神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第3章 侵略の影 第12話 海向こうからの侵略⑴

53 奪回にプラスして

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 タケヒカタ島のオージマという島最大の集落へ行って、キンビーラによる島民への説明に立ち会った後、領地の譲り渡し等を実施。
 神社は現在あるキンビーラの神社を共同で利用することとした。

 同じ神社を共同利用なら同棲なんて考えたくなるけれど、実際にはそんな生々しい事は全くない。
 この神社は、神と地元住民の連絡所という程度のもの。
 二間しかない構造で、入口側にある『人の間』が土間で12畳くらい、奥にある『神の間』が板の間で12畳くらい。

『非常時に此処の人の間へ駆け込んで神に祈願すると、神が気づいて神の間に顕現として出現するという運用です。神の本拠地ではない小村における祀り場所としては一般的な構造で、フタナジマやアキヅシマの各所で見られます』

 私もケカハのあの村以外で祀られる時は、こういった形の神社になるのだろう。
 しかしミョウドーのイノツの街にある私の神社は、かなり広い。
 ナハルの居所跡を使っているからだけれど、大丈夫だろうか。

『大きい街の場合は、その街が神に重要視されている事を表す為、往々にして神社が大きくなります。それにイノツの街はミョウドーの中心です。ですから問題はありません』
 
 まあいいとしておこう。そう思ったところだった。

『島の反対側、タケヒカタ島とアマキダイ島の間が再び埋められました。今度は比高300m近い高さの山を使用しており、波ではすぐに削れない高さです』

 なるほど。予想通りの安直な方法で来たようだ。
 しかし問題無い。もう児島半島、いやタケヒカタ島は土地神である私の領域になっているのだ。

 だからこれだけで、こちらを領地と化す事は出来ない。
 信徒をこちらに侵入させ、1里4km四方の人を退去させて100日居座り、占領する必要がある。

 しかし此処で人同士の戦闘になるのは避けたい。
 という訳で、先程と同様の方法で領地変更させて貰おう。
 地形を考えると削りやすい場所は明らか。なお仕掛けて来た向こうに対する嫌がらせとしても、悪くない場所だ。

「キンビーラ、申し訳ないですが、今度はさっきと違う場所に高波を起こして、土地を海面下になるよう削って貰えますか?」

「わかった。何処を削ればいい?」

「今度はハヤシマとアキヅシマを結ぶ砂州を削ってください。私は土地神の権限で、タケヒカタ島と今回埋められた部分の境目を削って、海より低くします。
 そうすればハヤシマから今回埋められた部分までは、キンビーラの領域である海に囲まれて、ビシューではなくキンビーラの領域となるでしょう。
 そして私が、先ほど削ったタケヒカタ島との接続部分を元に戻せば、私という土地神の領域とこれらの島が接続されます。これでハヤシマから南は、全部私の領地で、ビシューの神が手出しできなくなります」

 元々ハヤシマ以外は、沿海神であるキンビーラの領域なのだ。
 ハヤシマはまあ、今回の侵略の罰として。

「こんなやり方があるのか……神も人も戦うことなく、領地を奪う事が可能なのだな」

「ええ。もちろんこれは適した地形があった上で、土地神と沿海神が結託していないと出来ない方法です。ハヤシマを余分にいただくことになりますが、いきなり海を埋め立てて領地化しようとした相手に対しては、これくらいは必要でしょう」

 言葉を使用しない、もしくは理解出来ない相手には、理解出来る方法で対話する必要がある。
 侵略という言語でしか会話出来ない相手なら、侵略という言語で応えるまでだ。

 ついでに言うと、土地神と沿海神がこういった方法で徹底的にやり合った場合、神としての力が同程度なら土地神に勝ち目は無い気がする。

 土地神が埋め立てに使用出来るのは、その土地にある土砂の量まで。
 しかし神々が収納出来る容量は、無限に近い。
 つまりいくら埋めたてようと、高波で削って収納していけば、いつかは土地神側に使える土砂が無くなる。

「わかった。完全に削れたらコトーミに伝える」

「お願い致します」

 私はタケヒカタ島とビシューをつなげた山を確認する。
 今の私はタケヒカタ島の土地神でもあるので、手前側はかなり詳細な状態まで理解可能だ。

 手前側の接続部の手前を、東西に1m幅で収納しよう。
 収納した際に崩れて落ちないよう、収納する場所の手前と向こう側を土砂から一枚岩に変化させて……

「完全に水面が繋がった」

「わかりました」

 イメージした部分を収納する。空いた部分に海水が流れ、手前側と向こう側を狭い海峡で隔てる。

「こちらの領地となった」

「わかりました」

 収納した部分を出して、今海水が流れた部分を埋める。
 私の領地が広がった事が認識出来た。成功だ。

 さて、ハヤシマには港があり、30人ほどが住んでいる。
 この者がモ・トーの信徒だと面倒だ。100日経てば、ハヤシマを自動的に取り返されてしまう。 

「今回増えた領域で、人が住んでいるのはハヤシマだけのようです。ですので島の住民に、こちらの信徒となるよう勧誘しておきます。モ・トーの信徒をやめれば、土地神コトーミの治める領域内では魔法を使えるという条件をつけて」

 モ・トーの信徒ではなく沿海神キンビーラの信徒かもしれないが、問題はない。
 土地神は一柱しか信仰出来ないが、沿海神と土地神など違う種別の神は同時に信仰可能だから。

「あとハヤシマは領地の取り合いで荒れる可能性があるので、移動も勧めておきましょう。おそらく海に関係する業種についていると思われますので、私よりキンビーラが話して移動先や待遇を決めて頂いた方がいいかと思います。お願いしてもいいでしょうか」

「ああ、もちろんだ。ハヤシマの住民は漁業を営んでいる者と海運関係ばかりだから、私の方が適任だ。移動先はタケヒカタ島のバンシューと反対側あたりなら、環境が似ているし領地争いで直接の問題が起きにくいだろう」

 それなら……これも必要か。 

「なら元からのタケヒカタ島の住民も、魔法を使えるようにしておきましょう。同じ島内で違いが出ては申し訳ないですし、万が一ビシューに攻められた際でも少しは安心でしょうから」

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