病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第22章 黒い油と秋の空

第179話 模型飛行機ほぼ完成

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 油田到着。まずは中心の周りを取り囲む石の部分に原油櫓を設置する。工作魔法で石と離れないよう密着させ、前回差し込んだままのパイプを抜いて穴を工作系魔法で埋める。

 更に研究室で作った長さ調節付きバルブ付きのパイプを櫓の真下に挿入。工作系魔法で下の石や砂を処理しつつゆっくり中まで差し込む。鑑定魔法で見ながらパイプの長さを調節し、油部分の上の方にくるようセット。パイプを櫓に固定すれば簡易な油田櫓、原油採取装置の設置は完了だ。

 無論自噴しなくなったらポンプも増設する必要がある。しかし鑑定魔法で中の圧力を見た限り当分は大丈夫な筈だ。念の為パイプ以外から漏れないようしっかりあちこちを固めておく。

 さて、それでは原油を採取しよう。パイプの上部分はぐるっと下向きにカーブさせている。その先に運搬用の缶をもってくるとちょうどいいように。
 パイプが詰まっていないか確認した後、パイプ上部分とタンク内を思い切り冷やしながらバルブを開ける。

 勢いよく原油が入ってきた。今回はパイプの長さを調整したからガスより液体部分が多い。
 持って来た缶2つを満タンにしてバルブを閉める。缶の蓋も閉めて作業終了だ。

 さて戻るか。
 この前移動した橋の下は今日も空いている。確認したが人目も無さそうだ。
 缶2つを持って移動魔法を起動。帰りだけなら缶2個持っても楽勝だ。


 最大の難関が橋の下部分から上へとあがる階段。ここは身体強化の上、缶を1個ずつ抱えて上がるしかない。
 でもまあ身体強化さえしておけば何とかなる程度。あとは缶2個をごろごろ引っ張りながら研究室へ戻るだけだ。

「ただいま」

 そう言って研究室に顔を出すとちょうど鐘の音が聞こえた。ちょうど終わりの時間のようだ。明日は原油の精製からスタートかな。

 ◇◇◇

 研究室の南西隅に小部屋が出来た。俺のジェットエンジン研究用である。パルスジェットエンジンの音が煩いと皆様から文句が出たせいだ。
 まあ確かに煩いのは俺も認める。俺自身も耳栓をして作業している状態だ。
 ただジェットエンジンの研究も模型飛行機の製作も順調。まもなく飛行試験が出来る状態になる。

 そろそろ熱気球の試運転もしなければならない。昨年の同じ頃を考えると天候が安定してくるのは学園祭の2週間前くらい。
 その前にシステムは一通り完成している必要がある。試験飛行の後に直してももう一度試験飛行する時間が無いのだ。

 模型飛行機はこのままでも多分まっすぐは飛ぶだろう。しかしそれだけだと面白く無い。本当はラジコンのように操縦できれば面白いのだ。
 ただ俺の知識ではラジコンを作ることは無理。工学魔法で飛行中の飛行機を変化させるのも難しいだろう。何か方法はないだろうか。

 今回の模型飛行機で動かしたいのは4系統。
  ○ 主翼の端の補助翼(エルロン)
  ○ 水平尾翼の補助翼(エレベータ)
  ○ 垂直尾翼の補助翼(ラダー)
  ○ エンジンの燃料系統
 あと決まった処に落とすなら、
  ○ ドラグシュートまたはパラシュート展開
があると便利だろう。

 これを動いている機体に直接工作魔法を使って操作するのは大変だ。微妙な操作をする必要があるし。
 取りあえず模型飛行機にも実機と同じように左右の補助翼が連動する装置をつけておく。こうすれば右をあげて左を下げるなんて動作が1回で済む。
 エンジンは原始的なパルスジェットだから基本ON・OFFのみ。OFFにしたらONに出来ないが仕方無い。


 パラシュートで落とすか飛行機風に着陸してドラグシュートを展開するかは実機を作ってから検討しよう。出来れば着陸できた方が面白いけれど滑走路が必要だよな。
 ただこれは校庭を工作魔法で平滑化すればとりあえず大丈夫だろう。空母搭載機のようにフックでもつけておいてもいいかもしれない。

 取りあえず完成した模型飛行機をもう一度見る。
 形はちょっと主翼が大きい単翼機だ。エンジンは胴体に埋め込んであるというか、ほぼ胴体の内部はエンジン。昔のジェット戦闘機と同じように機首から空気を取り入れる形式だ。

 大きめの翼と胴体の残りの部分には燃料を積み込んだ。着陸用にドラグシュートと同時に引き込み脚が展開するようにもした。
 ただ操縦が出来ないのでこの辺は自己満足に過ぎない。重さの分操縦装置が飛行性能を殺している面すらある。

「先輩どうですか」

 タカス君がのぞきに来た。ちょうどいいので何か方法があるかどうか意見を聞いてみよう。

「これでほぼ飛べる機体になっていると思うんだ。ただこれを飛ばしている途中でこの辺とか動かしたりしたいのだけれど方法が考えつかない」

 補助翼を指さしつつ説明する。

「これってこの前走り回っていたようにここから火を噴いて動くんですか」

「そう。エンジンは出力調整出来ないタイプだから基本燃料が切れるまで同じ出力で火を噴いたままの予定だ」

「なるほど。それで前進して気流が発生して……確かに浮きますね」

 タカス君は鑑定魔法で確認している様子だ。

「なるほど、この補助翼を動かせば確かに上下左右に動きます」

「そうなんだけれど動かす方法が思いつかないんだ。実機なら中に乗って操縦できるけれど」

「ちょっと待って下さい」

 タカス君はそう言って何か作り始めた。見るとレバーのようなものが2つだ。更に両方のレバーの背後に板を張り付けて何かを記載している。

「以前子供をあやす為、操作できるぬいぐるみを作った事があります。その時使った記述魔法を簡略化したものです。
 こっちのレバーと向こうのレバーにそれぞれ名前をつけます。今回は『その1』と『その2』という名前です。あとはそれぞれのレバーに、『その1が動いたらその2も同様に動く』、『その2が動いたらその1も同様に動く』と記載して魔力を通せば両方のレバーが連動します」

 おっ。確かにレバーが連動している。これならプロポとサーボモーターの代わりになるな。つまりラジコンのように動かせる。

「ありがとう。これで動かせそうだ」

「ただ俺の魔力だと3離6km位が限度です」

「その辺は杖を使って何とかやってみるよ」

 よし。これで一気に開発が進むぞ!
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