神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第15話 モ・トーの企て

64 神力の代用手段

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 村やセキテツとの境に出している顕現とは別の並列思考で、私は考える。
 モ・トーの侵略から、どうすればケカハを守れるかを。

 まずはモ・トーの神力について。奴はどれくらいの神力を持っているのだろう。

『直接目視していないので不明です。ですがキンビーラの神力がおよそ40万程度ですので、それ以上と思われます』

 私の神力は5万強といった程度。
 このままだとどう考えても、勝ち目はなさそうだ。

 しかし神力を上げるのには、領域内の人口増加が必要だ。
 今回の戦いに間に合わせるのは無理だろう。
 つまり私やキンビーラは、今の神力でモ・トーに立ち向かわなければならない。

 神である私だけの無事を確保すればいいのなら、複数の顕現を常に出しておいて、モ・トーが来た場合は逃げまくればいい。
 他の神の領域で、全在を使って逃げ回る神を倒すのは困難だろう。

 しかしこの方法では、住民が攻撃される事を防げない。
 他の神の信徒であろうと、間接的な攻撃は可能なのだから。
 海を埋めるのと同様、上から土を出して生き埋めにする、なんてのだって可能だろう。

『可能です』

 なら逃げ回るのは無しだ。
 しかし足りない神力を、何らかの方法で補う事が可能だろうか。
 ケカハの村人が、薪のエネルギーで魔法を使うように。

『問い合わせます……
 薪等を使用した熱量交換魔法は、神であっても使用可能です。ですが薪等のエネルギーを真素マナや神力に置き換えて使用する事は、認められないと出ました』

 出たな、謎の問い合わせ。
 そして薪のエネルギーを神力として使うのは、駄目なようだ。
 なら大量の薪を収納に入れた上で、熱量交換魔法でエネルギーにして、魔法で戦う事は可能だろうか。

『神の権能のうち、この世界以外のことわりや存在を使用するものは魔法では実現不可能です。全知による情報取得、収納、領域内の任意地点への出現、神力変換、恩恵による急速成長、時間操作等がこれにあたります。ですので薪でエネルギーを発生させても、収納の出し入れに要する速度は上がりません』

 海を巡る土の出し入れ合戦には、薪の使用は出来ないと。
 それなら、敵の土地神を目視して直接攻撃したり、見える範囲の物を壊したりする事は可能だろうか。

『前述した以外のほとんどの全在に属する能力は、魔法でも実現することが理論上可能です。また魔力をエネルギーや物質として発生させた状態で、全在により領域内の任意の場所に発生させる事も可能です』

 敵に攻撃は可能。ただ理論上、と言っているあたりが微妙な気がする。

『熱量交換魔法は神であっても使用可能です。つまりコトーミも、所持した薪を消費して得たエネルギーで魔法を使用する事は出来ます。ただし薪などで得たエネルギーを神力として使用することは出来ません」

 魔法ならば使用可能で、神力にするのは不可能というのは理解した。
 しかし神力でなければ困るという事は、何かあるのだろうか。
 収納等が使えないこと以外に。

『魔法は、エネルギーを直接使用してこの世界に作用させます。ですが神による神力の行使の場合は、神力で神界のエネルギーを引き出して、この世界へ作用させています。ですので同じ真素マナや神力を使用しても、実際に可能な仕事量は二百万倍以上の違いが生じるのです』

 神力の代わりに魔法を使うと、エネルギー効率が極端に悪くなると言う事のようだ。
 確かにそうでなければ、100程度の神力で川を改修するなんてことは出来ないだろう。

 ならもしも薪の二百万倍以上のエネルギーを得るものがあれば、神力の代わりに魔法を使用して、神力と同じような事が出来るのだろうか。

『その通りです。ですが現状では効率が悪すぎて実用的ではありません。例えば神力1と同じ仕事量を、狭葉樫の薪を用いた熱量交換魔法で得る場合、狭葉樫の薪が約72t必要です。なお狭葉樫の30年物は1本およそ2tです』

 神力1に狭葉樫が36本必要なのか。
 そう思うと、多いような少ないような、微妙な気になる。
 しかしそれなら、神力1万には36万本が必要。

 あ、でもギリギリ可能な気がしてきた。
 現に今、私がケカハの村の周囲につくっている狭葉樫の林は、だいたい1km²の面積に29万本の狭葉樫がある。

 目標を25万相当とすると、私の神力は5万程度だから残りは25万。なら樹木は900万本あればいい。
 これはケカハの村の狭葉樫林の30倍ちょい。
 ならミョウドーとケカハ両方の森林から、少しずつ間伐すれば……
 
『900万本ですと、ミョウドーとケカハ全体の森林の20分の1です。この森林には島部やケカハの村の林も含まれています。ですのでこの量の樹木を伐採するのはお勧めしません。
 影響が大きい島部や里山部分等を除き、更に他の部分の現在の環境維持を考慮した場合、360万本程度までにとどめるのが無難と思われます』

 360万本なら、神力10万相当か。
 足りないけれど、やらないよりはましだろう。

 でも待てよ。
 一度伐採した後、恩恵を使用して再び樹木を生やして成長させて……というのは駄目だろうか。

『不可能ではありませんが、お勧めはしません。自然の森林が恩恵を受けた場合、自然と異なる歪んだ形に成長を遂げる場合があります。ですので人工林や畑、ケカハ平野のように元々植物が少なかった場所以外では、恩恵による急速成長は行わない方が無難です』

 なら山のある一定領域を皆伐して、そこに完全な人工林をつくるなんて方法で増やすのはありな訳か。
 ただ杉の人工林が増えた結果、あれこれ問題が発生したなんて話を前世で聞いた覚えがある。
 やめておいた方が無難だろう。

 ならとりあえず出来る事から、具体的には神力10万に相当する樹木の収納と乾燥をやっておこう。
 
『神力10万に相当する樹木を収納して乾燥させるには、神力3,000程度が必要になります。なおコトーミの現在の神力は39,413で、1日あたりの神力収入はおおよそ5,000程度です』

 それくらいなら問題ない。
 ばっさりやってしまおう。
 
 がくっと神力が減ったと同時に、とんでもない量の樹木が収納されたのを感じた。
 もしモ・トーと戦うとしても、私は一人ではない。
 最低でもキンビーラとの共同戦線にはなるだろう。

 ただ戦力的に十分ではない。
 敵は、キンビーラの神力30万を上回っている可能性が高い。
 そして私は自分の神力と薪のエネルギーをあわせても15万というところ。

 何か他に手はないだろうか。
 考えてみたけれど、残念ながら思いつかなかった。
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