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第9章 冬休みはリゾートへ
第65話 アルコールの危険性
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これは危険だ。露天風呂、超気持ちいい。ここまでとは思わなかったくらいだ。
外気温そのものはかなり低い。間違いなく氷点下だろう。でもお湯に浸かっているとあたたかい。それでいて空気がすっきり。最強の頭寒足熱状態だ。
たまに中で正座してお湯から出ている部分を増やしたり、逆に寝そべるのに近い姿勢で呼吸できるぎりぎりまでお湯に浸かったり。温まり過ぎた際は浴槽に腰掛けたりするのも悪くない。
フィオナが露天風呂用の浴槽を大きく作ったのは正解だった。結果的には全員が入りに来てしまっている。
全員浴槽の縁にそれぞれのお盆とドリンク、丼を置いた状態だ。
「これはいいな。もうずっとここから出られなくなる位快適だ」
「ですね。ここで身体を暖めつつ伸ばし、そして冷たいドリンクやお食事を頂くのが最高に気持ちいいです」
ミランダとナディアさんだけではない。皆さんそんな感じだ。
更に中立古龍と白龍までいる状態。龍2体はミニサイズのままけれど、
なお丼は、
〇 焼鳥丼
〇 からすみ丼
〇 海鮮丼
の3種類でいずれも昼食の丼より小さめの器に入っている。
それに飲み物が、
〇 発泡リンゴ酒
〇 白葡萄酒
〇 レモン水
の3種類で、いずれもピッチャーに入れてサーブし放題になっている。
ちなみにからすみは黄色い魚卵の塩漬けを軽く干した半生タイプ。味はたらこに似ているけれどちょっと違うコクとねっとり感がある。たらことチーズの間の味というのが一番適切だろうか。
丼はこのからすみを一腹分カットしてごはんにのせ、バターと小葱を添え、ハーブと魚醤で作ったタレを回しかけした代物だ。
こんなレシピを訳した覚えはないからサラのオリジナルだろう。きっと酒もすすむのだろうけれど俺は下戸なのでレモン水だ。
からすみ丼を半分食べ、テディの海鮮丼と交換して半分食べたところでお腹はいっぱい。
元々風呂では水圧がかかるから食事をするには適さない気もするしな。この辺で止めておこう。残った焼鳥丼は自在袋に入れておく。
浴槽にゆったり足を延ばしたところで気付いた。これだけ皆さんと近い距離で一緒に入っていると色々と感じるものがあるなと。
綺麗だったり可愛かったりする女子が水着の状態で近くにいるのだ。ほんのりお湯で顔をあからめたりしている状態で。
しかも今回が水着初披露のナディアさんやサラもいる。大人な魅力のナディアさんもいいがこれから発達しますよというサラもいい!
結果俺は風呂の隅部分でお盆を置いて専ら外の方を見ている事になる。湯からあがって逃げればいいのだが、冷たい外気温と暖かいお湯のハーモニーがここからの脱出を不可能にしているのだ。
ああヤバい、ヤバすぎる……だから視線を白い雪景色に逃がしているところで。
湯面が揺れて浴槽から少し湯があふれた。近くに誰か来た気配。
「失礼します」
サラだ。ちょいまずい。
確かにテディやミランダやフィオナは魅力的だ。しかし今までの経験で大分俺も慣れてはいる。
でもサラはそうじゃない。しかもフィオナとはまた違った意味で小柄で発展途上でじっくり見てはいけない気になる。
だから極力そっちを見ないように、意識を向けないように試みる。
「アシュノールさん、ちょっとお話いいでしょうか」
俺の意識しない作戦終了のお知らせだ。仕方ない。
「いいよ。どうせお湯に浸かっているだけだしさ」
「ありがとうございます」
他所を向いたまま話すのも失礼だよなと思って若干向き直って感じる。サラもやっぱり綺麗だし可愛いよなと。
「今日の丼はどうでした。アシュノールさんだけまだ全部は食べていないようですけれど」
「美味しかったよ、間違いなく。残したのは単にまだお腹がすいていないから。お昼を大分遅く食べたからさ」
「なら僕が貰ってもいい」
「もう少ししたら頂くから駄目」
取り敢えずフィオナの食意地が張った台詞は断っておこう。実際美味しいし、自在袋に入れておけばいつでも出来たて状態だし。
「なら良かったです。ちょっと心配だったもので」
「サラの作る料理はどれも美味しいですわ」
テディの台詞に俺以外も頷いた気配がした。
「ありがとうございます。でも今はアシュノールさんが個人的にどう思うかについて色々聞いてみたいのです」
個人的に? 微妙に不吉な予感がするけれど……
「アシュノールさんから私はどう見えますか? 私についてどう思いますか?」
それはどういう意味だろう。
「単なるメイドですか。居候ですか。知っているお店の姪ですか。それとも……その辺を具体的に教えて欲しいです」
ちょい待った。いきなりそんな難問突きつけないでくれ。
危険な視線を感じる。具体的にはテディとミランダ辺りから。
必死に色々考えて、とりあえず回答その1を繰り出す。
「一つにまとめるのは難しいな。例えばメイドというか料理担当としては非常に優秀な女の子。俺と同じレシピで作っても段違いに美味しい料理を作ってくれるしさ。あと仕事の方でも有能だしとっても役に立ってくれている。レシピ関連はサラ無しでは出来ないしテディの作業の手伝いもやってもらっているしさ。サラの手が加わるとお話に透明感が出るのですわってテディも言っていた位だし。それに今は高級学校の試験に向けても頑張っているしね。正直俺が高級学校を受ける前に比べると全然レベルが上だし問題ないと思うけれど」
「ありがとうございます。でも私はもっとアシュノールさんの個人的な意見が聞きたいのです。例えば女の子としてどうでしょうか。若すぎて興味が無いでしょうか。
確かにアシュノールさんには素敵な奥様が3人いらっしゃいます。ですから私なんて目が行かないかもしれません。その辺ある意味同じ立場のナディアさんとも時々話したりしています。私たちって魅力が無いのかななんて」
あ、視界隅でナディアさんがあわあわしている。
「だからアシュノールさんにいつか聞いてみようと思ったんです。私には魅力が無いでしょうか。その辺の幼児や小動物と同じように可愛い程度でしょうか。もし魅力が無いなら何処を変えれば魅力的になれるでしょうか。好きになってもらうにはどうすればいいでしょうか?」
勘弁してくれ。どう答えればいいんだ。何をどう答えても後で色々起こりそうな気がする。
それでも誰も助け船を出してくれない。沈黙が痛くて危険だ。
知識や語彙を総動員して回答その2を繰り出してみる。
「サラは今のままでも充分魅力的だと思う。綺麗だし可愛いしさ。外見だけでも女の子としてとってもレベルは高いと思う。それは間違いない。
考え方とかやってくれる事も色々好きだし助かっている。強いて言えば普段ももう少しだけ皆にわがまま言ってもいいかなという位かな。周りは皆年上だしさ」
「わがままなんてありません。もう充分良くして貰っているんです。皆さん優しいですし料理も買い出しもやりたいように出来ますし、勉強だって教えて貰っています。本が自由に読めるのも嬉しいです。高級学校に行かせてくれるなんてもう夢にも思っていませんでした。
それにこの質問自体が我が儘なんです。この環境には満足している、満足以上の状態なのに気になるんです。だから思い切って聞いてみたんです。私の事をどう思いますか。好きですか、好きになれそうですか、好きになってくれますか。そうでも無いですか、対象外ですか。その辺本当の処を聞きたいんです」
容赦ない。テディ助けてくれ!
しかしやっぱり助け船は来ない模様。
回答その3を何とか苦労して言ってみる。
「本音を言うと可愛いし綺麗だし好きだなと思う。でもまだサラは若いしさ、まだまだこれから色々あると思うんだ。例えば春から高級学校に入るだろ。そうすれば色々な出会いがある筈だし知識だってまた色々増えていく。世界の見え方だってまた変わってくると思うんだ。
だから今の俺は待っている感じかな。大好きだし綺麗だし可愛いけれどさ。サラがこの後どんな風に変わっていくかをまだまだ見たいし見ていたいと思うんだ。それが今の俺の本音だし感じている事だな。こんな答えでいいかな、サラ」
サラは俺の台詞の途中から笑顔になった。回答その3でようやくサラのご期待にはそえたようだ。
「そう言ってもらえてちょっと安心しました。それじゃもっともっと魅力的になってみせますね」
そう言ってへにゃーっという感じの笑顔になり、次の瞬間ふらつく。
テディがさっとサラを支えた。どうやらサラ、意識を失っている。無論病気とかそういうのではない。
「寝ているだけですわ。少し果実酒で酔った模様です」
アルコールのせいかよ今のは!
さて今の返答に問題は無かったでしょうかと皆さんの様子を窺う。
テディはサラの世話をしてここから見て後ろ向きだが気配的にはOKの模様。ミランダからは後で呼び出しなという気配がプンプン漂ってきている。
フィオナは単に面白がっている模様。ナディアさんはあわあわ状態継続中。
とりあえず明日からサラは飲酒禁止だな。俺は深い深いため息をついた。
外気温そのものはかなり低い。間違いなく氷点下だろう。でもお湯に浸かっているとあたたかい。それでいて空気がすっきり。最強の頭寒足熱状態だ。
たまに中で正座してお湯から出ている部分を増やしたり、逆に寝そべるのに近い姿勢で呼吸できるぎりぎりまでお湯に浸かったり。温まり過ぎた際は浴槽に腰掛けたりするのも悪くない。
フィオナが露天風呂用の浴槽を大きく作ったのは正解だった。結果的には全員が入りに来てしまっている。
全員浴槽の縁にそれぞれのお盆とドリンク、丼を置いた状態だ。
「これはいいな。もうずっとここから出られなくなる位快適だ」
「ですね。ここで身体を暖めつつ伸ばし、そして冷たいドリンクやお食事を頂くのが最高に気持ちいいです」
ミランダとナディアさんだけではない。皆さんそんな感じだ。
更に中立古龍と白龍までいる状態。龍2体はミニサイズのままけれど、
なお丼は、
〇 焼鳥丼
〇 からすみ丼
〇 海鮮丼
の3種類でいずれも昼食の丼より小さめの器に入っている。
それに飲み物が、
〇 発泡リンゴ酒
〇 白葡萄酒
〇 レモン水
の3種類で、いずれもピッチャーに入れてサーブし放題になっている。
ちなみにからすみは黄色い魚卵の塩漬けを軽く干した半生タイプ。味はたらこに似ているけれどちょっと違うコクとねっとり感がある。たらことチーズの間の味というのが一番適切だろうか。
丼はこのからすみを一腹分カットしてごはんにのせ、バターと小葱を添え、ハーブと魚醤で作ったタレを回しかけした代物だ。
こんなレシピを訳した覚えはないからサラのオリジナルだろう。きっと酒もすすむのだろうけれど俺は下戸なのでレモン水だ。
からすみ丼を半分食べ、テディの海鮮丼と交換して半分食べたところでお腹はいっぱい。
元々風呂では水圧がかかるから食事をするには適さない気もするしな。この辺で止めておこう。残った焼鳥丼は自在袋に入れておく。
浴槽にゆったり足を延ばしたところで気付いた。これだけ皆さんと近い距離で一緒に入っていると色々と感じるものがあるなと。
綺麗だったり可愛かったりする女子が水着の状態で近くにいるのだ。ほんのりお湯で顔をあからめたりしている状態で。
しかも今回が水着初披露のナディアさんやサラもいる。大人な魅力のナディアさんもいいがこれから発達しますよというサラもいい!
結果俺は風呂の隅部分でお盆を置いて専ら外の方を見ている事になる。湯からあがって逃げればいいのだが、冷たい外気温と暖かいお湯のハーモニーがここからの脱出を不可能にしているのだ。
ああヤバい、ヤバすぎる……だから視線を白い雪景色に逃がしているところで。
湯面が揺れて浴槽から少し湯があふれた。近くに誰か来た気配。
「失礼します」
サラだ。ちょいまずい。
確かにテディやミランダやフィオナは魅力的だ。しかし今までの経験で大分俺も慣れてはいる。
でもサラはそうじゃない。しかもフィオナとはまた違った意味で小柄で発展途上でじっくり見てはいけない気になる。
だから極力そっちを見ないように、意識を向けないように試みる。
「アシュノールさん、ちょっとお話いいでしょうか」
俺の意識しない作戦終了のお知らせだ。仕方ない。
「いいよ。どうせお湯に浸かっているだけだしさ」
「ありがとうございます」
他所を向いたまま話すのも失礼だよなと思って若干向き直って感じる。サラもやっぱり綺麗だし可愛いよなと。
「今日の丼はどうでした。アシュノールさんだけまだ全部は食べていないようですけれど」
「美味しかったよ、間違いなく。残したのは単にまだお腹がすいていないから。お昼を大分遅く食べたからさ」
「なら僕が貰ってもいい」
「もう少ししたら頂くから駄目」
取り敢えずフィオナの食意地が張った台詞は断っておこう。実際美味しいし、自在袋に入れておけばいつでも出来たて状態だし。
「なら良かったです。ちょっと心配だったもので」
「サラの作る料理はどれも美味しいですわ」
テディの台詞に俺以外も頷いた気配がした。
「ありがとうございます。でも今はアシュノールさんが個人的にどう思うかについて色々聞いてみたいのです」
個人的に? 微妙に不吉な予感がするけれど……
「アシュノールさんから私はどう見えますか? 私についてどう思いますか?」
それはどういう意味だろう。
「単なるメイドですか。居候ですか。知っているお店の姪ですか。それとも……その辺を具体的に教えて欲しいです」
ちょい待った。いきなりそんな難問突きつけないでくれ。
危険な視線を感じる。具体的にはテディとミランダ辺りから。
必死に色々考えて、とりあえず回答その1を繰り出す。
「一つにまとめるのは難しいな。例えばメイドというか料理担当としては非常に優秀な女の子。俺と同じレシピで作っても段違いに美味しい料理を作ってくれるしさ。あと仕事の方でも有能だしとっても役に立ってくれている。レシピ関連はサラ無しでは出来ないしテディの作業の手伝いもやってもらっているしさ。サラの手が加わるとお話に透明感が出るのですわってテディも言っていた位だし。それに今は高級学校の試験に向けても頑張っているしね。正直俺が高級学校を受ける前に比べると全然レベルが上だし問題ないと思うけれど」
「ありがとうございます。でも私はもっとアシュノールさんの個人的な意見が聞きたいのです。例えば女の子としてどうでしょうか。若すぎて興味が無いでしょうか。
確かにアシュノールさんには素敵な奥様が3人いらっしゃいます。ですから私なんて目が行かないかもしれません。その辺ある意味同じ立場のナディアさんとも時々話したりしています。私たちって魅力が無いのかななんて」
あ、視界隅でナディアさんがあわあわしている。
「だからアシュノールさんにいつか聞いてみようと思ったんです。私には魅力が無いでしょうか。その辺の幼児や小動物と同じように可愛い程度でしょうか。もし魅力が無いなら何処を変えれば魅力的になれるでしょうか。好きになってもらうにはどうすればいいでしょうか?」
勘弁してくれ。どう答えればいいんだ。何をどう答えても後で色々起こりそうな気がする。
それでも誰も助け船を出してくれない。沈黙が痛くて危険だ。
知識や語彙を総動員して回答その2を繰り出してみる。
「サラは今のままでも充分魅力的だと思う。綺麗だし可愛いしさ。外見だけでも女の子としてとってもレベルは高いと思う。それは間違いない。
考え方とかやってくれる事も色々好きだし助かっている。強いて言えば普段ももう少しだけ皆にわがまま言ってもいいかなという位かな。周りは皆年上だしさ」
「わがままなんてありません。もう充分良くして貰っているんです。皆さん優しいですし料理も買い出しもやりたいように出来ますし、勉強だって教えて貰っています。本が自由に読めるのも嬉しいです。高級学校に行かせてくれるなんてもう夢にも思っていませんでした。
それにこの質問自体が我が儘なんです。この環境には満足している、満足以上の状態なのに気になるんです。だから思い切って聞いてみたんです。私の事をどう思いますか。好きですか、好きになれそうですか、好きになってくれますか。そうでも無いですか、対象外ですか。その辺本当の処を聞きたいんです」
容赦ない。テディ助けてくれ!
しかしやっぱり助け船は来ない模様。
回答その3を何とか苦労して言ってみる。
「本音を言うと可愛いし綺麗だし好きだなと思う。でもまだサラは若いしさ、まだまだこれから色々あると思うんだ。例えば春から高級学校に入るだろ。そうすれば色々な出会いがある筈だし知識だってまた色々増えていく。世界の見え方だってまた変わってくると思うんだ。
だから今の俺は待っている感じかな。大好きだし綺麗だし可愛いけれどさ。サラがこの後どんな風に変わっていくかをまだまだ見たいし見ていたいと思うんだ。それが今の俺の本音だし感じている事だな。こんな答えでいいかな、サラ」
サラは俺の台詞の途中から笑顔になった。回答その3でようやくサラのご期待にはそえたようだ。
「そう言ってもらえてちょっと安心しました。それじゃもっともっと魅力的になってみせますね」
そう言ってへにゃーっという感じの笑顔になり、次の瞬間ふらつく。
テディがさっとサラを支えた。どうやらサラ、意識を失っている。無論病気とかそういうのではない。
「寝ているだけですわ。少し果実酒で酔った模様です」
アルコールのせいかよ今のは!
さて今の返答に問題は無かったでしょうかと皆さんの様子を窺う。
テディはサラの世話をしてここから見て後ろ向きだが気配的にはOKの模様。ミランダからは後で呼び出しなという気配がプンプン漂ってきている。
フィオナは単に面白がっている模様。ナディアさんはあわあわ状態継続中。
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