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第9章 冬休みはリゾートへ
第63話 無理は禁物
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翌朝の朝食後。俺とテディはゼノアへ買い出しに、残り4人はスキーへと分かれた。
なおスキー側は俺がいない代わりに龍2匹でリフトの代わりをやるそうだ。今日はサラも上から滑ってみるとの事。
俺とテディはゼノアの漁港や川に近い一角へ魔法移動。まずは持ち運び可能な帆布を購入しに向かう。
「すみません。帆布を買いに来たのですけれど」
「サイズや素材は何かな」
その辺はフィオナに教えてもらってメモしてある。
「ゴム引き極厚防水のものを45サイズで」
俺の知らない単語だがフィオナによればこれで通じるそうだ。
「ゴム極厚防水、45だね。ちょっと待ってくれ」
フィオナが言ったとおりあっさり通じた。店主が奥へ行って、そして結構重そうなたたんだ布地を持ってくる。
「毎度あり。正銀貨15枚だけれどいいかな」
フィオナの書いたメモには『だいたい小金貨1枚と正銀貨5枚位の値段』とあった。まさに書いてあるとおりだ。
「これでいいでしょうか」
小金貨はこういった店ではあまり使わないから嫌われるとフィオナが言っていた。だからテディはあらかじめ用意していた正銀貨で支払う。
「ちょうどだね。またよろしく」
あっさり購入成功。俺は重くてかさばる帆布を自在袋に入れる。
「こんなものの規格とか値段なんて、よくフィオナ知っているよな」
そんな事を話しながら今度は木材屋へ。
どうやらこのあたり一帯は魚船等小型船の造船工場を中心に関連する商店が集まっている場所のようだ。
「よくこんな場所まで把握しているよな」
そんな事を話しながらフィオナに指定された木材店へ。
「いらっしゃい。ここは初めてのようだけれど大丈夫かい」
確かに俺にはわからないよなと思う。様々な種類の木材があるし、長さや厚さも様々だ。
だが俺にはフィオナ様が持たせてくれたメモがある。フィオナに言われた通り、それを渡してお願いする。
「こんな感じで加工までお願いします」
おっさんはメモを一瞥して大きく頷いた。
「おお、わかっているじゃないか。ちょっと待っていろよ」
一発OKだ。メモには俺にはわからない樹種とか不明な規格サイズとかが書かれていたのだが、どうやら向こうにはそれで通じたらしい。
「今まで気づかなかったけれど、フィオナって凄いんだな」
「あの知識の広さと汎用性はとんでもないです。でも実感したのは久しぶりですわ」
「何か以前そんな事があったの?」
「以前殿下が学校にいらした頃、何処へ頼めば良いかわからないような物を調達する際は全てフィオナに任せたものですわ。新しい看板を作ったり制服の見本を作ったり、食堂の新しい業者を調べるのも結局やってもらいましたから」
何処でそんな知識を仕入れてきているのだろう。
そんな事を考えていると、早くも先ほどのおっさんが木材を抱えてやってきた。既に端部分がはめ込めるよう加工されている。
「おいよ。指定通りに束ねて置いたぜ。正銀貨8枚だがいいかい」
「わかりました。これでいいでしょうか」
テディが支払う。この値段もフィオナの予想通りだ。
「毎度あり。それでこれはどうする。近くなら荷車を貸し出すぞ」
「大丈夫です。たいした距離ではないので」
流石に大きすぎてこれは自在袋にも入らない。だから身体強化魔法をかけてよいしょと抱える事になる。
「大丈夫か。無理すんなよ」
「何とか。どうもありがとうございました」
えいほえいほと歩いて路地に入り周りを探査。誰の目もない事を確認して移動魔法を起動。テルメ館の出口の傍へと到着する。
「とりあえずここへ置いておけばいいよな」
「そうですね。それでは着替えて私たちもスキーを楽しむことにしましょう」
面倒なので魔法でホテルの部屋へ移動。着替えてそのままいつもの初級者用スタート地点へ。
◇◇◇
昨日と同様滑って移動魔法で戻ってを繰り返すこと数回。
なおサラはスノーボードのまま上級者コースから滑ってきている。1日で完全にマスターして急斜面も降りてくることが出来るようになった模様。
「速度に慣れれば割と何とかなるものですね」
そんな俺には真似できない台詞を言っている状態だ。
「今度はテディお姉ちゃんも上から滑ってみませんか」
最近サラはテディをそう呼んでいる。他は単にさん付けなのだけれど、その辺は微妙な親密さの違いだろうか。
「そうですね。行くとすれば時間的に今日最後の機会ですから、一度くらいは試してみましょうか」
おいテディ、正気か。それだと初級者用からのスタートは俺だけになってしまう。唯一の男性としてのメンツはあまり無いけれど、ちょい悲しいのは事実だ。
よし、俺も挑戦しよう。正直かなり怖いが全員上からとなったら挑戦するまで。
これでも魔法武闘会優勝者でスティヴァレ最強なのだ。全くスキーに関係ないけれど。しかも表彰式前に逃げたから未公認だったりもするけれど。
「なら移動魔法で上まで行くか。フィオナ達は姿が見えないし」
「ありがとうございます」
そんな訳で昨日も訪れた稜線まで移動。やっぱり斜面が極悪なまでに急に感じる。
「それじゃテディお姉ちゃん、私は後からついて行きますから先にどうぞ」
「わかりましたわ。何かあれば風魔法で止まればいいのですものね」
テディはそう言うと思い切りよく下へと滑り出した。すぐにサラが後から続いていく。
こうやってみるとテディ、なんやかんや言って綺麗に滑っている。軌跡も昨日のフィオナの直滑降とかミランダの暴走気味な右往左往とは違っていい感じだ。
実はテディ、結構滑れるんじゃないか。そう思ってそして俺は気づく。
今、ここには俺1人だ。怪我をしても頼れる人は誰もいない。意識を失わなければ移動魔法で戻れるし治癒魔法も使えるけれど。
仕方ない。覚悟を決めよう。テディが滑った軌跡をなぞれば何とかなるだろう。
それじゃ行くぞ、3、2,いや風がふいたからもう一度やり直し。
何度もカウントダウンのやり直しをして。初級者用スタート地点に戻ろうかとも思ったが俺一人というのも悲しいからと思い直して。
仕方なく滑り出して、いきなり俺は後悔した。坂が急すぎてボーゲンが効かない!!
スキー板がバラバラに動きそうで、なんとか揃えると速度が異様に増して。ターンしようと思ったら何故かスキー板が坂道真下方向ど直滑降になって。
風魔法で向かいから風を吹かせて無理矢理速度を落としてターン。そのままコースとして使えるぎりぎり端まで行って停止。
駄目だ、この斜面は俺には厳しすぎる。とりあえず向こうの谷間まで移動魔法を使わせてもらおう。
なおスキー側は俺がいない代わりに龍2匹でリフトの代わりをやるそうだ。今日はサラも上から滑ってみるとの事。
俺とテディはゼノアの漁港や川に近い一角へ魔法移動。まずは持ち運び可能な帆布を購入しに向かう。
「すみません。帆布を買いに来たのですけれど」
「サイズや素材は何かな」
その辺はフィオナに教えてもらってメモしてある。
「ゴム引き極厚防水のものを45サイズで」
俺の知らない単語だがフィオナによればこれで通じるそうだ。
「ゴム極厚防水、45だね。ちょっと待ってくれ」
フィオナが言ったとおりあっさり通じた。店主が奥へ行って、そして結構重そうなたたんだ布地を持ってくる。
「毎度あり。正銀貨15枚だけれどいいかな」
フィオナの書いたメモには『だいたい小金貨1枚と正銀貨5枚位の値段』とあった。まさに書いてあるとおりだ。
「これでいいでしょうか」
小金貨はこういった店ではあまり使わないから嫌われるとフィオナが言っていた。だからテディはあらかじめ用意していた正銀貨で支払う。
「ちょうどだね。またよろしく」
あっさり購入成功。俺は重くてかさばる帆布を自在袋に入れる。
「こんなものの規格とか値段なんて、よくフィオナ知っているよな」
そんな事を話しながら今度は木材屋へ。
どうやらこのあたり一帯は魚船等小型船の造船工場を中心に関連する商店が集まっている場所のようだ。
「よくこんな場所まで把握しているよな」
そんな事を話しながらフィオナに指定された木材店へ。
「いらっしゃい。ここは初めてのようだけれど大丈夫かい」
確かに俺にはわからないよなと思う。様々な種類の木材があるし、長さや厚さも様々だ。
だが俺にはフィオナ様が持たせてくれたメモがある。フィオナに言われた通り、それを渡してお願いする。
「こんな感じで加工までお願いします」
おっさんはメモを一瞥して大きく頷いた。
「おお、わかっているじゃないか。ちょっと待っていろよ」
一発OKだ。メモには俺にはわからない樹種とか不明な規格サイズとかが書かれていたのだが、どうやら向こうにはそれで通じたらしい。
「今まで気づかなかったけれど、フィオナって凄いんだな」
「あの知識の広さと汎用性はとんでもないです。でも実感したのは久しぶりですわ」
「何か以前そんな事があったの?」
「以前殿下が学校にいらした頃、何処へ頼めば良いかわからないような物を調達する際は全てフィオナに任せたものですわ。新しい看板を作ったり制服の見本を作ったり、食堂の新しい業者を調べるのも結局やってもらいましたから」
何処でそんな知識を仕入れてきているのだろう。
そんな事を考えていると、早くも先ほどのおっさんが木材を抱えてやってきた。既に端部分がはめ込めるよう加工されている。
「おいよ。指定通りに束ねて置いたぜ。正銀貨8枚だがいいかい」
「わかりました。これでいいでしょうか」
テディが支払う。この値段もフィオナの予想通りだ。
「毎度あり。それでこれはどうする。近くなら荷車を貸し出すぞ」
「大丈夫です。たいした距離ではないので」
流石に大きすぎてこれは自在袋にも入らない。だから身体強化魔法をかけてよいしょと抱える事になる。
「大丈夫か。無理すんなよ」
「何とか。どうもありがとうございました」
えいほえいほと歩いて路地に入り周りを探査。誰の目もない事を確認して移動魔法を起動。テルメ館の出口の傍へと到着する。
「とりあえずここへ置いておけばいいよな」
「そうですね。それでは着替えて私たちもスキーを楽しむことにしましょう」
面倒なので魔法でホテルの部屋へ移動。着替えてそのままいつもの初級者用スタート地点へ。
◇◇◇
昨日と同様滑って移動魔法で戻ってを繰り返すこと数回。
なおサラはスノーボードのまま上級者コースから滑ってきている。1日で完全にマスターして急斜面も降りてくることが出来るようになった模様。
「速度に慣れれば割と何とかなるものですね」
そんな俺には真似できない台詞を言っている状態だ。
「今度はテディお姉ちゃんも上から滑ってみませんか」
最近サラはテディをそう呼んでいる。他は単にさん付けなのだけれど、その辺は微妙な親密さの違いだろうか。
「そうですね。行くとすれば時間的に今日最後の機会ですから、一度くらいは試してみましょうか」
おいテディ、正気か。それだと初級者用からのスタートは俺だけになってしまう。唯一の男性としてのメンツはあまり無いけれど、ちょい悲しいのは事実だ。
よし、俺も挑戦しよう。正直かなり怖いが全員上からとなったら挑戦するまで。
これでも魔法武闘会優勝者でスティヴァレ最強なのだ。全くスキーに関係ないけれど。しかも表彰式前に逃げたから未公認だったりもするけれど。
「なら移動魔法で上まで行くか。フィオナ達は姿が見えないし」
「ありがとうございます」
そんな訳で昨日も訪れた稜線まで移動。やっぱり斜面が極悪なまでに急に感じる。
「それじゃテディお姉ちゃん、私は後からついて行きますから先にどうぞ」
「わかりましたわ。何かあれば風魔法で止まればいいのですものね」
テディはそう言うと思い切りよく下へと滑り出した。すぐにサラが後から続いていく。
こうやってみるとテディ、なんやかんや言って綺麗に滑っている。軌跡も昨日のフィオナの直滑降とかミランダの暴走気味な右往左往とは違っていい感じだ。
実はテディ、結構滑れるんじゃないか。そう思ってそして俺は気づく。
今、ここには俺1人だ。怪我をしても頼れる人は誰もいない。意識を失わなければ移動魔法で戻れるし治癒魔法も使えるけれど。
仕方ない。覚悟を決めよう。テディが滑った軌跡をなぞれば何とかなるだろう。
それじゃ行くぞ、3、2,いや風がふいたからもう一度やり直し。
何度もカウントダウンのやり直しをして。初級者用スタート地点に戻ろうかとも思ったが俺一人というのも悲しいからと思い直して。
仕方なく滑り出して、いきなり俺は後悔した。坂が急すぎてボーゲンが効かない!!
スキー板がバラバラに動きそうで、なんとか揃えると速度が異様に増して。ターンしようと思ったら何故かスキー板が坂道真下方向ど直滑降になって。
風魔法で向かいから風を吹かせて無理矢理速度を落としてターン。そのままコースとして使えるぎりぎり端まで行って停止。
駄目だ、この斜面は俺には厳しすぎる。とりあえず向こうの谷間まで移動魔法を使わせてもらおう。
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