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安住の地を求める勇者とぬいぐるみ
勇者旅立 ④
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やっと……やっと下界に下りられた。ドラゴンコースターから、しっかりとした動かぬ地面に、足を着けることができた。地面に頬ずりしたい気分だわよ。ヨロヨロとレーゲンの背から落ちてきた私と小次郎の姿に、先にヴィントの背から下りていた兄と姉から、同情の視線を浴びる。
スタッとカッコよくレーゲンの背から飛び降りたレオンさんは、労わるようにレーゲンの鼻を撫でてパーティーのリーダーであるシルビオさんの元へ走っていった。私と小次郎は足がガクガクで立ち上がることもできないのに、きいぃぃぃぃっ。
「大丈夫か、菊華?」
兄が手を差し伸べてくれるけど、腰が立ちません。小次郎は姉に支えられてようやく立ち上がる。快適な空の旅を楽しんだであろう兄と姉をギロリと睨んでおく。兄と姉だけでなく、人を乗せることに慣れているヴィントの背に乗っていたカルラさんとオリビアさんにも、抗議の視線をギロリと。
ヴィントがジェット機なら、レーゲンは新米操縦士が運転するオンボロプロペラ機である。わかるだろうか? この差が!
「……言いたいことは山ほどあるけど……なんでこんなところに着地したの?」
私だって街中にドラゴン便が着陸するのは無理があるとは思うけど、念願のフュルト国の街が影も形も見えない場所で下ろされると思わなかった。まさか、ここから私たちだけで歩いて行けとか言わないわよね?
「それが……シルビオさんの提案でここで野営してから、明日の朝、フュルト国に向けて移動することにしたんだ」
「野営?」
なぜ? ここまで来て街への到着がお預け状態なの? 今日、フュルト国に行けると思ったから、私は嫌々ながらレーゲンの背に乗ったというのに! あと、鬱陶しいからレーゲンは鼻でちょんちょんと私の背中を突かないように。力加減を間違えたら大惨事なんですけど?
「キッカとコジローには、俺から説明する」
ドドーンとシルビオさんが登場。レーゲンったら飼い主のレオンさんよりシルビオさんのほうが怖いのか、上目遣いにシルビオさんを見て首をひっこめている。
「まだ早いが野営の準備をしよう」
「……はい。私たちにできることあります?」
見たとおり、力仕事とか無理ですけど。シルビオさんは苦笑して、薪にする枯れ木集めと、木の実採集を頼んでくれた。木の実については、実っている木の下まで案内してくれるという、至れり尽くせりです。
パチパチと焚火が燃える音が、ヒーリングミュージックとなって私を癒す。地面で生活するのって大事。二度とレーゲンの背には乗らん!
私の機嫌が激悪なのを察してか、リーダーのシルビオさんに怒られたのが効いたのか、レーゲンはしょんぼりしていた。シルビオさんは群れのリーダーみたいなものだから、レーゲンとしては無視できないらしく、そのあとヴィントの尻尾で叩かれてもいた。痛そう……。
「さて、アオイたちを足止めした理由だが……」
えっ……、粗食とはいえ夕飯食べて睡魔が襲いつつあるいま、その話題ですか? 私は理由を知っているだろう兄と姉の顔を窺う。神妙な表情でじっと焚火を見つめている。……こりゃ、マジな話だな。
「詳しくは聞かないが、アオイたちは……常識がなさすぎる」
「ぅぐっ!」
いきなりどストライクなダメ出しがきた。兄と姉はすでに聞いているせいか目を瞑って粛々と受け入れているけど。
「このままフュルト国に連れていって別れたら、なんだか罪悪感が芽生えそうだから、ここで最低限のことを教えておこうと思う」
……ありがとうございます。異世界の常識なんて知らないし、偏った変な情報なら、姉が腐るほど知っているけど役に立ってません。
「まず……俺たちのことを信用してもらうためにも、こちらのことを話させてほしい」
焚火を挟んで橘一家と冒険者パーティー「ライゼ」が対面する。シルビオさんの右隣にカルラさん、左隣にオリビアさん、三人の後ろにレオンさんが立ち、そのまた後ろにヴィントとレーゲンが仲良く食事をしている。それってさっきレオンさんが狩った猪よね? 骨をかみ砕く音が聞こえてきて怖いです。
「俺は……職業はテイマーだが、ドラゴンを使役できるのは……竜人族だからだ」
「ドラゴ……ニュート?」
橘一家一同、首がコテンである。いや、姉だけは瞳がキラキラしているが……。そして、私たちが「竜人族」を知らないということがシルビオさんたちにバレた。しまった……有名な何かだったのだろうか?
「やっぱりな。アオイたちはどんな田舎で生まれ育ったんだ? まあいい、続けるぞ、こっちのカルラは一見、猫獣人族に見えるがエルフとの混血だ」
「ふぅ~ん」
エルフなら知っている。それなら、あっちの世界の物語や映画にも登場する、耳が尖った有名な人だ。兄も知っている固有名詞が出てきて嬉しいのか、腕を組んでうんうんと頷いている。
「……オリビアは人族だが、魔族との混血だ」
「へぇ~」
魔族だって。小次郎が勇者だから、てっきり魔王がいて退治しなきゃいけないのかと思ったけど、オリビアさんみたいな混血がいるなら、魔族と和解済みだったりするのかな?
ものすっごく顔をしかめたシルビオさんが、噛みしめた口から絞り出すように最後の人物を紹介する。
「レオンは……実は……精霊との混血だ!」
「…………」
橘一家一同、今度は反対側に首をコテン。やばいやばい……何がやばいって、シルビオさんの話したことの何がやばいのか、わからないのがやばいって。
精霊との混血って珍しいんですか? ドラゴンより?
スタッとカッコよくレーゲンの背から飛び降りたレオンさんは、労わるようにレーゲンの鼻を撫でてパーティーのリーダーであるシルビオさんの元へ走っていった。私と小次郎は足がガクガクで立ち上がることもできないのに、きいぃぃぃぃっ。
「大丈夫か、菊華?」
兄が手を差し伸べてくれるけど、腰が立ちません。小次郎は姉に支えられてようやく立ち上がる。快適な空の旅を楽しんだであろう兄と姉をギロリと睨んでおく。兄と姉だけでなく、人を乗せることに慣れているヴィントの背に乗っていたカルラさんとオリビアさんにも、抗議の視線をギロリと。
ヴィントがジェット機なら、レーゲンは新米操縦士が運転するオンボロプロペラ機である。わかるだろうか? この差が!
「……言いたいことは山ほどあるけど……なんでこんなところに着地したの?」
私だって街中にドラゴン便が着陸するのは無理があるとは思うけど、念願のフュルト国の街が影も形も見えない場所で下ろされると思わなかった。まさか、ここから私たちだけで歩いて行けとか言わないわよね?
「それが……シルビオさんの提案でここで野営してから、明日の朝、フュルト国に向けて移動することにしたんだ」
「野営?」
なぜ? ここまで来て街への到着がお預け状態なの? 今日、フュルト国に行けると思ったから、私は嫌々ながらレーゲンの背に乗ったというのに! あと、鬱陶しいからレーゲンは鼻でちょんちょんと私の背中を突かないように。力加減を間違えたら大惨事なんですけど?
「キッカとコジローには、俺から説明する」
ドドーンとシルビオさんが登場。レーゲンったら飼い主のレオンさんよりシルビオさんのほうが怖いのか、上目遣いにシルビオさんを見て首をひっこめている。
「まだ早いが野営の準備をしよう」
「……はい。私たちにできることあります?」
見たとおり、力仕事とか無理ですけど。シルビオさんは苦笑して、薪にする枯れ木集めと、木の実採集を頼んでくれた。木の実については、実っている木の下まで案内してくれるという、至れり尽くせりです。
パチパチと焚火が燃える音が、ヒーリングミュージックとなって私を癒す。地面で生活するのって大事。二度とレーゲンの背には乗らん!
私の機嫌が激悪なのを察してか、リーダーのシルビオさんに怒られたのが効いたのか、レーゲンはしょんぼりしていた。シルビオさんは群れのリーダーみたいなものだから、レーゲンとしては無視できないらしく、そのあとヴィントの尻尾で叩かれてもいた。痛そう……。
「さて、アオイたちを足止めした理由だが……」
えっ……、粗食とはいえ夕飯食べて睡魔が襲いつつあるいま、その話題ですか? 私は理由を知っているだろう兄と姉の顔を窺う。神妙な表情でじっと焚火を見つめている。……こりゃ、マジな話だな。
「詳しくは聞かないが、アオイたちは……常識がなさすぎる」
「ぅぐっ!」
いきなりどストライクなダメ出しがきた。兄と姉はすでに聞いているせいか目を瞑って粛々と受け入れているけど。
「このままフュルト国に連れていって別れたら、なんだか罪悪感が芽生えそうだから、ここで最低限のことを教えておこうと思う」
……ありがとうございます。異世界の常識なんて知らないし、偏った変な情報なら、姉が腐るほど知っているけど役に立ってません。
「まず……俺たちのことを信用してもらうためにも、こちらのことを話させてほしい」
焚火を挟んで橘一家と冒険者パーティー「ライゼ」が対面する。シルビオさんの右隣にカルラさん、左隣にオリビアさん、三人の後ろにレオンさんが立ち、そのまた後ろにヴィントとレーゲンが仲良く食事をしている。それってさっきレオンさんが狩った猪よね? 骨をかみ砕く音が聞こえてきて怖いです。
「俺は……職業はテイマーだが、ドラゴンを使役できるのは……竜人族だからだ」
「ドラゴ……ニュート?」
橘一家一同、首がコテンである。いや、姉だけは瞳がキラキラしているが……。そして、私たちが「竜人族」を知らないということがシルビオさんたちにバレた。しまった……有名な何かだったのだろうか?
「やっぱりな。アオイたちはどんな田舎で生まれ育ったんだ? まあいい、続けるぞ、こっちのカルラは一見、猫獣人族に見えるがエルフとの混血だ」
「ふぅ~ん」
エルフなら知っている。それなら、あっちの世界の物語や映画にも登場する、耳が尖った有名な人だ。兄も知っている固有名詞が出てきて嬉しいのか、腕を組んでうんうんと頷いている。
「……オリビアは人族だが、魔族との混血だ」
「へぇ~」
魔族だって。小次郎が勇者だから、てっきり魔王がいて退治しなきゃいけないのかと思ったけど、オリビアさんみたいな混血がいるなら、魔族と和解済みだったりするのかな?
ものすっごく顔をしかめたシルビオさんが、噛みしめた口から絞り出すように最後の人物を紹介する。
「レオンは……実は……精霊との混血だ!」
「…………」
橘一家一同、今度は反対側に首をコテン。やばいやばい……何がやばいって、シルビオさんの話したことの何がやばいのか、わからないのがやばいって。
精霊との混血って珍しいんですか? ドラゴンより?
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