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第15章 便利なゴーレム
第113話 とんでもない魔道具
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夕食の時間。全員が揃った場でグルーチョ君が日本語翻訳魔法以外をほぼ全部マスターした件を明らかにする。
なお余談だが水魔法も移動魔法を使用することによって完全になった。地層の奥深くから地下水を空間操作魔法で水を取り寄せる方法に変更したのだ。かなり高度かつ面倒な方法になってしまうが他に方法が思いつかない。
普通の人間は俺を含めてどうやって水を自在に出しているのだろう。俺としては疑問に思うところだ。
まあそれは別として、やはり話題は移動魔法になる。
「ついにアシュ以外も自由に移動できる訳か。これがあればラツィオの出版社にもフロレントの出版社にも売込みが自由自在だ」
おいおいミランダ待ってくれ。
「ゼノアの業者がそこまで行ったら怪しまれるだろ」
「別件でこの街まで来ましたとでも言って売込みだけしてみればいい。話は後という形でさ。そうやって全国を軽く一周したらまた尋ねてみるんだ。ちょっとまた用があって来たのですけれどとでも言って」
なるほど。
「でもミランダばかり使うのは狡いですわ。1人しか使えないのですから」
テディはテディで使う気満々だな。そう思った時だ。
「3人までは大丈夫だよ」
フィオナから予想外の言葉が出た。
「どういう事だ?」
「ゴーレム君達には夜にそれぞれ学習成果の差分を確認して足りない知識を共有するように作業しているんだ。そうした方が学習も進むしね。だから明日にはグルーチョ君だけじゃなくてジュディーちゃんとパフィーちゃんも移動魔法を使えるようになっているよ」
おいおい。
「移動魔法を使えるとんでもないゴーレムが一気に3体も出来る訳か」
「場合によってはもっと増やす事も出来ると思うよ。ゴーレムと魔法水晶をオッタービオさんから買ってこなければならないけれど」
おい待て。そういう事はだ。
「つまりバッグに入る位小型のゴーレムを作って、その魔法水晶をつけたら移動魔法専用のゴーレムが作れる訳だな」
ミランダに思っていた事を言われてしまった。
「そういう事だね。制御部分はうちのゴーレムから複写しないとならないけれど。あと小さなゴーレムだとオッタービオさんへの特注になるかな。小さいゴーレムをゴーレムとして使えるようにするのって難しいしね」
でも出来る訳か。バッグの中に入る移動魔法用魔道具が。
「欲しい。移動が楽になる」
おいおいジュリア。
「でもそんなものがあるなんて他に知られるとまずいだろ。移動魔法すら秘密にしているのに」
「そうですね。このメンバー以外ずっと秘密にしておくか、どこかで徐々に公開していくか」
「陛下マターだな、これは」
確かに俺達が独自で決めていいような問題じゃない。
ただ陛下はこの魔法を広めない方針だった筈だ。それをこういう形にしろ広めかけてしまった事がちょっと後ろめたかったりする。
「とりあえず本当に実現可能か、試作品を作ってみるよ。明日、ゴーレムに魔法を覚えさせた事を伝えるついでという事でオッタービオさんの処に行ってくる。勿論移動魔法の事は言わないで、他の一般的な魔法の事だけにしてね。ところで他の魔法はどれくらい覚えたのかな?」
それについてはちょっと、まあ……
「とりあえず俺が使える魔法は翻訳関係以外ほぼ全部だな。熱、火、水、風、物質修復、単純治療、体力回復、取寄魔法や清拭魔法などの生活関連魔法、熱と水で爆発魔法といったところだ」
「なら家事は一通りできるね。炊事選択掃除の全部に必要な魔法は憶えたんだよね」
「確かにそうだな」
今でも片付けは既に出来るようになっている。それに加えて清拭魔法も使えるから掃除も可能。調理は元々かなり覚えさせているし。
「メイドの仕事もゴーレムに駆逐されそうです」
「そうでもないさ。そのレベルのゴーレムなんてのはメイドを雇うより遥かに高価になるだろう。それにメイド個々の経験値がゴーレムには無いからさ。例えば美味しい料理を作れるとか裁縫のセンスがいいとか。その辺ではやっぱり人の方が有利だろ」
確かにミランダの言う通りだ。そもそもこのレベルのゴーレムなんて現状では他に存在しない。
「でも魔法水晶も高価だし他にはない品なんだろ。オッタービオさんが売ってくれるかな。売ってくれるとしてもいくらになるだろ」
「その辺は大丈夫だと思うよ。勿論すぐには手に入らないかもしれないけれどね」
フィオナは自信がありそうだ。
「どうするんだ?」
「魔法補助具として使うと正直に言えばいいんだよ。勿論移動魔法は口に出さないけれどさ。魔力障害があって魔法を使えない人用にも使えるし、発破魔法のような一部の人しか持っていない魔法用としてでもいい。
そう説明して方法を教えれば、何なら移動魔法に使う超小型ゴーレムの設計製作だって引き受けてくれると思うよ」
新しい知識と引き換えにする訳か。確かにオッタービオさんには通用しそうだ。ゴーレム君3体だって使用している魔法水晶だってそうやって無料で貰ったものだし。
「それじゃ明日フィオナにオッタービオさんの工房へ行ってもらって、動く試作品が出来たら陛下に相談するか」
「そうするしかないな」
全員意見は同じようだ。俺としては若干後ろめたいが仕方ない。こんな危険な魔道具、俺達だけで抱えているのは問題だろう。
それに移動魔法はもともと陛下から教わったものだ。
「その際は陛下に手紙でも書くか」
「陛下なら用事がありそうなときは勝手に来ると思うよ。今までそうだったしさ」
どうだろうか。
「今までは陛下が用事がある時ばかりだろ」
「でも夕食のメニューを把握している位だから何とかなるんじゃないかな」
あ、確かに。
「そうですわね。殿下はどうしましょうか」
「その辺の判断は陛下にしてもらった方がいいだろうな」
そんな感じで移動用ゴーレムというか魔道具の話は方針が決まった。
なお余談だが水魔法も移動魔法を使用することによって完全になった。地層の奥深くから地下水を空間操作魔法で水を取り寄せる方法に変更したのだ。かなり高度かつ面倒な方法になってしまうが他に方法が思いつかない。
普通の人間は俺を含めてどうやって水を自在に出しているのだろう。俺としては疑問に思うところだ。
まあそれは別として、やはり話題は移動魔法になる。
「ついにアシュ以外も自由に移動できる訳か。これがあればラツィオの出版社にもフロレントの出版社にも売込みが自由自在だ」
おいおいミランダ待ってくれ。
「ゼノアの業者がそこまで行ったら怪しまれるだろ」
「別件でこの街まで来ましたとでも言って売込みだけしてみればいい。話は後という形でさ。そうやって全国を軽く一周したらまた尋ねてみるんだ。ちょっとまた用があって来たのですけれどとでも言って」
なるほど。
「でもミランダばかり使うのは狡いですわ。1人しか使えないのですから」
テディはテディで使う気満々だな。そう思った時だ。
「3人までは大丈夫だよ」
フィオナから予想外の言葉が出た。
「どういう事だ?」
「ゴーレム君達には夜にそれぞれ学習成果の差分を確認して足りない知識を共有するように作業しているんだ。そうした方が学習も進むしね。だから明日にはグルーチョ君だけじゃなくてジュディーちゃんとパフィーちゃんも移動魔法を使えるようになっているよ」
おいおい。
「移動魔法を使えるとんでもないゴーレムが一気に3体も出来る訳か」
「場合によってはもっと増やす事も出来ると思うよ。ゴーレムと魔法水晶をオッタービオさんから買ってこなければならないけれど」
おい待て。そういう事はだ。
「つまりバッグに入る位小型のゴーレムを作って、その魔法水晶をつけたら移動魔法専用のゴーレムが作れる訳だな」
ミランダに思っていた事を言われてしまった。
「そういう事だね。制御部分はうちのゴーレムから複写しないとならないけれど。あと小さなゴーレムだとオッタービオさんへの特注になるかな。小さいゴーレムをゴーレムとして使えるようにするのって難しいしね」
でも出来る訳か。バッグの中に入る移動魔法用魔道具が。
「欲しい。移動が楽になる」
おいおいジュリア。
「でもそんなものがあるなんて他に知られるとまずいだろ。移動魔法すら秘密にしているのに」
「そうですね。このメンバー以外ずっと秘密にしておくか、どこかで徐々に公開していくか」
「陛下マターだな、これは」
確かに俺達が独自で決めていいような問題じゃない。
ただ陛下はこの魔法を広めない方針だった筈だ。それをこういう形にしろ広めかけてしまった事がちょっと後ろめたかったりする。
「とりあえず本当に実現可能か、試作品を作ってみるよ。明日、ゴーレムに魔法を覚えさせた事を伝えるついでという事でオッタービオさんの処に行ってくる。勿論移動魔法の事は言わないで、他の一般的な魔法の事だけにしてね。ところで他の魔法はどれくらい覚えたのかな?」
それについてはちょっと、まあ……
「とりあえず俺が使える魔法は翻訳関係以外ほぼ全部だな。熱、火、水、風、物質修復、単純治療、体力回復、取寄魔法や清拭魔法などの生活関連魔法、熱と水で爆発魔法といったところだ」
「なら家事は一通りできるね。炊事選択掃除の全部に必要な魔法は憶えたんだよね」
「確かにそうだな」
今でも片付けは既に出来るようになっている。それに加えて清拭魔法も使えるから掃除も可能。調理は元々かなり覚えさせているし。
「メイドの仕事もゴーレムに駆逐されそうです」
「そうでもないさ。そのレベルのゴーレムなんてのはメイドを雇うより遥かに高価になるだろう。それにメイド個々の経験値がゴーレムには無いからさ。例えば美味しい料理を作れるとか裁縫のセンスがいいとか。その辺ではやっぱり人の方が有利だろ」
確かにミランダの言う通りだ。そもそもこのレベルのゴーレムなんて現状では他に存在しない。
「でも魔法水晶も高価だし他にはない品なんだろ。オッタービオさんが売ってくれるかな。売ってくれるとしてもいくらになるだろ」
「その辺は大丈夫だと思うよ。勿論すぐには手に入らないかもしれないけれどね」
フィオナは自信がありそうだ。
「どうするんだ?」
「魔法補助具として使うと正直に言えばいいんだよ。勿論移動魔法は口に出さないけれどさ。魔力障害があって魔法を使えない人用にも使えるし、発破魔法のような一部の人しか持っていない魔法用としてでもいい。
そう説明して方法を教えれば、何なら移動魔法に使う超小型ゴーレムの設計製作だって引き受けてくれると思うよ」
新しい知識と引き換えにする訳か。確かにオッタービオさんには通用しそうだ。ゴーレム君3体だって使用している魔法水晶だってそうやって無料で貰ったものだし。
「それじゃ明日フィオナにオッタービオさんの工房へ行ってもらって、動く試作品が出来たら陛下に相談するか」
「そうするしかないな」
全員意見は同じようだ。俺としては若干後ろめたいが仕方ない。こんな危険な魔道具、俺達だけで抱えているのは問題だろう。
それに移動魔法はもともと陛下から教わったものだ。
「その際は陛下に手紙でも書くか」
「陛下なら用事がありそうなときは勝手に来ると思うよ。今までそうだったしさ」
どうだろうか。
「今までは陛下が用事がある時ばかりだろ」
「でも夕食のメニューを把握している位だから何とかなるんじゃないかな」
あ、確かに。
「そうですわね。殿下はどうしましょうか」
「その辺の判断は陛下にしてもらった方がいいだろうな」
そんな感じで移動用ゴーレムというか魔道具の話は方針が決まった。
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