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第36章 お役目のない学園祭
193 グレムリンの召喚
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学園祭も、水曜位になると中だるみする。
そこで今年の学園祭実行委員が魔技大と合同で企画したのが『コスプレの日』。
水曜日と木曜日はコスプレ推奨で、各模擬店等でもコスプレ姿だとサービスがあるという内容になっている。
なお『高専生のコスプレ』、『一般人のコスプレ』は認められないそうだ。
わざわざそんな格好するのも何だかなと思うのだが、どうもお祭り騒ぎ好きは多いらしい。
コスプレ人口が一気に増えている。
うち半分近くが魔女の扮装というのは、本気でどうかと思うのだが。
お前らコスプレじゃなくて、リアル魔女だろ!
当然学生会役員も、強制的にコスプレさせられている。
香緒里ちゃんも、今朝は黒い長いワンピースに三角帽を持って出ていった。
いわゆる典型的魔女スタイルである。
ちなみにジェニーはベルばら系な男装をしてマンションを出ていった。
あの服はきっと、理奈ちゃん御用達の店で作ったんだろう。
詩織ちゃんは魔法少女スタイルだった。
基調色がピンクでステッキがラメ入りだ
「でもまあ、賑やかで楽しそうなのは悪い事じゃない、そう思うのよ」
俺と世田谷は、新地研究室の会議用テーブルで昼食中。
要は学園祭を回るのもいい加減飽きたのである。
他にテーブルには大学3年生の女子3人。目黒さん、三田さん、春日さん。
新地先生は今週は別の工学系学会へ行っていて不在。他は頑張って学園祭を満喫しているらしい。
「そう言えば皆さんは、コスプレ祭は参加しないんですか」
「流石にそんな衣装持っていないし、ねえ」
目黒さんの言葉に2人が頷く。
「私はコスプレって柄じゃないしね」
「お前は存在そのものが黒魔女だろ」
日常の服でさえ黒色上下の黒魔女に、コスプレなど必要ない。
「そう言えば世田谷さんと長津田君って仲が良いけれど、恋人とかそういうのですか」
三田さんがとんでもない事を聞いてきた。
「ない、ない。長津田はちゃんと相手いるし」
「黒魔女の相手が務まるほどタフじゃないしな」
「その黒魔女って言うのはあだ名なんですか」
そう言えば高専側の俺達は、大学側の学生とはあまり話した事が無い。
大学3年生は基本的に、研究室に来るのはゼミの時間だけ。
例外的に玉川先輩だけはふらっと勝手に来て怪しげな工作をしていたりするけれど、他には合同飲み会位しか顔をあわせた事が無い。
「黒魔女ってのは、世田谷使用の魔法の性質と併せた通り名みたいなもの。これでも高専の専科以外では、最強の攻撃魔法使いだし」
「え、じゃあ本当に火とか氷とか魔法を使えるの?」
世田谷は悪そうに笑って、テーブルの中央を指差す。
ふっと氷の山が出現し、しかもその上から炎が上がり始めた。
「えっ、これって……」
「凄い……」
「危なくないんですか……」
俺には世田谷の魔法の種が見えている。でも一応黙っておく。
世田谷がふっと笑うとともに、氷の山は現れたと同じ位の唐突さで姿を消した。
「まあ、今のは本物ではなくて幻影だけどね。火災報知器が鳴ると危ないし」
「世田谷は一応火水風雷土も使えるけれど、本来は闇系の魔法使いだしな。得意なのは幻影とか精神錯乱とかそっち。レベル的に世界有数級」
「凄い……」
世田谷が肩をすくめる。
「でも学内にはもっととんでもないのがいるからね。何なら本物の、世界有数級実戦魔法使いを呼んでみましょうか」
「おいおい、誰を呼ぶんだよ」
困った事に、心当たりは山ほどいる。
「一番簡単に呼べる子よ。冷蔵庫の中にケーキが入っているじゃない。多分あれで召喚出来るわよね」
世田谷の言葉で、俺も誰か理解した。
確かに一番簡単に呼べるし、魔力最強の実戦的魔法使いだ。
「召喚って、まさか魔獣とか?」
これは事情を全く知らない春日さん。
「魔獣なんて存在は、今のところ確認されていないわ。大丈夫、可愛い娘だから。という訳で長津田、準備」
「おいよ」
冷蔵庫からケーキを3ピース取り出し皿に載せ、ケーキフォークを添えてテーブルの上に置く。
それでは召喚呪文だ。
「詩織、おやつあるぞ」
「ありがとうなのですよ」
実にあっさりと詩織ちゃんが出現した。
おおーっ!という声が3人から漏れ出る。
「ちょうど休憩時間になったからよかったのです。では有難く頂くのです」
「その前に挨拶。世田谷はともかく他は初めてだろ」
俺の足を踏みつけつつも、声と仕草は可愛らしく詩織ちゃんは挨拶を開始。
「高専の魔法工学科3年の田奈詩織と申します。宜しくお願い致しますのです」
「今のって、瞬間移動?」
春日さんが尋ねる。まあそう見えるよな。
「空間操作魔法で近回りをしただけなのです。世田谷先輩、もう食べてもいいですか」
「許可!」
世田谷、あっさり許可出すな。
「では遠慮なく頂くのです」
詩織ちゃんはケーキを食べ始めた。
「世田谷さん、これってさっきと同じ幻覚魔法?」
目黒さんは未だ半信半疑だ。
しかしケーキは確実に無くなっていく。
「正真正銘の高専の学生よ」
本人は何を言われようと全く気にせず、ケーキを食べ続ける。
「でも何か可愛い、可愛い過ぎる」
おい三田さん、何だその反応は?
「そう言ってくれるとうれしいのです。ありがとうです」
三田さんに向けて、しっかりポーズを取る詩織ちゃん。
でも俺はここで注意したい。三田さん、見た目に騙されるな!
確かに魔法少女コスプレで、可愛い格好をしている。
困った事に似合っているし、一般的に見ても可愛いかもしれない。
でも中身はグレムリンだし、年齢も俺達とそんなに離れていないぞ。
「ねえねえ詩織ちゃん、今日これからは何か用事入っている?」
そして何やら三田さんに、何やら不穏な気配。
「今日は5時半に学生会室に戻れば大丈夫ですよ」
「ならお姉さんと大学側の学園祭を回らない。色々美味しい物も出ているよ」
あ、三田さん、早くもグレムリンの扱い方を理解したようだ。
詩織ちゃんがキラキラ目で俺の方を見た。
「修先輩、いいですか」
きっと止めたら、色々めんどいことになるだろう。詩織ちゃんも三田さんも。
「いいけどあまり無茶な魔法とかは使うなよ」
東京往復とかするなよ、という意味だ。
「了解なのです」
まあ大丈夫だと思う……大丈夫だろうか?
ちなみに俺が東京往復の次に心配なのは、三田さんの財布だ。詩織ちゃん、本当に食べるから。
本当に大丈夫かな。俺は心配だぞ。責任もとれないぞ……
そこで今年の学園祭実行委員が魔技大と合同で企画したのが『コスプレの日』。
水曜日と木曜日はコスプレ推奨で、各模擬店等でもコスプレ姿だとサービスがあるという内容になっている。
なお『高専生のコスプレ』、『一般人のコスプレ』は認められないそうだ。
わざわざそんな格好するのも何だかなと思うのだが、どうもお祭り騒ぎ好きは多いらしい。
コスプレ人口が一気に増えている。
うち半分近くが魔女の扮装というのは、本気でどうかと思うのだが。
お前らコスプレじゃなくて、リアル魔女だろ!
当然学生会役員も、強制的にコスプレさせられている。
香緒里ちゃんも、今朝は黒い長いワンピースに三角帽を持って出ていった。
いわゆる典型的魔女スタイルである。
ちなみにジェニーはベルばら系な男装をしてマンションを出ていった。
あの服はきっと、理奈ちゃん御用達の店で作ったんだろう。
詩織ちゃんは魔法少女スタイルだった。
基調色がピンクでステッキがラメ入りだ
「でもまあ、賑やかで楽しそうなのは悪い事じゃない、そう思うのよ」
俺と世田谷は、新地研究室の会議用テーブルで昼食中。
要は学園祭を回るのもいい加減飽きたのである。
他にテーブルには大学3年生の女子3人。目黒さん、三田さん、春日さん。
新地先生は今週は別の工学系学会へ行っていて不在。他は頑張って学園祭を満喫しているらしい。
「そう言えば皆さんは、コスプレ祭は参加しないんですか」
「流石にそんな衣装持っていないし、ねえ」
目黒さんの言葉に2人が頷く。
「私はコスプレって柄じゃないしね」
「お前は存在そのものが黒魔女だろ」
日常の服でさえ黒色上下の黒魔女に、コスプレなど必要ない。
「そう言えば世田谷さんと長津田君って仲が良いけれど、恋人とかそういうのですか」
三田さんがとんでもない事を聞いてきた。
「ない、ない。長津田はちゃんと相手いるし」
「黒魔女の相手が務まるほどタフじゃないしな」
「その黒魔女って言うのはあだ名なんですか」
そう言えば高専側の俺達は、大学側の学生とはあまり話した事が無い。
大学3年生は基本的に、研究室に来るのはゼミの時間だけ。
例外的に玉川先輩だけはふらっと勝手に来て怪しげな工作をしていたりするけれど、他には合同飲み会位しか顔をあわせた事が無い。
「黒魔女ってのは、世田谷使用の魔法の性質と併せた通り名みたいなもの。これでも高専の専科以外では、最強の攻撃魔法使いだし」
「え、じゃあ本当に火とか氷とか魔法を使えるの?」
世田谷は悪そうに笑って、テーブルの中央を指差す。
ふっと氷の山が出現し、しかもその上から炎が上がり始めた。
「えっ、これって……」
「凄い……」
「危なくないんですか……」
俺には世田谷の魔法の種が見えている。でも一応黙っておく。
世田谷がふっと笑うとともに、氷の山は現れたと同じ位の唐突さで姿を消した。
「まあ、今のは本物ではなくて幻影だけどね。火災報知器が鳴ると危ないし」
「世田谷は一応火水風雷土も使えるけれど、本来は闇系の魔法使いだしな。得意なのは幻影とか精神錯乱とかそっち。レベル的に世界有数級」
「凄い……」
世田谷が肩をすくめる。
「でも学内にはもっととんでもないのがいるからね。何なら本物の、世界有数級実戦魔法使いを呼んでみましょうか」
「おいおい、誰を呼ぶんだよ」
困った事に、心当たりは山ほどいる。
「一番簡単に呼べる子よ。冷蔵庫の中にケーキが入っているじゃない。多分あれで召喚出来るわよね」
世田谷の言葉で、俺も誰か理解した。
確かに一番簡単に呼べるし、魔力最強の実戦的魔法使いだ。
「召喚って、まさか魔獣とか?」
これは事情を全く知らない春日さん。
「魔獣なんて存在は、今のところ確認されていないわ。大丈夫、可愛い娘だから。という訳で長津田、準備」
「おいよ」
冷蔵庫からケーキを3ピース取り出し皿に載せ、ケーキフォークを添えてテーブルの上に置く。
それでは召喚呪文だ。
「詩織、おやつあるぞ」
「ありがとうなのですよ」
実にあっさりと詩織ちゃんが出現した。
おおーっ!という声が3人から漏れ出る。
「ちょうど休憩時間になったからよかったのです。では有難く頂くのです」
「その前に挨拶。世田谷はともかく他は初めてだろ」
俺の足を踏みつけつつも、声と仕草は可愛らしく詩織ちゃんは挨拶を開始。
「高専の魔法工学科3年の田奈詩織と申します。宜しくお願い致しますのです」
「今のって、瞬間移動?」
春日さんが尋ねる。まあそう見えるよな。
「空間操作魔法で近回りをしただけなのです。世田谷先輩、もう食べてもいいですか」
「許可!」
世田谷、あっさり許可出すな。
「では遠慮なく頂くのです」
詩織ちゃんはケーキを食べ始めた。
「世田谷さん、これってさっきと同じ幻覚魔法?」
目黒さんは未だ半信半疑だ。
しかしケーキは確実に無くなっていく。
「正真正銘の高専の学生よ」
本人は何を言われようと全く気にせず、ケーキを食べ続ける。
「でも何か可愛い、可愛い過ぎる」
おい三田さん、何だその反応は?
「そう言ってくれるとうれしいのです。ありがとうです」
三田さんに向けて、しっかりポーズを取る詩織ちゃん。
でも俺はここで注意したい。三田さん、見た目に騙されるな!
確かに魔法少女コスプレで、可愛い格好をしている。
困った事に似合っているし、一般的に見ても可愛いかもしれない。
でも中身はグレムリンだし、年齢も俺達とそんなに離れていないぞ。
「ねえねえ詩織ちゃん、今日これからは何か用事入っている?」
そして何やら三田さんに、何やら不穏な気配。
「今日は5時半に学生会室に戻れば大丈夫ですよ」
「ならお姉さんと大学側の学園祭を回らない。色々美味しい物も出ているよ」
あ、三田さん、早くもグレムリンの扱い方を理解したようだ。
詩織ちゃんがキラキラ目で俺の方を見た。
「修先輩、いいですか」
きっと止めたら、色々めんどいことになるだろう。詩織ちゃんも三田さんも。
「いいけどあまり無茶な魔法とかは使うなよ」
東京往復とかするなよ、という意味だ。
「了解なのです」
まあ大丈夫だと思う……大丈夫だろうか?
ちなみに俺が東京往復の次に心配なのは、三田さんの財布だ。詩織ちゃん、本当に食べるから。
本当に大丈夫かな。俺は心配だぞ。責任もとれないぞ……
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