機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

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第29章 冬はつとめて(1) ~修4年冬編・前半~

149 そして次の行事へと……

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 さあ、そろそろ次のプログラムだ。

「さて、お楽しみ中ですがここで次に移らせていただきます」

 香緒里ちゃんのアナウンスが入った。

「ここで来年、フランスに旅立たれます宮崎台奈津希さんへのお礼の贈呈があります。奈津美さんは学生会の副会長としてだけではなく、頼れる先輩として、宴会部長として、また専属料理人として私達を導いて下さいました。ここで各人からお礼を込めて記念品を贈呈したいと思います」

 えっ、という感じに固まる奈津季さん。
 今回はこの件、予想していなかったようだ。
 まあ秘密厳守で進めていたしな。
 プレゼントの用意もクリスマス用と平行していたおかげで、ばれにくかったろうし。

 由香里姉から順番に奈津希さんに渡していく。
 そして奈津希さんのテーブル前に、プレゼントが並んだ。

「さあ奈津希、皆に頂いたものを見せてあげて」

 風遊美さんの言葉で、まだちょっと戻っていない状態の奈津季さんが一人一人からのプレゼントを開いていく。

 まずは由香里姉から。

「月並みだけど成田山の御守よ。向こうで災難等が無いようにって」

 そして鈴懸台先輩は、またもや手書きの怪しい券だ。

「うまく思いつかなくてさ。だから『欲しいものを5,000円以内まで日本で買って送ってあげる券』だ。送料は別」

「私のは非常用のお薬ですわ。内服外用いずれも可能、1回分だけですけれどね」

 もちろんこれは月見野先輩。

「私のはレターセットです。何かあれば何でもいいので書いて送って下さい。メールのほうが速いけれど、手書きで書きたいときもあると思いますから」

 風遊美さんの次は俺の番。

「見たとおりのボールペンです。飛行機内でもいつもの生活でも身につけられると思います。あくまでただのボールペンですから。芯も交換可能です」

「私のはペンダントネックレスです。普段付けていなくても、何かあれば出してみて私達のことを思い出して下さい」

 香緒里ちゃんのペンダントネックレス、例によって魔法効果がついているようだ。
 幸運ではなく厄除けに近い感じだが。

「私のは抱きまくられすよ。カバーはここにいる13人分描き下ろしなのれす。寂しい時にはお気に入りのカバーをかけて抱いて寝るといいのれす」

 ジェニーのについては、後でどんな絵かを確認したい。
 特に俺を描いた分、まさか裏面はだけてないよな。

「僕のもネックレスだ。魔法使いに魔除けというのも変もしれないが、僕の故郷で幸運を呼ぶ魔除けとして伝えられているシンボルだ」

 ルイスのはシンプルで綺麗なデザインだ。

「私のは言わぬが花の秘密装置ですよ。何かあったら魔力を注いでボタンを押して欲しいのです。効果は言わぬが花なのです」

 詩織ちゃんの装置は魔法発電装置とバッテリー、GPS受信機、何かの発信機がついている事くらいしか俺の魔法でもわからない。
 他にも怪しい装置が入っているけれど。

「私とロビーのは共同です。魔力充電式のタブレットパソコンです。とりあえず日本のコミックや小説の無料版も入れてあります。向こうで日本語に飢えたらどうぞ」

「SIMも入れられるしWifiも使えるデス。ネットも出来るデス」

 確かにこれはいいかもしれない。
 日本語の何かを読みたかったりしたら便利だ。

「私のも御守だ。出雲大社の縁結び。ストラップタイプなので何かに付けて欲しい」

 愛希ちゃんのは絵馬型のかわいい御守だ、
 御守としてだけでなくストラップとしても可愛いかも。

「私のはそれ以上開けないでそのまま荷物として向こうに持っていく事をお勧めします。中身は100円の日本風手ぬぐいが30枚入っています。簡単な個別包装済みですから向こうでお世話になった人等に配って下さい」

 これは理奈ちゃんだ。
 成程、こういう方向性もありだよな。

「ああ、皆、ありがとう……」

 何かまだ、奈津希さんは微妙に固まったままだ。

「もう奈津希、ちゃんと皆にお礼して」

「だってさ、何か嬉しくて……こういうの、実は慣れてないからさ」

 涙が出そうなのをこらえている感じ。
 俺達は奈津希さんの言葉が出るのを待っている。

「本当、勝手に独りで向こうへ行くことを決めて、相談も何もしないで、本当は独りでこっそり出ていこうとしたんだけどさ。そんなに勝手な僕なのにありがとう、皆。
 正直言うと今のこの環境、大好きで仕方ない。凄く離れがたいんだ。でもいずれやりたい事があって、そのためにはどうしても必要な気がするから僕はしばらくここを出る。ただ、2年先か3年先かわからないけれど、必ず戻ってくる。必ずもどってくるから……」

 台詞の後、奈津希さんが復活するまで1分少々かかった。

 そして話題は、奈津希さん宛プレゼントの品評会へとうつる。

 まずは一番問題が多そうな枕カバーだ。
 ジェニー画伯渾身の大作が1枚ずつ応接セット側に広げられる。
 勿論表になっているのはより刺激的な絵面の側だ。
 萌え絵化された面々が浴衣姿で、しかも全員前をはだけている。

「このジェニーの枕カバー凄いな。洗っても大丈夫なのかい」

「既に2回洗って色落ちを確認したので大丈夫れすよ」

 いや、凄いのはきっとそこじゃない。

「でも可愛く描けているよね」

「R15指定位でしょうか。問題は無いですよね」

「しかし良く特徴掴んでいるよな。誰だかすぐにわかるぞ」

「露天風呂で色々特徴をチェックしたのれす。浴衣の下まで確認済みれす」

 おいおい危険な発言だろう、それは。
 案の定俺まで脱がされているし。
 しかも下、もろ俺のいつものパンツだ。
 いつの間に観察しやがった。
 まあ洗濯物をベランダに干しているから観察しようと思えば出来るんだろうけれど。

 そして一番問題のある絵は、予想通りルイスの裏面だった。
 割られた眼鏡が外れて浴衣も強引に脱がされたらしく破れ、しかも顔を赤らめた絵になっている。

「Webでもルイスの絵は色々と需要があるのれすよ。誰とカプしても評判いいれす」

 カプって何だ。でも聞いたらきっとまずい気がする。
 ここは無視するのが、きっと正解だ。

 卒業生から1年生まで全員剥かれた危険なイラスト鑑賞会を終え次に移る。
 そして。

「修のこのボールペン見るからに怪しいよね」

 由香里姉に見つかった。
 由香里姉はボールペンを手に取り一瞬驚いた表情をした後、ふふんと頷く。

「成程ね。修らしいわ。でも大分腕を上げたようね」

 全員で持ってみて性能チェック。

「おーおーこれは凄い」

「今はここまでパワー付けられるのですね。出来るのは多分修君だけでしょうけれど」

「まあ奈津希なら持たせても問題ないでしょうね。ただ他の魔法使いには触らせない方がいいでしょう」

 という感じで品評して、最後に本来の持ち主となる奈津希さんへ。
 奈津希さんはボールペンを持って目を瞑る。

「成程、前にテストしたのはこれの試作品だったのか」

「そうです。これが最終完成品です」

「そう言えばヒデアキが修にとんでもないボールペン貰ったと言っていたけれど」

 今、奈津希さんは何気に失言をした。
 他の人が気付かなければいいけれど。
 俺はあくまで気づかぬ様子のまま話を続ける。

「あれは同じボールペンですけれど、少しセッティングが違います。あっちの方が増幅率が高くて拡散系ですね」

「ねえ、ところでヒデアキって誰?」

 あ、女王様ゆかりねえがお気づきになってしまった!
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