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自分では、心の奥底に上手にしまったと思っていた。フタをして、隠して、考えないようにしていたつもりだった。でも、そうではなかったらしい。
私のつたない説明を、兄さまの補足を入れてもらいながら、使者に話をする。私は自分が思っているよりもずっと、あの国を恨んでいたようだ。
でも、罪のない人々まで巻き込むつもりはないし、そもそも巻き込みたくもない。なら、内側から壊していくしかない。
「じわじわと追い詰めたほうが、逃げ道を無くすことができる。ただ……王国を残すのか、周辺諸国のどこかの属国になるのか、それによって少し対応が変わります」
真っ向勝負で挑めば、まず間違いなく先に国民が苦しんでしまう。そして肝心の王侯貴族を逃すことになる。そして二択、選択肢があるのには理由がある。あの使者としてやってきた王太子には兄がいる。第一王子は側妃の産んだ王子で、王太子は正妃の産んだ王子。
正妃の実家の圧力も大きいために、側妃の王子は王位継承権を一番に与えられなかった。だから第一王子が王位継承権第二位。王太子を落とせば、彼が継承権第一位に繰り上がる。
王国を残しつつ、内側から崩していくには、第一王子に国王になってもらうのが一番早い。現王太子が次期国王にふさわしくない、となれば周囲は国王にふさわしい人物を押し上げる。間違いなく、第一王子に白羽の矢が立つ。
「どのように進めるかはともかく……今回の件で国王ならびに王太子は、責を問われることになるでしょう。特に国王に関しては退位も考えられます。それほどまでに、本件は外聞が悪い」
同盟関係のある他国の皇女を娶ったにもかかわらず、この醜態。外聞が悪いで済ませられるレベルを超えている。これはすでに周辺国に伝わっているから、国内の状況が変わらない限り、他国の王侯貴族がリリム王国に輿入れをすることはなくなる。
そうなれば、他国の恩恵を受けられなくなって、さらに狭い世界での交流となる。孤立していくことを避けられない。
「王太子殿は、使者としての行動があまりにもよくない。ここが他国の皇宮であるということを理解していないようだったな」
イアン兄さまも一言つぶやいた。これは相当に根に持っているな、と感じる。同じ一国を背負う立場の人間として、思うところがあるのかもしれない。
それぞれ今後のことを話し、大方の方向性をまとめて解散する。遅くなりすぎてもよくないので、聞かれたときは、交渉に時間をかけたが断られた、と言うように指示している。使者の役目を果たしたが力が及ばなかったと思わせるよりも、取り付く島を与えられなかった、と言ったほうが彼らが責められることはないだろうから。
「ユーニス、大丈夫か?」
「はい、イアン兄さま」
「全く、許せない。可愛い妹であるユーニスにあんな態度……使者でなければ剣の錆にしてやったというのに」
「イアン兄さま、それでは戦争になってしまいます。罪なき人々を巻き込むおつもりですか」
「ハハッ! そんな暇さえも与えはしないよ、やるなら徹底的に叩きのめすまでだ」
この兄が言葉にすれば、全てが現実になりそうで。この皇宮での態度に怒っているのかと思えば、どちらかというと私への無礼な態度が許せないようだし、兄の考えることは読み取るのが難しい。読み取れないのは皇太子である以前に、この人の性格のような気もする。
「イアン殿下、ほどほどに」
「わかっているさ、レイフ。私もそこまで愚かではないからね、上手く手玉に取るさ」
今もなお、怒りをあらわにするイアン兄さまに、レイフ様は呆れていたが、それ以上何かを言うことはなかった。
私のつたない説明を、兄さまの補足を入れてもらいながら、使者に話をする。私は自分が思っているよりもずっと、あの国を恨んでいたようだ。
でも、罪のない人々まで巻き込むつもりはないし、そもそも巻き込みたくもない。なら、内側から壊していくしかない。
「じわじわと追い詰めたほうが、逃げ道を無くすことができる。ただ……王国を残すのか、周辺諸国のどこかの属国になるのか、それによって少し対応が変わります」
真っ向勝負で挑めば、まず間違いなく先に国民が苦しんでしまう。そして肝心の王侯貴族を逃すことになる。そして二択、選択肢があるのには理由がある。あの使者としてやってきた王太子には兄がいる。第一王子は側妃の産んだ王子で、王太子は正妃の産んだ王子。
正妃の実家の圧力も大きいために、側妃の王子は王位継承権を一番に与えられなかった。だから第一王子が王位継承権第二位。王太子を落とせば、彼が継承権第一位に繰り上がる。
王国を残しつつ、内側から崩していくには、第一王子に国王になってもらうのが一番早い。現王太子が次期国王にふさわしくない、となれば周囲は国王にふさわしい人物を押し上げる。間違いなく、第一王子に白羽の矢が立つ。
「どのように進めるかはともかく……今回の件で国王ならびに王太子は、責を問われることになるでしょう。特に国王に関しては退位も考えられます。それほどまでに、本件は外聞が悪い」
同盟関係のある他国の皇女を娶ったにもかかわらず、この醜態。外聞が悪いで済ませられるレベルを超えている。これはすでに周辺国に伝わっているから、国内の状況が変わらない限り、他国の王侯貴族がリリム王国に輿入れをすることはなくなる。
そうなれば、他国の恩恵を受けられなくなって、さらに狭い世界での交流となる。孤立していくことを避けられない。
「王太子殿は、使者としての行動があまりにもよくない。ここが他国の皇宮であるということを理解していないようだったな」
イアン兄さまも一言つぶやいた。これは相当に根に持っているな、と感じる。同じ一国を背負う立場の人間として、思うところがあるのかもしれない。
それぞれ今後のことを話し、大方の方向性をまとめて解散する。遅くなりすぎてもよくないので、聞かれたときは、交渉に時間をかけたが断られた、と言うように指示している。使者の役目を果たしたが力が及ばなかったと思わせるよりも、取り付く島を与えられなかった、と言ったほうが彼らが責められることはないだろうから。
「ユーニス、大丈夫か?」
「はい、イアン兄さま」
「全く、許せない。可愛い妹であるユーニスにあんな態度……使者でなければ剣の錆にしてやったというのに」
「イアン兄さま、それでは戦争になってしまいます。罪なき人々を巻き込むおつもりですか」
「ハハッ! そんな暇さえも与えはしないよ、やるなら徹底的に叩きのめすまでだ」
この兄が言葉にすれば、全てが現実になりそうで。この皇宮での態度に怒っているのかと思えば、どちらかというと私への無礼な態度が許せないようだし、兄の考えることは読み取るのが難しい。読み取れないのは皇太子である以前に、この人の性格のような気もする。
「イアン殿下、ほどほどに」
「わかっているさ、レイフ。私もそこまで愚かではないからね、上手く手玉に取るさ」
今もなお、怒りをあらわにするイアン兄さまに、レイフ様は呆れていたが、それ以上何かを言うことはなかった。
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