病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第28章 春合宿は…… 

第242話 やっぱり食事は豪華です

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「海中を散歩するだけで楽しいわよ。色々思っていたのと違って。魚もすごく多いし、色んな生き物がいるのが見えるし」

「大きいのが多いのは結構深い場所だから近づきにくかったな。でもずっと息が続くから色々狙えるしさ」

 そんな事を話しながら遅めの昼食開始。なお食卓は豪勢だ。ちょっとしたバイキング料理のテーブルに近い勢い。

 小魚類は今回は素揚げと塩漬け。貝類は焼いたものとスープ。ある程度大きい魚はカルパッチョと焼き魚だ。

 今回は魚も大物が多い。潜水組、特に身体強化組の獲物が強烈だったおかげだ。カツオというよりはマグロっぽい身質の丸々したのとかタイっぽいのとか。

 魚が多すぎるのでフールイ先輩と捕えた魚は干物とか漬け物とかにしてある。味噌っぽい調味料を買い出し組が見つけてきてくれたので西京漬け風も作った。いまから出来が楽しみだ。

 最近は海路での流通が良くなったためか食品をはじめとする商品の種類がどんどん増えてきている。戦争が近いとか言っていたけれど民間の景気は絶好調だ。

「冬の合宿も豪勢でしたけれど、今回の合宿も食事が凄いですね」

「色々捕れるしね。料理上手も揃っているし」

 上手じゃない人がそう説明。
 俺も鯛や鮪のカルパッチョをソースごとパンに乗せてかぶりつく。うん、これこそ海の合宿の醍醐味だ。
 貝は焼いたのをそのまま食べるのが一番美味しい。でもスープもなかなか捨てがたい。

 なお今回も貝類の一番人気は焼き牡蠣の模様。俺達が3人で50個近く剥がしたのにあっという間に全滅した。

「この不思議な形の貝が美味しいですね。レモン汁を少しつけて食べると最高です」

「これは探せば簡単に捕れるよ。この先の小さな川の河口部分にびっしりいたのをさっき確認したから。捕るのがたいへんだけれど」

 そんな穴場を見つけたのか。是非捕りにいかないとな。

 俺は少ししか手が出せなかったがスパゲティも好評。
 中でもあのアサリっぽい貝がたっぷり入ったスパゲティがもう最高。タカス君が作ってくれたのだが文句なく美味しかった。

「故郷の味なのだ」

 フルエさんが漫画盛りで取って食べている。あれでは午後は動けないのではないだろうか。それも個人の自由だけれども。

 そんなこんなで食べ終わったら午後の部突入。今回は午前中潜水に挑戦しなかった俺達が潜水に挑戦。
 俺は泳げないけれど大丈夫だろうか。そう思ったのだけれどミド・リーに強引に勧められた。

「普通に泳ぐのと比べて息継ぎしなくていいから絶対楽よ。いいから思い切り楽しんできなさい」

 そんな訳で潜水の準備にかかる。ボンベに空気を入れて、ゴムボートの蓄電池を取り換えてと。
 なお使った蓄電池はあの電気自動車に接続して充電しておく。あらかじめ外部蓄電池も充電できるようにしてあるし、電池そのものも電気自動車用のものと共通だ。

「おすすめの場所はボートでちょい北に向かったところの入江かな。案外深さがあるし流れが少ないしね。それに色々な魚や貝がいたよ」

「獲物を入れる網と貝をはがす専用ナイフを各自で持って行った方がいいわよ。そのかわり水中銃は1つでいいから。さっきは牡蠣がいっぱいいたのにナイフが無くて悔しい思いをしたしね。何なら私が案内するわ」

 そんな訳でミド・リーに案内してもらい、俺、フールイ先輩、キーンさんという午前中のメンバーと一緒に潜水へ。
 電動ゴムボートは小走りくらいの速さで水上を走る。

「楽しいですねこれは」

「これだけでも楽しいけれどね、海の中はもっと楽しいわよ」

「期待」

 確かにゴムボートで海上を動いているだけでも充分楽しい。波で上下したりするのも愛嬌だ。
 6半時間10分程度ボートで移動。小さな川の河口部分に出来た入江の岩陰にアンカーを落としてボートを停める。

「それじゃ潜水準備ね。マスク部分はゴムで強めに顔につけて中にある息を吐く筒を口で咥える。そうしてゆっくり息を吐いて吸ってを繰り返すとマスク部分がしっかりくっつくから。最初少し空気が少ない気もするけれどすぐ慣れるわ」

 この辺の半分は俺が設計したのだけれどな。
 マスクの中の空気はちょっとだけ気圧低めにしてある。つまり気圧でマスクをより密着させる構造だ。
 なお水圧がかかると少しずつマスク内の気圧も上がるようになっている。この辺は記述魔法様々という感じだ。

 言われた通り全員が獲物用の網とオイスターナイフを装備。あと軍手と脚フィンも装備。
 水中銃はとりあえず俺が装備してエントリー。水中散歩へと繰り出す。


 そうか、無理に呼吸しようと顔を上げなければ泳ぐのは簡単なんだ。繰り出してすぐに俺はその事を理解した。
 足のフィンのおかげで推進力があるおかげもあるかもしれない。
 しかし腰にオイスターナイフと獲物網。左手に水中銃を構えた状態でも結構思い通りに泳げる。

 しかもマスク型は視界が広い。曇りも軽く日常魔法でマスク面を温めてやるだけで消えるし。

 そして水中が楽しい。魚が集団で泳いでいたりするし、ウニや貝も目が慣れるとそこここにいる。
 思わず顔がにやけてしまいそうだ。マスクで固定しているので表情を変えられないけれど。

『思った以上に楽しいですね。それに自由自在に動けます』

『一応安全の為に全員で動くけれどね。でも楽しいでしょう』

『同意。あとあの海老狙いたい』

『動きが早くてすぐ逃げられちゃうのよあれ。確かに美味しそうだけれど』

 日常レベルの伝達魔法で会話も可能。

 確かにあのイセエビ風のでかい海老、美味しそうだ。水中銃よりも餌付きの針とかの方が効果がありそうだ。上に戻ったら色々作ってみよう。
 そう思ったらフールイ先輩がふっと動いてそのままイセエビ風を手で捕えた。エビは逃げもせずあっさり捕まる。おいおいなんだ今の技。

『炸裂魔法を小範囲で使ってエビを気絶させた。これなら捕れる』

 そうか、先輩はその手を使えるのか。

 そんな感じで水中を散歩する。散歩しながらも皆さん獲物を捕まえたりしている。
 俺はもっぱらウニと貝狙いだ。確かにこれなら水中銃は邪魔だよな。そう思った時だ。

『ミタキ、水中銃貸して』

 ミド・リーがそう伝えてきて俺から銃を取り上げる。
 何を見つけたんだろう。そう思いながらミド・リーの動きを見てみる。

 彼女はすっと少し浮き上がり、横方向に移動すると底の一点を狙って銛を発射。
 地面にしか見えなかった部分がバタバタ暴れる。これはヒラメの類だ。しかもそこそこ大きい。

『やった大物。これがあるから水中銃も最低1つは欲しいのよね』

 なるほど。
 しばらくそんな感じで水中を散歩したり獲物を捕ったりした後。

『体温がすこし落ちてきたから一度上に戻りましょう。次はとっておきの場所に案内するから』

 そんな訳でゴムボートに戻る。
 この頃には俺も大分水中散歩に慣れてきた。息を思い切り吸えば身体は少し浮き気味になるし思い切り吐けば沈み気味になる。ほんの少しの差なのだけれどこれを使えば水中で静止するのも簡単だ。息を思い切り吸って軽く足と右手を動かせば上に行くのも簡単。

 ただゴムボートに乗り込むのは結構大変だった。身軽なミド・リーがさっとボート上に上がり、あとは1人ずつ引っ張り込むように中へ。

「ゴムボートも後で少し改造しよう」

「でもあまりデッキが低いと波で水が入ってくるわよ」

「梯子が欲しい」

「今日帰ったら作りますよ」

 そんな事を言いながらまたゴムボートを走らせる。海中でやや冷えた身体に太陽の熱が心地よい。
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