神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第3章 侵略の影 第12話 海向こうからの侵略⑴

51 海への侵略

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 2月1日4曜日9時過ぎ。
 いつものセキテツとの境界線に、キンビーラがいきなり出現した。
 昼食会には早すぎる。何かあったのだろう。

 アルツァーヤの顕現も出現した。私も急いで顕現を出す。

「まずい事になった。ビシューの土地神モ・トーが大量の土を出して海を埋め立て、タケヒカタ島を陸続きにした。このままではタケヒカタ島は、セートの島々やフタナジマへと侵攻する拠点にされてしまいかねない」

 キンビーラの言葉を受け、全知からの説明が入る。

『一定以下の面積の島は、特に取り決めがない場合、土地神ではなく沿海神の領域となります。セート海域ではホノサワケ以外の島は、沿海神であるキンビーラの領域です。
 ですが土地神がいる領域と陸続きになった時点で、沿海神の管轄から離れ、その土地神の領域となります。陸地は海神より地神に優先権がある為です。
 なおタケヒカタ島とアズキ島等セート海域の島、ケカハの位置関係は次の通りです』

 脳内に浮かんだ地図によると、タケヒカタ島とは児島半島っぽい場所のようだ。ただし私が知っているような半島では無く、独立した島となっている。
 ただし島の北側、ビシュー側の海は浅い。そこをビシューの土地神モ・トーが埋め立てて陸続きにしたようだ。

 そしてタケヒカタ島は他のキンビーラ配下の島と近接していて、一番近い島だと間の距離は1km無い。
 更にはケカハとも、直線距離で最短13km程度。

 しかし埋め立てられたなら、また土を取り除けばいいだろう。
 そう思ったら、全知が注意してきた。

『土地神や沿海神は、他の領域の物については、自由に収納したり加工したりする事は出来ません。特に他種の神の領域に対しては、この原則が厳格に運用されます。
 埋め立てて陸地となった場所については、地続きになっている土地神の領地と判断されます。ですから沿海神であるキンビーラは、収納したり穴をうがったりする事は出来ません』

 キンビーラには、土を取り除ける手段はないという事か。
 それ以外で、まず気になる事は……

「島の住民は大丈夫なのでしょうか?」

 私の質問に、キンビーラは渋い顔だ。

「できる限り近くの島に避難させるつもりだ。しかしタケヒカタ島は広く人口も多い。近隣の島から応援を読んでいるが、全員を避難させるのは難しいだろう」

 なら、繋がった部分を何とかしたいところだ。
 だから本当にどうにも出来ないのか、確認したい。
 しかし私の領地はケカハだけ。だからケカハと離れた場所については、全知を使ってもあまり細かい事はわからない。
 
「どんな形でアキヅシマとつながったのか、周囲の海と陸の地図を教えていただけますか」

「ああ、こんな感じだ」

 脳内に、先程全知で知ったのと少し変化した地図が映し出される。
 確かにタケヒカタ島とアキヅシマとつながっているけれど、その接続部分は割と細い。

 タケヒカタ島側からアキヅシマ方向、北に向かって見ると、
  ① タケヒカタ島の北西側に、北西方向へアマキダイ島、アルキ島、ムコーヤマ島と三つの島が連なっていて
  ② ムコーヤマ島の北端部に近接して、東西にのびるそこそこ大きな、元は島だったと思われる場所(地元名ハヤシマ)があって
  ③ ハヤシマの中央部北側が隆起か陸繋砂州の形成かでアキヅシマとつながっている
という地形だ。
 
 そしてこの作業は、
  ① ムコーヤマ島とハヤシマの間500mを埋める事によって、ムコーヤマ島を自分の領域にして
  ② アルキ島とムコーヤマ島の間100mを埋め立て、同様にアルキ島を領域にし、
  ③ アマキダイ島とアルキ島の間300mを埋め立て、アマキダイ島までを領域にして
  ④ タケヒカタ島とアマキダイ島の間の間500mを埋め立てた
という手順で行ったようだ。

 埋めている場所を確認する。土や岩の塊を海の上に出しただけだ。
 それなら島を取り返せす事は難しくないだろう。
 このどこかの部分を削って、海にしてしまえばいいだけ。

 方法はすぐに頭の中に浮かんだ。ただそれが可能なのか、口に出す前に全知で確認。
 まずは周囲を海に戻した場合、領域が再び沿海神であるキンビーラの領域になるかについて。

『その通りです。20平方里320km²以下の領域が他の同一神の領域で囲まれた場合は、囲まれた時点で囲んだ神の領域として扱います。ですから周囲が海になった時点で、沿海を領域とするキンビーラの領域となります』

 次は沿海神の能力についてだ。
 海水に浸かっているところまでが海神の領域、と以前確認した。
 ならば高波を起こして、波が被っている最中の部分を海神の領域と見做して、海神の権限で加工することは可能だろうか。

『可能です。海水が覆っている部分は、その時点において海神の領域であり、自由に加工する事が可能です』

 どうやら私が考えた方法は、実施可能なようだ。
 ならキンビーラに提案してみるとしよう。

「キンビーラなら、今ならば島を取り返す事が出来ると思います。海神でしたら、ある程度の高波を起こすことは可能ですね」

「ああ、それは可能だ。しかし波が引けば、元に戻ってしまう」

 波で陸地を削って島に戻すという方法に気づかないようだ。
 だから私は、更に説明を加える。
 
「ですが波の下になったものは、その瞬間は海神の領域下にある筈です。それでしたら波の下となった部分の土を収納し、海と化すのは可能ではないでしょうか」
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