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第9章 冬休みはリゾートへ
第57話 リゾート開発準備中
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俺が考えている事は単純だ。日本によくある温泉付きスキーリゾートの亜流を作る事。
ただしスティヴァレにはスキーもスノボも多分無い。だから事前に調べておく必要がある。
そんな訳で翌朝、事務所にて。フィオナの作業スケジュールを確認した後、声をかけてみる。
「フィオナ、悪いけれどちょい調べ物頼んでいいか」
「いいよ、どんな事?」
「雪上での移動方法についてだ。ソリの他に特殊な移動方法が無いか、図書館で調べてきて欲しい。スティヴァレだけでなく、この周辺国も含めて」
「それって例の冬の旅行の件かな?」
フィオナ、すぐに僕の意図に気づいたようだ。
「その通りだ。ただ午前中で分かる所だけでいい。午後は色々な道具を作って発注する作業が入る予定だから」
「わかった。それじゃ行ってくるね」
この世界にはスキーとかスノボ、小さいお遊び用のソリがあるのだろうか。そのものではないが似たようなものがあるのだろうか。その下調べだ。
スキーやスノボ、ソリの構造についても調べる必要がある。実際に作って色々確かめる必要があるから。
スキー用の靴や留め具は1から考えるより日本の既製品の構造を真似した方が早いだろう。あと俺自身はスキーもスノボも経験ないから、その辺の技術的な本も欲しい。俺の運動神経ではマスターできなくとも、ナディアさんあたりなら何とかしてくれるだろう。
更に温泉旅館についての本も取り寄せておこう。館の改良点とかも考えられるだろうし。
この世界では雪見酒という発想も多分無いだろうな。その辺についても参考資料が必要だ。
あとは冬に最適な料理も考えたい。やはりメインは鍋だろうか。
そんな事を色々メモし、召喚が必要な本を考える。その結果半時間後、俺の机は資料となる本で埋まった……
◇◇◇
「ただいまー。一通り調べて来たよ。あれ?」
俺はぐったり休憩中。テディにサラ、ナディアさんはフルカラー写真入りの日本語の本をめくっては色々お喋りしている状態だ。
「どうしたの、アシュ」
「午後から頼みに行く機材の翻訳を一気にやったら疲れた」
何せスキーと一言で言っても滑るスタイルと場所によって種類が多種ある。日本語の癖に俺の知らない単語に四苦八苦しながら翻訳し図面も描く。
ポールはちょい長めのものを選択して翻訳。アルミが無いのでちょい重くなるのは仕方ない。ワックスは蜜蝋や木蝋等の使えそうなものを何種か準備。留め具や靴はちょい古い登山用革靴のものを探して翻訳。前後のコバを少し広げて簡単に装着できるようにしておく。
更に同じ要領でスノボとかソリとかも翻訳。
その辺を一気にやった結果、久しぶりに脳を酷使して休憩中という訳だ。
「でもこれ、確かにやると楽しいかもしれないです」
ナディアさんが見ているのはスキーの基本的な滑り方の本だ。必要部分だけは訳してあるのでナディアさんでも読める。
「こういうテルメの施設、今は無いでしょうけれど出来ると面白いですわ」
テディが見ているのは温泉旅館の紹介。露天風呂で雪見酒なんてページを開いている。こっちは訳していないので絵本状態だ。
「雪でこういった遊びが出来るとは思いませんでした。私の田舎でも年に2回くらいは降ったのですけれど」
サラが見ているのはソリで滑るページ。俺も最初はソリで楽しもうと思っている。運動神経に自信が無いからな。
ソリと言っても色々難しい装置があるものではなく、日本だとプラスチック製で安く売られているアレだ。こっちだと木製になるからちょい重くなるだろうけれど。
「それじゃご飯を食べて、必要な道具を注文しに行こうか」
「あとは服も必要ですわ」
確かに寒いし雪があるからな。
「靴も特注した方がいいな。今回の遊び用には必要だからさ」
スキー板を着装できる分厚い革靴を作っておいたほうがいいだろう。当然靴は各自の足サイズ計測も必要だ。フルオーダーの靴だから時間もそこそこかかるだろう。
「アシュの翻訳はほぼ終わったのかな」
「道具系はな。あとは温泉の入り方についてもう少し翻訳したい本があるんだ。美容にいい入り方とか色々あるだろうからさ」
クアハウス関係の訳もしておきたい。あと実在のクアハウスや温泉施設のパンフの翻訳も。
どうせなら出来る限り面白く役に立つものにしたいのだ。別にここで頑張ってもそう俺が儲かる訳でも無いけれど。
「そう言えばサラやナディアさん、水着はあるかな? 無ければついでに作りに行った方がいいよね」
そういえばそうだ。やる事は結構ある。
まあ別荘と温泉施設を借りられる期限は雪があって施設がお休み期間である4月半ばまで。そのうちスキーが出来る程雪のある時期となると2月後半程度かな。
その頃までには色々揃うとは思うけれど。
でもさしあたってはフィオナが調べてくれたスティヴァレでの雪上移動の方法を読んでおこう。何かヒントになる事があるかもしれないから。
◇◇◇
道具等を色々そろえるのに半月程かかった。革靴とか手間のかかる物も多かったのにこの期間で済むのは魔法があるスティヴァレならではだ。
道具それぞれはこれからの見本としてそれなりに考えた作りになっている。例えばスキー板は外側がヒッコリーで内側がカサマツ、エッジ部分は鉄製。木材部分も魔法で加熱圧縮した魔法合板で重さの割に強い。
板に塗るワックスも蜜蝋、木材蝋、虫蝋等いくつか準備した。更に冬らしい料理に必要な個鍋とかステーキ皿とかテーブル用のかまどまで。
一事が万事その調子。それでも半月で揃ったのはまあ職人さんと俺の努力のおかげだ。
いつもの翻訳作業以上に疲れたが楽しい疲れでもある。その分遊べるという事だから。
そして、もうすぐ新年というある日。
食料は1週間山籠もりしても問題ない位に買い込んだ。ソリだのスキー板だの雪見酒用のお盆だの、膨れ上がったグッズは高級自在袋にも入りきらない。まあその辺は自宅に置いておいて、取寄魔法で持ち込めばいいだろう。
防寒服だの布団だの色々も準備した。足りなければ俺の移動魔法で買いに行くだけだけれども。
仕事関係のお客様には年末年始休業のお知らせも既に連絡済み。サラについては軽食屋のおじさんおばさんにも連絡済みだ。
準備は全て整った。全員購入した防寒服と靴を履いて行く気満々だ。
「それじゃ行こう。アシュ、魔法宜しく」
現地のかなり詳しい地図は既に渡されている。昨日試しに1回行ってみたので既に場所は完全に把握済み。
「では行きます。空間操作、遠隔移動、対象この部屋内の全員、場所バルマンのリゾート。起動!」
ただしスティヴァレにはスキーもスノボも多分無い。だから事前に調べておく必要がある。
そんな訳で翌朝、事務所にて。フィオナの作業スケジュールを確認した後、声をかけてみる。
「フィオナ、悪いけれどちょい調べ物頼んでいいか」
「いいよ、どんな事?」
「雪上での移動方法についてだ。ソリの他に特殊な移動方法が無いか、図書館で調べてきて欲しい。スティヴァレだけでなく、この周辺国も含めて」
「それって例の冬の旅行の件かな?」
フィオナ、すぐに僕の意図に気づいたようだ。
「その通りだ。ただ午前中で分かる所だけでいい。午後は色々な道具を作って発注する作業が入る予定だから」
「わかった。それじゃ行ってくるね」
この世界にはスキーとかスノボ、小さいお遊び用のソリがあるのだろうか。そのものではないが似たようなものがあるのだろうか。その下調べだ。
スキーやスノボ、ソリの構造についても調べる必要がある。実際に作って色々確かめる必要があるから。
スキー用の靴や留め具は1から考えるより日本の既製品の構造を真似した方が早いだろう。あと俺自身はスキーもスノボも経験ないから、その辺の技術的な本も欲しい。俺の運動神経ではマスターできなくとも、ナディアさんあたりなら何とかしてくれるだろう。
更に温泉旅館についての本も取り寄せておこう。館の改良点とかも考えられるだろうし。
この世界では雪見酒という発想も多分無いだろうな。その辺についても参考資料が必要だ。
あとは冬に最適な料理も考えたい。やはりメインは鍋だろうか。
そんな事を色々メモし、召喚が必要な本を考える。その結果半時間後、俺の机は資料となる本で埋まった……
◇◇◇
「ただいまー。一通り調べて来たよ。あれ?」
俺はぐったり休憩中。テディにサラ、ナディアさんはフルカラー写真入りの日本語の本をめくっては色々お喋りしている状態だ。
「どうしたの、アシュ」
「午後から頼みに行く機材の翻訳を一気にやったら疲れた」
何せスキーと一言で言っても滑るスタイルと場所によって種類が多種ある。日本語の癖に俺の知らない単語に四苦八苦しながら翻訳し図面も描く。
ポールはちょい長めのものを選択して翻訳。アルミが無いのでちょい重くなるのは仕方ない。ワックスは蜜蝋や木蝋等の使えそうなものを何種か準備。留め具や靴はちょい古い登山用革靴のものを探して翻訳。前後のコバを少し広げて簡単に装着できるようにしておく。
更に同じ要領でスノボとかソリとかも翻訳。
その辺を一気にやった結果、久しぶりに脳を酷使して休憩中という訳だ。
「でもこれ、確かにやると楽しいかもしれないです」
ナディアさんが見ているのはスキーの基本的な滑り方の本だ。必要部分だけは訳してあるのでナディアさんでも読める。
「こういうテルメの施設、今は無いでしょうけれど出来ると面白いですわ」
テディが見ているのは温泉旅館の紹介。露天風呂で雪見酒なんてページを開いている。こっちは訳していないので絵本状態だ。
「雪でこういった遊びが出来るとは思いませんでした。私の田舎でも年に2回くらいは降ったのですけれど」
サラが見ているのはソリで滑るページ。俺も最初はソリで楽しもうと思っている。運動神経に自信が無いからな。
ソリと言っても色々難しい装置があるものではなく、日本だとプラスチック製で安く売られているアレだ。こっちだと木製になるからちょい重くなるだろうけれど。
「それじゃご飯を食べて、必要な道具を注文しに行こうか」
「あとは服も必要ですわ」
確かに寒いし雪があるからな。
「靴も特注した方がいいな。今回の遊び用には必要だからさ」
スキー板を着装できる分厚い革靴を作っておいたほうがいいだろう。当然靴は各自の足サイズ計測も必要だ。フルオーダーの靴だから時間もそこそこかかるだろう。
「アシュの翻訳はほぼ終わったのかな」
「道具系はな。あとは温泉の入り方についてもう少し翻訳したい本があるんだ。美容にいい入り方とか色々あるだろうからさ」
クアハウス関係の訳もしておきたい。あと実在のクアハウスや温泉施設のパンフの翻訳も。
どうせなら出来る限り面白く役に立つものにしたいのだ。別にここで頑張ってもそう俺が儲かる訳でも無いけれど。
「そう言えばサラやナディアさん、水着はあるかな? 無ければついでに作りに行った方がいいよね」
そういえばそうだ。やる事は結構ある。
まあ別荘と温泉施設を借りられる期限は雪があって施設がお休み期間である4月半ばまで。そのうちスキーが出来る程雪のある時期となると2月後半程度かな。
その頃までには色々揃うとは思うけれど。
でもさしあたってはフィオナが調べてくれたスティヴァレでの雪上移動の方法を読んでおこう。何かヒントになる事があるかもしれないから。
◇◇◇
道具等を色々そろえるのに半月程かかった。革靴とか手間のかかる物も多かったのにこの期間で済むのは魔法があるスティヴァレならではだ。
道具それぞれはこれからの見本としてそれなりに考えた作りになっている。例えばスキー板は外側がヒッコリーで内側がカサマツ、エッジ部分は鉄製。木材部分も魔法で加熱圧縮した魔法合板で重さの割に強い。
板に塗るワックスも蜜蝋、木材蝋、虫蝋等いくつか準備した。更に冬らしい料理に必要な個鍋とかステーキ皿とかテーブル用のかまどまで。
一事が万事その調子。それでも半月で揃ったのはまあ職人さんと俺の努力のおかげだ。
いつもの翻訳作業以上に疲れたが楽しい疲れでもある。その分遊べるという事だから。
そして、もうすぐ新年というある日。
食料は1週間山籠もりしても問題ない位に買い込んだ。ソリだのスキー板だの雪見酒用のお盆だの、膨れ上がったグッズは高級自在袋にも入りきらない。まあその辺は自宅に置いておいて、取寄魔法で持ち込めばいいだろう。
防寒服だの布団だの色々も準備した。足りなければ俺の移動魔法で買いに行くだけだけれども。
仕事関係のお客様には年末年始休業のお知らせも既に連絡済み。サラについては軽食屋のおじさんおばさんにも連絡済みだ。
準備は全て整った。全員購入した防寒服と靴を履いて行く気満々だ。
「それじゃ行こう。アシュ、魔法宜しく」
現地のかなり詳しい地図は既に渡されている。昨日試しに1回行ってみたので既に場所は完全に把握済み。
「では行きます。空間操作、遠隔移動、対象この部屋内の全員、場所バルマンのリゾート。起動!」
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