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第13章 いろいろあります新学期
第88話 4月のある日に
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4階の部屋は掃除していつでも入れるよう準備済み。夕食はサラが作ると言って譲らなかったので、かわりにケーキやプリン等お祝い&デザート用の食べ物も準備。
ついでに家の中あちこちや事務所も人に見せられるように整頓。更に清拭魔法まで念入りにかけて綺麗にしてある。
さて、掃除以外にも俺には仕事がある。昼飯当番だ。
昨日の昼夜食が魚介類祭りだったので今日は肉系。久しぶりに丼物と行こうかな。
自在袋や収納を見ると通常の料理材料の他にサラが作ってくれた様々な調味料も入っている。
おっと、デミグラスソース発見。これはデミカツ丼を作れという神の啓示だな。豚肉ロースのブロックもあるし、いっちょ作らせて貰おう。
まずはご飯炊きから。
様々な工夫をした結果、俺は魔法でうまくご飯を炊けるコツをマスターした。
まず米を研ぐというか洗うのは普通通り。次に洗った米とぬるま湯程度の水温の水をきっちり蓋が閉まる鍋に入れて、風魔法で中の空気を抜いてやる。
その後にゆっくりと中の空気圧を戻してやると米が吸水しまくるのだ。この時にあまり急いで空気圧を戻すと米が割れるので注意。
その後魔法で中の米と水の温度をじわっと上昇させ、70度くらいで一度放置。デンプンがしっかり変質し酵素がしっかり働いたところで一気に沸騰させる。
中の水気が完全に飛んだらあとは放置だ。10分以上放置して蒸らせばここスティヴァレの米が一番美味しい状態に炊き上がっている。
カツの方はそれに比べると簡単。熱を加えるのは低温で最小限に、最後に衣に風味とサクッという食感をつけるためだけ高温で仕上げる形。
なお俺流はご飯の上に茹でて水を切ったキャベツを載せ、その上にカットしたカツを載せ、食べる直前にデミグラスソースをかける形式。最後にグリンピースがわりにむいた枝豆を数粒上にのせる。かつて俺が好きだった岡山の某有名店風デミかつ丼の完成だ。
皆さん大食いなので丼の器はかなり大きめ。日本でたとえれば大盛りラーメン用のどんぶりだ。これに2合程度のご飯を入れ、茹でキャベツを敷き、カツを載せる。
これでも足りない奴がいるからおかわり用のご飯、キャベツ、カツも用意。
なお俺用の丼だけご飯が1合程度なのはお約束。俺自身は胃袋が小さいし食べ過ぎると眠くなるから。
「できたぞー」
声をかけた後にデミグラスソースをカツの上にかける。うん、完成だ。ぞろぞろと来た皆さんがそれぞれ食堂のテーブルに運んでいく。
「久しぶりだけれど美味しいよね、これ」
「サラがソースを作り置きしてくれているからな」
食べてみるとやっぱり美味しい。サクッとしたカツもやや甘めのソースも、そしてそれらと一緒にかっ込むキャベツやご飯も最高だ。
「楽しみだよね。ジュリアちゃんが来るの」
「ここに早く慣れてくれるといいけれどな」
「大丈夫だと思いますわ。昨日会いましたけれどいい子でしたし。本も好きだと言っていましたから気に入ってくれると思いますわ」
サラといいナディアさんといい本好きが多いよな。これはスティヴァレの環境がかなり影響しているのだろう。
スティヴァレは当然テレビもラジオも存在しない。演劇や音楽会も席が高価だから一般的ではない。その一方で出版関係がかなり発達している。
結果として本好きというのが必然的に多くなるのだろう。
「事務所の方も出入りOKにしていいんだよね」
「ああ。無論何を書いているとかの話は外では秘密にして貰うけれどさ」
「本が結構あるって話をしたらジュリアさん、凄く楽しみにしていましたわ」
「俺しか読めない本も結構あるけれどな」
「でも他の世界のリアルな絵は見るだけでも楽しめるよね」
SF小説召喚と温泉リゾート資料召喚で日本語の本がかなり増えた。実際1腕幅の巨大な本だなの1つは日本語の本で埋まっている。
スティヴァレ語の本も今まで俺達が訳したものや俺やテディが気に入った本、フィオナの集めた資料やミランダ扱いの資料等で同サイズの本棚2つ分あるけれど。
さて、皆で昼食を片づけたら午後は真面目にお仕事だ。俺は『月は無慈悲な夜の女王』を翻訳中。テディは『思い出のマーニー』最終仕上げ中。
なおテディへの次のお仕事として、大人用恋愛小説として『陽だまりの彼女』を既に訳して渡してある。これは恋愛小説で一番俺が好きな本だ。
最初は表紙の西島大介さんのイラストがたまたま以前読んだインシテミルと同じでふい手に取って買ってしまっただけだった。でも読んでついつい引き込まれて、最後に三つ目を抱き上げたところで思い切り泣いてしまった。それをついこの前思い出したので翻訳してテディ渡しとしたのだ。
ナディアさんは訳すべき児童書が山ほどある状態。現在は『北極のムーシカミーシカ』を終え、『たんたのたんけん』に取り掛かったところ。
ミランダとフィオナは次の医学書追補版の関係で外に出ている。
家の方の玄関についているベルがチリンと鳴った。ミランダやフィオナなら事務所の玄関から帰ってくる筈だ。
時計を見ると午後4時過ぎ。
「サラ達ですね」
テディやナディアさんも気付いたようだ。
下で『うっ!』という知らない驚いた声が聞こえた。その後すぐ聞き覚えのあるキューキューという鳴き声も。
声はジュリアちゃんが龍2頭に驚いた声。その語のキューキュ―は龍2頭がそれを気にせず甘えに行った声だ。
ニアもマイアも人懐っこいからな。小型化すると特に。
足音からするとまずは買ったものをキッチンへと持って行った模様。次に階段をのぼる音がしたので部屋に案内して荷物を置きに行ったのだろう。
直ぐにどたどたと降りて来た音がした。
俺達は仕事をしつつその時を待つ。厳密には仕事をするふりをしつつ、だけれども。
「ただいま。ジュリアを連れてきました」
サラの後ろにサラより更に小柄な女の子がいる。
「はじめまして。ジュリアです。よろしくお願いします」
俺達は拍手で迎える。
ついでに家の中あちこちや事務所も人に見せられるように整頓。更に清拭魔法まで念入りにかけて綺麗にしてある。
さて、掃除以外にも俺には仕事がある。昼飯当番だ。
昨日の昼夜食が魚介類祭りだったので今日は肉系。久しぶりに丼物と行こうかな。
自在袋や収納を見ると通常の料理材料の他にサラが作ってくれた様々な調味料も入っている。
おっと、デミグラスソース発見。これはデミカツ丼を作れという神の啓示だな。豚肉ロースのブロックもあるし、いっちょ作らせて貰おう。
まずはご飯炊きから。
様々な工夫をした結果、俺は魔法でうまくご飯を炊けるコツをマスターした。
まず米を研ぐというか洗うのは普通通り。次に洗った米とぬるま湯程度の水温の水をきっちり蓋が閉まる鍋に入れて、風魔法で中の空気を抜いてやる。
その後にゆっくりと中の空気圧を戻してやると米が吸水しまくるのだ。この時にあまり急いで空気圧を戻すと米が割れるので注意。
その後魔法で中の米と水の温度をじわっと上昇させ、70度くらいで一度放置。デンプンがしっかり変質し酵素がしっかり働いたところで一気に沸騰させる。
中の水気が完全に飛んだらあとは放置だ。10分以上放置して蒸らせばここスティヴァレの米が一番美味しい状態に炊き上がっている。
カツの方はそれに比べると簡単。熱を加えるのは低温で最小限に、最後に衣に風味とサクッという食感をつけるためだけ高温で仕上げる形。
なお俺流はご飯の上に茹でて水を切ったキャベツを載せ、その上にカットしたカツを載せ、食べる直前にデミグラスソースをかける形式。最後にグリンピースがわりにむいた枝豆を数粒上にのせる。かつて俺が好きだった岡山の某有名店風デミかつ丼の完成だ。
皆さん大食いなので丼の器はかなり大きめ。日本でたとえれば大盛りラーメン用のどんぶりだ。これに2合程度のご飯を入れ、茹でキャベツを敷き、カツを載せる。
これでも足りない奴がいるからおかわり用のご飯、キャベツ、カツも用意。
なお俺用の丼だけご飯が1合程度なのはお約束。俺自身は胃袋が小さいし食べ過ぎると眠くなるから。
「できたぞー」
声をかけた後にデミグラスソースをカツの上にかける。うん、完成だ。ぞろぞろと来た皆さんがそれぞれ食堂のテーブルに運んでいく。
「久しぶりだけれど美味しいよね、これ」
「サラがソースを作り置きしてくれているからな」
食べてみるとやっぱり美味しい。サクッとしたカツもやや甘めのソースも、そしてそれらと一緒にかっ込むキャベツやご飯も最高だ。
「楽しみだよね。ジュリアちゃんが来るの」
「ここに早く慣れてくれるといいけれどな」
「大丈夫だと思いますわ。昨日会いましたけれどいい子でしたし。本も好きだと言っていましたから気に入ってくれると思いますわ」
サラといいナディアさんといい本好きが多いよな。これはスティヴァレの環境がかなり影響しているのだろう。
スティヴァレは当然テレビもラジオも存在しない。演劇や音楽会も席が高価だから一般的ではない。その一方で出版関係がかなり発達している。
結果として本好きというのが必然的に多くなるのだろう。
「事務所の方も出入りOKにしていいんだよね」
「ああ。無論何を書いているとかの話は外では秘密にして貰うけれどさ」
「本が結構あるって話をしたらジュリアさん、凄く楽しみにしていましたわ」
「俺しか読めない本も結構あるけれどな」
「でも他の世界のリアルな絵は見るだけでも楽しめるよね」
SF小説召喚と温泉リゾート資料召喚で日本語の本がかなり増えた。実際1腕幅の巨大な本だなの1つは日本語の本で埋まっている。
スティヴァレ語の本も今まで俺達が訳したものや俺やテディが気に入った本、フィオナの集めた資料やミランダ扱いの資料等で同サイズの本棚2つ分あるけれど。
さて、皆で昼食を片づけたら午後は真面目にお仕事だ。俺は『月は無慈悲な夜の女王』を翻訳中。テディは『思い出のマーニー』最終仕上げ中。
なおテディへの次のお仕事として、大人用恋愛小説として『陽だまりの彼女』を既に訳して渡してある。これは恋愛小説で一番俺が好きな本だ。
最初は表紙の西島大介さんのイラストがたまたま以前読んだインシテミルと同じでふい手に取って買ってしまっただけだった。でも読んでついつい引き込まれて、最後に三つ目を抱き上げたところで思い切り泣いてしまった。それをついこの前思い出したので翻訳してテディ渡しとしたのだ。
ナディアさんは訳すべき児童書が山ほどある状態。現在は『北極のムーシカミーシカ』を終え、『たんたのたんけん』に取り掛かったところ。
ミランダとフィオナは次の医学書追補版の関係で外に出ている。
家の方の玄関についているベルがチリンと鳴った。ミランダやフィオナなら事務所の玄関から帰ってくる筈だ。
時計を見ると午後4時過ぎ。
「サラ達ですね」
テディやナディアさんも気付いたようだ。
下で『うっ!』という知らない驚いた声が聞こえた。その後すぐ聞き覚えのあるキューキューという鳴き声も。
声はジュリアちゃんが龍2頭に驚いた声。その語のキューキュ―は龍2頭がそれを気にせず甘えに行った声だ。
ニアもマイアも人懐っこいからな。小型化すると特に。
足音からするとまずは買ったものをキッチンへと持って行った模様。次に階段をのぼる音がしたので部屋に案内して荷物を置きに行ったのだろう。
直ぐにどたどたと降りて来た音がした。
俺達は仕事をしつつその時を待つ。厳密には仕事をするふりをしつつ、だけれども。
「ただいま。ジュリアを連れてきました」
サラの後ろにサラより更に小柄な女の子がいる。
「はじめまして。ジュリアです。よろしくお願いします」
俺達は拍手で迎える。
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