59 / 202
第13章 冬の終わり頃の、ある記念日に
59 単なる期末試験の日
しおりを挟む
2月14日水曜日。学期末試験2日目。
俺は基本的に試験勉強はしない主義だ。
試験期間は、試験中に思い出せなかったり失敗した部分を復習するだけ。
だからいつもより勉強時間は少ないし、一夜漬け等からも無縁だ。
今日も試験時間前だが、まったりとパソコンで、対戦型ライフゲームの生存アルゴリズムをいじっている。
セルオートマトン型の放置型対戦ゲームだが、これがなかなか奥深くて面白い。
なお世間では2月14日はバレンタインデーとされているらしいが、あまり俺には関係ない。
今まで関係者全員配布型を含め、もらった相手は片手で計上可能だ。
ちなみに2進数を使えば0から31まで片手で数えられる。
使う必要は無いけれど。
魔法工学科の面々も、理系な為かあまりチョコ収集しているような感じはない。
むしろ皆で牽制しあっているような空気すらある。
5人しかいないクラス内女子も、甘い雰囲気を出している感じはまるでない。
まあこのクラスにはクラス内カップルがいないせいもあるけれど。
そんな空気のまま、3限までの試験時間が微妙に重苦しく過ぎていく。
本日は学生会もお休み。
なのでテストが終わっても行き場所がない。
むしろ学校内に残っていると、テストに関して不正が疑われる可能性すらある。
そんな訳でのんびり1人でマンションへ。
校内のあちこちで、渡したり渡されたりの儀式が行われている。
でも気にしてはいけない。
リア充死ねとか思ってもいけない。
むしろ生温かい目で見てあげるのが正解だろう。
彼らはきっとこの先、色々といらぬ苦労をするのだろうから。
彼らと彼女らの行く末に、呪いあれ。
あ、ちょっと本音が出てしまった。
幸いうちのマンションの台所は、今朝もチョコレートの臭いはしなかった。
多分俺とバレンタインとは縁がないのだろう。
例年通りだと、由香里姉と香緒里ちゃんからチョコを貰って終わり。
まったりのんびり帰ってみると、まだ誰も帰ってきていない。
4限まで試験がある香緒里ちゃんやジェニーはともかく、由香里姉は帰っていてもいいのだが。
特にやることもないので、自分の部屋で、今日のテストの反省箇所の復習でもすることにする。
◇◇◇
気づくと陽が大分傾いていた
時計を見ると午後4時30分。
リビングから複数人の気配がする。つまりもう皆帰ってきているのだろう。
俺も復習が一通り終わったので、机の上を片付け、リビングに向かう。
扉を開けた途端、俺は甘い香りに襲われた。
しかも妙に部屋の中が涼しい。
そしてリビングには、いつもの新旧学生会幹部ご一同が勢揃いしている。
どうやら何か作業していたのを片付けている様子だ。
お湯入りボールとかキッチンペーパーの箱とか、色々とテーブル上に残っている。
「惜しいな、あと3分待ってくれれば完璧だったのだが」
Tシャツホットパンツにエプロン姿の奈津希さんが、そう言って俺の方を見た。
何をやっていたかなんて甘い匂いですぐわかる。
間違いなくチョコレートの匂いだ。
「修も出世したわよね。こんなにたくさんの女の子から、手作りチョコを作って貰えるなんて」
「去年は由香里姉からの1個だけだったけどな」
その1個は味について、大変コメントしにくい代物だった。
チョコレートとは、こんな苦味とエグみをもった代物だったのか。
そう再認識してしまう程に。
「今年は講師の先生を招いて、材料配分から温度管理までしっかりやったから美味しいわよ」
講師の先生とは奈津希さんの事だろう。
確かに魔法で温度管理は自在だし、普段の料理の腕から見ても上手そうだ。
「さて、まずは私達からだな」
「いつもお世話になっていますからね」
と鈴懸台先輩と月見野先輩。
「すみません、ありがとうございます」
2人からはスマホ大のピンクのラッピング済み物体を頂く。
「次は私でしょうか」
風遊美さんのは少し高さのある箱。
「じゃあ私のも貰ってくださいれす」
ジェニーからは逆に平たい文庫本くらいの箱だ。
「今年の私のは自信作だぞ」
由香里姉のはファッション雑誌大の平たくて大きい箱。
「私のです」
香緒里ちゃんのは風遊美さんと同じ高さのある箱だった。
「さて、どうせならここで全部開封して中身を見てみない」
「いいね。ついでに少しずつ試食でも」
これは由香里姉と鈴懸台先輩。
確かにこの量のチョコは俺一人では食べ切れない。
「あれ、奈津希はチョコレートは無いのですか」
風遊美さんが気づく。
実は俺も気になっていたのだ。
奈津希さんからはまだチョコレートを貰っていない。
「後でわかるさ。それより修の貰ったチョコレートの見分会やろうぜ。修宛てじゃないけど僕のも放出するから」
そう言って奈津希さんは、どさどさと十数個のチョコレートを出す。
どう見ても今、俺が貰った分より遥かに多い。
「ちなみにこれが今日僕がもらった分。一緒に食べようぜ」
まあ、確かに奈津希さんはボーイッシュだし見た目もいいし、女の子受けしそうだ。
彼女がいた時期もあると聞いているし。
「いいのこれ」
「今は特定の彼女はいないしね。一応貰った子はちゃんと控えているし、ホワイトデーには手作りクッキーでもお返しするさ。その時は手伝ってやるから修も一緒に作ろうぜ」
俺は基本的に試験勉強はしない主義だ。
試験期間は、試験中に思い出せなかったり失敗した部分を復習するだけ。
だからいつもより勉強時間は少ないし、一夜漬け等からも無縁だ。
今日も試験時間前だが、まったりとパソコンで、対戦型ライフゲームの生存アルゴリズムをいじっている。
セルオートマトン型の放置型対戦ゲームだが、これがなかなか奥深くて面白い。
なお世間では2月14日はバレンタインデーとされているらしいが、あまり俺には関係ない。
今まで関係者全員配布型を含め、もらった相手は片手で計上可能だ。
ちなみに2進数を使えば0から31まで片手で数えられる。
使う必要は無いけれど。
魔法工学科の面々も、理系な為かあまりチョコ収集しているような感じはない。
むしろ皆で牽制しあっているような空気すらある。
5人しかいないクラス内女子も、甘い雰囲気を出している感じはまるでない。
まあこのクラスにはクラス内カップルがいないせいもあるけれど。
そんな空気のまま、3限までの試験時間が微妙に重苦しく過ぎていく。
本日は学生会もお休み。
なのでテストが終わっても行き場所がない。
むしろ学校内に残っていると、テストに関して不正が疑われる可能性すらある。
そんな訳でのんびり1人でマンションへ。
校内のあちこちで、渡したり渡されたりの儀式が行われている。
でも気にしてはいけない。
リア充死ねとか思ってもいけない。
むしろ生温かい目で見てあげるのが正解だろう。
彼らはきっとこの先、色々といらぬ苦労をするのだろうから。
彼らと彼女らの行く末に、呪いあれ。
あ、ちょっと本音が出てしまった。
幸いうちのマンションの台所は、今朝もチョコレートの臭いはしなかった。
多分俺とバレンタインとは縁がないのだろう。
例年通りだと、由香里姉と香緒里ちゃんからチョコを貰って終わり。
まったりのんびり帰ってみると、まだ誰も帰ってきていない。
4限まで試験がある香緒里ちゃんやジェニーはともかく、由香里姉は帰っていてもいいのだが。
特にやることもないので、自分の部屋で、今日のテストの反省箇所の復習でもすることにする。
◇◇◇
気づくと陽が大分傾いていた
時計を見ると午後4時30分。
リビングから複数人の気配がする。つまりもう皆帰ってきているのだろう。
俺も復習が一通り終わったので、机の上を片付け、リビングに向かう。
扉を開けた途端、俺は甘い香りに襲われた。
しかも妙に部屋の中が涼しい。
そしてリビングには、いつもの新旧学生会幹部ご一同が勢揃いしている。
どうやら何か作業していたのを片付けている様子だ。
お湯入りボールとかキッチンペーパーの箱とか、色々とテーブル上に残っている。
「惜しいな、あと3分待ってくれれば完璧だったのだが」
Tシャツホットパンツにエプロン姿の奈津希さんが、そう言って俺の方を見た。
何をやっていたかなんて甘い匂いですぐわかる。
間違いなくチョコレートの匂いだ。
「修も出世したわよね。こんなにたくさんの女の子から、手作りチョコを作って貰えるなんて」
「去年は由香里姉からの1個だけだったけどな」
その1個は味について、大変コメントしにくい代物だった。
チョコレートとは、こんな苦味とエグみをもった代物だったのか。
そう再認識してしまう程に。
「今年は講師の先生を招いて、材料配分から温度管理までしっかりやったから美味しいわよ」
講師の先生とは奈津希さんの事だろう。
確かに魔法で温度管理は自在だし、普段の料理の腕から見ても上手そうだ。
「さて、まずは私達からだな」
「いつもお世話になっていますからね」
と鈴懸台先輩と月見野先輩。
「すみません、ありがとうございます」
2人からはスマホ大のピンクのラッピング済み物体を頂く。
「次は私でしょうか」
風遊美さんのは少し高さのある箱。
「じゃあ私のも貰ってくださいれす」
ジェニーからは逆に平たい文庫本くらいの箱だ。
「今年の私のは自信作だぞ」
由香里姉のはファッション雑誌大の平たくて大きい箱。
「私のです」
香緒里ちゃんのは風遊美さんと同じ高さのある箱だった。
「さて、どうせならここで全部開封して中身を見てみない」
「いいね。ついでに少しずつ試食でも」
これは由香里姉と鈴懸台先輩。
確かにこの量のチョコは俺一人では食べ切れない。
「あれ、奈津希はチョコレートは無いのですか」
風遊美さんが気づく。
実は俺も気になっていたのだ。
奈津希さんからはまだチョコレートを貰っていない。
「後でわかるさ。それより修の貰ったチョコレートの見分会やろうぜ。修宛てじゃないけど僕のも放出するから」
そう言って奈津希さんは、どさどさと十数個のチョコレートを出す。
どう見ても今、俺が貰った分より遥かに多い。
「ちなみにこれが今日僕がもらった分。一緒に食べようぜ」
まあ、確かに奈津希さんはボーイッシュだし見た目もいいし、女の子受けしそうだ。
彼女がいた時期もあると聞いているし。
「いいのこれ」
「今は特定の彼女はいないしね。一応貰った子はちゃんと控えているし、ホワイトデーには手作りクッキーでもお返しするさ。その時は手伝ってやるから修も一緒に作ろうぜ」
48
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる