういう事か。

「ミタキは体力だけで無く魔力も鍛える必要があるみたいね」

「鑑定魔法はあまり魔力が必要ないからなあ。知識を増やした方が効果が上がるし」

 鑑定魔法は常時発動していても必要な魔力は微々たるもの。魔力を鍛える必要がないし、鍛えるほど魔力を使う魔法を持っていない。

「俺なんかアージナやヌクシナがやっとだぜ」

「シンハは普段魔力を使わないから仕方無いよね」

「ふふふこれはシンハに勝ったな。私はカナヤ・マもオマーチも大丈夫だ」

「カナヤ・マとは何処なのだ?」

 小さい村だからフルエさんは知らないだろう。

「ニシーハラ侯爵領の奥地の村だよ。去年の冬に合宿をした場所なんだ」

「ちなみにシモンさんはどれくらいまで見えましたか」

「僕はかろうじてシンコ・イバシが見えるかな」

 おいちょっと待ってくれシモンさん。なんだその距離というか魔力は!

「この研究室に来てから工作系魔法を使いまくっていますからね。魔力が鍛えられたのでしょう」

 確かにシモンさん魔法を使いまくっている。魔力が鍛えられるのは当然だ。
 さて、魔力依存というとこの人にも聞かないとはじまらない。

「参考までにアキナ先輩は?」

「何とかコイの別荘が見えますわ」

 なんだそりゃ。

「流石というか論外だよなそれ」

「皆さんも高等部1年位になればこの程度の魔力になりますわ」

 それはない。

「いや無理でしょ絶対。ユキ先輩は?」

「私もコイの別荘まで見えますね」

 今の言葉で俺達は察した。

「聞いた相手が悪かったわ」

「そうですね」

 特別に論外に優秀な大先輩2人に聞いたのが間違いだったのだ。

「参考までにナカさんは?」

「秘密です」

 そんなおしゃべりをしながら色々作業をしたり絵を描いたりしている。

「これだけバッグを作るのなら鹿魔獣《チデジカ》も狩ってくればよかったな。あの革は軽くてしなやかでバッグ向きなんだけれどね。軍用のを作って在庫が無くなっちゃった」

「でもシモンさんの熱気球生地、薄くて軽いのに水を通さないからいいよね。色も可愛いし」

「ただ薄すぎて魔道具部分を隠すのに羊毛フェルトとかが必要なんだよね。それに耐久性はあまり自信ないし」

「その頃には冬になっているからまた魔獣狩りをやればいい」

「それもそうですね」

 まだ夏休みなのに早くも冬の話をしている。その前に行事が控えているのを忘れていないだろうか。

「それより秋の学園祭の出し物を考えて欲しいな。少しずつ考えないと」

「そう言えば殿下が来るんだよね、今年も」

「熱気球はまたやるとして、他には何がいいかなあ」

 うーん。
 でも俺は悩んでいる暇は無い。まずは注文品の魔道具を作らないと。
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

処理中です...