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勇者召喚と逃亡
勇者逃亡 ⑲
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橘一家とは縁もゆかりもない冒険者パーティー「ライゼ」から、フュルト国へドラゴンの背に乗って行きませんか? とお誘いを受けてしまった。どうして? と理解できずに動揺する私たちの中で、意外にも姉がスパッと理由を尋ねてくれた。
「どうして会って間もないわたしたちにそんなことを? もしかしてフュルト国までの護衛の指名依頼を出せってことですか? 生憎……わたしたちも手持ちが……」
ああ……冒険者パーティーだもんね。護衛依頼の営業かぁ。神様から貰った大金貨を出せば護衛を頼んで、ドラゴンの背に乗ってフュルト国まで行けんのかな? だったら、目立つけど護衛依頼出してみる?
「何か誤解したみたいだな。この提案は俺たちへの指名依頼の要求ではない。俺としては、ここまでアオイたちの面倒をみるつもりはなかったのだが、レオンがなぁ、どうもあんたたちのことを気にしているみたいでな」
チラリとシルビオさんの視線がレオンさんへと向けられる。
「……トリーア国から移動してきたんだってさ。あそこと避難先のノイス国は種族差別が激しいから、キッカたちは別の移住先を探しているって」
「それは散々聞いた。そんな理由で定住先を探す者は他にもいるだろう? なんで普段は他人に興味などないレオンが、アオイたちを気にするのかって話だ」
シルビオさんの指摘にレオンさんは無表情ながら、むーっと不機嫌なオーラを巻き散らす。そして……オリビアさんが何かに気づいた。
「そういえば、レオンはキッカが気になるのかしら? リーダーは長兄であるアオイに向けて話をしているのに、レオンは違うようね」
そうですか? そうかな? たまたま、最初に話した相手だからじゃないでしょうか? ひいぃっ、お願いだからワイバーン討伐したのが小次郎だったと気づかないでぇぇっ。
「……それは……レーゲンが、キッカを気に入っているから」
「へ?」
あのトカゲじゃなかった、ドラゴンが私を気に入っているって? そんな素振りあったかな?
「レーゲンが? ドラゴンに気に入られるなんて……もしかしてキッカはテイマーの素質が……」
「ありません!」
とんでもない方向に話が進みそうで、思わず食い気味に会話に割って入ってしまった。私にテイマーの素質もスキルもないことは、神様が証明している。なのでドラゴンに気に入られていることはない。レオンさんの勘違いである。できればレーゲンから非常食と思われていなければいいなぁってレベルだもん。
私のスキルは神様さえも詳細がわからない「手芸創作」だからね。これはあれか? 何か手芸で作ったら、スキルの能力がわかるんだろうか?
ちょっと物思いに耽ってしまったが、ハッと意識を去り戻すとレーゲンとヴィントのドアップが!
「きゃあ!」
ぴゅいぴゅい、グルルルじゃないのよ。怖いのよ、猛禽類? あれ爬虫類? ああ……竜種か……。
「ふむ、気に入っているな。人慣れしているヴィントはともかく、まだ幼く力加減が拙いレーゲンが気に入るなど珍しい」
ドラゴンと見つめ合う私を「ライゼ」の皆さんと兄と姉が凝視する。小次郎はドラゴンに興味があるみたい。
「おもしろーっ。いいよ、いいよ。ドラゴンに乗せてフュルト国まで送っててあげようぜ。なんだったら、フュルト国の行きたい場所まで連れてってあげようよ」
お菓子を頬張りほっぺがパンパンのカルラさんが、軽い調子で言い切った。
そうしていただけると、ありがたいです。はい。
なんと! フュルト国までドラゴンに乗って移動することになりました!
そして、無料! ここ大事。タダ! タダより高いものはないというが、そんなことにビビッていたら異世界は渡れない!
「でも……何かお礼をしたいのですが……」
律儀な日本人の兄がそう申し出ると、シルビオさんは苦笑してワイバーンの肉をご所望してきた。肉? ワイバーン討伐依頼を受けていた「ライゼ」の皆さんも肉は手に入ったのでは?
「アーゲン国からの依頼だったから、討伐代だけだな。討伐したワイバーンはすべてアーゲン国の騎士団の所有となる。あのワイバーンはアーゲン国が討ち損じたものを個人で討伐したので、アオイたちのものとして売れたんだ」
「ワイバーン倒したのに……お肉はなしですか?」
まだ食べてないけど、冒険者ギルドの解体担当者が絶賛していたお肉なのに!
シルビオさんたちはワイバーンの肉に固執する私たちへ肩を竦めてみせると、一緒にワイバーンの肉を食べようと誘ってくる。それが、フュルト国までの移動代だと。
「任せてください! ワイバーンの肉を最高級に美味しく料理してみせます! 兄が」
「ええ。ワイバーンのお肉をさらに極上にしてみせますわ、兄が」
私と姉でささっと兄に手を向け絶賛すると、名指しされた兄は「アハハハ」と乾いた笑いを発して頭を掻いた。
「そ……そうか、それは楽しみだな。……あれか? 厨房の使用許可でも取っておくか?」
シルビオさんと兄、食いしん坊なカルラさんとお目付け役のオリビアさんは、ホテルの支配人と話をすると部屋を出て行った。
油断していた。
あんなに頭を悩ましていたフュルト国への移動がタダで、無料で、楽々に渡れると思って油断していた!
うん、ワイバーンのお肉にほぼ思考が奪われていたかもしれない。お肉~っ。
「キッカとコジロー。ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう、レオンさん」
「……コジローがワイバーンを一刀した剣を見せてほしい」
うえええぇぇっ? バ、バレているだとーっ!
「どうして会って間もないわたしたちにそんなことを? もしかしてフュルト国までの護衛の指名依頼を出せってことですか? 生憎……わたしたちも手持ちが……」
ああ……冒険者パーティーだもんね。護衛依頼の営業かぁ。神様から貰った大金貨を出せば護衛を頼んで、ドラゴンの背に乗ってフュルト国まで行けんのかな? だったら、目立つけど護衛依頼出してみる?
「何か誤解したみたいだな。この提案は俺たちへの指名依頼の要求ではない。俺としては、ここまでアオイたちの面倒をみるつもりはなかったのだが、レオンがなぁ、どうもあんたたちのことを気にしているみたいでな」
チラリとシルビオさんの視線がレオンさんへと向けられる。
「……トリーア国から移動してきたんだってさ。あそこと避難先のノイス国は種族差別が激しいから、キッカたちは別の移住先を探しているって」
「それは散々聞いた。そんな理由で定住先を探す者は他にもいるだろう? なんで普段は他人に興味などないレオンが、アオイたちを気にするのかって話だ」
シルビオさんの指摘にレオンさんは無表情ながら、むーっと不機嫌なオーラを巻き散らす。そして……オリビアさんが何かに気づいた。
「そういえば、レオンはキッカが気になるのかしら? リーダーは長兄であるアオイに向けて話をしているのに、レオンは違うようね」
そうですか? そうかな? たまたま、最初に話した相手だからじゃないでしょうか? ひいぃっ、お願いだからワイバーン討伐したのが小次郎だったと気づかないでぇぇっ。
「……それは……レーゲンが、キッカを気に入っているから」
「へ?」
あのトカゲじゃなかった、ドラゴンが私を気に入っているって? そんな素振りあったかな?
「レーゲンが? ドラゴンに気に入られるなんて……もしかしてキッカはテイマーの素質が……」
「ありません!」
とんでもない方向に話が進みそうで、思わず食い気味に会話に割って入ってしまった。私にテイマーの素質もスキルもないことは、神様が証明している。なのでドラゴンに気に入られていることはない。レオンさんの勘違いである。できればレーゲンから非常食と思われていなければいいなぁってレベルだもん。
私のスキルは神様さえも詳細がわからない「手芸創作」だからね。これはあれか? 何か手芸で作ったら、スキルの能力がわかるんだろうか?
ちょっと物思いに耽ってしまったが、ハッと意識を去り戻すとレーゲンとヴィントのドアップが!
「きゃあ!」
ぴゅいぴゅい、グルルルじゃないのよ。怖いのよ、猛禽類? あれ爬虫類? ああ……竜種か……。
「ふむ、気に入っているな。人慣れしているヴィントはともかく、まだ幼く力加減が拙いレーゲンが気に入るなど珍しい」
ドラゴンと見つめ合う私を「ライゼ」の皆さんと兄と姉が凝視する。小次郎はドラゴンに興味があるみたい。
「おもしろーっ。いいよ、いいよ。ドラゴンに乗せてフュルト国まで送っててあげようぜ。なんだったら、フュルト国の行きたい場所まで連れてってあげようよ」
お菓子を頬張りほっぺがパンパンのカルラさんが、軽い調子で言い切った。
そうしていただけると、ありがたいです。はい。
なんと! フュルト国までドラゴンに乗って移動することになりました!
そして、無料! ここ大事。タダ! タダより高いものはないというが、そんなことにビビッていたら異世界は渡れない!
「でも……何かお礼をしたいのですが……」
律儀な日本人の兄がそう申し出ると、シルビオさんは苦笑してワイバーンの肉をご所望してきた。肉? ワイバーン討伐依頼を受けていた「ライゼ」の皆さんも肉は手に入ったのでは?
「アーゲン国からの依頼だったから、討伐代だけだな。討伐したワイバーンはすべてアーゲン国の騎士団の所有となる。あのワイバーンはアーゲン国が討ち損じたものを個人で討伐したので、アオイたちのものとして売れたんだ」
「ワイバーン倒したのに……お肉はなしですか?」
まだ食べてないけど、冒険者ギルドの解体担当者が絶賛していたお肉なのに!
シルビオさんたちはワイバーンの肉に固執する私たちへ肩を竦めてみせると、一緒にワイバーンの肉を食べようと誘ってくる。それが、フュルト国までの移動代だと。
「任せてください! ワイバーンの肉を最高級に美味しく料理してみせます! 兄が」
「ええ。ワイバーンのお肉をさらに極上にしてみせますわ、兄が」
私と姉でささっと兄に手を向け絶賛すると、名指しされた兄は「アハハハ」と乾いた笑いを発して頭を掻いた。
「そ……そうか、それは楽しみだな。……あれか? 厨房の使用許可でも取っておくか?」
シルビオさんと兄、食いしん坊なカルラさんとお目付け役のオリビアさんは、ホテルの支配人と話をすると部屋を出て行った。
油断していた。
あんなに頭を悩ましていたフュルト国への移動がタダで、無料で、楽々に渡れると思って油断していた!
うん、ワイバーンのお肉にほぼ思考が奪われていたかもしれない。お肉~っ。
「キッカとコジロー。ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう、レオンさん」
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うえええぇぇっ? バ、バレているだとーっ!
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