115 / 176
第15章 便利なゴーレム
第109話 テディ&ナディアさんへの課題
しおりを挟む
世間様は夏休みシーズンが無事終わった模様だ。俺達はまあ、リゾート終了から働いていたけれど。
サラとジュリアも学校が始まった。
なお2人とも休みのうちにそれぞれのお仕事をかなり進めてくれている。例えばサラは週刊レシピ号外を読者欄以外は11月分まで仕上げている。
ジュリアに至ってはリゾート後だけで漫画5冊も仕上げてしまった状態だ。内容はイティハーサ2巻分、革命物新作1巻分、第三のギデオン1巻分、それに俺が頼んだ群集心理の漫画1巻。
このうち革命物の新作は『ベルサイユのばら』をもとにかなりスティヴァレ風に翻案したものになっている。
話の筋もかなり変わった。ジュリアに言わせれば原作は『愛だの恋だのが多すぎる』そうだ。
何か日本の原作ファンと原作者に大変申し訳ない気がする。まあ異世界の事なので勘弁して欲しい。
一方で『第三のギデオン』はドロドロなところそのままに絵柄だけ変えている。
「こっちの方が好き」
ジュリアの性格、大丈夫だろうか?
また群集心理の漫画は更にノリノリでやったようだ。絵柄は全く異なっているけれど読むと原作以上に漫画として面白い。それでいてちゃんと群衆心理についての解説だの考察だの入っている。
更に言うとロベスピエールのキャラが異常なまでに立っている。
『群衆の中に入ってしまえば学者も愚者も等しく馬鹿になるのだよ、君達』
なんて解説していたと思えば、
『私は童貞だ! だから君達と比べて少なくとも女性関係は清廉潔白だ!』
なんて叫んでいたりもする状態だ。
それにしても彼、日本の他の漫画でも童貞扱いされていなかっただろうか。残念ながら憶えていないけれど。
あと仮にも女子学生が童貞だなんて叫ぶ漫画を描くのはちょっと……。なんて事を少し思ったりもする。
それにしてもジュリアの仕事の早さは日本的な常識から考えると異常だ。
しかし彼女の作業を実際に見れば何故それほど早いか納得できる。何せジュリア、一般的な漫画程度なら、12半時間かからずに1ページを描画してしまうのだ。
日本の漫画家さんが考えながらネームを描くより遥かに速い。恐ろしい事に俺が通常モードで翻訳魔法を使用して翻訳するよりもジュリアが同じ部分を漫画で描く方が早い状態。
「前に比べて随分と描くのが早くなっていないか」
そう尋ねたところ、
「4月から描いて慣れた」
という台詞が返って来た。
「設定さえ描ければ登場人物が動くのを写すだけ。問題ない」
そう言ってほぼ一発で描いて仕上げてしまうのだ。
勿論仕上げ直しで描き直しとかもある。コマ割りを変えたりなんて事もある。しかしそもそも描く速度が速度だ。
結果、俺やテディが翻訳文を追加したり書き直したりして仕上げるよりも早い。ジュリア、この方面の天才なのではなかろうか。
さて。お仕事時間中、事務室は俺、テディ、ナディアさんの3名体制の事が多い。
ミランダは常に外回り。フィオナは大量の調べ物をしながら作業をするので図書館に居る事が多い。サラとジュリアは学校だ。
だから陛下の件を話すにはちょうどいい時間になる。
「テディとナディアさん。実はお願いがあるんですけれどいいでしょうか」
「何でしょうか」
2人が俺の方を見る。
「実は最近、未来視でこの先がどうなるか時々見ているんです。それで見ると俺以外に移動魔法を使えるようにした方が作戦の成功可能性が高くなるようなんです。出来れば今年の冬頃には。
ですからこれからテディとナディアさんに空間操作魔法をある程度憶えてもらいたいと思うのですが」
「是非お願いしますわ。そうすれば好きな時に好きな場所に行けるのですよね」
テディは積極的。
「もちろんやってみますがあまり自信はありません。高級学校と騎士学校を出たソニアさんでもマスターできなかったと聞いていますから」
ナディアさんは自信なげだ。
「一応テキストを2人分用意しました。全部スティヴァレ語で書いてあります。これを1日1時間、10ページ前後読んで理解出来れば1月以内に空間魔法の考え方が理解出来るはずです。質問は俺にこの時間にしてくれれば大丈夫ですから」
テキストとは『宇宙の構造と時空間~我々のいるのはどんな場所なのか』をスティヴァレ語に訳して、かつ憶える段階ごとに区切ったものである。
俺の手書きなのは勘弁して欲しい。しかし2人は翻訳で俺の手書き文字については見慣れている筈だ。
「これは結構分厚いですね。かなり時間がかかったのではないですか」
「お仕事1週間分位ですね。俺にはあの魔法がありますから時間についてはごまかしが効きますから」
「でも無理しないで下さいね。アシュが私達より早く老けたら悲しいですから」
そんな話をしながら2人は俺が書いたレポート用紙の束を受け取る。
「概念的に難しい面がありますので、1日で1日分が理解出来なくても無理しないで下さい。早さよりも理解度の方が重要です」
何せここスティヴァレ暮らしの人にとって難しすぎる概念がいくつも入っている。量子論あたりから先は俺だって苦労しまくった。現代日本の知識がある程度あるにも関わらずである。
陛下がよく理解出来たなと感心する程だ。案外理解していないのかもしれないけれど。理解したつもりでも魔法は発動するから。
「ところでアシュ。未来視ではどれくらい先まで見えるのでしょうか」
それについては説明が難しい。
「見えるという位確定しているのはせいぜい数時間の範囲までかな。あとはぼやけたイメージから雰囲気をつかみ取るという感じだ。例外として予定が決まっている事項なんかははっきり見えたりもするけれど。
このお願いについては『陛下の目的を達成させ、更に陛下自身を死なせない』と仮定した上で条件を色々考えて、そんなうすぼんやりしたイメージの変化を感じる作業をした結果なんだ」
基本的に未来は確定していない代物なのだ。だから俺に見えるのは雰囲気、イメージだけ。
「イメージがいい方に変化したなと思ったら、その条件を固定して更に条件を追加していく。その作業を繰り返してよりいい感じのイメージを目指していく。そんな作業かな。だから時間もかかるしその割にたいした事はわからない。
だから今未来視でほぼ確実に言えるのは、この時計で12時ちょっと前にミランダが帰ってくる事と、その時に陽だまりの彼女と猫の地球儀が再販になったニュースを持ってくる事くらいかな。ついでに言うとフィオナは調べ物が充実して昼ご飯に遅れて3時過ぎに帰ってくるとかさ」
「それだけでもわかれば便利ですわ。昼食でフィオナを待たずに済みますから」
まあそうだけれどさ。
「フィオナさんは調べ物作業になると周りが見えないですからね。でも児童書部門の再版が今回無かったのは悲しいです」
「たんたのたんけんは元の部数が多かったですわ」
テディの言う通りだ。児童書はライバルが少ない分、初版も多く設定されている。
いずれにせよ今年は昨年以上に梟《イービス》商会、儲かっている。このままでは税金がとんでもない事になるのでは無いだろうか。まあ会計関係はミランダとフィオナに任せているけれど。
俺としては非常に不安だ。陛下がどうなるかよりリアルな問題として。
サラとジュリアも学校が始まった。
なお2人とも休みのうちにそれぞれのお仕事をかなり進めてくれている。例えばサラは週刊レシピ号外を読者欄以外は11月分まで仕上げている。
ジュリアに至ってはリゾート後だけで漫画5冊も仕上げてしまった状態だ。内容はイティハーサ2巻分、革命物新作1巻分、第三のギデオン1巻分、それに俺が頼んだ群集心理の漫画1巻。
このうち革命物の新作は『ベルサイユのばら』をもとにかなりスティヴァレ風に翻案したものになっている。
話の筋もかなり変わった。ジュリアに言わせれば原作は『愛だの恋だのが多すぎる』そうだ。
何か日本の原作ファンと原作者に大変申し訳ない気がする。まあ異世界の事なので勘弁して欲しい。
一方で『第三のギデオン』はドロドロなところそのままに絵柄だけ変えている。
「こっちの方が好き」
ジュリアの性格、大丈夫だろうか?
また群集心理の漫画は更にノリノリでやったようだ。絵柄は全く異なっているけれど読むと原作以上に漫画として面白い。それでいてちゃんと群衆心理についての解説だの考察だの入っている。
更に言うとロベスピエールのキャラが異常なまでに立っている。
『群衆の中に入ってしまえば学者も愚者も等しく馬鹿になるのだよ、君達』
なんて解説していたと思えば、
『私は童貞だ! だから君達と比べて少なくとも女性関係は清廉潔白だ!』
なんて叫んでいたりもする状態だ。
それにしても彼、日本の他の漫画でも童貞扱いされていなかっただろうか。残念ながら憶えていないけれど。
あと仮にも女子学生が童貞だなんて叫ぶ漫画を描くのはちょっと……。なんて事を少し思ったりもする。
それにしてもジュリアの仕事の早さは日本的な常識から考えると異常だ。
しかし彼女の作業を実際に見れば何故それほど早いか納得できる。何せジュリア、一般的な漫画程度なら、12半時間かからずに1ページを描画してしまうのだ。
日本の漫画家さんが考えながらネームを描くより遥かに速い。恐ろしい事に俺が通常モードで翻訳魔法を使用して翻訳するよりもジュリアが同じ部分を漫画で描く方が早い状態。
「前に比べて随分と描くのが早くなっていないか」
そう尋ねたところ、
「4月から描いて慣れた」
という台詞が返って来た。
「設定さえ描ければ登場人物が動くのを写すだけ。問題ない」
そう言ってほぼ一発で描いて仕上げてしまうのだ。
勿論仕上げ直しで描き直しとかもある。コマ割りを変えたりなんて事もある。しかしそもそも描く速度が速度だ。
結果、俺やテディが翻訳文を追加したり書き直したりして仕上げるよりも早い。ジュリア、この方面の天才なのではなかろうか。
さて。お仕事時間中、事務室は俺、テディ、ナディアさんの3名体制の事が多い。
ミランダは常に外回り。フィオナは大量の調べ物をしながら作業をするので図書館に居る事が多い。サラとジュリアは学校だ。
だから陛下の件を話すにはちょうどいい時間になる。
「テディとナディアさん。実はお願いがあるんですけれどいいでしょうか」
「何でしょうか」
2人が俺の方を見る。
「実は最近、未来視でこの先がどうなるか時々見ているんです。それで見ると俺以外に移動魔法を使えるようにした方が作戦の成功可能性が高くなるようなんです。出来れば今年の冬頃には。
ですからこれからテディとナディアさんに空間操作魔法をある程度憶えてもらいたいと思うのですが」
「是非お願いしますわ。そうすれば好きな時に好きな場所に行けるのですよね」
テディは積極的。
「もちろんやってみますがあまり自信はありません。高級学校と騎士学校を出たソニアさんでもマスターできなかったと聞いていますから」
ナディアさんは自信なげだ。
「一応テキストを2人分用意しました。全部スティヴァレ語で書いてあります。これを1日1時間、10ページ前後読んで理解出来れば1月以内に空間魔法の考え方が理解出来るはずです。質問は俺にこの時間にしてくれれば大丈夫ですから」
テキストとは『宇宙の構造と時空間~我々のいるのはどんな場所なのか』をスティヴァレ語に訳して、かつ憶える段階ごとに区切ったものである。
俺の手書きなのは勘弁して欲しい。しかし2人は翻訳で俺の手書き文字については見慣れている筈だ。
「これは結構分厚いですね。かなり時間がかかったのではないですか」
「お仕事1週間分位ですね。俺にはあの魔法がありますから時間についてはごまかしが効きますから」
「でも無理しないで下さいね。アシュが私達より早く老けたら悲しいですから」
そんな話をしながら2人は俺が書いたレポート用紙の束を受け取る。
「概念的に難しい面がありますので、1日で1日分が理解出来なくても無理しないで下さい。早さよりも理解度の方が重要です」
何せここスティヴァレ暮らしの人にとって難しすぎる概念がいくつも入っている。量子論あたりから先は俺だって苦労しまくった。現代日本の知識がある程度あるにも関わらずである。
陛下がよく理解出来たなと感心する程だ。案外理解していないのかもしれないけれど。理解したつもりでも魔法は発動するから。
「ところでアシュ。未来視ではどれくらい先まで見えるのでしょうか」
それについては説明が難しい。
「見えるという位確定しているのはせいぜい数時間の範囲までかな。あとはぼやけたイメージから雰囲気をつかみ取るという感じだ。例外として予定が決まっている事項なんかははっきり見えたりもするけれど。
このお願いについては『陛下の目的を達成させ、更に陛下自身を死なせない』と仮定した上で条件を色々考えて、そんなうすぼんやりしたイメージの変化を感じる作業をした結果なんだ」
基本的に未来は確定していない代物なのだ。だから俺に見えるのは雰囲気、イメージだけ。
「イメージがいい方に変化したなと思ったら、その条件を固定して更に条件を追加していく。その作業を繰り返してよりいい感じのイメージを目指していく。そんな作業かな。だから時間もかかるしその割にたいした事はわからない。
だから今未来視でほぼ確実に言えるのは、この時計で12時ちょっと前にミランダが帰ってくる事と、その時に陽だまりの彼女と猫の地球儀が再販になったニュースを持ってくる事くらいかな。ついでに言うとフィオナは調べ物が充実して昼ご飯に遅れて3時過ぎに帰ってくるとかさ」
「それだけでもわかれば便利ですわ。昼食でフィオナを待たずに済みますから」
まあそうだけれどさ。
「フィオナさんは調べ物作業になると周りが見えないですからね。でも児童書部門の再版が今回無かったのは悲しいです」
「たんたのたんけんは元の部数が多かったですわ」
テディの言う通りだ。児童書はライバルが少ない分、初版も多く設定されている。
いずれにせよ今年は昨年以上に梟《イービス》商会、儲かっている。このままでは税金がとんでもない事になるのでは無いだろうか。まあ会計関係はミランダとフィオナに任せているけれど。
俺としては非常に不安だ。陛下がどうなるかよりリアルな問題として。
42
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる