病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第29章 春の嵐

第252話 研究室の方針

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 目が覚めるとすぐ近くに天井。
 ここは何処だとちょっと考えて気付く。仮眠室のカプセル風ベッドだ。治療室になっている会議室からここへと運び込まれた模様。

 ミド・リーは大丈夫だろうか。慌てて小さい個室のカーテンを開ける。
 外は明るい。影の感じからして午後2~3時と言ったところだろう。俺は運んであった靴をはいて仮眠室から出る。

 研究室にいたのはシンハ君、ヨーコ先輩、タカス君、フルエさん。会議室前に机を並べて大きな四角にして座っていた。
 いつもはシモンさんとフールイ先輩の超大型魔法アンテナが並んでいる処だ。

「大丈夫か、ミタキ」

 シンハ君の台詞に俺は頷く。

「ああ。ミド・リーは?」

「今はナカさんとシモンさんが当番で看ている。アキナ先輩やユキ先輩とさっき交代したところだ」

 そういう事か。ちょっとほっとする。

「今先輩達はミド・リーの治療情報を材料にここの当番の出席免除を認めろと交渉に行っている。行ったばかりだから戻るまでにはもう少しかかると思う。フールイはまだ寝ているな。大分無理をしたようだしさ」

 これはヨーコ先輩だ。

「わかりました。念のためミド・リーの状態を見ていいですか」

「室内の無菌状態維持が大変だ。外から鑑定魔法で見た方がいい」

 タカス君の台詞になるほどなと思ってそして気付く。彼がそれを知っているという事は、全員に情報共有がなされたという事か。

 言われた通り会議室外から鑑定魔法で見てみる。先輩達と交代した時に比べ大分良くなっていた。
 更に白血病細胞が減っている。貧血状態も大分改善されている感じだ。少なくともすぐには輸血が必要になる事も無いだろう。

「安心したと思うので飯でも食べるのだ。今回は私が作ったのだ」

 フルエさんがキッチンに入ってお盆を持ってきた。結構いい匂いがしている。

「ありがとう」

 見ると押麦の粥と玉子焼き、鶏照り焼き、菜っ葉炒めという優しめのメニューだ。
 フルエさんの事だから揚げ物中心だろうと予想していた。しかしこっちの体調を考えたメニューにしてくれたようだ。

「食べながら今の状況を説明しよう。寝ている間に色々決めたからな」

「その為にシモン先輩がこんな物まで持ってきた」

 タカス君の台詞で見てみると大型の掛け時計が壁に下がっている。これって確か正金貨1枚50万円でコイで売っていた奴じゃないのだろうか。
 そういえば俺だけでなくシモンさんも欲しがっていたけれど買っていたのか。そしてここに持ってきたのか。

 ヨーコ先輩から説明が始まる。

「まず昨日夜、私の処にアキナ先輩からナカさん経由で連絡が入った。どうやらミタキ君とフールイさんがミド・リーさんの治療を研究室でしているらしい。状況次第では連絡を入れるがとりあえず明日は普通に登校して普通に研究室に来て欲しい。そんな内容だった。
 この内容でここの全員に連絡が回った」

 アキナ先輩は昨夜のうちから俺達の状況を知っていた訳か。おそらくはユキ先輩も。
 気付いたのはむしろユキ先輩かもしれない。あの人は寮員だし生物系魔法でかなり遠くの気配を知ることが出来る。空間系魔法で色々やりにくい学園内の状況もわかるだろう。

 ナカさん経由というのは遠隔で伝達魔法を使えるのがナカさんだけだからだ。強いて言えばユキ先輩も生物系魔法の応用で出来ない事は無いらしいが、かなり効率が悪いと言っていたし。

「それで授業が終わってここに集まってから、アキナ先輩から今の状況の説明を聞いた。ミタキ君とフールイさんが昨日からミド・リーさんの治療を続けていた事。アキナ先輩とユキ先輩がそれを引き継いだ事。ミド・リーさんの病気の概要と現在の状況及び治療方針。そんな処だ。
 その後各自の魔法適性から担当と当番を決めて、治療をナカさんとシモンさんに引き継いだ。その後先輩2人で3半時間20分位で資料を作り、学園に公休と支援体制のお願いをしに行った処だ」

 なるほど。全体の状況がやっと飲み込めた。

「すみません皆さん、色々手間かけさせてしまいまして」

「もっと早く俺達を頼れ、むしろそう言いたいけれどな」

 これはシンハ君だ。

「でもまあタイミング的には仕方ないかもな。ただ俺はどうもこういった魔法治療には向いていないみたいだからさ。とりあえず授業のノート取りと学級連絡に専念することにする」

「私とシンハ、フルエはそんな訳でとりあえず授業とか学級連絡支援だな。あとミド・リーの治療だから男子のタカス君にも治療当番から外れてもらった。ただタカス君の魔法は万能だし切り札にもなる。だからいざという時は予備要員としてお願いするかもしれない」

 タカス君には君付けでシンハ君には君無しなんだなと関係ない事をちょっと思う。本人は意識していない様だけれど。でもまあその辺はいつでもいいか。

「それでミタキ君の次の番は夕方6時から。それまでは栄養を取ってゆっくり休んでくれとの事だ」

 すごくほっとした。それと同時に何か涙腺が緩んできた。何か昨日から涙腺が弱くなっているようだ。
 いかんいかん、まだまだ事態は終わっていない。その辺は全てが終わった時にしよう。
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