病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第27章 3学期の合間に

第237話 俺の予想外の用途

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「それにしてもあの魔力クレソン、随分な魔力を蓄えていたんですね」

「私もあそこまでだとは思いませんでした。持ち運べて人に吸収できるように錠剤にした際、魔力が漏れていたのは感じたのですけれど」

「青汁ドリンクにしたら効くんじゃないかな」

「最初試してみたのです。でもかなり危険な味だったので諦めました」

「私は大丈夫だと思ったんだけれどね」

 ミド・リーの舌というか味蕾がきっと特別製なのだ。俺は経験でその事を知っている。
 しかし事実であっても指摘しないのも友情だ、きっと。

 キーンさんとシモンさんが魔法缶を確認している。

「この魔法缶の構造は……シンプルですが効率的ですね。これは私が特に最適化しなくてもこのままで完成品です。この方式ですと魔法銀《ミスリル》の量をかなり節約できますから」

「でも基本的には詰め替えだね、空になった缶も回収して。これを1から作るとなるとガラス繊維部分が少し大変だよね。少量とは言え魔法銀ミスリルは高価だし。詰め替えなら材料は魔力クレソンだけだし作業も普通の工作系魔法使いなら出来る程度だからね。
 ところでこの魔力クレソンは栽培にどれくらい手間がかかるのかな」

「かなり丈夫なので一度発芽すれば簡単です。種より株分けの方が増やしやすいです。あと土より水耕栽培の方がよく育ちます。育成中に温度か水質、水量で時々ストレスをかけてやると蓄積魔力が増えるようです。通常の条件だと今位の気候なら30日程度で全長50cm程度に成長します」

「実際にうちの露天風呂横で水耕栽培した結果では1月程度ね。魔法で促成栽培も出来るけれど、それだと魔力が落ちるわ」

 こっちはミナミ先輩とミド・リーが説明してくれた。つまりその気になれば量産可能という事のようだ。
 これが使えれば色々便利だよな。記述魔法で自動的に動く機械なんかも簡単に作れそうだ。ル●バみたいな自動掃除機とか。実験装置や薬品製造装置もこれで24時間稼働させることが出来る。

「でもこれ、殿下だの軍だのに見せれば間違いなく量産を急かされるぞ。今は風魔法だからせいぜい家を倒す程度だけれどさ。炎魔法や電撃魔法なら間違いなく遠距離攻撃兵器だからな。それにフールイの爆発魔法も誰でも版作っただろう。あれを使った日にはその辺一帯ただの荒れ地だ。でも生物系魔法杖の方がタチが悪いか。
 まあ何にせよ洒落にならない武器になるのは間違いない。何せ優秀な魔法使いが一発で魔法を使いきる位の攻撃を連射出来るんだ。魔法缶を変えるだけでさ」

 ヨーコ先輩の台詞で俺は気付く。

「そういう使い方もあるんですね」

 攻撃に使うなんて全く考えてもいなかった。ヨーコ先輩は意外そうな顔をする。

「ミタキはそのつもりじゃなかったのか、こんな試射なんてやって」

「ただ単に魔法缶の威力を試すにはこれが一番いいかと思っただけです。本当は『人がいなくても自動的に魔法で動く機械』を作ろうと思って作ったんですから」

「人がいなくても動く機械ですか。まるで伝説のゴーレムみたいですね」

 これはキーンさん。
 ゴーレムか。確かにあれも自動機械みたいなものだな。

「構造と記述魔法を工夫すれば作れると思います、間違いなく。作る手間はかかると思いますけれど」

「そんなの作ったら余計に危険だぞきっと。だってその気になればゴーレムの兵士とかも作れるんだろう。戦争が一気に変わる」

 ああ、確かに。出来ないかと言われると出来てしまうな。思わず構造まで考えてしまう。

「でも2足歩行で歩かせるのが難しいよね。最初は4足歩行がいいかな。センサーとなる部分は前ではなく上の中央になるね。そして……」

 シモンさんも頭の中でゴーレムの設計を始めてしまった模様。

「歩かせる必要は無いと思います。出来るだけ軽く作って風魔法で滑空する感じで動かせば。技術は飛行機のものを応用してさらに軽量化すればかなり長距離を高速で動く飛行ゴーレムが作れると思います」

 キーンさんまで。
 でも確かに自動飛行ゴーレムなんて便利だな。手紙を高速で運んだり出来るだろうし。

「その辺まで含めてジゴゼンさんに相談が必要だな、これは。ちょっと黙っている訳にもいかないだろう」

 皆さん頷く。確かにとんでもない可能性が出てきてしまったようだ。

「一度皆に話して、それからジゴゼンさんに話に行こう」

 どうも事態は俺の思ってもみない方向に進んでしまうようだ。

 ◇◇◇
 
 全員に話した後、ニ・ホの飛行場へ。予想通りジゴゼンさんがいたので簡単に事情を話した後、同じ海岸で試射して威力を確認して貰う。
 ジゴゼンさんは少し考えた後、話し始めた。

「結論として、これは非常に有用なものだと判断します」

 ジゴゼンさんはそこで一息ついた後、更に続ける。

「これが安価に普及すれば、例えば畑を自動で耕すゴーレムだとか、同じく鉱山で働くゴーレム等も作ることが出来るでしょう。生産力が一気に上昇します。
 もっと単純な事にも使えます。例えば時計だってこれを使えば簡単で正確なものが作れるでしょう。蒸気自動車と組み合わせて自動操縦の乗合自動車なんてものすら出来るかもしれません」

 そう、本来はそういった可能性が待っている筈のものなのだ、この魔法電池は。しかし……
 ジゴゼンさんの表情口調で俺は理解する。どうやら先に、もっと別の方面にこの技術を投入せざるをえないのだろうと。
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