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第22章 黒い油と秋の空
第183話 アニメ事始め
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アキナ先輩とユキ先輩、それにシモンさんが協力したアニメーションがついに完成した。
装置そのものは枠付きの紙芝居風。その中をB4版位の画用紙が高速で移動する仕組みだ。
「描くのが大変でした。枚数が多くて」
「でも結構いい仕上がりになったと思いますわ」
フィルムではなく全部画用紙。だから装置の大きさもかなり大きい。
前から見るとフレーム付き紙芝居程度。だが横から見ると厚みがすごい。いわゆる一般的な商品搬送用の箱並みといってわかるだろうか。
なおかつ紙芝居枠の下にも同じような箱型のものがある。これは表示した後の紙の回収箱だろう。
カセット式っぽく取り外せるようになっているのはきっとシモンさんの工夫。ソフト部分を簡単に取り換えられるようにだ。B4画用紙の束なので取り換えるには頑丈人間《スパルタカス》か身体強化魔法強化済の腕力が必要だろうけれど。
「では開始いたします。最初の作品は『お花』です」
アキナ先輩がそう言って装置の横を操作。カタカタ音が鳴って2秒ほど白紙が流れた後絵が始まる。
ストーリーは単純だ。女の子がきれいなお花をみつける。摘もうかどうか悩んで、結局そのままにして一度画面上から消える。そして友達を連れてきてみんなでお花を見る。それだけの内容だ。
「凄い、絵が動いている」
「こんなの初めて見ました」
「どうなっているのこれ」
1秒につき16枚の絵を自動送りで流している。動力は鋼で作ったゼンマイ。ギアと紙止め、細い鋼板製の紙送り装置で画用紙を送っている。精密だけれどシステムそのものは単純だ。
「皆さんできれば内容の方も評価いただきたいところですわ」
そう言いつつもアキナ先輩は苦笑している。こういう反応になることも予測済みだったのだろう。
「もう一回見たいです」
「同意」
俺も同じ気持ちだ。基本的に単なる紙芝居装置なのにこんなに自然に動いて見えるとは思わなかった。本当は大画面で見てみたいところだが流石にそれは今は無理だろう。
でも待てよ。透明なガラスを作れるなら反射式幻灯機は作れる。必要なのは鏡とレンズと明るい光源。
光源は場合によっては日光だって使える。鏡で適宜反射させてうまく室内に取り込めばいい。
ああ今すぐ作りたい。作って大画面で見てみたい。しかしとりあえず今は我慢だ。
「実はもう一つお話を作っています。タイトルは同じく『お花』です」
ユキ先輩がそう言っている横でアキナ先輩がリンゴ箱大の箱を入れ替えている。あれがフィルムカートリッジに相当する画用紙の束なのだろう。
あんなの普通の状態のアキナ先輩が持ち上げられる訳はない。間違いなく身体強化を使っている。良く見ると見覚えのあるポシェットを身に着けているし。
箱を上下とも取り換え、ハンドルでゼンマイを巻いた後。
第二弾がはじまった。
女の子がもう少し背の高い人に向かって何か話している。どうやら告白シーンのようだ。
だが告白は失敗。もう一人は去り、女の子はがっくりうなだれそのまま女の子は座り込む。
犬が一輪の花をくわえてやってくる。女の子の前に座って花を見せて尻尾をフリフリする。女の子が犬を抱きしめる。
そこで終わりだ。
「何か涙が出てきそうだよね。これだけの話なのに」
「気持ちが良く伝わります」
「感動」
うんわかる。俺でさえ何かジーンとするものを感じる。
絵が動いているからだけではない。きっとこの絵を描いたユキ先輩の構成力や絵の巧さがあるのだろう。短いお話なのにしっかり伝わる。
「どうでしょうか。この2本を学園祭で出したいと思うのですけれど」
「間違いないよね、これ」
うんうんと皆で頷く。
「絵が動くだけでなく物語もすごく伝わりますね」
「同意」
「たったこれだけの時間なのに感動してしまったのだ」
「絵も簡単だけれど綺麗で伝わるな」
大好評だ。まあ当然だと俺も思うけれど。
でもまさかここまで仕上がるとは思わなかった。流石現役漫画家、おそるべし。
「絵や話も間違いなく凄いけれどさ。でも絵が動く仕組みなんてどうやって思いついたんだ?」
シンハ君が率直な疑問という感じで口にする。
「それはミタキ君が教えてくれたのですわ。絵を速い速度で切り替えると動いて見えますって」
「でも俺じゃこんな話や絵を作れない。機構を作ったのはシモンさんだしさ」
実際そうなのだ。俺は前世の知識から思いついただけ。実際に実現したのはユキ先輩とアキナ先輩、シモンさんだ。
「でもミタキ君、機構はまだまだ改造できるぞって顔をしていたよね」
シモンさんに言われてぎくっとする。まさか読心魔法を使えるのか。鑑定魔法と移動魔法用の魔道具は作って渡したけれど。
「でも今以上に出来るの……出来るみたいね」
ミド・リーのこの台詞は間違いなく読心魔法を使っている。
「その辺は待ってくれ。うまくいくかどうかわからないしさ。あとナカさん、学園祭で教室を一つ押さえてくれないか。出来れば校庭に近いところで」
「今からでは少し難しいかもしれませんがやってみます」
よし、それじゃ紙芝居から映写装置へと改造しよう。大スクリーンで迫力の画像にしてみせる。
装置そのものは枠付きの紙芝居風。その中をB4版位の画用紙が高速で移動する仕組みだ。
「描くのが大変でした。枚数が多くて」
「でも結構いい仕上がりになったと思いますわ」
フィルムではなく全部画用紙。だから装置の大きさもかなり大きい。
前から見るとフレーム付き紙芝居程度。だが横から見ると厚みがすごい。いわゆる一般的な商品搬送用の箱並みといってわかるだろうか。
なおかつ紙芝居枠の下にも同じような箱型のものがある。これは表示した後の紙の回収箱だろう。
カセット式っぽく取り外せるようになっているのはきっとシモンさんの工夫。ソフト部分を簡単に取り換えられるようにだ。B4画用紙の束なので取り換えるには頑丈人間《スパルタカス》か身体強化魔法強化済の腕力が必要だろうけれど。
「では開始いたします。最初の作品は『お花』です」
アキナ先輩がそう言って装置の横を操作。カタカタ音が鳴って2秒ほど白紙が流れた後絵が始まる。
ストーリーは単純だ。女の子がきれいなお花をみつける。摘もうかどうか悩んで、結局そのままにして一度画面上から消える。そして友達を連れてきてみんなでお花を見る。それだけの内容だ。
「凄い、絵が動いている」
「こんなの初めて見ました」
「どうなっているのこれ」
1秒につき16枚の絵を自動送りで流している。動力は鋼で作ったゼンマイ。ギアと紙止め、細い鋼板製の紙送り装置で画用紙を送っている。精密だけれどシステムそのものは単純だ。
「皆さんできれば内容の方も評価いただきたいところですわ」
そう言いつつもアキナ先輩は苦笑している。こういう反応になることも予測済みだったのだろう。
「もう一回見たいです」
「同意」
俺も同じ気持ちだ。基本的に単なる紙芝居装置なのにこんなに自然に動いて見えるとは思わなかった。本当は大画面で見てみたいところだが流石にそれは今は無理だろう。
でも待てよ。透明なガラスを作れるなら反射式幻灯機は作れる。必要なのは鏡とレンズと明るい光源。
光源は場合によっては日光だって使える。鏡で適宜反射させてうまく室内に取り込めばいい。
ああ今すぐ作りたい。作って大画面で見てみたい。しかしとりあえず今は我慢だ。
「実はもう一つお話を作っています。タイトルは同じく『お花』です」
ユキ先輩がそう言っている横でアキナ先輩がリンゴ箱大の箱を入れ替えている。あれがフィルムカートリッジに相当する画用紙の束なのだろう。
あんなの普通の状態のアキナ先輩が持ち上げられる訳はない。間違いなく身体強化を使っている。良く見ると見覚えのあるポシェットを身に着けているし。
箱を上下とも取り換え、ハンドルでゼンマイを巻いた後。
第二弾がはじまった。
女の子がもう少し背の高い人に向かって何か話している。どうやら告白シーンのようだ。
だが告白は失敗。もう一人は去り、女の子はがっくりうなだれそのまま女の子は座り込む。
犬が一輪の花をくわえてやってくる。女の子の前に座って花を見せて尻尾をフリフリする。女の子が犬を抱きしめる。
そこで終わりだ。
「何か涙が出てきそうだよね。これだけの話なのに」
「気持ちが良く伝わります」
「感動」
うんわかる。俺でさえ何かジーンとするものを感じる。
絵が動いているからだけではない。きっとこの絵を描いたユキ先輩の構成力や絵の巧さがあるのだろう。短いお話なのにしっかり伝わる。
「どうでしょうか。この2本を学園祭で出したいと思うのですけれど」
「間違いないよね、これ」
うんうんと皆で頷く。
「絵が動くだけでなく物語もすごく伝わりますね」
「同意」
「たったこれだけの時間なのに感動してしまったのだ」
「絵も簡単だけれど綺麗で伝わるな」
大好評だ。まあ当然だと俺も思うけれど。
でもまさかここまで仕上がるとは思わなかった。流石現役漫画家、おそるべし。
「絵や話も間違いなく凄いけれどさ。でも絵が動く仕組みなんてどうやって思いついたんだ?」
シンハ君が率直な疑問という感じで口にする。
「それはミタキ君が教えてくれたのですわ。絵を速い速度で切り替えると動いて見えますって」
「でも俺じゃこんな話や絵を作れない。機構を作ったのはシモンさんだしさ」
実際そうなのだ。俺は前世の知識から思いついただけ。実際に実現したのはユキ先輩とアキナ先輩、シモンさんだ。
「でもミタキ君、機構はまだまだ改造できるぞって顔をしていたよね」
シモンさんに言われてぎくっとする。まさか読心魔法を使えるのか。鑑定魔法と移動魔法用の魔道具は作って渡したけれど。
「でも今以上に出来るの……出来るみたいね」
ミド・リーのこの台詞は間違いなく読心魔法を使っている。
「その辺は待ってくれ。うまくいくかどうかわからないしさ。あとナカさん、学園祭で教室を一つ押さえてくれないか。出来れば校庭に近いところで」
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